週間情報通信ニュースインデックスno.1306 2021/12/11


1.Google Workspaceによる会話や共同作業の中核、「スペース」活用術(12.10 日経XTECH)
Google Workspaceは、「スペース」を上手に活用できれば作業をスムーズに進めていけるだろう。スペースは、メンバー同士が会話をしたり共同で作業を進めたりする場所のようなところだ。スペースで提供されている機能を把握することが、Google Workspace活用の第一歩となる。

 スペースはテーマやジャンルごとに1つ作成し、ここで関連する会話をしたり共同作業を進めたりする。ビジネスシーンであれば案件やプロジェクト、グループなどの単位でスペースを作成することになるだろう。たとえば「開発部」というチームのスペースがあるかもしれないし、「A社向け開発案件」というプロジェクトのスペースがあるかもしれない。

 パソコンでスペースを使う場合、ブラウザーでGmailを開くかGoogle Chatアプリを開いて利用する。いずれの場合も、画面左側の「スペース」欄に並ぶスペース名をクリックすると、選択したスペースでの作業場が表示される。

 スペースは「Chat」「ファイル」「タスク」の3つのタブに分かれている。この中で最初に表示されるのが「Chat」タブだ。「Chat」タブの主な用途は、メンバーとチャットなどでコミュニケーションを図ることである。画面構成や操作方法はSMSやLINEなどに似ているので、それほど迷うことなく操作できるだろう。

 スペースで共同作業をするための情報は「Chat」タブですべて確認できるようになっているので、基本的にこのタブを開いておけば、メンバーとコミュニケーションをとりつつ作業を進められる。その意味で「Chat」タブはスペースの中心だといえる。

 「ファイル」タブは、スペースで共有されているファイルを確認したり新たにファイルを追加したりできるタブだ。前述の通りファイルは「Chat」タブでも確認できるが、やり取りが増えてくると古い情報は上に流れてしまい、必要なファイルを見つけるのに手間がかかる。そのため、ファイルを探すのなら「ファイル」タブからのほうが見つけやすい。

 また、GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートといったGoogle Appsのファイルであれば、この画面から編集画面に遷移できる。Microsoft Office形式のファイルや画像ファイルなどはプレビューで確認可能だ。

 「タスク」タブでは、メンバーにタスクを割り当てて、いつまでに仕上げるといったスケジュールを設定し管理することが可能だ。割り当てたタスクはメンバー全員が確認できるので、特定の人にタスクが偏ってしまうような事態を防げるだろう。

2.データ通信・給電・ディスプレイ出力の相乗りで分かりにくいUSB、最新規格を整理(12.9 日経XTECH)
 PCに周辺機器を接続するインターフェースとして、USB Type-Cが順調に普及している。USBは多用途に対応できるため便利な一方、同じ形状でも機能が違うために混乱もある。ここではUSBやネットワークなど、PCのインターフェースが2022年にどのように変わっていきそうかを見ていこう。

 USBは規格(仕様書)のバージョンと通信速度が1対1になっていないため、混乱しやすい。通信速度を確認するときは、バージョンに加えて「Gen 1」「Gen 2」「Gen 3」といった世代表記を見るか、転送速度の数値を直接見るとよいだろう。

 現在使われているUSB端子はType-CとType-Aの2種類がある。Type-Aは周辺機器側のType-Bと対になって使われるが、Type-CはPC側も周辺機器側も同じType-Cだ。  USBには基本仕様の中に「バスパワー」といってデータ転送と同時に電力供給ができる仕様が含まれている。これはキーボードやマウス、オーディオ、ストレージなどの周辺機器を別途ACアダプターを使わず利用するためのものだ。

 USB2.0は2.5Wまで、USB 3.2は4.5Wまで、USB Type-C利用時のみ「Type-C Current」として少し大きめの電力(最大15W)が供給できる。USB4については、ベース仕様として電力は規定されていないが、USB Type-C前提の仕様であるため、実質最大15Wだ。

3.みずほ銀行の「前時代的」トラブル、稼働11年のスイッチや6年のディスクが故障(12.8 日経XTECH)
勘定系システム「MINORI」は刷新せず、運用を見直す――。システム障害について金融庁や財務省から行政処分を受けたみずほ銀行やみずほフィナンシャルグループ(FG)は、再発防止策の方向性をこう説明する。同行の運用に数々の問題点があったのは間違いないが、果たして「運用でカバー」するだけで、次のシステム障害は防げるのだろうか。

 金融庁は、MINORIが複雑なシステムだと指摘するが、複雑であること自体が問題であるとは見なさなかった。システム障害の直接的な原因としては、複雑なMINORIを安定稼働させる保守管理体制をみずほ銀行が整備していなかった点を挙げる。つまりは運用に問題があったとするスタンスだ。

