週間情報通信ニュースインデックスno.1314 2022/2/12


1.富士通がメインフレーム製造・販売から2030年度に完全撤退へ、66年の歴史に幕(2.10 日経XTEC)
富士通が2030年度(2031年3月期)末にメインフレームの製造・販売から撤退することが、2022年2月10日までに日経クロステックの取材で分かった。国内メインフレーム市場で首位(出荷台数ベース)を誇り、長年にわたり日本企業の情報化を支えてきた老舗メーカーが約66年にわたるメインフレーム製造の歴史に幕を閉じる。

 併せてUNIXサーバーも2029年度下期に製造・販売を終了する。同社は縮む市場からの撤退を決断し、クラウドなどを駆使したサービス企業への転換を本格化させる。

 富士通は近く、両製品を利用中の顧客向けに説明を始める見通しだ。製造・販売終了後も、保守を5年間継続するため、メインフレームは2035年度末に、UNIXサーバーは2034年度中に終焉(しゅうえん)となる。利用企業には保守期間の終了までにクラウドなどへの移行が求められる。

2.ミリ波対応5Gスマホを安価に、村田が画期的な2方向照射アンテナ(2.8 日経XTEC)
村田製作所が今後本格化するミリ波対応の5Gスマートフォンに対して、画期的なアンテナモジュールを開発し、スマートフォンメーカーに販売攻勢をかけている。2つのアンテナアレーを一体化したアンテナモジュールで、例えば側面方向と背面方向の2方向と電波をやり取りできる。これまでアンテナアレーごとに搭載していたRF(無線周波数)ICが1個で済むため、搭載コストが安く、省スペースである。既に、スマートフォンメーカーに採用されているもようで、今後も採用数が増えそうだ。

 LBKAシリーズは、同社の樹脂多層基板「メトロサーク(MetroCirc)†」を用いることでアンテナモジュールをL字形にする曲げを保持できるようにした。既存のミリ波用アンテナモジュールは細長い長方形で、1方向をカバーする平面形状のアンテナなのが一般的だが、本製品はこの平面アンテナを2個くっつけたような立体形状で、横から見るとL字形になっている。

 LBKAシリーズは、2方向分の通信範囲を1つのRF(無線周波数)ICでカバーできるのが特徴である。具体的には、4つのアンテナエレメントをアレー状に搭載した長方形の基板を2枚、計8個のアンテナエレメントをフレキシブルな薄い基板部分でつなげて一体化したモジュールである。

 L字形にしたメリットは、アンテナモジュールの低コスト化と搭載機器の小型化である。5G対応スマートフォンでは、複数のミリ波用のアンテナモジュールが搭載される場合が多い。なぜなら、ミリ波は直進性があり通信可能な角度範囲が狭いため、側面や背面などの方向をそれぞれ1つのアンテナモジュールがカバーする必要があるからだ。L字形にすることで、このアンテナモジュールの個数を減らすことができる。

3.AT&TとDoD、プライベート5Gでスマート倉庫実現へ(2.7 日経XTEC)
米AT&Tは2022年2月1日(現地時間)、米国防総省(DoD:Department of Defense)の依頼を受け、今後、米サンディエゴのコロナド海軍基地(Naval Base Coronado)でのスマート倉庫(Smart Warehouse)実現に向け5Gネットワークを提供すると発表した。その性能を確認するデモは、同社テキサス州リチャードソン市にあるテスト施設にて、商用端末などを使って実施。プライベート5Gネットワーク環境にて、データスループット4Gビット/秒超、遅延時間10ミリ秒未満を確認できたとしている。

 今回のデモ結果を受けて、AT&Tは、次の段階となるコロナド海軍基地の設備保管エリア12万平方フィートへの5G配備に着手する。同社の高速低遅延5Gとスマート倉庫アプリケーションインフラを使って、自律型移動ロボットやビデオカメラ、IoT機器、AR/VRシステムなどを効率的、かつセキュアに接続。在庫管理や追跡、積み替え、その他DoDの要件に沿った試験を行い、最終的に米海軍の公式システムにスマート倉庫機能を統合するとしている。

 AT&TはDoDと2020年10月より3年間の契約を締結し、現在稼働中の4カ所の試験施設うち2カ所に5Gを提供。以下のような活動を行っている。

(1)米サンディエゴ、コロナド海軍基地でのスマート倉庫
 沿岸施設と海軍部隊間の積み替えに焦点を置いて、5G対応Smart Warehouseの開発を進めている。軍事物資と補給品の識別、記録、編成、保管、回収、輸送を含む海軍兵站業務にて、効率性と確実性を高めることを目標とする。新たな5G対応技術のテスト、改良、検証を可能にする実証基盤環境の構築も行う。

(2)米テキサス州キリーン、フォートフッド駐屯地でのAR/VRを使ったトレーニング
 こちらはもともとワシントン州タコマ市のルイス・マコード統合基地に向けたプロジェクトだったが、フォートフッド駐屯地に移転して実施している。このプロジェクトでは、容易に展開可能なセキュアなモジュラー型訓練機器を5Gコネクティビティーで実現することを目標とする。具体的には、現在利用可能な訓練環境であるI-MILES(Instrumentable Multiple Integrated Laser Engagement System)、米陸軍のIVAS(Integrated Visual Augmentation System、統合視覚増強システム)にAR/VR機能を統合し、任務計画作成や分散トレーニングなどに活用していく。

4.RFIDは始まりにすぎない? デジタル投資の「後遺症」に苦しむ企業がIoTに投資すべき理由(2.10 ITmedia)
近年、RFIDタグなどモノを追跡するためのデバイスの導入量が急増しているが、企業はこうしたIoTデバイスへの投資だけで満足してはならない。これから目指すべき「コネクティッドサプライチェーン」には別の投資も必要だ。

