週間情報通信ニュースインデックスno.1365 2023/2/4


1.米Amazon.comは増収減益、稼ぎ頭のAWSも営業減益に(2.3 日経XTEC)
米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は米国時間2023年2月2日、2022年10〜12月の決算を発表した。売上高は前年同期比8.6%増の1492億400万ドル(約19兆2000億円)だったものの、本業のもうけを示す営業利益は同20.9%減の27億3700万ドルにとどまった。

 純利益は前年同期比98.1%減の2億7800万ドル。出資するEV(電気自動車)メーカー、米Rivian Automotive(リビアン・オートモーティブ)の株価低迷による評価損23億ドルを計上したことが影響している。

 2023年1〜3月期の売上高については、1210億〜1260億ドル(前年同期は1164億4400万ドル)と見積もった。

 セグメント別では、主力である直営インターネット通販事業の売上高は前年同期比2.3%減少して645億3100万ドル。サードパーティーによる手数料売上高は同19.9%増の363億3900万ドル、有料会員サービスであるプライムによるサブスクリプションの売上高は同13.1%増の91億8900万ドルとなった。

 特徴的だったのは、これまで急成長してきたAmazon Web Services(アマゾン ウェブ サービス、AWS)のブレーキだ。売上高は前年同期比20.2%増の213億7800ドルと伸びはしたものの、成長率はこれまでで最も低くなった。営業利益は1.7%減って52億500万ドルにとどまった。

2.ChatGPTが鳴らした号砲、グーグルは自ら主力ビジネスを破壊できるか(2.3 日経XTEC)
ChatGPTはAI(人工知能)の世界を一変させてしまったようだ。つい3カ月前まで、AIがデタラメな文章を出力するのはタブーとされていた。しかしChatGPTの登場以降、人々はAIの過ちに突然寛容になり、チャットボットAIが一気に社会に受け入れられようとしている。

 ChatGPTの勢いに火を付けたのは、米Microsoft(マイクロソフト)だ。同社は2023年1月16日(米国時間)にMicrosoft Azureで米OpenAI(オープンAI)の各種AIをクラウドサービスとして正式に提供し始め、同時にChatGPTもサービスとしてまもなく提供すると発表した。同社はChatGPTベースのBingもまもなく提供すると報じられている。

 チャットという非常に分かりやすいインターフェースで巨大言語モデルのパワーを活用可能にしたChatGPTは、登場するなり技術愛好家の間で一気に話題になった。そして巨大ITベンダーであるマイクロソフトが積極的な姿勢を見せたことで、一般の人々からも注目される存在になった。

 米国の報道によればグーグルもいよいよ「腹を決めた」ようだ。同社が2023年5月に開催するとみられる年次イベントの「Google I/O」では、ChatGPTのようなチャットボットAIのほか、(画像や文章などをつくり出す)さまざまな生成AIを搭載する製品やサービスが20種類も登場する見込みなのだという。

 グーグルがチャットボットAIなどに消極的だったのには、大きく2つの理由がある。

 1つ目は、同社にこれまで寄せられてきた批判の数々だ。グーグルが自社の会話AIのパワーを世に示したのは2018年5月のGoogle I/Oでのこと。基調講演のデモでは会話AIである「Google Duplex」が合成音声を使ってレストランや美容院に実際に電話をかけて、店員と自然な会話をしてサービスの予約をしてみせた。

 しかし評価は芳しくなかった。Google Duplexは店員と会話する際、相づちを即座に打ったり「うーん」といった音声を発したりして、さも自分が人間であるかのように振る舞った。これが「AIが人間(=店員)をだますものだ」として、倫理に反するものだと批判されたのだ。

 ゲブル氏らが指摘した問題点とは、「巨大言語モデルは学習に膨大な電力を消費しており、環境に大きな負荷を与えている」「学習データに存在する偏見(バイアス)によって、AIにもバイアスが生じている」「言語モデルはそれらしく見える文章を確率的に生成しているだけで、言語理解はしていない」といったもの。全てChatGPTにも当てはまるのが興味深い。これらの問題点を解決しないまま巨大言語モデルを世に放てば、再び批判にさらされる。グーグルがそう考えていてもおかしくない。

 2つ目は、ビジネス上の理由だ。筆者も昨年末に指摘したように、もしチャットボットAIが「Google検索」に置き換われば、グーグルの広告ビジネスが大打撃を受ける恐れがある。チャットボットAIの場合、質問への回答ページで情報探索が終了するため、キーワード広告のリンクをクリックする人が激減する可能性があるからだ。

3.KDDIとソフトバンク、災害時に互いの回線を使える「デュアルSIMサービス」提供へ(2.2 日経XTEC)
KDDIとソフトバンクは2023年2月2日、緊急時にauまたはソフトバンクの予備回線に切り替えて通信サービスを利用できる「デュアルSIMサービス」の提供を開始すると発表した。個人と法人の顧客向けに、2023年3月下旬以降の提供を予定する。

 両社は通信障害や災害で不通となった際の通信復旧までの代替手段確保を課題として捉えており、互いの通信網を予備回線とするデュアルSIMサービスを提供する。KDDIの連結子会社である沖縄セルラー電話にもソフトバンクの予備回線提供を予定する。

 KDDIは2022年7月に通信障害を起こし、延べ3090万人以上に影響を与えた。ソフトバンクは2018年12月に約3060万回線が影響した通信障害を起こしている。両社は「通信障害や災害通信時に通信ができなくなった際の早期復旧に向けた体制構築にも取り組んでいる」とする。

4.IIJがIoTサービスの新機能、他社回線経由でもインターネットVPNで安全に接続(2.1 日経XTEC)
インターネットイニシアティブ(IIJ)は2023年2月1日、IoT(インターネット・オブ・シングズ)デバイスとIoTプラットフォームをインターネットVPN(仮想私設網)で接続する「VPNアクセス」を同日より提供開始すると発表した。

 同社は、IoTデバイスからネットワーク、端末の監視や制御などを担うプラットフォーム、セキュリティー、クラウド環境まで、IoTシステムに必要な機能を包括して提供する「IIJ IoTサービス」を展開している。VPNアクセスは、同サービスの新機能として提供する。

 今回の新機能を利用すると、インターネット接続環境を備えたIoTデバイスであれば、同社以外のモバイル回線や無線LAN環境、海外の現地回線などを使い、インターネットVPNで安全にIIJ IoTサービスのプラットフォームに接続、利用できるようになる。

5.KDDIのIaaS障害は4日目に突入、復旧には「相当な時間を要する」(1.31 日経XTEC)
DDIのIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)「KDDIクラウドプラットフォームサービス(KCPS)Ver.2」で障害が発生している。2023年1月28日午前4時20分頃から発生しており、4日目に入った1月31日時点で完全復旧に至っていない。

 システム障害が発生しているのはKCPS Ver.2の「jp2-east05」ゾーンにある一部のサーバーだ。KDDI広報は障害の影響を受けたユーザー数を「KCPS Ver.2の利用者の数パーセント」としている。具体的な数は明かしていない。

 原因は特定済みで、既に仮想ルーターを再作成し、現在はストレージの新規構築とデータの移行を進めている。ただストレージの新規構築は「相当な時間を要する見込み」(KDDI広報)としており、「具体的な復旧日時は個社で異なる」(同)という。

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