週間情報通信ニュースインデックスno.1363 2023/1/21


1.テレワーク実施率が低下傾向、危惧される自主退職者の急増(1.20 日経XTEC)
新型コロナウイルス禍で普及が進んだはずのテレワークの実施率が2022年後半以降、じりじりと低下している。一方でテレワークに取り組むビジネスパーソンの継続意向度や満足度は今も上昇傾向にあり、企業と社員の認識のギャップは広がるばかりだ。出社勤務に戻るくらいならテレワークができる他の企業へ転職するといった自主退職者の急増も危惧される。企業は緊急避難的な対策ではなく新しい働き方として、テレワークに取り組む必要がある。

 日本生産性本部が2022年10月に発表した「第11回 働く人の意識調査」におけるテレワーク実施率は17.2%だった。2022年7月以前の調査では、新型コロナの感染拡大の波が来るたびに、テレワーク実施率が増加する傾向にあったという。

 しかし、第7波のピークから間もない2022年10月に実施した今回の調査については、「これまでの調査でテレワークをけん引してきた中・大企業において、テレワークの実施率が低下傾向にある」と長田主任研究員は説明する。

 パーソル総合研究所が2022年8月に公開した「第七回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する調査」におけるテレワーク実施率は正社員ベースで25.6%だった。調査時期は、第7波に入りつつあった2022年7月13日から18日までだった。

 これら調査結果の背景について、日本生産性本部の長田主任研究員は「緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などによる行動制限がなかったことが影響している」とみている。パーソル総合研究所の小林上席主任研究員は「多くの企業で、新型コロナに対する警戒心が薄れていること」などを挙げる。

 テレワーク実施率が伸び悩む一方、テレワークに取り組むビジネスパーソンの間で、テレワークの継続意向度は引き続き上昇している。 パーソル総合研究所が2022年8月に公開した調査では、テレワーク実施者に向けてテレワークを続けたいかどうかを尋ねた。結果、「続けたい」との回答割合の合計は80.9%となり、2020年4月以降の調査で過去最高の値となった。2020年4月の調査でテレワークを続けたいと答えた割合は53.2%。これに比べて直近の調査では27.7ポイントも上がったことになる。

 この結果について、小林上席主任研究員は、テレワークを前提に生活時間を組み立てたり、テレワークを進めながら配偶者と家事・育児を分担したりすることが定着したとみている。「通勤をはじめとするストレスフルな行動をカットできるようになったこともあり、一度慣れてしまった生活リズムや働き方を、もう一度、出社前提のものへ戻すことに、抵抗感が高まっている」(同)。

 テレワーク時の生産性も以前より高まっている。上記調査では、出社時の生産性を100%としたとき、テレワーク実施時の主観的な生産性は何%かも尋ねた。その結果、平均で89.6%となり、2022年2月に実施した前回調査よりも5.4ポイント高かった。 日本生産性本部の直近の調査でも、「コロナ禍収束後もテレワークを行いたいか」といった質問をしている。その結果、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答した割合は合わせて76.7%と、8割近くになった。

2.公開直後に話題をさらったChatGPT、活用の可能性はどんな領域に?(1.20 日経XTEC)
ChatGPTとは米OpenAI(オープンAI)が公開する対話型の言語モデルである。2022年11月にオープンAIが一般公開してから間もなく、様々なジャンルの話題に対し的確な返答をするとして話題となった。チャット形式の画面上で英語や日本語などの自然言語で質問すると、それらの質問に回答する。

 例えば、日本語で「ChatGPTとは何か?」と質問すると「Chat GPTは、自然言語生成タスクを行うために設計されたトランスファーモデルです」などと、複数行で回答を出力する。プログラムのソースコードに潜むバグの指摘も質問に回答する形で示せる。プログラムのソースコードをコピー&ペーストし「このコードが動かないが、どう修正したらよいか」などの質問文を添えて入力すれば、ユーザーの意図などを追加質問した上で、問題点を指摘する。

