週間情報通信ニュースインデックスno.1312 2022/1/29


1.速度アップだけではない、Wi-Fi 6ルーターを選択するメリットとは(1.28 日経XTEC)
 Wi-Fi 6はWi-Fi 5から、速度アップと通信の効率化などが図られている。 Wi-Fi 6は、Wi-Fi 5から最大通信速度が約1.4倍になったし、2.4GHz帯も利用できる。また、1つの通信帯に複数の端末を割り当てられる「OFDMA」を採用して通信を効率化。さらに、複数の子機に同時送信できる「MU-MIMO」の最大接続数が増えた。

 Wi-Fi 6ルーターの上位製品の一部は、160MHzの帯域幅(通信に使用する周波数の範囲)を利用できる。Wi-Fi 5の時代から規格として用意されていたが、Wi-Fi 5ルーターのほとんどが帯域幅80MHzで、帯域幅160MHzに対応する製品はほとんどなかった。帯域幅が倍の160MHzに増えることで、通信速度は向上する。

 Wi-Fi 6は通信の効率化も図られている。従来は1チャンネルの帯域に1つの端末への通信しか割り当てられないOFDMだったが、複数の端末に通信を割り当てられるOFDMAに変更された。これにより、複数の端末が接続する環境で通信効率が向上した。

 さらにWi-Fi 6でセキュリティも強化された。6の対応機器では、最新の暗号化規格WPA3に対応する。WPA3はWPA2の致命的な脆弱性を解消しながら、WPA2の使い勝手を継承している。ただし、WPA3に設定したWi-Fiルーターに接続するには、WPA3に対応するパソコンやスマホが必要だ。Wi-Fi 6の機器ならほぼすべてが対応しているが、それ以前だとWPA3に対応していない機器が多く、接続先として見えても接続できない場合もある。その場合はWi-FiルーターにWPA2互換モードが用意されているので、その設定を使えばよい。

 ルーター選びでは、最大通信速度も調べておきたい。Wi-Fi 6ルーターは、5GHz帯と2.4GHz帯を利用できるが、重要なのは5GHz帯の最大通信速度だ。現在販売されているWi-Fi 6ルーターの5GHz帯の最大通信速度は、1.2Gbps(1201Mbpsなど)、2.4Gbps(2401Mbpsなど)、4.8Gbps(4803Mbpsなど)の3種類。一方、Wi-Fi 6対応パソコンの最大通信速度は2.4Gbpsなので、最低でもそれ以上の最大通信速度を持つWi-Fi 6ルーターを選びたい。それ未満だと、パソコンの通信性能を十分に発揮できない。

2.ついに始まったローカル5G基地局の価格破壊、数百万円の初期費用でお試し可能に(1.27 日経XTEC)
ローカル5G(第5世代移動通信システム)普及促進の起爆剤になる製品だと考えている。これで日本市場を席巻していきたい」。NECが2022年1月20日にオンラインで開いた記者会見。登壇した尹秀薫デジタルネットワーク事業部長はこう意気込みを語った。

 NECがこの日発表したローカル5G製品とは、一般に複数台の機器で構成する基地局設備を一体化した「UNIVERGE RV1000 シリーズ」だ。具体的には「Sub6」と呼ばれる周波数に対応した「RV1200」を2022年5月から、「ミリ波」の周波数に対応した「RV1300」を2022年度第2四半期から出荷する。

 最大の目玉は価格の安さだ。主力となるRV1200単体の販売価格は98万円(税別、以下同)。同製品に加えて「コアネットワーク」などローカル5Gに必要なシステムをそろえた「Sub6スターターパック」の価格は498万円からだ。このパッケージを利用すれば、ローカル5Gシステム全体の初期費用が、従来の分離型基地局を使う場合の約半分に収まるという。一方、RV1300の販売価格は498万円で、「ミリ波スターターパック」は669万円からとした。

