週間情報通信ニュースインデックスno.1323 2022/4/16


1.シェア4割超えのNTTコム「まなびポケット」、急成長支えた方針転換とは(4.14 日経XTEC)
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2022年3月24日、クラウドで英語の教材や算数ドリルなどを発信する学校教育プラットフォーム「まなびポケット」の申し込みID数が300万IDを突破したと発表した。2022年3月時点で全国約1800の自治体中、実に700以上の自治体、8000校以上の学校が申し込んだ。

 「サービス開始は2017年。しばらく低空飛行で生みの苦しみを味わった。しかしここ2年で一気に申し込みID数が増え、ようやく花開きつつある」と同社スマートエデュケーション推進室の大原侑也室長は話す。2020年1月の申し込みID数は約21万だったが、同年12月には約100万に伸びた。さらに2021年4月には約200万IDとなり、2022年3月には300万IDを突破。2年2カ月で14倍以上に拡大した。

 まなびポケットは主に2つの機能を持つ。1つめは、教師や児童・生徒、保護者、教育委員会などが校内SNS(交流サイト)やメッセージ、ファイル共有などでコミュニケーションしたり情報共有したりするポータル機能を果たす。もう1つは学習コンテンツの提供だ。提供する学習コンテンツはドリル教材や映像教材、授業支援、学級経営支援など30を超え、全てシングルサインオンで利用できる認証基盤を提供する。コンテンツの提供事業者が異なっていても、教師や児童・生徒は全ての学習コンテンツの利用状況を一元的に表示できる。将来的にはデータ分析も可能にする計画という。

 申し込みID数が急拡大した理由は2つある。1つめは2019年12月に発表された政府の「GIGAスクール構想」に合わせた商品パッケージの提供である。GIGAスクール構想は2021年3月末までに全国の小中学校に「1人1台」の学習用端末とネットワーク環境を整備する政府の施策。NTTコムはレノボ・ジャパンと共同で、2020年3月から端末1台当たりの国の補助金の上限である4万5000円以内でデバイスとまなびポケット、端末管理ツールを提供する「GIGAスクールパック」を提供した。

 2つめは、教師の負担を下げることに注力するよう2021年から方針転換したことだ。「これまで学習コンテンツを多く集めることに力を入れてきたが、教師がそれらを使いこなせなければ結局活用してもらえない。教師を支援することが児童・生徒の生き生きとした学びにつながる」(大原室長)と考えたのだ。

2.パソコンからスマホの通話機能を使う、突然の着信にも素早く応答(4.15 日経XTEC)
 パソコンから通話機能を使うには、パソコンとスマホをBluetoothでペアリングする。ペアリングは通常の方法でもできるが、パソコンの「スマホ同期」アプリから行うのが簡単だ。アプリから「通話」を選ぶとペアリングを促されるので、画面の指示に従えばよい。

 初期設定では、「スマホ同期」の機能を利用できるのは、パソコンとスマホが同じWi-Fiに接続しているときのみ。スマホ側のアプリの設定で「モバイルデータ通信で同期」をオンにしておくと、携帯電話通信でも利用可能になる。ただし、「スマホ同期」の通信量はかなり多く、スマホが従量制の契約ではオフのままがよい。

 「スマホ同期」の通話機能は、パソコンのスピーカーやマイクを使って、スマホの通話を利用できる機能。利用する前に、パソコンで優先的に使っているサウンド機器を確認しておく。また、通話機能はBluetoothで接続するため、スマホをパソコ  この通話の機能では、パソコンからスマホの「連絡先」や通話履歴などを参照し電話をかけられる。また、テンキーで直接電話番号を入力することも可能だ。パソコンから電話をかけると、相手の名前や電話番号、通話時間といった各種情報をデスクトップ画面に表示する。この画面から、電話を切ることはもちろん、マイクをミュートしたり、スマホに通話を切り替えたりすることも可能だ。「キーパッド」機能もあり、録音音声によるガイダンス通話で番号入力などの操作が必要になったとしても、パソコンから簡単に入力できる。

