週間情報通信ニュースインデックスno.1342 2022/8/27


1.ANA空港係員が「脱無線」、イヤホンマイクとチャットで運用コストを3割超減(8.24 日経XTEC)
全日本空輸(ANA)は国内主要8空港のチェックインカウンターや搭乗口を担当する係員が利用する無線機を、チャットアプリと専用の耳掛け式イヤホンマイク約5000台に刷新した。音声に加えてテキストや画像のやり取りを可能にしたり、音声の文字起こし機能を活用したりとコミュニケーション手段を充実させ、運用コストも3割以上削減した。

 2022年7月下旬、成田国際空港。新型コロナウイルス禍の第7波に見舞われながらも、行動制限や水際対策の緩和を受けて、チェックインカウンターや搭乗口には観光や出張などで海外に向かう旅客の姿が戻りつつあった。そうした旅客に対応するANAの空港係員たちの耳には、黒いイヤホンマイクが付けられていた。BONX(東京・渋谷)の耳掛け式のイヤホンマイク「BONX Grip」だ。

 イヤホンマイクは各係員が携行するiPadとBluetoothで接続されており、iPadにインストールされたチャットアプリ「BONX WORK」を介して他の係員と会話できる。他の係員からの音声は常に聞こえる状態となっており、自分から他の係員に呼びかける際はイヤホンマイクの中央にある丸いプッシュ・トゥ・トーク(PTT)ボタンを押しながら発声する。

 成田空港の場合、個々の出発便ごとに搭乗口担当係員の「ルーム」(チャットグループ)を設定。搭乗の準備状況や旅客の搭乗状況などを逐次連絡する。このほかチェックインカウンターの担当係員も別のルームを設定している。

2.NTTデータとNTTが統合する海外事業、新会社名は「NTT DATA, Inc.」に決定(8.25 日経XTEC)
NTTデータとNTTは2022年8月25日、かねて統合を発表していた海外の事業会社について、社名を「NTT DATA, Inc.(エヌティティデータインク)」に決定したと発表した。NTTデータと同じ東京・豊洲を本社として法人登記する株式会社で、「Inc.までを含めて社名として登記する」(NTT広報)。新会社の社長には、NTTデータの西畑一宏副社長執行役員グローバル分野担当が就任予定という。

 NTTデータとNTTは2022年5月、同年10月をめどに共同出資で海外事業会社を設立すると発表していたが、「現行のNTT株式会社(NTT, Inc.)をNTT DATA, Inc.に社名変更する形を採る」(NTT広報)という。新会社にはNTTデータが55%、NTTが45%出資する。

3.紀陽銀行が勘定系システムをクラウドへ、マイクロソフトの「Azure」採用(8.23 日経XTEC)
和歌山県の紀陽銀行は2022年8月22日、新たな勘定系システムを米Microsoft(マイクロソフト)のパブリッククラウド「Microsoft Azure」で稼働させると発表した。同行はBIPROGY(旧日本ユニシス)のオープン勘定系パッケージ「BankVision」を導入しており、この動作プラットフォームをオンプレミス環境からAzureに切り替える。

 紀陽銀行はBIPROGYが提供するパブリッククラウドを活用したフルバンキングシステム「BankVision on Azure」を採用する。システム移行は2022年10月10日を予定する。紀陽銀行は今回のシステム移行にかかる投資額を明らかにしていない。

 地方銀行でBankVision on Azureの採用を決めたのは、紀陽銀行で4行目。既に石川県の北國銀行は2021年5月にBankVision on Azureによる勘定系システムを稼働させている。山梨中央銀行は2023年度、山口県の西京銀行は2024年の稼働を目指している。

4.5Gで交通インフラDXを、NECなど4社がコンソーシアムを設立(8.23 日経XTEC)
JTOWER、住友電気工業、日本信号、NECの4社は2022年8月22日、産官学連携で「交通インフラDX推進コンソーシアム」を設立したと発表した。交通信号機を生かしながらも、5G(第5世代移動通信システム)のネットワークを軸に据えた新しいDX(デジタル変革)基盤やアプリケーションの社会実装をテーマに、調査・研究や、情報発信などを推進していく。

 これまでも「官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)」の中で、2019年度から2021年度にかけて、交通信号機を生かした交通インフラのDXについて検討を進めてきた。PRISMは政府による科学技術イノベーションの創出などを目指した事業である。この事業の中では具体的に、5G基地局の設置場所として交通信号機を活用したり、5Gを使って交通信号機を集中制御できるような技術や制度を検討したりした。

 前出の4社は、PRISMにおけるこうした取り組みの終了後もその活動を引き継ぎ、社会実装に向けてニーズの深掘りなどを進めていく必要があるとして、産官学で連携したコンソーシアムを立ち上げた。コンソーシアムの設立に当たっては、東京大学の大口敬教授、慶応義塾大学の植原啓介教授の協力を得ているという。

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