週間情報通信ニュースインデックスno.1307 2021/12/18


1.NTTデータがAWSと戦略的協業、関連技術者を倍増の5000人に(12.17 日経XTECH)
NTTデータは2021年12月16日、米Amazon Web Services(AWS、アマゾン・ウェブ・サービス)とクラウドを活用したデジタルビジネスの推進で戦略的協業を始めると発表した。今回の協業に関連して、国内グループでAWS技術者を2021年8月末時点の約2300人から、2025年3月末までに倍増の5000人体制にする。

 両社は2022年1月から、戦略的協業を開始する。NTTデータはAWSの技術支援などを受けながら、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進体制を拡充したり、AWSを活用した新サービスを開発したりする。AWS関連の人材育成や研究開発にも取り組む。

 新サービスの開発に関しては、NTTデータが手掛ける個々の顧客や各業界向けのサービスと、AWSのクラウドを組み合わせる。開発したサービスは、ITベンダーのソフトウエアやサービスを購入できる「AWS Marketplace」などを活用して市場に展開する。

2.3GPPの将来仕様「5G Advanced」、クアルコムが最新状況を解説(12.17 日経XTECH)
米Qualcomm(クアルコム)は2021年12月10日(現地時間)、3GPPの5G将来仕様「リリース18」の最新状況を解説した。この週に3GPPが開催したRAN(Radio Access Network)全体会議において、リリース18で検討を進めるプロジェクト項目を承認した。3GPPは5G技術の標準化活動を10年計画で進めており、リリース18は「5G Advanced」として初の標準仕様となる。

 リリース18では、モバイルブロードバンドの強化と新しいユースケースの実現、短期的・長期的な5G構想実現、デバイス開発とネットワーク全体の進化にバランスよく対応することを目的としている。

上りリンク/下りリンク対応MIMO:スループット、カバレッジ、消費電力、信頼性を改善し、各種用途に活用できるアンテナを搭載する5G massive MIMOを開発する。 モビリティー強化:サブ7(7GHz未満の周波数帯)やミリ波において、低遅延でのハンドオーバーやシームレスなキャリアアグリゲーション(CA)、デュアルコネクティビティーなどの強化を行う。

IABとスマートリピーターによる通信改善:自動車や列車のIAB(Integrated Access and Backhaul、RANと無線バックホールの統合)機能を拡張し、車両内外の顧客に向けたサブ7とミリ波の5Gカバレッジを拡張する。また、通信認識機能やビームフォーミング機能を備えたリピーター装置を使って、広帯域でのコスト効率のよい通信を実現する。

高度な二重化:TDDでのネットワーク効率改善や遅延時間短縮、カバレッジ拡張に向けた重複のないサブバンド全二重の導入シナリオや用途の特定を行う。

AI(人工知能)やML(機械学習)を使ったデータ駆動設計:無線MLフレームワークを拡張し、ネットワークの省電力化、負荷分散、モビリティーの最適化を図る。また、CSI(Channel State Information、伝搬路状態情報)フィードバックやビーム管理、ポジショニング機能改善に向けたAI/ML技術の活用方法も調査する。

グリーンネットワーク:サブ7を使った都市部や農村部、ビーム機能を伴うミリ波帯を使った通信、デュアルコネクティビティーなど、さまざまな通信状況下での基地局エネルギー消費量モデルやその評価方法、電力消費量削減技術の定義を行う。

さまざまなデバイスやユースケースへの5G適用

XRへの適用:リリース17に続き、5G NRによるXR(Extended Reality)アプリケーション実現に必要なサービス品質要件などを定義する。XR体験の改善に向けたアプリケーション認識や容量拡張などに向けたサポートも行う。

ポジショニング機能強化:位置決めや距離計測機能の精度をさらに強化する。これには、帯域幅アグリゲーションや搬送波位相測定といった技術の評価、NR-Lightでのポジショニング機能提供に向けた性能要件定義なども含まれる。