 NECは、基地局の本体が小型軽量であることも新製品の売りにする。例えばRV1200の側面はA4程度のサイズで重さは3kgだ。屋内の壁や天井、廊下など入り組んだ場所にも設置しやすく機器構成も簡素化されるため、設置工数を大幅に削減できるという。端末の同時接続数は最大16台で、ローカル5Gを試験的に導入したい顧客や、小規模なエリアで利用したい顧客向けだ。通信範囲は従来の分離型基地局よりも狭く、RV1200の場合で1万平方メートル程度という。「陸上競技のトラック内側ぐらいの広さであれば一体型で、それ以上は分離型でカバーする、といった使い分け方を想定している」と尹事業部長は説明する。

 安価なローカル5G製品を投入するのはNECだけではない。富士通は2021年12月、従来のSub6対応システム「FUJITSU Network PW300」を簡素化したスターターキットの販売を開始した。

 PW300の標準構成では複数台に分かれているコアネットワークと基地局の一部機能、監視制御部を1台に集約し、価格を1000万円前後と標準構成の約3分の1に抑えた。端末の同時接続数は標準構成の256台に対してスターターキットは10台だが、「サーバー上のソフトウエアは標準構成と同じなので、サーバーを段階的に追加することでシステム拡張が可能だ」(富士通の村松徹也5GVertical Service室シニアマネージャー)という。

3.中国や東南アジアから普及が進む、「スーパーアプリ」は何がスーパーなのか(1.26 日経XTEC)
日常生活のあらゆる場面で活用できる総合型アプリケーションのこと。スマートフォンで一般的に使われるサービスを単一のアプリに統合し、操作体系も統一しているのが特徴だ。具体的にはメッセージの送受信、決済、電子商取引(EC)、チケットの予約、ライドシェアなどのサービスを提供する。

 スーパーアプリに搭載されたサービスをミニアプリと呼ぶ。スーパーアプリ内に各ミニアプリを内包する形のほか、外部アプリを呼び出し、OpenID Connectプロトコルでシングル・サインオンする形もある。ミニアプリごとのID・パスワードや決済情報の登録を不要とし、ユーザーの利便性を高めている。

 スーパーアプリが早い段階から普及したのは中国や東南アジアだ。国や地域ごとの特色に合わせて広がり、主要なスーパーアプリは数億人規模に普及している。中国では騰訊控股(テンセント)の対話アプリ「WeChat」と、アリババ集団の決済アプリ「Alipay」が代表例だ。中国では偽札の横行を背景に、両アプリによるキャッシュレス決済が浸透。その後2社がアプリの機能拡充で競い、スーパーアプリの普及を早めた。

 東南アジアではシンガポールのグラブとインドネシアのゴジェックの2社が、配車アプリを核として外部企業との提携によりスーパーアプリへと成長させた。東南アジアは口座の保有率よりもスマホの保有率が高く、またライドシェアの利用率が高いことがスーパーアプリ普及の背景にある。

 国内ではZホールディングス傘下の対話アプリ「LINE」や決済アプリ「PayPay」、KDDIの決済アプリ「au PAY」などがスーパーアプリ戦略を採っている。例えばZホールディングスはPayPayのスーパーアプリ戦略の一環で、系列の金融事業会社6社の社名をPayPayブランドに統一した。またPayPayとLINEは開発者向けにミニアプリのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を公開し、外部との連携も視野に入れる。au PAYも同様に金融系のミニアプリ拡充やAPIの公開などを進めている。

 PayPayやau PAYの中核機能であるQRコード決済の市場は拡大している。キャッシュレス推進協議会の調査によると、2020年の取扱高は4兆2000億円と、前年比で約4倍に急増。各社はポイント還元などのキャンペーンを通じ、決済アプリの導入を促してきた。この決済アプリに自社サービスを集約した上で、自社サービスでカバーしきれない顧客をミニアプリで獲得する考えだ。

4.最も満足度が高いQRコード決済 2位の「PayPay」を抑えて1位になったサービスは? MMD調査(1.27 ITmedia)
 MMD研究所は1月27日、「2022年1月スマートフォン決済(QRコード)の満足度調査」を発表した。「総合満足度」では、楽天ペイが1位となった。2位はPayPay、3位はメルペイ、4位はau PAY、5位はd払い、6位はLINE Payだった(各サービスn=150)。

