1.月桂冠が不正アクセスで個人情報流出の可能性を公表、採用応募者ら2万7000件超(5.27 日経XTEC)
月桂冠は2022年5月26日、2022年4月に発生した第三者による不正アクセスにより個人情報が流出した可能性があると公表した。現時点で実際の流出は確認できていないが、不正アクセスの調査分析によりサーバーに保存されていた個人情報が流出した可能性を否定できないことが判明したという。
月桂冠は2022年4月6日、基幹系システムがランサムウエアに感染し、システム障害が発生した事実を公表していた。調査によって、インターネット回線に接続したネットワーク機器の脆弱性を悪用して侵入した可能性が高いことが分かった。新たに個人情報漏洩の可能性が判明したことで、同社は対象者に対して順次、個別に連絡を取り始めたという。またフリーダイヤルの問い合わせ窓口も設置した。
2.新型コロナでロボットの社会実装が加速、国策も絡み新興勢力も台頭(5.27 日経XTEC)
2019年から広がった新型コロナウイルス感染症が(1)自動化技術による生産性向上、(2)遠隔操縦技術による安全性向上・知能性向上、(3)自己拡張技術による幸福度向上、という3つの提供価値に大きな影響を与えた。それはロボットの価値自体が変化したというより、ロボットが有する価値を求める声が増え、社会実装が早まったというものである。
一例を挙げると、もともと自動化による生産性向上は、生産年齢人口の減少という問題が根本にあった。総務省などによると、日本における生産年齢人口は20年との比較で30年には約530万人、50年には約2130万人減少するといわれており、現状の経済規模を維持しようとすると、生産性をどのように上げるのか、労働力をいかに確保するのかという課題を避けて通ることができない。
しかも、すでに数年前から地方などを中心として物流や小売りの末端の現場で人手が集まらないという事態も起き始めていた。海外からの留学生や一度リタイアした高齢者などを新たな働き手として受け入れながらも、更なる手としてロボットの活用に向けた準備、導入が進められていた。
ところが、新型コロナウイルスにより、状況は一変する。頼みの綱であった海外からの働き手はそもそも不在となり、高齢者は感染時のリスクから非接触思考が強くなった。これによって感染拡大による一時的なロックダウンに伴い販売台数が落ち込んだ時期もあったものの、工場などの多くの製造現場や飲食店などのサービスの現場でもロボットの導入が加速的に進んだ。屋内環境における移動ロボットはかなり市民権を得たようにも思える。
また、「新しい生活様式」という非接触化、在宅化の流れの中で、これまでなかなか進んでいなかった屋外、特に公道でのロボット活用も、米国や中国に遅れをとっていた日本でも環境が一気に変わった。コロナ禍で爆発的に増えたEC需要や巣籠り需要に対応するためにも、非接触での配達が可能な配送ロボットの社会実装が急務となり、22年3月には公道で配送ロボットなどを走行させるための道路交通法の改正に関して閣議決定が行われた。複数の企業が公道での配送サービス実証を行い、その走行距離は2000kmを超えるまでになっている。
この配送ロボットの取り組みでは、自動化による効率化と遠隔操縦による知能化がハイブリッドで進められている。例えばパナソニックホールディングスは、神奈川県藤沢市において複数の配送ロボットを活用し、配送先までの自動配達を行っている。ただし、大型の配達車両が路肩に一時駐車している場合には、配達ロボットを道路中央付近まで移動して、迂回する必要がある。そのようなケースでは、自動走行モードから遠隔操縦モードへと切り替わり、東京の管制センターにいる遠隔オペレーターが周囲の安全を確認しながら車両を回避し、元の経路に戻ってから、再び自動走行モードで目的地を目指すようになっている。
3.スマホ/携帯電話の接触時間がテレビ超え、博報堂DYMPのメディア定点調査から(5.25 日経XTEC)
博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所は2022年5月25日、メディア接触状況の変化などを捉える「メディア定点調査」の2022年の調査結果を発表した。
