1.NTTデータが勘定系オープン化に「くさび」、地銀顧客をつなぎとめられるか(5.6 日経XTEC)
NTTデータが勘定系システムのオープン化を支援する事業に力を入れている。同事業で使う独自ミドルウエア「PITON(ピトン)」を2024年に製品化し、メインフレームの勘定系システムを抱える地方銀行などに展開する。
クライミングなどで使う金属製のくさびを意味するPITON。文字通り、既存のメインフレームユーザーをつなぎとめるための「くさび」となるか。
PITONは、金融機関が持つメインフレームベースの勘定系システムをオープンシステムでも円滑に稼働させるためのミドルウエアだ。これまでメインフレームの専用ミドルウエアが担っていた各種制御機能をPITONに実装し、勘定系システムに求められる信頼性などをオープンシステムでも担保できるようにする。
具体的には、PITONがトランザクションやジョブ、「センターカット」と呼ばれる口座振替の一括処理を制御したり、資源管理をしたりする。「今(メインフレーム上で)稼働しているソフトウエアをオープン系サーバーでも継続して稼働できるようにし、しかも安心・安全、低コストを実現させる」。NTTデータで金融分野を担当する鈴木正範取締役常務執行役員はこう意気込む。
富士通が2022年2月にメインフレーム事業からの撤退を表明し、「メインフレームは事実上、IBM一択」(メガバンク幹部)といえる状況となった。多くの金融機関が「脱メインフレーム」を模索しており、NTTデータも対応が急務だった。
2.「スマホのイノベは終わった」 中国で携帯電話の売り上げ低迷(5.2 日経XTEC)
中国で今年に入り、携帯電話の売り上げが伸び悩んでいる。中国情報通信研究院(CAICT)によると、1〜2月の携帯電話出荷台数は4788万6000台にとどまり、前年同期比で22.6%減少した。春節(旧正月、Lunar New Year)シーズンの1〜2月は、紅包(お年玉)をもらった学生がスマートフォンを買ったり、帰省した若者が親に新品を買い与えたりなど、例年なら購入台数が増える時期。それを見込んで携帯各社は新モデルを発表してセールスをかけるだけに、今年の冷え込みは異例だ。
新型コロナウイルスが国内で再燃していることや半導体不足の影響もあるが、専門家は「今すぐ買い替えたいと思うほどの技術革新がないことが大きい」と指摘する。データの移行やアプリの再ログインが面倒なため、「バッテリーの寿命が伸びた」「急速充電」程度のセールスポイントでは買い替え意欲を刺激しないという。実際、ユーザーの間では「スマホのイノベーションは終わった。古い酒を新しい酒瓶に入れ替えているだけ」「スマホを買うよりスマホケースを替えれば十分」といった反応が目立つ。
アナリストの傅亮(Fu Liang)氏は「近年、国内の携帯市場は高価格帯が主流となっている。一方で一般ユーザーは新型コロナの拡大による景気の低迷で自分の収入が減ることを心配しており、消費に保守的になっている」と話し、市場と消費マインドのギャップを指摘する。携帯電話の平均買い替えサイクルは28か月とされるが、携帯電話の耐久性は上がっている分、買い替えサイクルは今後伸びていく可能性がある。
中国では5Gスマートフォンが主流となり、出荷台数の70%以上を占めている。ただ、5Gに関心があるユーザー層は大半がすでに購入しているようで、最近では5Gより低価格の4Gスマホのほうが売り上げが伸びている傾向もある。
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