週間情報通信ニュースインデックスno.1325 2022/4/30


1.「5G到達率はドコモが高評価」、英Opensignalがユーザー体感調査(4.28 日経XTEC)
独立系調査会社の英Opensignalは2022年4月26日、日本の大手通信事業者4社の3G、4G、5Gモバイルネットワークをユーザー体験の観点で調査した「日本モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート2022年4月」を発表した。日本各地で2021年12月1日から2022年2月28日までの90日間にわたり調査した結果をまとめている。同日、日本で開催されたオンライン会見では、同社分析担当副社長のIan Fogg氏が解説した。以下はその概要となる。

 今回は、15のメトリクス(指標)について、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイルのネットワークユーザー体感を比較している。各種の指標において最も高い評価を得たのは、ユーザーが5G接続できる場所の割合を示す5G到達率ではNTTドコモ、5Gに有効接続できる時間の割合を示す5G利用率については、NTTドコモとソフトバンク、動画閲覧およびゲーム時体感についてはソフトバンク、音声アプリ使用時についてはソフトバンクと楽天モバイル、ダウンロード速度ではNTTドコモ、5Gダウンロード速度ではNTTドコモと楽天モバイル、アップロード速度については楽天モバイル、多くのアプリが安定して使える一貫性ではソフトバンク、さらに高い要求水準での一貫性はNTTドコモとソフトバンクとなった。

 ダウンロード速度では、5G時はNTTドコモ、楽天モバイルともに最も高い評価を得たが、全体的なダウンロード速度では、最も高い評価を得たNTTドコモが最下位の楽天モバイルに約2倍の差をつけている。Opensignalでは、この理由として、楽天の所有する4G周波数帯が少ないこと、5G可用性が後述のように低いことを挙げている。また、NTTドコモのダウンロード速度はさらに改善方向にあり、今後、最も高い評価を得るとも予測している。なお、アップロード速度では、今回も楽天モバイルが5Gでも全体でも最も高い評価を得ている。

2.10万円超は当たり前のハイエンドスマホ、買って後悔しない端末の選び方( 日経XTEC)
ハイエンドのスマートフォンを使いたいと思っても、価格を聞いて購入をためらってしまう人が多いだろう。ハイエンドスマホでは10万円を超えるのは当たり前で、20万円を超える機種もある。それだけの金額を支払って十分な満足を得られるかどうかが不安になる。

 どのようなハイエンドスマホなら価格相応の満足度を得られるのか。今回は主要な仕様を見ながら、買って後悔しないハイエンドスマホの選び方を解説する。

 スマホのグレードは明確な定義があるわけではないが、「ハイエンド(ハイスペック)」「ミッドレンジ(ミドルクラス)」「エントリー(ロースペック)」の3つに分けるのが一般的だ。最近は、著しくスペックや機能を抑えたエントリーモデルが少なくなり、実質的にはハイエンドとミッドレンジに分類される。ミッドレンジを購入する人が増えているようだ。

 NTTドコモはAndroidスマホを「ハイスペック」と「スタンダード」の2つに分けている。ドコモオンラインショップで購入できるハイスペックスマホの一括購入時の価格は2022年4月26日時点で9万?23万円台(税込み、以下同)、スタンダード端末は2万?7万円台となっている。世界的な半導体不足や製造・物流コストの高騰などによって、しばらくの間は端末価格が高くなることはある。

 ハイエンドスマホを購入する際に、チェックすべきなのは下記の5つのポイントだ。

1.プロセッサー
 スマホの性能の決め手となるのは「SoC(System on a Chip)」。SoCは演算処理を実行するCPUやメモリーなどが統合されたチップで、単に「プロセッサー」や「CPU」、「チップ」などと呼ばれる。
 Androidスマホの多くが採用しているプロセッサーが米Qualcomm(クアルコム)の「Snapdragon(スナップドラゴン)」だ。Snapdragonは数字がグレードを表す。8シリーズ(800番台)がハイエンド向け、7シリーズ(700番台)と6シリーズ(600番台)がミッドレンジ向け、4シリーズ(400番台)がエントリー向けと考えてよい。なお、最新のハイエンド向けチップでは「Snapdragon 8 Gen1」という製品名になった。今後の製品名は、「グレード+世代」という表記で統一されていくかもしれない。

2.カメラ
 ハイエンドスマホはカメラのスペックも総じて高い。しかし、「ハイエンド=高画質」とは限らないので注意が必要だ。最も気になる撮影画質は、実際にお店でシャッターを押してみたり、Webのレビュー記事や実際に使っているユーザーの口コミを読んだりして、参考にするしかない。
 画質を重視するときに確認すべきスペックは、画像センサーの大きさだ。画像センサーのサイズはメーカーやキャリアが公表していない場合があるが、Webのレビュー記事などには掲載されている。筆者が調べた範囲ではハイエンドモデルのメインカメラには1/2.0インチ以上のセンサーを搭載する機種が多い。センサーが大きくなるほど暗い場所でも明るく撮りやすく、画質に有利であることは覚えておこう。