 確かにみずほ銀行におけるMINORIの運用体制には数多くの問題点があった。それを象徴するのが、みずほFGが2021年11月26日の記者会見で示した1枚のスライドだ。同社が2021年11月2日に機関投資家向けに配布した資料にも同様のスライドがあった。

 これはMINORIのITインフラストラクチャー基盤について説明した図だ。一番下の「ハードウエア故障率(ディスク)」を示す部分からは、みずほ銀行がIT機器を10年に1度更改する方針であるように読み解ける。

 みずほFGとみずほ銀行のIT・システムグループ共同グループ長を兼務する米井公治みずほ銀行副頭取は11月26日の記者会見でこの点を指摘され「10年で更改というのは誤解がある。ハードウエアの部位ごとに適切な年数でメンテナンスを予定している」と弁明した。

 しかし実際には、2021年3月3日に起こしたシステム障害は、2010年3月に導入したネットワーク機器(ネットワークスイッチ)のネットワークカードが故障したのが原因だった。稼働開始から丸11年が経過しており、メーカーによる保守期限は2021年7月に終了する予定だった。

 2010年3月に導入したネットワーク機器は複数あり、2021年3月3日に故障したのとは別の筐体(きょうたい)で、2019年1月と2020年6月、2020年9月にネットワークカードが故障していた。稼働開始から時間が経つにつれ、ネットワークカードの故障率は上昇していた。

 また2021年8月20日に「業務チャネル統合基盤」で起きたシステム障害は、2015年に稼働を開始したストレージ装置でハードディスクが2台連続して故障したのが発端だった。MINORIが全面稼働したのは2019年7月だが、そのテストは2015年から始まっていた。ITインフラを稼働してから6年以上が経過していた。

 企業の基幹系システム、特に止めてはいけないミッション・クリティカル・システムにおいては、サーバーやストレージなどのITインフラは5年で刷新するのが一般的だ。例えば東京証券取引所は2010年1月に株式売買システム「arrowhead」を稼働して以来、2015年9月と2019年11月にシステムを刷新している。

 数十万社にも及ぶ顧客のシステムを預かる大手クラウド事業者は、ITインフラをもっと短い間隔で更新する。米Microsoft(マイクロソフト)や、米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)と米Google(グーグル)の親会社が決算資料に記載するITインフラの耐用年数は、サーバーが4年、ネットワーク機器が4〜5年だ。

4.Netflixも通信コスト負担を、世界でインフラただ乗り論再び(12.6 日経XTECH)
「巨大IT企業は通信インフラにただ乗りするのではなく、コストを支払うべきだ」――。

 過去何度も議論となってきた通信インフラコストの負担に関する問題が、再び世界で沸騰している。韓国では、韓国SK Telecomの子会社でインターネットサービスプロバイダーの韓国SK Broadband(SKブロードバンド)が、膨大なトラフィックを生み出している米Netflix(ネットフリックス)を相手に、ネットワーク使用料の支払いを求め法廷闘争を繰り広げている。欧州では大手通信事業者のCEO(最高経営責任者)13人が連名で、巨大IT企業に対して通信インフラコストの一部負担を求める声明を出した。通信インフラコストは誰が負担すべきなのか。通信事業者と巨大IT企業の間で、せめぎ合いが激しくなっている。

 韓国制作のドラマ「イカゲーム」が世界で大ヒットしているネットフリックス。そのネットフリックスが皮肉なことに韓国で矢面に立たされている。前述のように、韓国のインターネットサービスプロバイダーであるSKブロードバンドが21年9月、ネットワーク使用料の支払いを求めてネットフリックスを提訴したからだ。

 SKブロードバンドは、「ネットフリックスは当社が構築した通信インフラを利用して利益を得ているにもかかわらず対価を支払っていない。損失を被っている」と批判する。SKブロードバンドの通信インフラ上で発生するネットフリックスのトラフィックは、18年5月の50Gビット/秒から21年9月には1200Gビット/秒と約24倍に急増しており「損失が増え続けている」(同社)とした。

 欧州でも21年11月29日、英Vodafone Group(ボーダフォングループ)やドイツDeutsche Telekom(ドイツテレコム)、スペインTelefonica(テレフォニカ)など通信事業者のCEO(最高経営責任者)13人が連名で、世界の巨大IT企業に対して通信インフラコストの一部負担を求める声明を発表した。

