週間情報通信ニュースインデックスno.1336 2022/7/16


1.Gが宇宙へ、地球まるごとカバーする非地上系ネットワーク計画をエリクソンほか発表(7.15 日経XTEC)
 スウェーデンEricsson(エリクソン)と米Qualcomm(クアルコム)、フランスThales(タレス)は2022年7月11日(現地時間)、地球周回軌道衛星による5G(第5世代移動通信システム)ネットワーク構築に向けた計画を発表した。まずはシミュレーションによる調査を行った後、スマートフォンでの通信を想定した5G NTN(5G Non-Terrestrial Networks、5G非地上系ネットワーク)試験を開始するとしている。

 5G NTNが実現すれば、地球上のどこからでも5Gを利用できるようになる。以前は衛星電話システムで限られた量の通信しかできなかった辺境の地や海上でも5Gスマホを使った通信が可能になるなど、世界規模での広帯域通信が可能となる。

 5Gスマホのローミングサービス機能が強化されるほか、運送業やエネルギー、医療分野などでの5G活用も、世界規模で展開できるようになる。衛星を使ったネットワークは、災害発生時や地上ネットワークの大規模障害時のバックアップとしても有効となる。安全な公共ネットワークを安定供給する上でも、5G NTNには大きな期待が寄せられている。

 計画は、移動通信の標準化団体3GPP(Third Generation Partnership Project)が2022年3月に承認した仕様に基づいて進める。まずは、欧州の宇宙関連企業の多くが拠点を置くフランスの宇宙空間エミュレーション環境にて試験を実施する。

 Ericssonは5G仮想RAN(vRAN)の検証を行う。高速で移動するLEO(Low Earth Orbit、低軌道)衛星を経由し、地球の大気圏と真空の宇宙空間を伝わる無線信号に関する調査を行う。ThalesはLEO衛星の5G展開時最大積載量を検証する。

 試験では、衛星と5Gスマホ接続時の遅延時間確認なども行う。Qualcommはこれらの検証で使用する試験用端末を提供する。

2.NTT・IOWNの先兵「APN」が22年度実装へ、光伝送装置で大変革(7.15日経XTEC)
NTTが2030年代の情報通信基盤を塗り替えようと一丸となって取り組む「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想。NTTはその第1弾となる機能を早くも2022年度に社会実装する。超大容量かつ超低遅延の通信基盤となる「APN(All Photonics Network)」だ。APNは、オープン仕様に基づいて従来の光伝送装置を分離(ディスアグリゲーション)するアーキテクチャーを採用する。「最後の聖域」と呼ばれてきた光伝送装置市場を変革する、起爆剤になる可能性がある。

 「2022年度中に、規模を限定して一部の顧客にAPNを提供していきたい。基本的には県内サービスだ。まずは世の中に出すことで議論を加速することが目的だ」  NTT研究企画部門IOWN推進室長の川島正久氏はこのように力を込める。

 IOWN構想とは、低消費エネルギーという特徴を持つ光技術を、コンピューティング基盤から通信に至るまで活用。世界の情報通信基盤を根本から変えていこうという壮大な構想だ。目標とする電力効率は現在の100倍、伝送容量は同125倍、エンド・ツー・エンドの遅延は同200分の1と極めて野心的な目標を掲げる。

 APNでは、ルーターなどの電気処理を極力なくすことで、省電力化と低遅延化も図る。用途に応じて、オンデマンドで1対1で光の専用線を張るようなイメージだ。「APNの最初のユースケースとして、eスポーツやライブ中継など低遅延が必要となるサービスを想定している。このほか、データセンター間を結ぶ回線提供や、(基地局とアンテナを結ぶ)フロントホール部分への適用などもある」と川島氏は続ける。

3.データ分散型インターネット、「Web3」は2.0と何が違うのか(7.13 日経XTEC)
次世代のネットワークのあり方として提唱された、データ分散型のインターネットのこと。これまでのようなサービスプラットフォーマーがデータを一元的に管理する形態から、ブロックチェーン(分散型台帳)技術などを基に、ネットワーク内のコンピューターノードが分散してデータを管理する形態へ移行する。分散型アプリケーション(dApps)を構築・実行するためのブロックチェーン基盤であるEthereum(イーサリアム)のギャビン・ウッド共同設立者が2014年に提唱した。

 スイスに本拠地を置くブロックチェーン財団であるWeb3 Foundationは、同財団のサイトでWeb3を「ユーザーが自分自身のデータ、アイデンティティー、運命をコントロールできる、分散型でかつ公正なインターネット」と説明している。ブロックチェーンを基盤とするデータ管理形態はビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の取引記録を管理するために構築され、現在は他のサービスでも活用されつつある。

 ピアツーピア(P2P)ネットワークを基盤とするWeb3が実現すれば、データの管理権限を個人のユーザーが所有する、分散型のデータ管理が可能になる。例えば電子商取引(EC)サイトでの購入履歴や位置情報などの個人のデータは本人が管理できるようになり、企業はユーザーが許可した場合にのみデータを利用できる。

 Web3以前の概念としてWeb 1.0、Web 2.0がある。現在は、Web 2.0のインターネットに分類されるサービスである米メタプラットフォームズの「Facebook」や米ツイッターの「Twitter」といったSNS(交流サイト)の利用が広がり、ユーザー自身がコンテンツを作成したり公開したりしている。

