週間情報通信ニュースインデックスno.1311 2022/1/22


1.あいおいニッセイ、顧客と電話応対「在宅」で(1.21 日経新聞朝刊)
あいおいニッセイ同和損害保険は、顧客からの電話を「在宅勤務」で応対できるようにする。10月から本社と営業事務所で受けた問い合わせを全件、社員に支給済みのスマートフォンに転送する。損保の営業は顧客や代理店から電話で照会を受ける頻度が高く、一部の社員は電話の取り次ぎでオフィスに出社する必要があった。各拠点の固定電話などを撤去し、通信料など年約5億円の経費削減を見込む。

2.TT東西、24年1月にマイライン終了を正式公表 固定電話網IP化で(1.20 日経XTECH)
NTT東西は2022年1月20日、電話会社選択サービス「マイライン」「マイラインプラス」を24年1月に終了すると正式発表した。NTT東西は25年ごろに固定電話網(PSTN)の維持限界を迎えることを受けて、24年1月から固定電話網をIP網へ移行する計画だ。移行先のIP網にマイライン機能を実装すると膨大な費用がかかるため、NTT東西はマイラインの参加企業に廃止を求めていた。KDDIやソフトバンクなど参加企業との協議を踏まえ、24年1月にマイライン・マイラインプラスを終了する。現在、マイラインに登録している利用者は、一部の特定事業者を利用している法人顧客を除き、24年1月以降、NTT東西の通話サービスを利用する形になる。

3.シャープが自社初のネットワークスイッチ、侵入したマルウエアの通信を遮断(1.20 日経XTECH)
シャープは2022年1月下旬から、クラウド管理型のL2スイッチ「BP-X1PL01」を売り出す。社内ネットワークを常時監視し、マルウエアなどの有害な通信を遮断する機能を備える。同社がシャープブランドでスイッチを販売するのは初めて。

 同スイッチはマルウエアなどによるサイバー攻撃を検知すると、発信元の端末をすばやく特定して有害な通信のみをネットワークから遮断する仕組みを備える。またクラウド上の統合管理システムがスイッチの稼働状況を常時モニタリングし、異常が発生した際には管理者にメールで通知する。複数の拠点に配置したスイッチの状況をクラウドで一元管理できる。

 同スイッチのベースエンジンは韓国メーカーのものを採用した。価格はオープンで、クラウドの利用料などは無料。主に中小企業向けに売り出す。

4.ANAとJAL、5Gの影響で米国便の一部欠航へ 日本は大丈夫か(1.19 日経XTECH)
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は2022年1月18日(米国現地時間)、米国における5G(第5世代移動通信システム)の周波数帯拡張によって、米国便の一部を欠航する可能性があると発表した。米国において大手通信事業者である米Verizon Communications(以下、ベライゾン)と米AT&Tが、新たな5G向けの周波数帯の運用を同年1月19日から開始予定としており、この周波数帯が航空機の電波高度計に干渉する可能性があるからだ。米航空業界は「5Gが安全な運航に壊滅的なリスクをもたらす」と繰り返し指摘しており、これを受けてベライゾンとAT&Tは18日、19日に予定していた新たな周波数帯の運用開始を、空港付近など一部地域で延期することを明らかにした。

 米航空業界が問題視するのは、Cバンドと呼ばれる3.7G?4.2GHz帯の5G向け電波だ。米国において同周波数帯はベライゾンとAT&Tが落札し、当初は21年末から運用開始予定だった。だが米航空業界からの懸念を受けて、ベライゾンとAT&TはCバンドの運用開始延期を繰り返し、直近でも22年1月頭に2週間の延期を決めていた。

 その期限が22年1月19日に迫る中、米航空業界は米政府へと書簡を出すなど訴えを強めていた。こうした声の高まりを受けてベライゾンとAT&Tは土壇場で、空港付近など一部地域における新たな5G周波数帯の開始延期を余儀なくされた。

 米航空業界が、5Gの拡張によって運航に影響を与えるとする電波高度計とは、航空機やヘリコプターに搭載される機体の高度を計測する機器である。地表に向かって電波を発射し、反射波が戻ってくるまでの時間を計測することで高度を測定する。電波高度計は、Cバンドに隣接する4.2G?4.4GHz帯の周波数帯を利用する。

 航空機が高度を注意しなければならない空港へアプローチする経路付近にCバンドの5G基地局があった場合、5G電波の干渉によって、航空機が正しい高度を計測できなくなる恐れがあると米航空業界は指摘する。