 人種差別的な表現など倫理的に不適切な質問要求について回答を拒否したり、質問の前提が不正確であれば指摘したりできることも、ChatGPTの大きな特徴だ。

 ChatGPTは、オープンAIが2022年に学習を終えたモデル「GPT-3.5(Generative Pre-training Transformer 3.5)」を基にしている。GPT-3.5とは1000億パラメーターを超える巨大言語モデルであり、これらは「自己教師あり学習」で学習して構築している。自然な文章を生成できるのが特徴だ。

 現在はプレビューとして無料で公開している。議論を組み立て、長文テキストを作成できるという特徴があるため、コンテンツ作成やカスタマーサービスにおける質問の回答などに活用できる可能性がある。論理的に問題を整理して指摘できることから、コード中のバグを発見するといった活用にも期待がかかる。

 しかし、現時点では的確でない回答も多く、出力された情報が事実に基づいたものかどうかはユーザーが確認しなければならない。また、回答の倫理性や適切さの担保についても今後、さらなる改善が必要とされている。

3.ユーザー企業の54.4%が「内製化」の方針、ガートナージャパン調査(1.18 日経XTEC)
ガートナージャパンは2023年1月18日、「日本におけるソフトウェア開発の内製化に関する調査結果」を発表した。今後の自社の開発方針を「内製化」と回答した割合は54.4%で、「外製化」の35.4%よりも高いという結果になった。同調査は、日本国内のユーザー企業でソフトウエア開発に従事する個人を対象に、自社の内製化・外製化に対する考え方について2022年4月にアンケートを実施したもの。

 自社の方針が内製化と答えた回答者にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「開発コストの削減(SIに支払うコストが高額なためなど)」(55.2%)だった。次いで「開発、実装、保守対応の迅速化 (SI企業とのやりとりの時間が長いなど)」(49.7%) だった。

4.eSIMを使えるMVNOが増加、どう使えばお得?(1.18 日経XTEC)
eSIM」に対応するスマートフォンが増えている。eSIMとは、端末内に組み込まれたSIMを指す。そこに通信事業者が発行する情報を取り込む。スマホに挿入するICカードの「物理SIM」と同じだが、オンラインで申し込め、最短で当日から使い始められることが利点だ。

 NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイルの4社は、いずれもeSIMを提供している。オンライン申し込み専用の「ahamo」(ドコモ)「povo」(KDDI)「LINEMO」(ソフトバンク)もeSIMに対応する。申し込み当日から利用可能。大手キャリアの通常プランを一般的な物理SIMで利用し、格安プランのeSIMを追加して、1台で2回線を使い分けることも可能だ。

5.NTT東日本、ローカル5Gを使い複数台のバスで遠隔型自動運転の実証実験(1.16 日経XTEC)
NTT東日本はティアフォーやKDDI、成田国際空港と合同で、ローカル5Gなどの技術を使った複数車両による遠隔型自動運転の実証実験を2022年12月15日に開始した。成田国際空港第1〜第3旅客ターミナル間で実施している。人手不足やヒューマンエラーに起因する車両事故リスクの軽減を目的とする。

 特定の条件下で運転を完全に自動化する自動運転の「レベル4」相当の導入に向けたもの。実験項目は3つある。(1)見通しの悪いカーブを含む第1〜第3旅客ターミナル間での遠隔型自動運転バスの運行実験(総延長約5km)、(2)最大3台の複数台同時運行に向けた遠隔監視・映像配信実験(総延長約1.4km)、(3)遠隔監視映像配信用として利用するキャリア通信とローカル5Gの切り替えによる運行ルートの代替設定実験(総延長約6km)である。

 実証実験の期間は2023年2月28日まで。実験で得られた結果から課題を抽出し、空港制限区域内での旅客ターミナル間連絡バスの遠隔型自動運転を2025年をめどに実装することを目指す。

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