 スマホに電話がかかってくると、デスクトップ画面に通知を表示して知らせる。この通知から電話に出ることができるので、素早く応答できる。

3.モバイル通信機能搭載のノートPCが急拡大、課題はスマホ前提の料金プランか(4.15 日経XTEC)
4Gや5Gのモバイル通信機能を備えたパソコンを提供するメーカーが最近増えている。中でも積極的な動きを見せているのが中国の聯想集団(レノボ・グループ)である。同社の日本法人であるレノボ・ジャパンが最近発表した新製品や携帯電話各社との取り組みから、モバイル通信機能の搭載を積極化する理由と活用に向けた課題を確認してみよう。

 5G時代になってスマートフォン以外にもモバイル通信の利用が進むといわれているが、最近その動きを表しているのがパソコンだ。以前は一部モデルのみの導入にとどまっていたノートパソコンへのモバイル通信機能の搭載を、メーカー側が重視する傾向が強まっているのだ。

 その傾向を象徴しているのが、パソコンメーカー大手の一角を占めるレノボ・グループである。同社の日本法人であるレノボ・ジャパンは2022年4月12日にビジネス向けノートパソコン「ThinkPad」シリーズの新製品22モデルを発表したのだが、その全てのモデルがオプションでワイヤレスWAN、つまりモバイル通信機能を内蔵可能となっているのだ。

 今回発表されたモデルは、ディスプレーサイズが13インチのモバイルノートから、16インチの大型ノートまでと幅広いが、それら全てにモバイル通信機能を内蔵可能にしたのは驚かされる。「ThinkPad X1 Nano Gen 2」など一部のモデルは5Gに対応可能だったりeSIMにも対応したりするほか、プロセッサーに米Qualcomm(クアルコム)の「Snapdragon 8cx Gen 3」を採用した「ThinkPad X13s Gen 1」に至っては、5Gのミリ波にも対応するという充実ぶりだ。

 一方で現状では、学校で配布されたパソコンを持ち帰るのが難しい状況にあることから、家庭でも場所を選ぶことなく、学校と同じChrome OSや対応アプリを使えるノートパソコンとして、通信機能を備えたLenovo 300e Chromebook Gen 3を販売するに至ったとのことだ。このようにWindows搭載機種だけでなくChrome OS搭載機種でもモバイル通信に対応している点からも、レノボ・グループのモバイル通信に対する力の入れ具合を見て取ることができよう。

 では、なぜレノボ・グループがそれだけパソコンのモバイル通信対応を強化してきているのか。一連の発表内容を見るに、そこにはコロナ禍が大きく影響している印象を受ける。

 実際コロナ禍の影響で人々の働く環境が大きく変化しており、テレワークやオンライン学習でビデオ会議を活用するのが当たり前となってきている。またコロナ禍を契機として企業の意識が変化し、オフィスがアドレスフリーとなったり、旅行しながら仕事をする、いわゆる「ワーケーション」が容認されたりするなど、働く場所を選ばない環境も整備されつつある。

 そうした変化を受け、ここ最近のノートパソコンはいくつかの進化を遂げている。その1つがWebカメラの性能向上である。従来あまり重要視されていなかったWebカメラが、ビデオ会議の需要が増えたことを受け各社とも性能強化を図っているのだ。

 そしてもう1つがモバイル通信である。場所を選ばず働いたり学習したりする上で、いつでもどこでも安全にネットワークに接続できる環境の確保が重要だが、自宅に固定回線がないという人も少なくないだろうし、外出先で必ずしも信頼できるWi-Fiスポットを確保できるわけではない。

 もちろんスマートフォンのテザリング機能やモバイルWi-Fiルーターを使うという手もあるが、手間がかかるのが難点だ。パソコン自体にモバイル通信機能が備わっていれば環境を意識することなくネットワークに接続でき、利便性が大いに高まるため対応モデルを増やすに至ったといえるだろう。

 もう1つの事例として、レノボ・ジャパンは2022年3月10日にNTTドコモ、そして米Intel(インテル)と協業を打ち出している。この協業で3社は、LTE/5G対応Connected Modern PC(CMPC)の市場拡大に向けて連携協定を締結するとともに、CMPCの活用に関するホワイトペーパーも公開。日本ではまだ進んでいない、企業のCMPC活用に向けた取り組みを推進している。

 もちろんモバイル通信への対応はレノボ・グループだけでなく、他のパソコンメーカーも注力しているので、今後対応機種は一層増えていくだろう。だがモバイル通信を提供する事業者側の状況を見るに、それを利用しやすい環境が整っているかというと疑問符が付く部分もある。

