週間情報通信ニュースインデックスno.1305 2021/12/04


1.テレワーク「劣等生」はあの役職とあの年代、ダントツに低い利用率(12.3 日経XTECH)
テレワークに最も積極的なのは役職別では課長クラス、年代別だと40代、勤め先の規模は超大企業――。テレワークの実態を探る最新調査で、こんな傾向が分かった。回答者の役職と年代、勤め先の規模別に分析した結果からは、「やはり」と言えそうな課題も浮かび上がった。

 最新の調査「働き方改革に関する動向・意識調査」は日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが2020年春から定期的に実施しており、2021年10月に最新の4回目を実施した。2021年7〜9月(一部地域は8〜9月)における緊急事態宣言(まん延防止等重点措置を含む、以下同)の最中と、10月以降の宣言解除後について、在宅勤務の実施状況などを聞いた。

 緊急事態宣言の最中(7〜9月)、週3日以上テレワークした人の割合は54.0%だった。宣言が全面解除された10月以降は40.8%と13.2ポイント下がった。この結果は、前回記事で紹介したとおりである。

 ここでは週3日以上テレワークした人の割合について、役職別に掘り下げてみる。  まずは緊急事態宣言中だ。部長以上(経営者・役員を含む)の回答者のうち、週3日以上テレワークした人の割合は39.3%だった。課長クラスは64.5%、一般社員(専門職を含む)は54.5%、派遣・契約社員とパート・アルバイトは40.9%だった。

 全面解除後は部長以上が28.6%、課長クラスが50.0%、一般社員が40.6%、派遣・契約社員などが32.0%だった。

 データを見る限り、部長以上のテレワーク利用率は派遣・契約社員より低い。役職の高い人が出社すると、部下は「自分も出社しなければ」と感じる人も出てくるだろう。時間がたつにつれ、一般社員の出社率が上がる事態にもつながる可能性がある。責任ある立場上、出社しなければならない機会もあるだろうが、創意工夫したいところだ。

2.ローカル5Gビジネスにも進出、AWSはどこまで携帯網を飲み込む?(12.3 日経XTECH)
携帯電話ネットワークを次々に侵食する米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)から、またしても注目のサービスが登場した。2021年11月30日(米国時間)に同社のイベント「AWS re:Invent 2021」にて発表した「AWS Private 5G」がそれだ。ローカル5Gのような企業専用の5G網を、わずか数日で高額な初期費用なしに提供できるという。5Gビジネスの本命といわれる企業向け分野でも、AWSの快進撃は止まりそうにない。

 「複雑なインテグレーション抜きにわずか数日で、モバイルテクノロジーの優れた機能を企業が利用できるようになる。高額な初期費用もいらない」――。

 企業は現在、Wi-Fiや有線ネットワークを使って業務に活用するケースが多い。Wi-Fiの場合、遅延の保証が難しく、エリアも5Gのような携帯電話ネットワークと比べて狭いという課題がある。有線ネットワークは工場内の頻繁なレイアウト変更などに対応するにはコストがかかるという点がデメリットだ。

 こうした課題の解決手段として注目を集めているのが、企業専用の5Gネットワークだ。国内では企業が地域限定で電波を獲得し専用ネットワークを運用できる「ローカル5G」がある。海外では共用周波数帯などを活用して、同様の専用網を運用できる「プライベート5G」への期待が高まっている。

 ただしローカル5Gやプライベート5Gには、高額な初期コストがかかるほか、ネットワーク導入の敷居が高いという課題がある。ローカル5Gの場合、初期コストは数千万円かかるといわれ、置局設計や運用支援などのネットワーク導入についてもSIerに頼むケースが一般的だ。

 AWS Private 5Gは、このような企業専用5Gネットワークの導入の手間を極力簡単にし、料金も初期コストなしに、利用したネットワーク容量に応じた従量課金にするという。

 具体的には、AWSのコンソール画面で企業専用の5Gネットワークに必要な容量やカバレッジの広さなどを入力すると、AWSから企業宛てにセットアップされた小型基地局やサーバー、SIMカードが送られてくる。企業は小型基地局やサーバーを電源とインターネット回線につなぎ、AWS Private 5GにつなぎたいデバイスにSIMカードを挿入、AWSのコンソール画面でアクティベートすると、デバイスが企業専用の5Gネットワークにつながるようになる。現時点でAWS Private 5Gに対応する周波数帯は、米国で免許不要で利用できるCBRS(Citizens Broadband Radio Service、市民ブロードバンド無線サービス)対応の3.5GHz帯という。

 セリプスキー氏は基調講演でAWS Private 5Gについて、「企業のオフィスから大規模なキャンパス、工場のフロア、倉庫まであらゆる企業ネットワークに対応できる。自動構成してセットアップするだけだ」と強調した。

 AWS Private 5Gは、米国からプレビュー版の提供を開始する。米国では免許不要で企業が専用5G網などを活用できるCBRSの仕組みが既にあるため、AWS Private 5Gのようなサービスを始めやすかったと考えられる。