 Web 2.0の始まりは2000年代前半ごろで、それ以前の一方通行のWebサイトの利用が広がったのがWeb 1.0だ。

 Web 2.0の課題は、サービスを提供するプラットフォーマーのもとにデータが集約されることだ。プラットフォーマーによるパーソナルデータの利活用に対し、欧州は欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)、日本は個人情報保護法といった法規制を導入するなど厳しい目を向けている。

 データ分散型のネットワークの活用が広がっている分野の1つが金融だ。分散型金融(DeFi)は金融機関のような管理者が存在しないブロックチェーン基盤上で、ユーザーがトークンと呼ばれる暗号資産などを取引する。事前に定めた条件を満たすと、dAppsが自動的に暗号資産の売買などを実行する。

 「Compound」「Uniswap」など複数のDeFiサービスが存在するが、各国の金融当局は認可しておらず、不正利用への補償もない。一般社団法人DeFi協会は2022年3月に「Web3.0の成長戦略に関する提言」を公表し、トークンに関わる税制の改正や、秘密鍵の管理をする際に暗号資産交換業者へ登録を義務付ける「カストディ規制」の緩和などを訴えた。

4.企業でのモバイル活用、5Gを尻目に4Gが注目を浴びる理由(7.11 日経XTEC)
大きな期待を集めているはずの企業での5G活用だが、なかなか進まない。一方、ここ最近企業での活用が進みつつあると感じるのが4Gである。ドローンやロボットなど、5Gの活用が期待される場面で4Gが活用される理由はどこにあるのだろうか。

 日本でのサービス開始から約2年がたった5G。コンシューマー向けとしては5G対応スマートフォンの急速な低価格化によって利用が広まりつつあるようだが、本命として期待されている企業の5G活用は進んでいるとは言い難い。

 実際、筆者もいくつかの見本市イベントでローカル5Gに関連する事業者に話を聞いているのだが、企業の5G活用は今もなお実証実験から先に進む様子が見られない印象だ。2022年夏には携帯電話各社が5Gの性能をフルに発揮できるスタンドアローン(SA)運用によるサービスをコンシューマー向けに提供するなど、SA運用の本格展開が進むと見られていることから、今後活用が広まることに期待したいところだ。

 だが実はその一方で、企業の5G活用に関する取材を進めていると、逆に4Gの活用のほうがむしろ注目を集めており、急拡大する兆しを見せつつある印象を受けている。その事例の1つがドローンだ。

 ドローンを人の見えない目視外の範囲で、なおかつ人がいる場所を飛行させる「レベル4」の解禁が近いとされていることから、ここ最近は目視外で飛行するドローンの管理・制御のためにモバイル通信を活用する取り組みが進められている。実際NTTドコモは2021年7月、KDDIは2022年2月よりドローン向けのモバイル通信サービス、それを活用したドローン制御システムやソリューションなどの提供を開始している。

 だがそうしたドローンの制御に用いるネットワークは5Gではなく4Gだ。既に人口カバー率99%を超えるなど、広範囲をカバーしていることが大きいようだ。4Gの利用を見越して4G通信機能を内蔵したドローンも登場しているという。

 5Gはエリア整備の途上にあるだけに、広範囲の通信が必要なドローン向けに5Gではなく4Gを活用することは理解しやすい。だが少々意外な印象を受けたのが、ソフトバンクと国立研究開発法人 森林研究・整備機構の森林総合研究所が2022年6月28日に公表した、スマート林業の実現に向けた四足歩行ロボットの活用に関する実証実験である。

 これは人手が不足しており、なおかつ傾斜地が多いなど人間が作業をするには条件が悪い日本の林業において、いま課題となっている再造林に関する課題の解決に向けた取り組みだ。再造林とは木を伐採した後に再び苗木を植えることなのだが、苗木を植えて管理するのに人的、コスト的負担が非常に大きいのに加え、猟師の減少によりシカなどの野生動物が増え、苗木の食害が発生しやすくなっているなど、再造林を進める上では多くの課題があるという。

 だがそこに5Gの姿はなく、ロボットとの通信には長距離Wi-Fi、スマートフォンとの通信にはsXGP、つまりプライベートLTEを用いているとのこと。当初はロボットとの通信にもsXGPを用いていたが、上りの帯域が不足していることからWi-Fiに変更したという。

 こうしたシーンにおいては5Gの利用が期待されているところだが、なぜ5Gを実証に利用しないのか。その理由についてソフトバンクの関係者は、今回の実証では低遅延や多数同時接続といった5Gの性能を必要としていないためだと答えている。

 先の事例のように、sXGPでは特に上りの帯域が不足してしまうことが多いようで、上りの通信速度を重視して5Gを検討するケースもある。だが上りの通信にそこまで速度や容量を必要としていなければ、現時点では4Gのほうがメリットが多く、選ばれやすい状況にあるといえそうだ。

 もちろん企業のデジタル化が進んでいない現状、4Gを活用してデジタル化に向けたソリューションが拡大すること自体は歓迎すべきだろう。ただ懸念されるのは、今後世界的に5Gの普及期を迎える中にあって、日本で4Gをベースとしたシステムやソリューションが広まることは5Gの利活用を妨げる可能性もあることだ。

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