 近年の安価なRFIDタグやWi-Fi対応のマシン、デバイスの急増は、IoT(モノのインターネット)がサプライチェーンにおいて欠かせない存在であることを意味している。倉庫管理者とサプライチェーンの専門家は、これらの機器によって製品が物理的にどこにあるか、あるいは障害発生の有無を知ることができる。しかし、こうしたメリットは、IoTによって統合された「コネクテッドサプライチェーン」の潜在能力の一部にすぎない。

 MHI(アメリカのマテリアルハンドリング、ロジスティクス、サプライチェーンの協会)と、会計事務所・コンサルティング会社であるDeloitteは『2021 MHI Annual Industry Report』(2021年版 MHI年次業界レポート)で「Innovation Driven Resilience」(イノベーション主導のレジリエンス)として、世界中のサプライチェーンの専門家、1000人以上を対象にサプライチェーンにおけるイノベーション投資について調査した。

 同調査によると、回答者の27%が現在産業用IoTを使用しており、46%が「5年以内に使用する」と回答している。安価なRFIDタグによってデバイスの接続コストが軽減し、接続される製品数は増える傾向にある。

 回答者のうち52%がセンサーと自動認識関連の投資を増やしており、「投資を大幅に増やす」と答えた企業もあった。回答者の42%は「現在センサーと自動識別を使用している」と述べ、27%は「1〜2年以内に採用する予定だ」と回答した。

 Deloitteのロバート・シュミット氏(チーフフューチャリスト)は、「Bluetoothタグが普及すれば、タグはさらに安くなるだろう」と話す。電池を必要とせず、代わりに高周波エネルギーから電力を供給するBluetoothタグは「2〜3年先には実用化が可能になる」と同氏は言う。

 さらにシュミット氏は、「現在、IoTはモノがどこにあるかを知るために使用されている」と話した。クラウドを採用することで、システムにアクセスしてモノの位置を継続的に確認できる。センサーがモノの場所を素早く特定することで、特に製造業者が製品がどこにあるかを把握するのに役立つ。

 自律型ロボットを製造するSeegridのジェフ・クリステンセン氏(製品担当バイスプレジデント)は、IoTを駆使すれば、製品やデバイス、機械はネットワークに接続することで「それが倉庫を通過する材料であっても、サプライチェーンの機械であっても、正常に稼働しているか、一定時間で処理すべき量に達しているかなどの情報を更新することが可能だ」と話す。

 デバイスを統合する場合、接続される全てのデバイスやモノからデータを収集するだけでなく、それらのデータを処理するためのテクノロジーへの投資が必要だ。  プローシュ氏は「製薬会社や精製業者はIoTを介した統合については時代を先取りしている。両者とも厳しい規制が課せられており、精製業者は一般的に利益率が低いからだ。排出量規制が業界全体に適用されれば、IoTを介した統合システムはさらに不可欠になるため、それを可能にするデータ基盤が必須になる」と続ける。

5.テレワーク中、「会社にはいえない過ごし方」をしている人は6割 何をしている?(2.9 ITmedia)
 チャットボット関連のサービスなどを手掛けるチャットプラス(東京都千代田区)は、テレワークをしている男女を対象に、「テレワーク中の過ごし方」に関する調査を実施した。テレワーク中、会社にいえないような過ごし方をすることはあるか聞いたところ、6割以上が「ある」と回答した。

 「ある」(64.5%)と答えた人に、どのような過ごし方をすることがあるか聞いた。最も多かったのは「音楽や動画などを流している」(54.4%)、次いで「テレビをつけている」(52.9%)、「ネットサーフィンしている」(47.1%)、「実働時間も休憩している」(41.6%)、「途中で外出している」(29.1%)という結果に。

 「音楽や動画などを流している」と答えた人からは、「自室でテレワークしていることもあり、つい気が緩んでしまう」(20代男性)、「自分の業務をこなせばバレないから」(30代女性)という声が聞かれた。

 テレワークを続けている中で新たにどのような課題を感じるようになったか尋ねた。1位は「仕事への集中力の維持」(54.0%)、2位は「従業員同士のコミュニケーション」(48.1%)、3位は「出社している従業員との情報格差」(26.0%)だった。

 テレワーク中の課題をどのようにして改善できたか聞いた。最も多かったのは「他の従業員と積極的にコミュニケーションを図るようにした」(37.3%)、次いで「自宅のテレワーク環境を整えた」(34.9%)、「ビジネスチャットやオンライン会議ツールなどを新たに導入した」(24.3%)という結果に。同社は「積極的にコミュニケーションを図ったりテレワーク環境を整えたりと、自身にできることから改善を図っている人が多いようだ」と分析する。

改善を図ってもまだまだ不便なことや不満なことはあるか、それはどのようなことか。「ある」と答えた人に不便さや不満を感じるのはどういうことか聞いた。最も多かったのは「従業員同士のコミュニケーション」(42.8%)、次いで「自宅のテレワーク環境」(42.6%)、「出社している従業員との情報格差」(31.7%)と続いた。

 具体的には、「コミュニケーションが大いに不足しているが故のトラブルが起きやすい」(20代女性)、「ホワイトボードなど使ったブレインストーミングができない」(30代男性)、「オンライン会議がスムーズにできない時がある」(40代女性)などの声が聞かれた。

 今回の調査は、現在テレワークをしている男女を対象に、インターネットで行った。調査期間は2021年12月17〜22日、有効回答数は1160人。

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