 特に大きな課題となってくるのが料金プランだ。というのもパソコンでデータ通信を利用するために携帯電話各社が提供している料金プランは、あくまでスマートフォンに主軸を置き、同じ携帯電話事業者のスマートフォンを契約していることが前提となっている側面が強いからだ。

 実際NTTドコモの場合、現在パソコン単体でデータ通信を利用する料金プランは用意されていない。基本的にはスマートフォン向け料金プラン「5Gギガホ プレミア」の通信量を2台目の機種で利用する「5Gデータプラス」(月額1100円)を契約する形となる(5Gの場合)。

 一方ソフトバンクは、NTTドコモと同様の「データシェアプラン」(月額1078円)だけでなく、単体契約でデータ通信が利用できる「データ通信専用3GBプラン」(月額990円)「データ通信専用50GBプラン」(月額5280円)も用意している。ただLenovo 300e Chromebook Gen 3の販売に当たっては、スマートフォンと同時購入で端末価格が割引になる施策を用意する一方、単体で購入した際の割引キャンペーンなどは実施されず、やはりスマートフォンの契約獲得に主軸が置かれている印象を受けてしまう。

 それだけに、モバイル通信機能を搭載したパソコンの普及を進める上では、携帯電話各社がスマートフォンとパソコンの契約を切り離しても満足して利用できるプランを提供することが重要ではないかと筆者は感じている。時代の変化に応じた携帯電話事業者の意識変化が大きく問われるところではないだろうか。

4.DNP、街灯や電柱など屋外設置可能な5Gのサブ6帯用フィルム型アンテナを開発(4.14 日経XTEC)
大日本印刷(DNP)は2022年4月14日、5G(第5世代移動通信システム)のサブ6周波数帯に対応し、直径15cmの細い円柱にも巻き付けられるフィルム型アンテナを開発したと発表した。

 DNPは、5Gで使うサブ6帯(3.7GHz帯や4.5GHz帯など)の電波は通信距離が短くなるため、基地局とアンテナを多数設置する必要があり、街灯や電柱、建物の内部や外壁などにも違和感なく設置できるアンテナの需要が高まると見込む。そこで、形状や給電線の設計を工夫することで、各通信事業者に割り当てられている100MHz以上の帯域幅に対応しながら、直径15cmの円柱にも巻き付けられるフィルム型アンテナを開発した。

 加えて、DNP独自のEB(Electron Beam)コーティング技術を使って耐候性を高め、電柱など屋外での設置も可能とした。さらに、木目調などの意匠性を付与することで、景観を損なうことなく設置できるようにした。

 DNPは、2022年3月にオプテージと「OPTAGE 5G LAB」のローカル5G設備で共同実証実験を行い、意匠付きフィルム型アンテナを使った5Gのサブ6帯での通信に成功したという。DNPは、2023年度の量産化に向けて、各種通信関連会社と共同で機能検証を進める。2025年に10億円の売り上げを目指す。

5.コールセンターへの電話の用件をAIが聞き取り、TMJが音声自動応答サービス(4.13 日経XTEC)
コールセンターなどの構築や運営を手掛けるTMJは2022年4月13日、音声を対象にしたAI(人工知能)を活用して、コールセンターにかかってくる電話にシステムで自動応答する「AI音声自動応答サービス」の提供を始めたと発表した。

 このサービスを活用することによって、顧客からの問い合わせがコールセンターへ集中するなどしてオペレーターがすぐに対応できない「あふれ呼」が発生している状況でも、「ボイスボット」とも呼ばれるAI音声自動応答システムが対応。ボイスボットが顧客から用件を音声で聞き取ったうえでテキストデータに変換。他の問い合わせ応対を済ませたオペレーターは、ボイスボットが作成したテキストデータを見てから顧客へ折り返し電話するなど、円滑な顧客対応につなげられるようにする。この活用例は、営業時間外にかかってきた電話の後の対応にも適用できる。

 AI音声自動応答サービスではこの他、顧客の問い合わせ内容に応じて、オペレーターが対応する案件と、自動応答する案件を振り分けて、それぞれで対応していくといったこともできる。TMJはこれまでボイスボットの導入を進めてきたが、導入実績が増えてきたことから今回、パッケージサービスとして提供を始めることにした。サービスでは、導入効果が高い適用業務の選定や、導入後の運用・改善なども手掛けていく。

 ホームページへ