週間情報通信ニュースインデックスno.1313 2022/2/5


1.ドコモがモバイル網活用の固定電話に参入、スマホとセットで月額550円から(2.4 日経XTEC)
NTTドコモは2022年2月4日、同社のモバイル中継網を活用した固定電話サービス「homeでんわ」の提供を3月下旬に開始すると発表した。固定電話機を専用端末「homeでんわ HP01」に接続するだけで、東京なら「03」などで始まる0AB〜J番号で受発信できる(緊急通報への発信を除く)。同社4G(LTE)ネットワークを介して電話網につなぐ仕組み。

 月額基本料が1078円(税込み、以下同じ)の「homeでんわ ライト」と、同2178円の「homeでんわ ベーシック」の2種類のプランを用意した。ベーシックは「通話中着信」「転送でんわ」「発信者番号表示」「ナンバー・リクエスト」「迷惑電話ストップサービス」といった付加機能を追加料金なしで使えるほか、550円分の無料通話を付けた。国内通話料は、固定電話宛てが3分8.8円、携帯電話宛てが1分17.6円。

 ドコモのスマートフォンやホームルーター「home 5G」を契約中の場合は「homeでんわ セット割」が適用され、月額基本料が528円引きとなる。これにより、ライトは月額550円から利用できる。初期費用は契約事務手数料が2200円、番号継続登録料が2200円。詳細は改めて発表する。

2.エリクソン、5G端末上での複数のネットワークスライスを利用可能に(2.3 日経XTEC)
スウェーデンEricsson(エリクソン)は2022年1月27日、5G端末用のネットワークスライスサービスのカスタマイズを支援する「Dynamic Network Slice Selection」を発表した。これにより、スマートフォン上での一般顧客向けはゲーム用スライスを提供、企業顧客向けには高セキュリティースライスを提供するなど、さまざまなサービス提供が可能となる。端末のネットワークスリソースを活用すると同時に、ユーザー体験(UX)も最大限に引き出せるものになっているという。

 Dynamic Network Slice Selectionは、Ericssonの5Gコアネットワークに追加される機能であり、5G端末上で複数のカスタマイズされたネットワークスライスが利用可能になる。この機能を適用することで、例えば、1つのスライスをモバイルブロードバンド用に、もう1つのスライスをゲーム用に使うことができる。また、仕事用に、ビデオ会議や業務用アプリ向けに高セキュリティースライスを用意することも可能となる。

 Dynamic Network Slice Selectionでは、ネットワークスライス上のアプリケーションをより効率的に運用するため、3GPP標準仕様に基づくURSP(user equipment route selection policies、特定の要件を持つアプリケーションやサービスを定義された特定のスライスに誘導する機能)にも対応する。この機能を5Gスマホと5Gネットワークインフラに実装することで、複数のネットワークスライスがスムーズに動作するようになる。

 こうした機能を活用することで、1台の端末上で複数のネットワークスライスを柔軟に構築すると同時に、最大のUXを引き出すことが可能となる。Ericssonでは、この技術が今後、効率的なエッジコンピューティングにも貢献する技術になるとしている。

 同社によると、複数ネットワークスライスに対応する商用スマホの開発は既に始まっている。まずは、企業顧客向けに高品質なコネクティビティーを提供するスマホが登場し、その後、一般顧客向けスマホやその他5G端末向けに展開される予定という。

3.電波を遠くまで飛ばすWi-Fi中継機、メッシュネットワークなら死角なし(2.2 日経XTEC)
Wi-Fiルーターの電波は離れるほど弱まり、壁などの障害物によってさらに減衰する。電波が届かなければWi-Fi 6の速さを生かせない。

 電波を遠くまで飛ばすには、中継機が最も手軽な解決策だ。中継機はその名の通り、Wi-Fiルーターからの電波を橋渡しして子機まで届ける。魅力は導入のしやすさ。中継機にルーターのSSIDと暗号キーがコピーされ、子機は電波の強いほうに接続する仕組みで、既存のネットワーク環境を変えずに済む。大半の中継機は自動で設定でき、メーカーを合わせる必要もない。

 中継機を使う際には、最も効果的な設置場所を考えたい。中継機は、受信したデータをそのまま送信するだけなので、ルーターとの接続が安定していることが必須条件だ。ここで減衰するといくら中継機と子機の電波状況が良好でも失ったデータは元に戻せない。

