1.車内限定で通信量無制限のWi-Fiルーター「DCT-WR100D」、使い勝手を試す(1.14 日経XTECH)
コロナ禍が続いているが、それが落ち着けば、旅行や帰省をする機会も再び増えるだろう。家族で長距離ドライブをする場合、運転手以外は暇を持て余し、車内でインターネット接続環境を求めるはずだ。大抵はスマートフォンのテザリングで済むかもしれないが、動画鑑賞やゲームプレーなどを楽しんでいると、思った以上にデータ量が増えていくもの。通信量の制限が厳しい料金プランであれば、テザリングで通信量の上限にあっという間に達してしまう。
こうしたニーズに応えてくれそうな機器の1つがパイオニアの車載Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」だ。利用イメージは一般的なモバイルルーターに近い。本体から携帯電話回線を介してインターネットにつながり、ノートパソコンやスマホ、タブレットなどの端末とはWi-Fiで接続する。
一般的なモバイルルーターと異なる点の1つはバッテリーの有無だ。モバイルルーターが持ち歩いてどこでも使えるようにバッテリーを内蔵しているのに対し、DCT-WR100Dは車載用なのでバッテリーを搭載していない。自動車のシガーソケットから給電し、エンジンがかかっているときやアクセサリー電源がオンのときにのみ利用できる。
通信量制限の有無にも違いがある。通信量が無制限とうたっているモバイルルーター向けの料金プランはよくあるが、実は「直近○日間で△ギガバイトまで」などの上限を設けているケースが少なくない。詳しくは後述するが、DCT-WR100D向けの料金プランにはそのような制限がなく、動画再生や音楽鑑賞、ソーシャルゲームといった大量の通信を必要とする用途に向いている。また、同時接続台数は最大5台なので、同乗した家族全員で利用しやすい。
インターネットの通信にはNTTドコモの4G(第4世代移動通信システム)ネットワークを利用する。同社の電波が入る場所であれば、全国どこでも利用できる。実際に福島県の人けが少ない山奥などに行って使ってみたが、問題なく通信可能だった。
料金プランはNTTドコモの「docomo in Car Connect」という専用プランが適用される。面白いのはその契約方法だ。1日で550円(税込み、以下同)、30日で1650円、365日で1万3200円の3つの料金プランが用意されており、使い方によって契約を変えられるのは便利だ。1年で契約しても、1カ月当たり1100円で済む。事務手数料や解約違約金もないため、たまにしか車に乗らない人でも使いやすい。
ただし、付属のSIMカード(同製品ではUIMカードと呼ぶ)が利用できるのは、利用開始から2年間のみ。2年おきに、更新用のSIMカード「UIM-100」(実売価格は5500円)を購入する必要がある。DCT-WR100Dを全く使わない場合でも、2年に1度はこのSIMカードの維持費がかかる。月々230円程度なので微々たるものだが、最低でもこの維持費がかかることは頭に入れておいた方がよいだろう。
2.日テレやドコモなど3社がニュース記事自動要約サービスを開発、β版の提供開始(1.12 日経XTECH)
日本テレビ放送網は2022年1月12日、日本テレビのグループ会社であるフォアキャスト・コミュニケーションズおよびNTTドコモと、AIを活用した「ニュース記事の自動要約サービス」の共同開発契約を締結したと発表した。同日、「ユーザーとともに進化し続ける要約サービス」をコンセプトとして「自動要約AI(β版)」の提供をフォアキャストが開始した。
日本テレビとNTTドコモは、ドコモ北京研究所が研究開発を行っていたAI要約技術をベースに、2019年度からニュース記事の自動要約システムの実用化を目指す共同実証実験を実施してきた。日本テレビが保有する20万件近い過去記事と、人が要約したデータのセットを同システムの要約エンジンに学習させ、精度向上に取り組んだ。2021年度からフォアキャストが加わり、同システムのユーザーインターフェースなどを開発してきた。
今回提供を開始するβ版サービスは、ニュース記事を要約できるサイトとなる。画面の左側に「要約したい文章」を入力すると、右側に「要約した文章」が表示される。あらかじめ指定した文字数や文数に基づいて要約を実行する「文字数指定機能」や「文数指定機能」、要約結果に反映したいキーワードを指定する「ヒント機能」に加えて、「タイトル機能」「位置特定機能」を備えて提供する。
今後3社は、β版サービスにおける利用者からのフィードバックを収集して分析・改善を行い、2022年度に商用サービスの提供開始を目指す。
3.5G時代の携帯基地局はこう変わる、カギとなる「Open RAN」とは(1.12 日経XTECH)
Open RANはオープンインターフェース仕様に基づいて構築する、機能を分離したRAN(無線アクセスネットワーク)を指す。
基地局をマルチベンダー装置で構成できるため、通信事業者は目的に応じて複数ベンダーの製品を柔軟に選び、ネットワークを迅速かつ低コストで構築できる。NECの川口研次第二ワイヤレスアクセスソリューション事業部シニアマネージャーは「新技術への対応もしやすくなる」と話す。従来は単一ベンダーの機器でネットワークが構成され、他ベンダーの装置が排除されることが多かった。
具体的には基地局の無線機であるRU(Radio Unit)と制御部であるCU(Central Unit)、DU(Distributed Unit)の3つにノード分割し、ノード間のオープンインターフェースを策定することで、複数のベンダーの機器同士を接続できるようにする。
RUはRFトランシーバーと無線の物理層の下位機能を担う。端末との間で電波を送受信し、信号をアナログ−デジタル相互に変換する。DUは無線リソース割り当てなどのMAC(Media Access Control)、再送制御などのRLC(Radio Link Control)といった役割を担う。CUはパケット暗号化などのPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、端末の無線リソース管理などのRRC(Radio Resource Control)といった役割を担う。