ドローンと衛星の強化:5G NRを使ったドローン通信の定義、LTEリリース14におけるドローン調査の活用、測定レポート機能や信号伝達設計の定義、スマートフォンでの衛星を介した5G音声通話実現によるカバレッジ、モビリティー改善などを行う。

 リリース18は、現在作業中のリリース17を2022年上半期の予定で完成させてから公式作業を開始する。5G Advancedの仕様策定完了後には、6Gの標準化活動を始める。

3.タブの操作性を大胆に変更、iPhoneの「Safari」がさらに使いやすく(12.16 日経XTECH)
 アップル製端末には標準Webブラウザーとして「Safari」が搭載されている。新OSではいずれのSafariも共通してタブ機能がさらに使いやすくなる。

 中でも大きく変化したと感じられるのがiPhone版のSafariだ。検索キーワードやURLを入力するフィールドが画面の下に移動した。また、「タブバー」と呼ばれる左右にスワイプする仕組みで、開いているタブをワンアクションで切り替えられるようになった。タブバーの位置も画面下部に移動したことで、スワイプで左右のタブを切り替えられるようになった。片手での操作もスムーズだ。

4.真の5G「SA方式」の不都合な真実、当初遅くなるのはドコモだけ?(12.15 日経XTECH)
真の「5G(第5世代移動通信システム)」といわれるSA(Stand Alone)方式がいよいよ日本でも本格的に始まった。先行するソフトバンクに加えてNTTドコモも2021年12月13日から法人顧客を対象にSA方式の商用サービスを開始したからだ。

 SA方式は、コア設備を4G設備で流用していたこれまでのNSA(Non-Stand Alone)方式と異なり、すべて5G専用設備を使う。従来の超高速・大容量に加えて、超低遅延、多数同時接続といった機能も実現できるようになる。1つのネットワークを、用途に応じて仮想的に分割する「ネットワークスライシング」のような機能もSA方式を導入することで初めて可能になる。SA方式は、5Gを社会インフラとして活用していくためには欠かせない進化のステップとなる。

 だが物事には表と裏があるのが常である。進化した5GであるSA方式にも不都合な真実がある。SA方式では当初、現行のNSA方式と比べて、通信速度がどうしても劣化してしまうという点だ。SA方式の柔軟な機能のカスタマイズに魅力を感じる法人顧客はまだしも、通信速度を重視する一般顧客にとって、SA方式をデメリットとして感じる恐れすらある。世界の通信事業者の間でも、こうしたSA方式導入に伴うリスクが取り沙汰され始めている。

NTTドコモは法人顧客向けに5G SA方式の商用サービスを開始した。下り最大速度は1.7Gビット/秒であり、NSA方式の同4.2Gビット/秒と比べると、速度劣化が見られる

 「本日からSA方式の商用サービスを開始する。SAの特徴を生かすことで、顧客ごとに異なる用途・ニーズに合わせて柔軟に提供していく」。

 21年12月13日に開催した説明会で、NTTドコモ 5G・IoTビジネス部ビジネス企画担当部長の岩本健嗣氏は、同日法人顧客向けに開始したSA方式の5Gサービスについてこのように強調した。

 NTTドコモは東京女子医科大学や日立製作所、TBSテレビ、そして庵野秀明氏が社長を務めるアニメ制作会社のカラー(東京・杉並)などともに、SA方式の特徴を生かした新たなユースケースに取り組む。

 SA方式の5Gサービスを利用するためには、SA方式対応の端末が必要になる。現状、国内で発売されている5G端末は、ほとんどがNSA方式対応だ。

 NTTドコモはSA方式の商用サービスを開始するに当たり、新たにSA方式対応の5G端末を用意した。同社がNSA方式対応として21年9月に発売したシャープ製端末「SH-52B」を、SA方式対応として特別に手を加えたデータ通信専用端末だ。

 ここから「不都合な真実」が明かされていく。ドコモはSA方式のサービスについて、まずは下り最大速度が1.7Gビット/秒になると説明した。同社がNSA方式で提供する5Gサービスの下り最大速度は現在、4.2Gビット/秒である。SA方式の当初の下り最大速度は、NSA方式と比べて半減以下となる。

