1.デジタルやネットで自律的に問題解決、「デジタルシティズンシップ」のスキルとは(11.4 日経XTEC)
デジタルシティズンシップとは、デジタル機器やインターネットを活用して、市民が自身の力で身の回りや社会の課題を解決できるスキルを指す。
デジタルシティズンシップの考え方を広めたのは米国の国際教育テクノロジー学会(ISTE)である。ISTEは1998年から情報教育基準(NETS)を作成しており、その2007年版にデジタルシティズンシップという考え方が登場した。欧米では2010年代ごろからデジタルシティズンシップの重要性が広く認知され、児童・生徒にこうしたスキルを習得させることを意識した教育を実践している。欧州評議会でも2016年にデジタルシティズンシップに関する専門家委員会を設置し、同時に教育プロジェクトも立ち上げた。
一方、学校外の日常生活でデジタル機器やインターネットを使用している小中学生は多い。それらの活用方法について学校で習得することなく使い続けると、トラブルが起きたときに対処法が分からなくなってしまう。国内でもこうしたひずみが新型コロナ禍以降に問題視され、その解決策としてデジタルシティズンシップの考え方が注目されるようになった。
デジタルシティズンシップを先駆的に実践している兵庫県姫路市立の小中一貫校、豊富小中学校では「情報を『つくる』と『つかう』を考える〜デジタルシティズンシップを意識しながら〜」という取り組みを実施。小学校低学年では1人1台与えられた端末をどう大切に使うかやID・パスワードの重要性などを考え、情報社会の一員としての態度を養う。
豊福准教授が例示するのは、大人であっても動画配信サービスで映画などを際限なく長時間視聴してしまう、インターネット上で誹謗(ひぼう)中傷をしてしまう、フェイクニュースの判別ができずに拡散してしまう、といった行為だ。1日にどのくらいの時間をインターネットに使うことが適切かや、どのような使い方が適切かを自ら判断できていない。これらの一因として、大人におけるデジタルシティズンシップの欠如が挙げられると豊福准教授は指摘する。
2.oViceと戸田建設がデジタルツインスマートオフィスを共同開発(11.3 日経XTEC)
バーチャルオフィスを手掛けるoVice(オヴィス)と戸田建設が、リアルとバーチャルを融合させた大規模なデジタルツインスマートオフィスの共同開発を開始した。2024年10月竣工予定の「TODA BUILDING」(東京都中央区京橋)に実装する予定だ。デジタルツインは、仮想空間に現実世界を再現するもの。リアルオフィスに出社する社員とテレワークで働く社員が混在するハイブリッドワーク環境下でも、両者がシームレスにコミュニケーションできる環境を目指す。
共同開発するデジタルツインスマートオフィスでは、NFC(Near Field Communication、近距離無線通信)やBLE(Bluetooth Low Energy)などの技術を利用し、リアルオフィスに出社している社員の位置情報を座席レベルで取得する。その情報を基に、リアルオフィスと同じレイアウトでバーチャル空間「oVice」に用意したデジタルツイン空間に、リアルオフィスに出社している社員をアバターとして表示する。その周辺部にテレワークで働く社員などがアバターで出勤するためのバーチャル空間も用意することで、リアルオフィスと一体感のあるコミュニケーションを可能にする。
両社は共同開発を2022年10月18日に開始した。TODA BUILDING竣工後は、戸田建設の全社員(2022年3月時点で4175人)がハイブリッド環境で勤務する予定だ。両社は「離れていても常時、自然につながることで、ハイブリッドワークにおいても高い生産性でチームがコラボレーションできる環境を提供していく」と意気込む。
3.大阪急性期・総合医療センターのランサムウエア被害、11月2日以降も通常診療停止(11.1 日経XTEC)
大阪急性期・総合医療センターは2022年11月1日、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃による電子カルテシステムなどの障害により、11月2日以降も当面通常診療を停止すると発表した。11月1日午後5時の時点でシステムの復旧のめどは立っていないという。
同センターは10月31日にランサムウエア攻撃を受けたことを確認し、同日から緊急以外の手術や外来診療を一時停止していた。現在、原因の究明とシステムの復旧を進めている。
4.IEのサポート終了で最適の乗り換え先はChromeか、主要Webブラウザーを比較(11.1 日経XTEC)
Windowsの代表的なWebブラウザー「Internet Explorer」(IE)のサポートが、ついに2022年6月に完全終了した。すでに多くのユーザーはほかのWebブラウザーに移行している状況だが、ついに最終通告が来たわけだ。パソコン向けのWebブラウザーは複数あるが、移行先の有力な候補となるのが、米グーグルの「Chrome」だ。
Chromeが移行先の候補として有力な理由の一つが、現在のパソコン向けWebブラウザー市場でシェア1位となっている点だ。全世界では6割以上のシェアを占める。
5.ドコモがリアル出社に近づけた通話システム、エッジ活用で低遅延(10.31 日経XTEC)
NTTドコモは2022年9月29日、オンライン環境でありながらリアルに近い感覚で会話できる音声通話システムを開発したと発表した。5Gネットワークとエッジコンピューティング(ユーザー端末の近くに分散配置されたコンピューティング)を活用し、約230msの低遅延の通話ができる。今後、試作アプリを使って商用化への検証を進める。
この技術の狙いは、リモートワーク中でも、オフィスでの雑談のような雰囲気をつくりだすことにある。通話者同士であいづちや笑いなどをシームレスに取ることで、共感的な会話を実現する。
低遅延化は、5Gと、NTTドコモのエッジコンピューティングサービス「docomo MEC(Multi-access Edge Computing)」を使うことで、通信距離を物理的に短くして達成した。5Gの「spモード」を通じて一般的なWeb通話アプリケーションを実行した場合は約350msなので、約3分の1の短縮となった。
発話を先読みして、ミュートを自動解除する機能も取り入れた。手動でミュートをオン/オフする場合、切り替えの手間がかかったり、常にオンにしておくとバックグラウンドの音声が入り込んだりする課題があった。そこでNTTドコモは、カメラで検出した口の動きを基にミュートを自動解除する技術を開発した。発話直前の口の動きを検知する。「当社の認識の範囲では、同様の開発例は過去にない」(NTTドコモ)という。
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