 欧州の通信事業者は声明文において、「(我々は)欧州の通信インフラに対して過去6年間で最高となる年525億ユーロ(約6兆7000億円)を投資している」ことを明かし、これらの通信インフラにおけるネットワークトラフィックの大部分と増加分について「巨大IT企業が生み出し収益化している」と主張。「巨大IT企業が公平にネットワークコストを負担する場合において、通信インフラが持続可能になる」とし、通信インフラを使って巨大な収益を生み出している巨大IT企業に対して対価を求めた。

 ここにきて、世界を舞台に再びインフラただ乗り論争が再燃しているのはなぜか。

 欧州の通信事業者CEOの連名の声明文からは、5G(第5世代移動通信システム)の投資負担が重いこの時期、膨大なトラフィックを生み出しているにもかかわらず、収益を奪い去っている巨大IT企業を不満のはけ口としてやり玉にあげているように見える。

 カナダのネットワーク機器ベンダーであるSandvine(サンドバイン)の調べによると、19年上半期のインターネット全体の下りトラフィック合計のうち、ネットフリックス1社の生み出すトラフィックが実に12.6%を占めたという。かつてのインターネットと異なり、一部の巨大IT企業がトラフィックの多くを占めるようになってきた状況変化も背景にありそうだ。ネットフリックスの配信によって全世界でヒットしているイカゲームも、この論争に油を注いでいるといえる。

 通信事業者は膨大なトラフィックを支えるために、巨大なインフラコストを投じているのに、おいしいところをすべて巨大IT企業に奪われるのは我慢ならないといったところだろうか。

 逆にコンテンツを提供する巨大IT企業側からすると、特定企業にだけインフラコストを求めることは、すべてのインターネットトラフィックは公平に扱われるべきだとするネットワーク中立性の原則に反するという立場だろう。

 とはいえ、一部企業が生み出す膨大なトラフィックによって、ネット世界のバランスが大きく変わりつつあることは確かだ。英国ではこうした環境変化を踏まえて、通信・放送関連の規制当局であるOfcom(オフコム)がネットワーク中立性の原則を見直すレビューを始めた。韓国におけるSKブロードバンドとネットフリックスの法廷闘争も継続中だ。今や世界の人々の生活に欠かせなくなり、新型コロナウイルスの感染拡大によってますます重要性が増した通信インフラをめぐって、インフラただ乗り論争が世界で活発になっていきそうだ。

5.テレワーク監視ツールが見つけた「1日5時間サボリーマン」の実態(12.7 ITmedia)
テレワークは全ての職種に最適な働き方ではないものの、HRの常識を大きく変え、業界全体に影響を与えている。最近の報告では、柔軟に勤務形態を選べるようになったエンジニアの中には、地方で働くことを選択する者がいる。一方で、企業はテレワーカーの勤務実態を把握して生産性を上げたいと考えている。

 2021年9月に米国のビジネスレビュープラットフォームDigital.comが実施した調査の結果によると、在宅勤務の従業員を抱える企業の60%が、監視ソフトウェアによって従業員を追跡している。

サボり人員の解雇で生産性向上、従業員に無断で監視する企業も

 1日あたり1〜4時間、業務から離れたり業務と無関係なインターネット閲覧をしていたりする従業員を発見した企業は52%あり、5時間以上の「サボり」従業員を発見した企業は27%あった。

 監視ソフトウェアを利用する企業のうち、14%が従業員に通知していない。広告系企業と情報技術関連企業は監視ソフトウェアを採用する傾向が最も高く、監視ソフトウェアを導入した81%が「生産性が向上した」と答えた。監視ソフトウェアの導入後に「サボり」を理由とした従業員の解雇を実施した企業は88%に上った。

 従業員のテレワークを監視するニーズは、コロナ禍でテレワークが爆発的に普及した2020年以降とりわけ目立つようになったが、実は以前から存在していた。雇用主が従業員の活動を追跡する主な理由は「生産性の向上」だが、コンタクトトレーシング(接触者追跡)や知的財産の保護が目的と回答する企業もあった。

 しかしコンプライアンスの専門家は、以前のHR Diveのインタビューにおいて、テレワークの監視を制限する法律がパッチワークのように乱立していることを警告している 。また、テレワークする従業員の仕事ぶりをオフィスと同じレベルで監視できるようにすることが、リーダーシップの視点から果たして良いことなのかどうか、メリットとリスクを踏まえてよく考える必要があるとしている。

 従業員の立場も考慮しなければならない。テクノロジーワーカープラットフォームBlindの匿名ユーザーを対象とした2018年の調査では、回答者の約4分の1が、雇用主が従業員を監視する時間が「不当に長い」と述べている。また、CIO Diveには「労働者の追跡が従業員の電子プライバシー保護と相反する可能性がある」と指摘するコメンテーターもいる。

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