1.広島銀行が2030年度に横浜銀行などとシステム共同化、基幹系のクラウド化目指す(11.11 日経XTEC)
広島銀行は2022年11月11日、横浜銀行など地方銀行5行のシステム共同化陣営「MEJAR」に2030年度から合流する計画を発表した。広島銀行とふくおかフィナンシャルグループ(FG)によるシステム共同化陣営「Flight21」から乗り換える。MEJARはNTTデータが、Flight21は日本IBMがそれぞれ支援している。
MEJARには横浜銀行のほか、北陸銀行や北海道銀行、七十七銀行、東日本銀行の全5行が参加している。現在はメインフレーム上でNTTデータの勘定系パッケージ「BeSTA」を稼働させているが、2024年1月にオープン系サーバーとBeSTAの組み合わせに移行する予定で、将来的にクラウド対応も検討している。
広島銀行はMEJARに移ることで基幹系システム(勘定系システムと情報系システム)のクラウド化を実現させたい考え。
2.進化するネットワークスイッチ、各社が注力する「PoE」と「統合管理」(11.11 日経XTEC)
基本的な仕組みは長年変わらないネットワークスイッチだが、付加機能は進化し続けている。ネットワーク機器各社が機能強化に注力している分野を2つ紹介する。
1つは、LANケーブルを使ってデータ信号とともに電力を送る「PoE(Power over Ethernet)」だ。PoE対応のスイッチはPoEスイッチなどと呼ばれる。各社は、大容量の給電が可能な最新規格のPoEに対応するスイッチを続々と製品化している。
各社がPoEスイッチの開発に力を入れる背景には、フリーアドレスの導入などにより、多くの企業が無線LANを主体にしたネットワークを構築するようになっていることがある。
そこで2018年、さらに大きい電力を供給できるIEEE 802.3btが策定された。IEEE 802.3afや同atがLANケーブルの2対のより対線で電力を送るのに対し、4対のより対線を使うことで最大給電電力を90Wに増やした。IEEE 802.3afの約6倍だ。無線LANの進化との相乗効果で、スイッチも付加機能を進化させたわけだ。
3.ランサムウエアが怖くなくなるデータ防御法、感染対策から世代バックアップまで(11.11 日経XTEC)
コンピューターシステムに甚大な被害を与えるマルウエア(悪意のあるプログラム)の中でも、トップクラスに凶悪なのが「ランサムウエア」だ。「ランサム(身代金)」とソフトウエアを組み合わせた造語で、ユーザーのデータを人質に取り、身代金を取ろうとしてくるのがやっかいこの上ない。
犯人に身代金を支払っても、暗号化を解除してくれるとは限らず、基本的には泣き寝入りするしかない。既知のランサムウエアであれば、暗号化を解除するツールもあるのだが、サイバー犯罪者の技術も日進月歩。新型のランサムウエアが暗号化したデータはどうしようもないことが多い。
そのため、重要なデータは普段から守り、ランサムウエアに感染しない防御対策を準備しておくことが重要だ。そして、万一ランサムウエアに感染しても、データを失わないようなバックアップ体制を構築する必要もある。今回は、データを失わないためのランサムウエア対策を紹介しよう。
ランサムウエアの機能を強化し、暗号化する前にデータを外部のサーバーに送信するようにした。身代金を払わないと、元の状態に戻さないだけでなく、盗んだデータをネットで公開する、という2重脅迫を行うためだ。
ランサムウエアの感染経路は主にメール、Web、USBメモリーの3つ。メールの添付ファイルや記載されているURL、USBメモリー内の感染ファイルを開いたり、不正なWebサイトにアクセスしたりするとランサムウエアに感染してしまうのだ。
まずは、対策の基本。OSやツールを最新の状態にして、きちんと運用すること。マルウエアの中には、OSやツールの脆弱性を突いて感染しようとするタイプが多いためだ。Windows Updateで常に最新の状態にしておき、「Windowsセキュリティ」もしくは市販のセキュリティーツールを有効にしておこう。
Windows 11の「Windowsセキュリティ」なら通常のランサムウエアを検出し、感染を防いでくれる。とはいえ、新種が出たら対応できない可能性もあるので、さらなる守りは必要だ。そんなときに強力な盾になってくれるのがWindows 11の「ランサムウェアの防止」機能だ。