3.ディスプレー
 ハイエンドモデルは、ほとんどの機種が有機ELディスプレーを搭載し、解像度も高い。ただ、スマホ向けの4Kコンテンツは少なく、解像度はフルHD(1920×1080)で十分だろう。

4.バッテリー
 5G対応のスマホは、4Gモデルよりも電池を消耗するといわれる。そのため、4000mAh以上の大容量バッテリーを内蔵している機種が多い。バッテリーの容量は電池の持ちの目安にしていいだろう。
 個人的にもう1つ重要だと感じているのが急速充電への対応だ。スピーディーに充電できることは、ストレスなく快適に利用できることに直結する。うっかり充電し忘れて、出かける直前に電池残量が少なくなっていることに気づいたとしても、バッグに充電ケーブルを入れておけば、電源のあるカフェなどで素早く充電できる。

5.独自機能  ハイエンドモデルには“飛び道具”と呼ぶべき、斬新な新機能が搭載されることが多い。例えば、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の「Galaxy Z Fold3」は画面を分割して便利に使える機能がある。ソニーの「Xperia 1 III」のカメラには可変式望遠レンズを搭載している。中国OPPO(オッポ)の「OPPO Find X3 Pro」には顕微鏡カメラが搭載されている。そうした新機能の開発費も高い価格に含まれていると考えるべきだろう。
 5Gは新しい周波数で高速通信を利用できる。新しい周波数は、6GHz未満の帯域を使う「sub6」と、28GHz以上の高い周波数帯を使う「ミリ波」に分けられる。両方に対応しているほうがいいに越したことはないが、端末価格はやや割高になる。現時点では、ミリ波のエリアは限定的だ。ミリ波は直進性が強く、障害物の影響を受けやすいので、環境によっては満足がいく速度が出ない可能性もある。使い方にもよっては、さほど気にしなくてもいいだろう。

3.倫理観が問われる「IoB」、人にまつわる情報を管理・活用(4.27  日経XTEC)
Internet of Behavior(振る舞いのインターネット)は個人の位置情報、購買履歴、検索履歴、訪問したWebページなどの行動履歴から収集した情報を、Internet of Bodies(身体のインターネット)は人の体にまつわる情報をインターネット上で管理、活用する概念。あらゆる物をインターネットにつなぐ概念であるIoT(インターネット・オブ・シングズ)の一部であり、その適用対象を人の行動やバイタルデータとしたものだ。米ガートナーが選ぶ「2021年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド」の1つに挙げられている。

 Internet of Behaviorは企業の顧客データや公共機関が持つ市民データ、ソーシャルメディアの内容、行動履歴などを、企業や公共機関のサービスや製品へ活用することを見込む。サードパーティークッキーの代替としても期待される。

 新型コロナウイルス禍では、感染拡大の防止や感染経路の調査に向け、施設内の熱感知・顔認証システム、携帯電話の位置情報の活用などが進んだ。日本クラウドコンピューティングの清水圭一代表執行役ITコンサルタントは「新型コロナ禍では、他人との接触履歴など自分の情報を提供することで得られるリターンが可視化された。自分の行動が監視されるとの抵抗感が薄れ、IoBをうまく使えば役立つとの認識が広がった」と分析する。

 移動情報を活用した新サービスも相次ぎ登場した。2021年10月に日本で提供開始した米コネクトIQラボのアプリ「Miles」は、携帯電話の位置情報を基に移動を記録し、マイルの加算やクーポンとの交換につなげる。あいおいニッセイ同和損害保険とJR東日本が共同実証した「JREAD」、全日本空輸(ANA)の「ANA Pocket」など、企業による行動履歴の取得やマーケティングへの活用が進む。

 Internet of Bodiesはヘルスケア分野での活用が特に期待される。個人の体に関する情報を可視化し、本人や第三者が健康管理などに活用できる。ウエアラブルデバイスを活用した「定量化」、機器を身体に埋め込む「体内化」、脳にデバイスを接続して情報を取得する「ウエットウエア化」の3段階があり、現在実用化されているのは体内化までだ。

 ウエアラブルデバイスではスマートウオッチなどの端末が普及している。例えば米アップルのApple Watchは、心拍数・血圧・運動量・睡眠時間・血中酸素などの身体情報を収集し、ユーザーが確認できる。体内化では、医療分野でペースメーカーの埋め込みによる体内状態の把握が行われている。

