週間情報通信ニュースインデックスno.1356 2022/12/3


1.レベル4の自動運転EVで工場内物流を無人化、夜間も屋外もOK(12.2 日経XTEC)
ヤマハ発動機とティアフォー(名古屋市)の合弁会社のeve autonomy(静岡県袋井市)は2022年11月30日、自動運転の電気自動車(EV)による自動搬送サービス「eve auto」の提供を開始すると発表した。工場や倉庫など一定範囲の敷地内において、周辺環境を認識してドライバーの運転が不要なレベル4でEVを自動運転させる。工場内で部品を搬送したり、倉庫から倉庫へ物品を移動させたりするのに利用できる。

 同サービスは、eve autonomyがヤマハ発動機、ティアフォーと共同で開発した。ヤマハ発動機が開発した自動運転EV「FG-01」と、ティアフォーが提供する自動運転用ソフトウエア「Pilot.Auto」「Web.Auto」を活用する。工場や倉庫など、公道を除く一定範囲の敷地内で利用できる。EVやソフトウエアの定期メンテナンス、FG-01が移動する範囲の地図編集などのアフターサポートと自動運転システム提供者専用保険を提供するサブスクリプション型サービス。eve autonomyによると、自動運転のEVによる無人搬送の商用サービスは国内初だという。料金はEV1台につき38万円/月から。

2.KDDIが衛星通信「Starlink」使う基地局を初稼働、全国1200カ所に順次展開(12.1 日経XTEC)
KDDIは2022年12月1日、衛星ブロードバンドサービス「Starlink」を基幹通信網までのバックホール回線に利用する携帯電話基地局の運用を、静岡県熱海市の初島で開始したと発表した。基地局にStarlink用のアンテナを取り付け、衛星経由でKDDIの基幹通信網につないで通信エリアを確保する仕組み。光ファイバーやマイクロ波無線によるバックホール回線を敷設するのが難しい場所にも基地局を配置して携帯電話サービスを提供できるようにした。KDDIは同様の基地局を全国約1200カ所に順次展開していく方針だ。

 Starlinkは米Space Exploration Technologies(スペースエクスプロレーションテクノロジーズ、スペースX)が手掛けている衛星ブロードバンドサービス。高度550キロメートルの低軌道上に配置した衛星を利用し、従来の静止軌道衛星に比べて高速・低遅延の通信サービスを実現している。日本では2022年10月にサービスを始めた。KDDIは同月、国内の企業や自治体へのStarlink提供に関してスペースXと契約を結んだと発表していた。

 同社は今回の発表と併せて、Starlinkをバックホール回線に使う基地局構築ソリューションの提供を法人向けに始めると発表した。山間部や離島など携帯電話の電波が届きにくい場所で社会インフラの建設・維持に関わる建設業界やエネルギー・インフラ業界、災害対策を強化したい自治体などのニーズを見込んでいる。

3.ワイヤレスでも高音質、Bluetoothヘッドホンはコーデックにこだわる(11.30 日経XTEC)
スマホは携帯音楽プレーヤーの機能を兼ね備えており、ストリーミング配信の音楽も楽しめる。ここでは、スマホの音楽をより高音質にする方法を見ていこう。

 最近は「iPhone」や「Pixel」など、本体にイヤホン端子を搭載しないスマホが増えきた。それと相まって、Bluetooth接続で利用するワイヤレスのイヤホンやヘッドホンが急速に普及している。しかし、Bluetoothは伝送時にデータを圧縮するため、音質的には有線の方が有利。音質を重視するなら、スマホで使えるポータブル型DACの導入も検討しよう。

 Bluetoothで伝送する音声データの音質は、コーデックの種類に左右される。Bluetooth機器の音声データのやり取りは「A2DP」というプロファイルを利用し、標準では「SBC」というコーデックが使われる。さらに端末や再生機器によってはSBCより高音質なコーデックも用意されている。最近のAndroidスマホなら「aptX」や「LDAC」に対応する機種が多い。iPhoneは「AAC」に標準で対応する。コーデックはスマホと再生機器の両方が対応している必要がある。Bluetooth接続のイヤホンやヘッドホンを選ぶときは、使っているスマホの仕様に合わせよう。

 Bluetoothでペアリングした際は、基本的に最も高音質なコーデックが自動選択される。通常、使用されるコーデックは画面などに表示されないが、Androidでは「開発者向けオプション」で確認できる。なお、LDACの最高音質はデータ量が多いため、電波状況が良くない場所では音飛びが生じやすい。状況に応じて使い分けよう。