まず、メディア総接触時間は445.5分(1日あたり/週平均)となった。コロナ禍の影響で過去最高を記録した2021年からは5.4分減少したが、高止まりで推移している。
メディア接触時間の内訳を見ると、スマートフォン/携帯電話は146.9分と2021年から7.7分増加した。一方テレビの接触時間は2021年から6.4分減少し、143.6分となった。この結果、メディア総接触時間に占める「スマートフォン/携帯電話」 のシェアが33.0%となり、「テレビ」のシェアの32.2%を上回った。
動画配信の利用動向を見ると、コロナ禍で急伸した民放公式テレビポータル「TVer」の利用率は更に伸長し、32.0%と3割を超えた。一方、定額制動画配信サービスの利用率は47.5%となった。2021年までは急速に伸長してきたが、2022年は2021年との比較で0.9ポイント増と微増にとどまった。
今回の調査では、オンラインによるつなぎっぱなしのコミュニケーションやコンテンツ同時視聴といった新たなメディア行動の兆しが、若年層に根付き始めていることがわかった。「親しい人とオンラインでつなぎっぱなしで過ごすことがある」という回答が全体では2割弱(16.2%)だったが、10代と20代は3割を超えた。別の場所にいる親しい人と「オンラインでコンテンツを同時視聴することがある」は全体では約1割だが、10代で2割を超えて、20代では3割近くに達した。
この調査は、2006年から毎年1月末〜2月頭にかけて実施している。2022年は郵送調査法により1月20日から2月4日に実施した。調査地区は東京都である。
4.AIの「多芸さ」が加速、グーグルが示した言語モデルのパワー(5.25 日経XTEC)
米Google(グーグル)が2022年5月に開催した年次カンファレンス「Google I/O 2022」で、AI(人工知能)に関する野心的なロードマップを示した。人間が書いたような自然な文書を生成できるAIツールを年内にも一般ユーザー向けに公開するほか、テキストだけでなく画像なども扱える「マルチモーダル」のAIをGoogle検索に実装する計画だ。
Google I/O 2022の基調講演でSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)CEO(最高経営責任者)は、文章の内容を理解したり新たに生成したりできる言語モデルと呼ばれるAIを2つ紹介した。1つは自然な質疑応答ができるAIである「LaMDA 2」、もう1つは自然言語に関する様々なタスクを1つのモデルで処理できる汎用AIの「PaLM」だ。
グーグルはまもなく一部の限られたユーザーに対して、質疑応答ができるLaMDA 2を搭載したツールである「AI Test Kitchen」を提供する。AI Test KitchenはLaMDA 2が備える質疑応答や文書生成の能力を気軽に試せるツールだ。
AI Test Kitchenが備えるデモ機能は3つある。1つめはユーザーがある場所の名前を与えると、その場所で起こりそうな面白いできごとをAIが創作する「Imagine It」。例えば「海で最も深い場所」と入力すると、AIは「海の底では巨大なヘビのような生き物があなたの頭の上を泳ぎ回っています。ウツボが手を振っているように見えます」といった文章を創作する。
2つめはユーザーが何らかのタスクを与えると、そのタスクを処理するためのTo DoリストをAIが作り出す「List It」。例えば「家庭菜園をつくりたい」と入力すると、AIは家庭菜園をつくるためのTo Doリストを「菜園の種類を選ぶ」「菜園の場所を選ぶ」「種や苗を買ってくる」「散水の用意をする」「ペットが入ってこられないようにする」といった具合に創作する。
グーグルがAI Test Kitchenを公開する狙いは、言語モデルにつきまとう偏見や信頼性に関する問題を改善することにある。言語モデルは学習データが内包する偏見(バイアス)を、そのまま引き継いでしまう問題を抱えている。差別的な表現を含む文章を学習すると、差別的な文章を生成するようになってしまうのだ。
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