 2つの「B」の活用が進む半面、プライバシーや情報管理の課題もある。清水代表執行役は「IoBでは行動傾向やそれに基づく個人の考え方など、センシティブな情報も収集できてしまう。取り扱う企業の厳格な情報管理や法規制は必須となるだろう」と指摘する。現実世界でのIoBとメタバースのような仮想空間を融合すれば、精巧な自分のコピーを作れるかもしれない。そんな未来が見える一方で、企業や利用者の倫理観が問われる。

4.NTTとスカパーJSATが宇宙事業の新会社、HAPS40基で日本カバー(4.26 日経XTEC)
NTTとスカパーJSATは2022年4月26日、宇宙事業を推進する新会社を設立すると発表した。両社は21年、共同で低軌道衛星(LEO:Low earth Orbit Satellite)や静止軌道衛星(GEO:Geostationary Orbit Satellite)、高高度の無人飛行機(HAPS:High Altitude Platform Station)などを組み合わせた「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」の構築を目指して業務提携した。新会社設立で宇宙事業を加速し、24年度からサービスを開始する計画だ。

 「今回設立するジョイントベンチャーはわれわれの宇宙衛星事業の中核会社であり、事業を実現していく第一歩になる」。同日会見に登壇したNTT代表取締役社長兼社長執行役員の澤田純氏はこう述べた。

 新会社名は「Space Compass」。NTTとスカパーJSATが折半出資し、22年7月に設立する。資本金は180億円からスタートし、「将来的には1000億円規模の事業を目指す」(スカパーJSAT代表取締役執行役員社長の米倉英一氏)。新会社の共同CEO(最高経営責任者)にはNTT研究企画部門R&Dビジョン担当担当部長の堀茂弘氏と、スカパーJSAT執行役員経営管理部門部門長補佐兼経営企画部長の松藤浩一郎氏が就く。

 まず24年度に低軌道観測衛星が宇宙経由でデータを収集し、静止軌道衛星経由で地上へ高速伝送する「宇宙光データリレーサービス」を開始する。低軌道衛星と静止軌道衛星を組み合わせることで、「観測衛星からのデータや画像の取得が10?20分以内になる」(米倉氏)。

 両社は宇宙光データリレーサービスに向けて、まずは静止軌道衛星1基、低軌道衛星1基を打ち上げる。年内に新たな衛星の発注契約も結ぶ。「これにとどまらず、継続的に静止軌道衛星や低軌道衛星を追加していきたい」(澤田氏)とした。

 25年度から宇宙RAN(Radio Access Network)事業として、HAPSを用いた通信サービスを開始する計画も明らかにした。高高度から通常のスマートフォンなどで通信できる携帯電話のエリアをつくる。消費者に直接サービスをするのではなく、携帯電話事業者を対象にネットワークを提供するビジネスモデルを想定する。「数基のHAPSから初めて、約40基のHAPSで日本全土をカバーできるようにしたい」(澤田氏)。

 現在、宇宙通信の分野では、起業家のElon Musk(イーロン・マスク)氏が率いる米SpaceX(スペースX)の衛星インターネット事業「Starlink(スターリンク)」が既に数千基の低軌道衛星を打ち上げるなど先頭を走っている。

5.最大46Gビット/秒のWi-Fi 7、ブロードコムが“準拠”IC発売(4.26 日経XTEC)
米Broadcom(ブロードコム)は、「Wi-Fi 7」対応の無線通信IC5製品のサンプル出荷を開始したと、2022年4月12日(現地時間)に発表した ニュースリリース 。スマートフォン向け、家庭(住宅)向け、エンタープライズ向けの5製品である。

 Wi-Fi 7はWi-Fi 6/6Eの次の無線LAN(Local Area Network)規格で、2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯という3つの周波数帯を使う。

 チャネル幅は最大320MHzで、Wi-Fi 6/6Eの2倍になる。4096値QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)が可能で、Wi-Fi 6Eに比べてスループットが2倍以上になるとする日経クロステック。

 規格上の最大データ通信速度はWi-Fi 6Eの9.6Gビット/秒に対して、Wi-Fi 7では約46Gビット/秒超と約4.8倍になる。ブロードコムは実装上、または実利用環境ではそこまでのスループット向上にはならないと考えているもようだ。

 さらに、MLO(Multi-Link Operation)機能によって、複数のチャネルを使った通信が可能になる。例えば、5GHz帯と6GHz帯で同じデータを転送することで、データ転送の信頼性を向上できる。また、AFC(Automated Frequency Coordination)と呼ぶ周波数共用の機能によって、他の無線通信システムと使用周波数が競合しないようにする。

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