1.「テレワーク妨げるファクスを再点検」、霞が関改革へ河野デジタル相が意欲(8.12 日経XTEC)
河野太郎デジタル相は2022年8月12日、就任後初の会見をデジタル庁で開いた。まずは兼任する国家公務員制度改革について「霞が関のテレワークを妨げる状況を再点検する」と方針を示した。
行政デジタル化など主務であるデジタル庁の業務については「牧島かれん前デジタル相からお盆休み明け後に引き継ぎを受けてから、改めてお話ししたい」として、抱負や政策方針には触れなかった。そのうえで国家公務員制度改革について、中央官庁で業務が過多でテレワークが十分に進んでいないなど「危機的な状況だ」との認識を示した。
改革の取りかかりとして、人事院と連携して省庁の定員増員の条件としてテレワークを妨げるファクスの廃止を求める。「いまだにファクスを利用していないか各省庁の利用状況を調査する」との方針を語り、テレワークを推進しやすい状況を作るとした。例えば、担当大臣を兼任する消費者庁は一部業務を徳島県に移管しているが、「消費者庁の職員が全員テレワークに移行すれば、省庁業務の地方移転を検討する必要すらなくなる」(河野デジタル相)。
規制改革分野が2人の大臣に分かれる点について、「岡田地方創生相と連携すればよい。必要があれば2大臣が各省庁の大臣と折衝する『ツープラスワン』をやって(改革に反対する)官僚を張り倒していきたい」と意欲を示した。規制とデジタルを担当する大臣が各分野の担当相と改革を折衝するツープラスワンは、菅政権で河野規制改革相(当時)と平井卓也デジタル相(当時)が実施した経緯がある。
2.もはや「聖域」なし、光伝送機器のオープン化が世界同時多発で加速(8.9 日経XTEC)
NTTが「IOWN構想」の先兵として2022年度にも実装を始める、超大容量かつ超低遅延の通信基盤となる「APN(All Photonics Network)」。これまで垂直統合で構成されてきた光伝送装置を分離・オープン化し、コアネットワークに使われてきた機能の一部をユーザー拠点近くに配置するアーキテクチャーを目指す。実は、光伝送装置の分離とオープン化を推進するのはNTTだけではない。「最後の聖域」と言われてきた光伝送装置に、世界同時多発でオープン化のメスが入りつつある。
光伝送装置は大容量通信が必要な、通信事業者のコアネットワークやメトロネットワーク、データセンター間ネットワーク(DCI)などに使われている。「ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)」と呼ばれる機器が光伝送装置の代表例だ。
ROADMは、光信号を波長で束ねて高速大容量通信を可能にするほか、束ねた波長から任意の光信号を柔軟に分岐/挿入することができる。「光スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)」や合分波機、光信号と電気信号を変換する「トランシーバー」などの要素で構成する。
ROADMは現状、「ベンダーごとにサイロ化しており、相互接続自体も難しいのが現状」と富士通フォトニクスシステム事業本部光ソリューション事業部シニアアーキテクトの長嶺和明氏は語る。高速大容量が求められる光伝送装置は、これまで相互接続性よりも性能競争が求められていたからだ。こうした事情から現状、光伝送装置の市場はベンダーによる垂直統合モデルが主流だ。ルーターやスイッチなどの他の通信機器と比べてオープン化の動きが遅れており、光伝送装置の市場は「最後の聖域」とも呼ばれてきた。
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