 それ以外の満足度項目として、「お得部門」は楽天ペイ、「アプリデザイン部門」はメルペイ、「利便性部門」はPayPay、「信頼部門」はau PAYがそれぞれ1位を獲得した。家族や友人に勧めたいかどうかを指標とした「NPS」(ネットプロモータースコア:顧客推奨度)はPayPayがトップとなった。

 一方、QRコード決済サービスの利用頻度については、「1週間に1回以上利用する」という回答が最も多かったのはPayPayで、74.7%とトップ。僅差で楽天ペイが74.0%、au PAYが63.3%、d払いが57.3%、LINE Payが46.7%、メルペイが43.3%と続いた。

 調査は、QRコード決済6サービスのメイン利用者(18歳〜69歳)である男女900人(サービスごとに150人)を対象に、2022年1月1日〜5日の期間で実施した。

5.スマホのカレンダーは何年先まで表示できるのか? 試してみたら異界に迷い込んだ(1.28 ITmedia)
コロナ関連の連日の報道を見て、週末の予定を中止しようとカレンダーアプリを起動した。記者は普段、iPadのカレンダーアプリで予定の管理を行っている。直近の予定の確認をしているとき、ふと突然「このカレンダーの終わりはあるのか? あるとすればいつなのか?」という疑問を抱いた。

 「人の平均寿命はだいたい80歳ほどと聞くし、2100年ぐらいまではあるのだろうか。それだと区切りが悪いから3000年、もしくは5000年か?」そんな軽い気持ちで、iOSのカレンダーアプリの終わりを確認してみることにした。

 確認といってもやることは単純でひたすら画面をフリックするだけ。念のため、先のカレンダーに一瞬で遷移できる機能がないか探したが、記者が確認した範囲ではそれらは見られなかった。そのため、1月から12月までの日付が一覧で表示される「年」のタブにカレンダーを設定し、ひたすら画面をフリックすることにした。

 まず気付いたのが、2024年以降はまだ祝日が設定されていないことだ。2023年までは「元日」などの記入があったが、2024年以降はそれらが見られない。その後は特に発見もなく、フリックを続けてあっという間に2100年や3000年、5000年は過ぎていった。「そうすると9999年までか」と思ったが、なんとそれすらも超えて、西暦1万年を目の当たりにすることになった。

 その後もまだまだ先は続く。「嫌な予感がしてきたぞ」。その予感は的中し、2万年、3万年、4万年……と時は進み続けた。アプリに同期していた知り合いの誕生日はいつまでも表示されており「〇〇さんの5万28歳の誕生日」と、徐々に悪魔のような年齢に近づいていった。

 操作する腕や指もいい加減限界で、気付けばかなり時間も経過している。いつか終わることを願いながら、なんとか9万9999年に到達した。さすがにこれで終わり……ではなく、やはり西暦10万年のカレンダーを表示した。

 「このカレンダーに予定を書き込む人類は果たしているのだろうか」──自分は言うまでもなく、そもそも人類の存続すら危うい、なんてSFめいたことを考えているうちに、誤って画面上にある「今日」の部分をタップしてしまった。不慮の事故により、2022年1月に帰って来ることができた。

 念のため、仮の予定を入れることで後からその時点までタイムリープできないかと考えていたが、検索欄が表示するイベント結果は2023年中までのものだった。

 iOSに完敗(?)してしまった悔しさもあり、Googleカレンダーでも確認してみることにした。Webアプリ版では、URLの一部に日付が入っている。つまり、ここを変えれば自由に時を操れるのだ。「ちょろいな、Google」と思いながら検証を続けると、9999年以降の日付を入れると、自動的に9999年に遷移してしまうことが分かった。

 これでカレンダーに対しリベンジ達成……と思いきや、9999年のカレンダー画面で「翌年」をクリックしてみると、西暦1万年のカレンダーが現れた。

 「まさか、やはりこの先が──」。そんな恐れを抱きながらさらに翌年をクリックすると、西暦1万1年が目の前に。URLでの指定ではたどり着けないものの、地道なクリックを続ける者に、Googleは道を示すようだ。

 カレンダーアプリの限界。それは、人が踏み入ることを許さない“禁足地”なのかもしれない。

 ホームページへ