週間情報通信ニュースインデックスno.1347 2022/10/1


1.労働力不足の解消へ、OKIが現場ロボットを遠隔管理できるプラットフォームを開発(9.30 日経XTEC)
OKIは2022年9月27日、オフィスや介護施設などで稼働するロボットを遠隔管理できるプラットフォームを開発したと発表した。ロボットの他にもウエアラブル端末やエレベーターなどを含めたエッジデバイスの監視と制御ができる。同社は警備や介護などでの利用を目的に実証実験を進め、2024年ごろをめどに社会実装を目指すとしている。

 OKIが開発した新プラットフォームの「REMOWAY」はHTTP/MQTTのプロトコルによってエッジデバイスと接続する。これにより、自律的に動くエッジデバイスの監視や、設定した時間に特定の動作をさせるスケジュールの作成ができる。OKI以外の企業が提供するエッジデバイスの管理も可能だ。OKIは2030年までにロボットが人と協調して多様な業務を遂行する将来像を掲げている。

2.ソフトバンクと日立が製造現場のDX支援、生産状況をリアルタイムに可視化(9.30 日経XTEC)
ソフトバンクと日立製作所は2022年9月30日、製造現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援サービスの提供で協業を始めたと発表した。ソフトバンクのネットワークやクラウドと、日立のIoT(インターネット・オブ・シングズ)やAI(人工知能)、製造業としての知見を組み合わせ、計画立案からサービス導入までを支援する。

 ソフトバンクが2023年度中をめどに、製造現場のデータを収集・分析し、生産状況を可視化するサービスの提供を始める予定だ。提供開始に先駆けて、同サービスを試験的に導入する企業を募集し、サービスの検証を進める。両社は2021年から、サービスの構成や提供方法について検討を重ね、このほど基本的なサービス構成などが固まったという。

 具体的には、製造現場に設置したカメラやIoTセンサーから現場作業員の動作や生産設備の稼働データなどを収集し、クラウド上で蓄積・分析する。生産状況をリアルタイムに可視化できるため、人員不足や設備故障、製造工程の滞留といった生産ロスの要因を素早く特定し、改善につなげられるとしている。

3.シスコがクラウド型コンタクトセンターサービスを提供へ、音声以外の連絡手段も(9.29 日経XTEC)
シスコシステムズ日本法人は2022年9月28日、クラウド型コンタクトセンターサービス「Webex Contact Center」を、日本国内で2022年内に提供すると発表した。顧客からの問い合わせにAI(人工知能)を活用して応対する。価格は個別見積もり。

 Webex Contact CenterはAIと連携したチャットボット(自動応答システム)機能を備えており、顧客は必要なタイミングでいつでも対応を受けられる。AIが応対不可能な問い合わせは自動的にオペレーターに転送される。音声のほかメール、チャット、SMS、ビデオ通話といった連絡手段も利用可能という。

 シスコはサービス開始にあたり、日本国内で新たにデータセンターを開設する。今後日本データセンター配下では韓国・台湾・香港へのサービス展開を目指す。

4人工衛星が基地局に、新規参入が続く「非地上系ネットワーク」とは.(9.28 日経XTEC)
上空に飛ばした人工衛星や無人航空機から地表に電波を発信し、地上の基地局でカバーできない場所でも通信可能にするネットワークシステムのこと。砂漠や山岳部、海上など通信インフラが未整備のエリアや、広範囲で基地局が停止したエリアにおいて通信会社などが通信サービスを提供するのに使う。

 国際電気通信連合(ITU)によると、インターネットを一度も利用したことのない人は世界人口の37%に相当する29億人に上る。NTNはこうしたデジタルデバイドの解消や、災害時の通信手段の確保に役立つとして、様々な企業が新規参入の準備を進めている。

 先行企業の1社が起業家のイーロン・マスク氏率いる米スペースXだ。衛星インターネット接続サービス「Starlink(スターリンク)」の試験提供を2021年に始めた。2022年2月にはロシアから侵攻を受けたウクライナ政府の要請に応じて即座に同国でのサービス提供を開始し、一躍有名になった。NTNの商用化を巡っては同社以外にも、英政府やソフトバンクグループが出資する英ワンウェブ、米アマゾン・ドット・コムなどが、衛星の打ち上げなどのインフラ整備を着々と進めている。

 NTNで「基地局」の役割を担う設備は、主に地表からの高度の違いによって3種類ある。1つ目は高度約3万6000キロメートルの静止軌道衛星(GEO)だ。地球の自転と同期して周回し、地上からは空の一定範囲に止まって見える。高度が高いため3基の衛星で地球全体をカバーできる。ただ衛星までの距離が遠く、データの伝送遅延は大きい。電波を高出力で飛ばす必要があり端末の小型化が難しい面もある。

 2つめはStarlinkなどが採用する低軌道衛星(LEO)だ。高度は数百キロ〜2000キロメートルで、GEOよりも伝送遅延を抑えられる。LEOは静止衛星ではなく、上空で常に移動する特性がある。そのため常時接続の通信環境を広範囲で構築するには、多数の衛星を打ち上げて連携させる必要がある。こうした運用方式を「衛星コンステレーション」と呼ぶ。

 3つめは高度約20キロの「HAPS(High Altitude Platform Station、高高度プラットフォーム)」だ。無人航空機に太陽光パネルやバッテリー、基地局を搭載。温度や気流が安定しており、太陽光発電の妨げとなる雲の影響を受けない成層圏に滞空させ、無着陸で長期間飛行させる。地表に通常の携帯電話の電波を飛ばすため、通常のスマートフォンを使えるのが特徴だ。

 日本では携帯電話各社がNTNの新サービス創出に力を入れている。例えばソフトバンクとNTTグループはHAPSの開発に積極的。ソフトバンクには、GEOやLEOによる衛星通信サービスを日本で商用化する計画もある。

 KDDIはSpace Xと2021年9月に業務提携を結んだ。スターリンクを国内基地局のバックホール回線として利用する方針だ。楽天モバイルも高度約700キロメートルに浮かぶ衛星を使って通常のスマホと直接通信する「スペースモバイル計画」を、米AST&サイエンスと組んで進めている。同社は2023年の実用化を目指す。

5.山手線主要駅と国内5大空港の5G体験、英Opensignalが分析リポート公開(9.27 日経XTEC)
独立系調査会社の英Opensignalは2022年9月8日、日本の主要空港や山手線での5Gモバイル体験を分析したリポートを公開した。日本の平均値と比較した場合、長時間の5G接続は可能だが、5Gダウンロード速度ではそれほど大差がないことなどを報告している。

 山手線で5Gサービスに接続可能な時間は17.2%で、東京や横浜での平均値の2.3〜2.6倍に当たる。これには、日本の通信事業者が山手線をターゲットに5Gインフラを展開していることも影響している。また、山手線での平均ダウンロード速度は47.9Mビット/秒、5Gでは182.1Mビット/秒となっており、東京や横浜での平均値との大きな差異は見られなかった。

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