「Windowsセキュリティ」の設定画面から「ウィルスと脅威の防止」→「ランサムウェア防止の管理」を開き、「コントロールされたフォルダーアクセス」をオンにする。これで、「保護されているフォルダー」に登録されているフォルダーが勝手に改ざんされるのを防止してくれるようになる。
しかし、クラウドストレージなら世代バックアップから元の状態に戻せる機能を搭載していることもある。例えば、OneDriveであればランサムウエアが検知されると通知が届いて、攻撃から30日以内であればファイルを復元することができる。
4.KDDI総研が3Dデータをモバイル回線でリアルタイム伝送できる技術、メタバースで活用(11.9 日経XTEC)
KDDI総合研究所は、人物などの3次元(3D)点群のデータ品質を落とすことなく圧縮し、モバイル回線でリアルタイムに伝送できるエンコーダーの開発に成功したと2022年10月24日に発表した。今回開発したリアルタイムエンコーダーを使うことで、人間の表情やしぐさといった繊細な動きを高い臨場感で表現できる。今後、メタバースでの音楽やファッションなどのイベントにおける活用を目指す。
KDDI総合研究所が開発したリアルタイムエンコーダーは、3D点群圧縮技術の最新の国際標準方式であるV-PCCに対応する。V-PCCは非圧縮時と比較し、品質を維持しながらデータ量を40分の1に削減することができる。V-PCCにより、従来の圧縮技術では50Mbps以上だったデータ量を半分に抑えることができ、モバイル回線を介した3D点群のデータ伝送が可能になった。一方で圧縮にかかる処理負荷が高く、3D点群データのリアルタイム処理は困難だった。
KDDI総合研究所はリアルタイム処理可能なエンコーダー開発にあたり、3D点群を通常の映像と同じ形式へ変換する処理の高速化やCPU使用率の改善といった技術を確立した。今後はライブ伝送システムや、スマートフォン・VRデバイスでの体験アプリケーションの開発を進める。
5.大規模障害対策の現実解はデュアルSIMか、「携帯大手がMVNOになる」策に不安の声(11.9 日経XTEC)
携帯電話網の大規模障害時に他社ネットワークを利用できるようにする「事業者間ローミング」の実現に向けた議論が総務省の有識者会議で進んでいる。もっとも、警察(110番)や消防(119番)といった緊急通報における呼び返し機能まで実装となると、開発期間は少なくとも3年程度かかる見通し。ローミング開始・終了の条件、救済する側の事業者の設備逼迫対策などの運用面で調整すべき点も多く、長期戦の様相を呈している。
そんな中、KDDIの高橋誠社長は2022年11月2日の決算説明会で事業者間ローミングとは別に、1台の端末で複数回線を利用する「デュアルSIM」の実現に向けて他社と協議を開始したことを明らかにした。11月4日にはソフトバンクの宮川潤一社長が決算説明会で、高橋社長から直々に声がけがあったと説明。できるだけ早急に実現したいと意気込みを示した。競争を超えた協調に期待は高まるが、気になったのは実現方法である。
実現方法として真っ先に浮かぶのは、携帯各社が他社のMVNO(仮想移動体通信事業者)になる方法である。格安スマホ事業者のように他社の回線を借りて自社のサービスにバンドルする。
KDDIが7月に引き起こした大規模通信障害を受け、格安スマホ事業者には追い風が吹いた。インターネットイニシアティブ(IIJ)は8月の決算説明会で2回線目需要が増え、事故直後に約8倍の申し込みがあったとした。KDDIが提供するオンライン専用ブランド「povo2.0」のように基本料が0円から利用できる携帯大手のサービスもあるが、格安スマホ事業者の小容量・低料金のサービスが見事にマッチした格好だ。こうしたビジネスが雲散霧消してしまう恐れがある。
かたや格安スマホ事業者はデュアルSIMの提供に当たって、最低2社との相互接続とその費用負担がかかる。仮に大手3社が初期費用だけをある程度徴収して月額負担を極端に安く設定した場合、格安スマホ事業者にはとても太刀打ちできない。
携帯大手が検討していると思われる他社回線の単純なバンドルは非常に有効な対策なのだが、波乱は必至。どのような決着となるだろうか。
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