国内企業もOpen RANに商機を見出す。NECは2021年9月、スペインの大手通信事業者テレフォニカと世界4カ国でのOpen RANのプレ商用実証に合意した。NTTデータも2021年9月、米マベニアとOpen RAN製品の提供やネットワーク構築で協業した。
インテリジェント化では、「RIC(RAN Intelligent Controller)」と呼ばれる機能によりネットワーク設計や運用の最適化を目指す。RICはオープン化により様々なベンダーの機器を管理する必要が出てきたのを受け、O-RAN ALLIANCEで検討が進む。RICにAI(人工知能)を活用し、高負荷や通信障害の予兆を検知して安定した通信環境の構築を支援する考えだ。
4.働き方改革を阻害する3大要因、解決が最も遠い「あの問題」(1.12 日経XTECH)
働き方改革を阻害するいくつかの要因のうち、改善が進んだ課題と、解決がほど遠い問題との二極化が進んでいる――。2020年4月から定期的に実施してきたテレワーク調査の最新結果を見ると、このような実態が浮かび上がってきた。
日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「働き方改革に関する動向・意識調査」を2021年10月に実施した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で発出された緊急事態宣言(まん延防止等重点措置を含む、以下同)が全面解除されたタイミングで、在宅勤務の実施状況や課題について調べた。
調査でテレワークを「利用していない」と答えた人にその理由を複数回答可の形で質問した。その結果、首位は「同僚(上司や部下を含む)や取引先、顧客と直接対話したいから」と「職場(または派遣・常駐先)で扱う帳票や文書の電子化が進んでいないから」「出社することでON/OFFを区分し、心身を仕事モードに切り替えたいから」の3つが22.1%で並んだ。対話、紙とハンコ、気分の切り替えが3大課題であると改めて分かった。
これら3大課題は2020年春に新型コロナウイルスの感染を防ぐ目的で企業がテレワークを緊急導入した直後から指摘されてきた。1年半以上が経過し、課題は改善の方向に向かっているのか。それとも状況は変わっていないのか。あるいは悪化しているのか。そうした傾向を探るために、過去の調査データと比べてみる。
改善が最も進んだのは「勤務先(または派遣・常駐先)がテレワークに必要なITシステム・インフラを整えていないから」だ。2020年4月調査では42.4%の回答者が選んだが、2021年10月調査だと10.4%。実に32ポイント減った。この1年半でノートパソコンやWeb会議ツール、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)などテレワーク向けインフラの整備が進んだ成果と言えるだろう。
「勤務先(または派遣・常駐先)がテレワーク制度を導入していないから」を選んだ人の割合も2020年4月の40.8%から2021年10月は20.8%へと減り、20ポイント改善している。就業規則の変更やテレワーク手当の導入などが進んだ様子が分かる。
5.日本企業の8割、クラウド活用したいがデータ運用に課題――その内容は(1.14 ITmedia)
インフォマティカのグローバル調査によると、日本企業はマルチクラウドの活用には積極的な一方で、データの運用管理には課題があることが判明した。
インフォマティカは2022年1月13日、企業のデータ管理やAI(人工知能)運用の最新動向に関するグローバル調査の結果を発表した。
「Driving Business Value from Data in the Face of Fragmentation and Complexity(分散化・複雑化が進むデータからのビジネス価値創造について)」と題した同調査は、2021年6月に、日本、米国、英国、オーストラリア、香港、シンガポール、マレーシアを含む10カ国で実施し、CDO(最高デジタル責任者)をはじめとするデータ管理者約900人から回答を得た。
調査結果によると、世界の企業の3分の2が複数のクラウドサービス(マルチクラウド)を利用していることが分かった。
その中で、マルチクラウドを利用している日本企業は81%に上り、日本を含むアジア太平洋地域(APJ)全体の70%と比較しても高い結果となった。
日本企業はマルチクラウド利用率が高い一方で、シームレスなデータ活用に欠かせない「クラウド中心型の運用モデル」を実行している企業はわずか14%にとどまり、香港(48%)やマレーシア(35%)など、APJの他国と比べても低かいことが分かった。
さらに、企業データの管理者が役員やリーダー職を務めている企業も、日本ではわずか17%と、APJ全体(67%)と比較しても低かった。
これらの調査結果について、インフォマティカでは、日本企業は、クラウド活用が標準化しつつある中、それによって分散化が加速するデータを管理、統合するための運用モデルや人的リソースに対して十分に投資されていないといった現状が浮き彫りになったと指摘している。
調査では企業におけるAIの運用状況についても質問した。「プロセスの最適化や自動化」のためにAIを運用している企業は、APJ全体では35%にとどまった一方、日本企業の約半数(49%)がこの運用を既に実施していることが判明した。
さらに、「インサイトの取得や意思決定」のためにAIを運用している企業は、APJ全体で37%だったのに対し、日本企業の半数以上(54%)がこの運用を既に実施していることも明らかになった。
企業のデータにおいては、AIやデータ統合プラットフォームを活用しながら、IT部門に限らず、企業の全てのユーザーが効率良くデータを利活用できるようにすることが望ましい。今後、さらなるデータの分散化・複雑化や人的リソースの不足が予測される中でも、そうした効率的なデータ管理/活用を進めることで、日本企業はデータドリブンなDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現できるとインフォマティカは分析している。
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