 なぜSA方式は進化した5Gであるにもかかわらず、NSA方式と比べて速度劣化しているのか。

 実はこれはドコモに限った話しではなく、世界の通信事業者がSA方式導入に伴って少なからず直面する現実である。NSA方式の通信速度は、4G帯域も活用して通信速度の向上を果たしているのに対し、SA方式は4G帯域を使わず、5G専用帯域のみでサービスを提供するからだ。

 例えばドコモのNSA方式の場合、3.7GHz帯と4.5GHz帯という5G専用帯域に加えて、4Gで活用する帯域も束ねることで下り最大4.2Gビット/秒という通信速度を実現している。NSA方式では、4G帯域も活用することで通信速度を底上げしている形だ。

 SA方式はすべて5G専用設備でサービスを提供するため、このような4G帯域による底上げ効果がない。NTTドコモの場合、3.7GHz帯と4.5GHz帯という5G専用帯域のみを活用するため、下り最大1.7Gビット/秒にとどまる。

 ドコモはSA方式でも、かろうじて4Gサービスの最大通信速度並みに引き上げたものの、世界の通信事業者の中には、5G専用帯域を十分に確保できず、SA方式の最大通信速度が当初は4G以下になるケースもあり得るだろう。これこそがSA方式の不都合な真実である。

 SA方式では、世界の通信事業者のほとんどが「Option 2」と呼ばれる構成でサービスを展開する計画だ。Option 2は、4G基地局や4Gコア設備を全く使わず、5G基地局と5Gコア設備(5GC)だけでサービスを展開するというシンプルな形態である。

 こうしたSA方式の課題を解消する方策として、標準仕様として定められた「Option 4」構成を取ることが有効と指摘する。

 Option 4構成は、5Gコア設備(5GC)を使い、その下に5G基地局と4G基地局がぶらさがる形である。4G設備を一部活用するためにNSA方式の一種になるが、基本的な通信の確立に5G設備を使い、4Gを部分的に速度のブースト用途に使う。ちょうどOption 3とは、5Gと4Gの主従が逆転した形態になる。

 とはいえ、すぐにOption 4に対応した機器が市場に登場するとは考えにくい。既に米国や韓国、そして日本を含めてSA方式の商用導入が始まっている。そのほぼすべてがOption 2の構成によるSA方式とみられる。

 NTTドコモは22年夏にSA方式を一般顧客にも広げるとしている。その際には速度劣化を避けるために、ある程度の4G帯域を5Gへと転用することが不可欠になりそうだ。SA方式は法人顧客にとっては新たなビジネスの種になると期待される一方、一般顧客向けのアピールについては、各社が頭を悩ませそうだ。

5.ローカル5G活用で大型イベント開催の在り方探る、NRIやNECネッツエスアイが実証(12.13 日経XTECH)
 NRIのほかJTOWER、NECネッツエスアイ、綜合警備保障(ALSOK)、ヤマハ、横浜国際平和会議場、横浜市、横浜みなとみらい21が共同で取り組む。実証実験はパシフィコ横浜の新棟「ノース」の1階多目的ホールと2階ガーデンラウンジで実施し、2021年12月18日と19日にパシフィコ横浜で開催されるイベント「お城EXPO2021」の会場も利用する予定だ。

 実験では、警備用ロボットの遠隔操縦・監視システムや、会場の4K映像をAI(人工知能)で解析する混雑検知システムなどについて、導入効果や運用面の課題などを検証する。建物内における電波状況などのデータも収集・分析し、大型複合施設へのローカル5Gの導入・運用ノウハウの集積にも役立てる。

 8者はNRIを代表機関とする「横浜みなとみらい21地区ローカル5G実証コンソーシアム」を形成し、総務省の「令和3年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に向けて実証事業企画「大型複合国際会議施設におけるポストコロナを見据えた遠隔監視等による安心・安全なイベントの開催」を提案。2021年8月31日に採択され、今回の実証実験に至った。

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