 米連邦航空局(FAA)は「航空機の安全性を守るために制限を課す必要があり、フライトスケジュールや運用に影響を及ぼす可能性がある」という声明を公表していた。ANAとJALが米国便の一部を欠航する可能性があると発表したのは、こうした理由が背景にある。

 Cバンドに含まれる3.7G?4.2GHz帯を活用した5Gサービスは、米国以外にも日本やフランスで始まっている。日本やフランスでは今のところ大きな問題にはなっていない。なぜ米国で大きな問題になっているのか。

 FAAは、「米国の空域は世界で最も複雑であるほか、米国の5Gサービスは他国と条件が異なるから」と指摘する。FAAのWebサイトには、フランスと米国におけるCバンドの5G運用状況の違いが記載されている。米国におけるCバンドの5G基地局は、フランスの場合と比べて2.5倍の大出力を許されているという。さらにアンテナの角度についても、フランスでは下向きに設置する制限があるが米国ではそれがないとなっている。

 もっとも一部の米メディアは、この問題が他国で問題になっていない理由の一つとして、業界団体の力が強い米国ならではの事情に言及している。米航空業界が米通信業界に対し、電波高度計の更新費用の支払いを求める思惑があるのではないかと指摘する。

 日本においても最初の5G向け周波数帯の割り当て対象になった3.7GHz帯と4.5GHz帯、28GHz帯を検討する際に、航空機の電波高度計との干渉を評価している。総務省が18年に公表した報告書では、「空港周辺(1km程度)の航空機の進入経路の周囲200m程度の範囲で基地局の設置制限を行い、航空機電波高度計との周波数離調100MHz程度を確保して基地局へのフィルター挿入を行うことにより、共用可能」という結果を示した。日本では5G基地局に対して厳しい制限を課したこともあり、今のところ米国のような問題は起こっていない。

 ちなみに日本では電波高度計よりも、3.7GHz帯を5Gと共用する衛星通信の地球局との干渉が大きな問題となった。干渉回避のために日本では、5G基地局を衛星通信の地球局から最大で20kmの離隔距離を設けるといった厳しい制限を導入した。その結果、国内携帯電話事業者には、3.7GHz帯の5G基地局のエリアをなかなか拡大できないという逆の難しさをもたらしている。

 5Gの進化や来たるべきBeyond 5G/6G時代に向けて、モバイル向け周波数帯の確保が世界共通の課題となっている。他の無線システムの干渉調整が必要となる局面がますます増えることが予想されるからだ。

 例えば、総務省が22年4?5月にも割り当てを予定する2.3GHz帯の5G向け電波では、新たに既存の免許人が使用していない場所や時間帯で動的に周波数を共用する「ダイナミック周波数共用システム」を活用する計画だ。2.3GHz帯は公共用無線や放送業務が利用中であり、他の無線システムとの干渉調整がより高度化していくと考えられる。

 米国における通信業界と航空業界の対立は、電波の有効利用と安全確保に欠かせない電波の干渉調整が今後、ますます重要になることを示している。

5.2022年も続くテレワーク、支援技術の進化で高まる仮想オフィスの「臨場感」(1.17 日経XTECH)
2022年、在宅勤務をはじめとするテレワークを支援するデジタルツールが進化する。これによって、同じ部署やチームのメンバー同士が互いに離れた場所で働いていても出社状況や仕事ぶりが分かるようになり、高い「臨場感」を得ながら働けるようになる。

 「全国の大企業のほとんどがテレワークを導入するようになった。中小企業でもテレワークに取り組む動きが今も続いている」。こう指摘するのは、支援ツールを含めてテレワークの動向に詳しいパソナ リンクワークスタイル推進統括の湯田健一郎氏だ。2021年9月の緊急事態宣言解除により、テレワークからオフィス勤務に戻る動きもあるが、「全て戻すのではなく、週に何日かはテレワークをするハイブリッドな働き方になっていく」(湯田氏)。

 テレワークの普及により浮上したのが「コミュニケーションがスムーズに取れない」という課題だ。仕事上、同僚に確認したいことがある場合、オフィス勤務であれば同僚を見つけて話しかけられるが、テレワークでは難しい。

 2022年はこの課題の解消が進む。湯田氏は「仮想オフィスに『出社』することで同僚などの様子をつかめる仮想オフィスサービスのように、誰が今働いているのか、誰に今声をかけても大丈夫かといったことが一目で分かるようなプレゼンス関連機能がWeb会議サービスなどに加わっていく」とみる。

 特にWeb会議サービスにプレゼンス関連機能が加わると、「コミュニケーションを取るためにオンライン会議の日時を決める手間をかけることなく、(オフィス勤務のように)声かけをきっかけにしたコミュニケーションが自然とできるようになる」(湯田氏)。

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