 スマホでポータブル型のDACを使うメリットは大きい。そもそもDACの場合は有線接続なので、Bluetooth接続より音質面で有利だ。好みの有線式のヘッドホンやイヤホンを使える。もちろん、スマホの内蔵DACの性能を超えるハイレゾ音源を再生可能だ。ちなみに、iPhoneの内蔵DACは24bit/48kHzが上限なのでハイレゾ再生にはやや力不足。AndroidスマホのDAC性能は非公表の場合が多い。

4.NTTとメディカロイド、国産手術支援ロボによるリアルな遠隔手術を実証(11.30 日経XTEC)
NTTとメディカロイド(神戸市)が、遠隔手術の実現に向けた共同実証を開始した。メディカロイド製の手術支援ロボット「hinotoriサージカルロボットシステム」と次世代通信基盤「IOWN」を接続することで、物理的に離れた環境を1つの手術室のように統合する。手術室の状況をよりリアルに伝送し、手術中のコミュニケーションをスムーズに進めることを目指す。

 外科医の減少を補ったり医療の均てん化を図ったりする目的で、手術支援ロボットを遠隔地から操作する方法が期待されている。しかし遠隔地からのロボット操作は、通信ネットワークの遅延ゆらぎの影響を受けやすいため、執刀医がストレスを感じないよう通常のロボット手術と遜色なく手術できる環境が必要だ。

 今回、IOWNの中でもネットワークや端末、チップにも光技術を導入した「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」を手術支援ロボットとつなぐ。拠点間で1波長あたり100Gbps(ギガビット毎秒)以上の大容量で伝送できるため、医師の操作とロボットの動きについて、遅延ゆらぎをほぼゼロにできるという。実証環境としては、NTT武蔵野研究開発センタ内に100km以上のAPNを構築した。

5.僕がLTE内蔵のLet's note SRを購入した理由(11.29 日経XTEC)
パナソニックの「Let's note SR」のLTE搭載モデルを購入した。その理由と購入後の満足度などを紹介しよう。僕はこれまでに何台ものLet's noteを購入してきた。その際色は基本的には黒を選んできた。黒のほうがパーツの合わせ目のラインが目立たないからだ。Let's noteは質実剛健なデザインなので、パーツの合わせ目が多く、隙間が気になる。黒だとこれが目立たなくなるのが好みだった。

 ところがLet's note SRでは、新色として「カームグレイ」が登場した。写真ではシルバーのように見えるが、つやを抑えた灰色といった印象だ。この色なら指紋も目立ちにくい。そこで今回は黒ではなくこちらを選んだ。キーボードは黒く、ホイールパッドなどが濃いグレーなので、パーツの隙間もあまり気にならなかった。

 動作時間による使い分けができるよう、バッテリーが2本付いてくるモデルを選択した。重量はキッチンスケールで937gと855gで使い分けられる。なおカタログ値における駆動時間は標準バッテリーで16時間、軽量バッテリーで9.5時間となる。

 今回は、LTEモデム内蔵モデルを選んだ。その理由はひと言「便利だから」に尽きる。「テザリングでもいいだろう」という考え方もあるとは思う。しかし昨今はTeamsやメールで頻繁に連絡をとる必要がある。そのためにいちいちスマホと接続する作業が面倒だ。LTEモデムを内蔵していればすぐにつながる。

 Windows 11が備える「モダンスタンバイ」機能を利用すれば、スマホのようにアクティブに使える。モダンスタンバイに対応したアプリは、パソコンをスリープしても通信を実行する。例えばメールの受信や、音楽ストリーミングの受信などができる。いちいちWi-Fiに接続して同期し、未読をチェックするといった使い方をしなくて済む。

 またアンテナの大きさや構造が異なるので、パソコン内蔵LTEを使うほうがスマホのテザリングより高速に通信できたり、電波をつかめたりすることが多い。

 本来ならLTEモデム内蔵モデルではなく5Gモデム内蔵モデルを選ぶべきだ。ただ今回は価格が高すぎたのでLTEモデム内蔵モデルで妥協した。Teamsやメールを利用したり、一般的なファイルを操作したりする程度であればLTEで十分だからだ。言うまでもなく、大きなファイルのやり取りをするなら5Gのほうが優れている。しかしまだ利用できるエリアは広くない。僕がメインで使っているiPhoneはNTTドコモの5Gの使い放題契約をしている。大きなファイルをやり取りする際に、5GのエリアならiPhoneでテザリングすることで妥協している。

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