週間情報通信ニュースインデックスno.1346 2022/9/24


1.ランサムウエア感染の身代金支払いは世界4割で日本は1割、でも油断できない理由(9.22 日経XTEC)
ランサムウエアの脅威はとどまるところを知らない。トレンドマイクロが2022年9月7日に発表した調査結果によれば、26の国や地域にある法人組織の66.9%が過去3年間にランサムウエアの攻撃に遭い、攻撃に遭った法人組織の84.9%(全体の56.8%)でデータが暗号化されたという。同調査はトレンドマイクロが「ランサムウェア攻撃 グローバル実態調査 2022年版」と題して22年5〜6月にかけて実施したものだ。回答者は法人組織のIT部門の意思決定者2958人である。

 ランサムウエアはマルウエア(コンピューターウイルス)の一種である。コンピューター内のデータを暗号化して人質に取り、元に戻したければ身代金を支払えと要求する。最近では身代金を支払わなければ、インターネットで窃取したデータを暴露すると脅す攻撃も多い。データを人質に取り、暴露すると脅す、いわば2重脅迫が横行している。

 トレンドマイクロの岡本勝之セキュリティエバンジェリストは、調査から見えてきた最近のランサムウエア攻撃を「2重脅迫ではなく、3重や4重の多重脅迫になっている」と説明する。攻撃者がデータを暗号化して暴露すると脅す2重脅迫。加えて、データを窃取した組織に対してDDoS(分散型サービス拒否)攻撃すると脅すのが3重脅迫。さらに顧客やビジネスパートナーに対して暴露されたくなければ身代金を支払うように伝えろと要求するのが4重脅迫である。

 調査結果を見ると、攻撃者がデータ侵害を顧客やビジネスパートナーに知らせたかという項目に対して、ランサム攻撃を受けた1980組織のうち67.0%(全体の44.9%)が顧客やビジネスパートナーに知らせたと回答した。

2.TCNが東京ドームでローカル5Gの実証実験、遠隔プロダクションのデータ伝送など(9.21 日経XTEC)
東京ケーブルネットワーク(TCN)は2022年9月16日、 東京ドームにおいて「スタジアムにおけるスポーツ中継、映像制作・ポストプロダクション業務へのローカル5G利活用検証実験 」を実施したと発表した。

 ローカル5Gを用いた「リモートプロダクションのデータ伝送」と「ワイヤレスカメラ映像の伝送」を検証し、その有効性を確認した。また、TCNのグループ会社であり、東京ドームでのスポーツ・イベントの中継制作を多数手がけるTCPの制作スタッフが、実際の野球中継を模試し、使い勝手やクオリティーを現場目線でチェックした。

 この実験は、総務省の「令和3年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の1つである「スタジアムにおけるローカル5G技術を活用した自由視点映像サービス等新たなビジネスの社会実装」の展開実験として行った。同開発実証の請負元の三菱電機とTCNが連携して実施した。

3.「NURO」が一時Twitterトレンド入り 回線の不安定さから怒りの声相次ぐ 集団訴訟を検討するユーザーも(9.22 ITmedia)
NURO 光はこれまでも通信の不安定さから、たびたびTwitterでトレンド入りしている。8月中旬には「NURO 光の通信が不安定」「通信速度が遅い」などの報告がTwitterに多数投稿されトレンドにランクイン。以降も、一部のユーザーから「夜になるとパケロスがひどい」「ゲームのダウンロードが遅い」「ビデオ会議が不安定」など不満の声が上がる状況が続いていた。

 その中で、NURO 光利用者とみられるユーザーが「NURO光、集団訴訟を検討中です」と21日にツイート。「高速回線」と広告でうたっておきながら夜間に速度が遅くなることは景品表示法違反ではないかと指摘。パケット損失率が平均10%に及んでいる状況をサポートに報告しても改善されないため、事業者としての責任を追及する姿勢を見せている。

 集団訴訟を起こすための協力者も募集しており、このツイートは22日午後3時半時点で1万件以上リツイートされるなど反響が大きく、トレンド入りした一因になったようだ。

 また、法人向けのSLA回線にもかかわらず、パケット損失率が20%に及んでいると訴えるユーザーの投稿も同じタイミングで拡散されており、同様の状況だと明かすユーザーも複数みられた。

4.WebAssembly(WASM)とは何か、何ができるのか(9.23 ITmedia)
 WebAssemblyは2015年にオープンソースプロジェクトとして公開されたものです。プロジェクトは、さまざまなWebブラウザの差異を吸収してどこでもアプリケーションが軽快に動作する環境を整備することを目的としてます。

 プロジェクト公開直後から主要なWebブラウザ開発元がプロジェクトの趣旨に賛同したことから、2017年には主なWebブラウザで動作環境が整備されていました。その後も開発が進み、現在はさまざまな場面で実用フェーズに入りつつあるようです。

 古くはJavaが「どこでもアプリケーションが動作する(Run Anyware)環境」とされてきましたが、Webアプリケーションが主流となった現代においてはWebブラウザがその役割を担いつつあります。類似のコンセプトを持ちながら標準化されずに消えていった技術はいろいろとありましたが、現段階でどのWebブラウザでも標準的に利用できるプログラム言語と言えばJavaScript一択になるでしょう。しかし、JavaScriptはC/C++バイナリと比較すると処理速度に劣ることから、よほど軽量なものでない限り、ネイティブアプリケーション同様の処理性能を求める気持ちにはなれません。

 WebAssemblyはこの問題を解決するために生まれた仕組みです。JavaScriptを高速に処理してWeb標準でありながら多様な環境でネイティブアプリケーション並みのアプリケーション実行を可能にします。

 現在は、C/C++やGo、RUSTといった開発言語に対応しており、これらの言語で記述されたプログラムからWebブラウザで高速に実行できるバイナリを生成します。OSSのビルドに良く使われるコンパイラ基盤「LLVM」もWebAssembly出力に対応しています。同様のアイデアとしてMozillaが開発した、事前コンパイルを特長とする「asm.js」がありますが、これをさらにコンパクトかつ高速にするための仕掛けを実装したのがWebAssemblyです。

5.慣れ親しんだ「iPhone」の「i」 どういう意味でつけられた?(9.23 ITmedia)
iPhoneにiPad、iMacなど、Apple製品ユーザーなら慣れ親しんだ「i」という名称。これが最初につけられたのは1998年のiMacで、「internet」の略だったという。

 スティーブ・ジョブズ氏が1998年にiMacを発表した際、インターネットがシンプルに素早く接続できるPCを求める消費者の要望に応える製品だと語った。この他、2007年のiPhoneの発表時にiPhoneの基軸が「インターネット」「音楽」「電話」の3本だとしており、どちらの時期にも「i」は「internet」の略だと捉えられる。

 米国メディアのmashableが2016年に公開した記事によれば、「internet」の他にも「individual」(個人)「instruct」(指示、教える)「inform」(通知)などの意味を持っていたという。

 一方、現代ではさまざまな電子機器がインターネットに接続しているため、「i」の本来の意味は失われ、Apple製品のブランドを表す言葉となったとしている。しかしApple WatchやApple TVなど「Apple」を冠する製品やサービスも増えており、「internet」の意味でも、ブランドを表す意味でも「i」が見られなくなる可能性はあるだろう。

 ホームページへ