 中継機は受信と送信を同じ周波数帯で同時に処理できないのが弱点。受信と送信を相互に実行すると伝送速度は実質半分になる。そこで、5GHz帯と2.4GHz帯それぞれで受信と送信を同時に実行できる機能がある。メーカーごとに名称は異なるが「デュアルバンド同時接続」などと呼ばれる。

 最近の中継機には「メッシュネットワーク」に対応した製品も増えている。これは電波を網の目のように張り巡らせる技術で、対応製品はWi-Fiルーターの一部機能を代行できるので、通信速度が向上し通信範囲も広がる。

4.MediaTekがWi-Fi 7のライブデモ、23年から製品投入(2.1 日経XTEC)
台湾MediaTek(メディアテック)は、次期無線LAN規格「Wi-Fi 7」のライブデモを主要ユーザーや業界関係者向けに実施したと、2022年1月19日(米国時間)/1月20日(台湾時間)に発表した ニュースリリース 。同社によれば、公の場でのWi-Fi 7のデモは、世界で初めてだという。

 Wi-Fi Allianceからの公式発表はまだないが、Wi-Fi 7は、現在IEEEで「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6/6E)の後継規格として標準化作業中の「IEEE 802.11be」の通称になると目されている*1。IEEE 802.11beでは、2.4GHzと5GHz、6GHzの3つの周波数帯を使って、30Gビット/秒のスループットの実現を目指す。チャネル帯域は320MHzと広い。4096QAMと多値数の大きな変調方式を採る。また、最大16×16のMIMO(4Multiple-Input、Multiple-Output)が可能である。

同社はWi-Fi 7に対応したFilogic製品を23年から市場投入する予定とする。

5.ローカル5G生かし産業・人材の集積地に、創業69年目の地場企業が描く街の未来(1.31 日経XTEC)
2021年末から2022年にかけて、企業や自治体などが自前の5G(第5世代移動通信システム)インフラを構築できる「ローカル5G」関連の製品・サービスが相次ぎ登場している。市場はにわかに勢いづいているが、普及への鍵を握るのは自らインフラを構築・運営する全国各地の企業だ。ローカル5Gを将来の事業の柱と見据える、ある企業の事例を見てみよう。

 新潟県上越市にある上越妙高駅近くの商業施設「エンジョイプラザ」で2021年秋、ローカル5Gの通信環境を備えたビジネス拠点「JM-DAWN(ジェーエム・ドーン)」が完成した。交通の便と最新の通信環境を生かして企業誘致や地域産業の活性化を目指す「スマートテレワークタウン ローカル5Gラボ@上越妙高」プロジェクトの一環である。

 プロジェクトを代表しているのは地元企業の丸互だ。同社は1953年の創業で製材や金属加工、ソフトウエア開発など幅広い事業を手掛ける。さらに上越市、新潟大学、第四北越銀行、NTT東日本などもプロジェクトに参画している。

 JM-DAWNの広さはおよそ260平方メートル。拠点内にはサテライトオフィスやコワーキングスペース、スタジオがあり、来訪者はどこにいてもローカル5Gで通信できる。スタジオでは遠隔にあるカメラの4K映像を壁に大きく映し出せる。オンラインセミナーや、複数の会場を結ぶイベントなどでの活用を想定している。

 JM-DAWNのローカル5G設備が、屋内エリアに加えて屋外エリアをカバーしている点もポイントだ。商業施設の外壁にローカル5Gのアンテナを取り付けて、周辺にある釜蓋遺跡公園の一帯を通信可能エリアとしている。

 ドローンの撮影映像をローカル5G経由で拠点側に送ったり、除雪機や建設機器の自動運転などにローカル5Gを利用したりと、オープンイノベーションにつながる最新技術の検証フィールドとして活用していく。屋内と屋外をカバーしているローカル5G環境は全国でもまだ珍しい。

 東京に本社を置くIT企業がJM-DAWN内のサテライトオフィスに入居するなどプロジェクトの成果は出始めている。もっとも、ソフト開発を手掛けるとはいえ通信の世界は縁遠い丸互が、ローカル5G事業に乗り出したのはなぜか。

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