 他国でも企業専用の電波を何らかの形で獲得できれば、同様のサービスを提供できそうだ。日本の場合、企業や自治体が地域限定で専用電波を利用できるローカル5Gの仕組みがある。欧州などでは、携帯電話事業者が持つ電波を、企業専用に貸し出す仕組みがある。AWS Private 5Gが世界各国に広がる場合、各国の電波獲得の事情によって、そのサービス形態が一部変わりそうだ。

 クラウド界の巨人であるAWSのローカル5Gビジネス参入によって、この市場の競争激化は必至だろう。企業専用の5Gネットワークの分野には、多くのプレーヤーが商機を見いだし、市場参入している。フィンランドNokia(ノキア)やNEC、富士通といった大手通信機器ベンダーに加えて、新興通信機器メーカー、SIer、さらには携帯電話事業者もネットワークスライシングを活用し、仮想的に企業専用5Gネットワークを提供しようと準備している。AWS Private 5Gは、手軽さや初期コストの安さで、このようなローカル5Gビジネスの台風の目となる可能性がある。

 携帯電話ネットワークの深部を次々と侵食する近年のAWSの動きは目覚ましいものがある。今回のAWSのイベントには、AWSの各種サービスをオンプレミス環境で実行できる「AWS Outposts」を用いてネットワークを構築する米国の第4の携帯電話事業者であるDish Network(ディッシュ・ネットワーク)の幹部が登壇。クラウドをフル活用した携帯電話ネットワークへの期待を口にした。

 携帯電話事業者の5Gネットワーク内にAWSのサーバーを設置し、アプリケーション開発者などがAWSのさまざまな機能を低遅延で利用できる「AWS Wavelength」についても、世界の携帯電話事業者の間で採用が広がっている。今回のイベントでは、既にサービスを提供する米Verizon Communications(ベライゾン・コミュニケーションズ)やKDDI、韓国SK Telecom(SKテレコム)、英Vodafone(ボーダフォン)に加えて、カナダの通信事業者Bell Canada(ベルカナダ)も新たに採用することが明らかになった。22年には北米とアジア、欧州でWavelengthを提供する地域が17に拡大するという見通しも示した。

 携帯電話ネットワークのインフラからエッジ、ローカル5Gに至るまで、AWSの侵食はとどまるところを知らない。AWSは、過去の携帯電話ネットワークのインフラの常識を塗り替え、新たな競争のフェーズをもたらしていることは確かだ。

3.文部科学省が「脱PPAP」、Emotet流行に備え(12.2 日経XTECH)
文部科学省は2021年12月1日、送受信メールの添付ファイルをクラウドストレージに自動で移し、受信者がファイルをクラウドストレージからダウンロードする仕組みを導入すると発表した。2022年1月4日に運用を開始する。

 導入の目的はパスワード付きZIPファイルをメールで送信し、解凍パスワードをメールで追送するファイル共有手法「PPAP」への対策だ。PPAPは「Emotet(エモテット)」などのマルウエア感染を助長しているとされる。PPAPでのファイル共有を防止する仕組みを取り入れることで、マルウエア感染を防ぐ。

 クラウドストレージには米Boxの「Box」を採用する。NECのメールセキュリティー製品「MCメールフィルター」のBox連携機能と組み合わせ、添付ファイルをBoxへ自動で移す。メールの受信者にはBoxのURLが届き、受信者はURLにアクセスしてファイルを取得する。

4.PicoCELAがローカル5Gと無線メッシュ連携の農業IoT基盤、南砺市のブドウ畑で実現(11.30 日経XTECH)
PicoCELAは2021年11月30日、同社製品の販売店であるSCSK、設置パートナーのとなみ衛星通信テレビおよびIoZと連携し、ローカル5Gと無線メッシュを連結させたIoT農業管理ソリューションの実現に成功したと発表した。

 同ソリューションは、トレボー(富山県南砺市)が管理するワイナリーに併設する広大なブドウ畑に導入した。地域のケーブルテレビ局であるとなみ衛星通信テレビのローカル5G基地局を元回線として利用し、PicoCELAのエンタープライズ無線メッシュ技術によって広い圃場内において、点在する圃場の監視カメラや鳥獣害検知センサー、お天気センサー、スマートグラスなど各種デバイスのデータ伝送を無線メッシュ技術で実現した。

 トレボーは、「本当に美味しいものを消費者へ」という理念を掲げて、富山県南砺市で広大な敷地でブドウづくりとワイナリー運営を行っている。トレボーは、自社の敷地だけでなく近隣の遊休農地を借りてワイン用ブドウを栽培しており、点在した圃場に設置したカメラやセンサーのデータ伝送手段が必要だった。今回は、本社屋から700m離れた12haの農場および複数個所の近隣農地にこのソリューションを導入した

 ブドウの育成状況や圃場の状態の目視把握は重要で、監視カメラ網を圃場内に張り巡らせることを検討してきた。しかし、トレボーの本社屋兼醸造所から同社の圃場までは700m以上の距離があり、借りている農地も点在している。また圃場自体の面積が12haもあり、LAN配線は難しい状況だった。

 そこで、まずローカル5Gの基地局を醸造所そばに敷設して元回線を確保した。ローカル5G基地局が圃場から約700m離れているケースでも、PicoCELAの屋外ソリューション「PCWL-0410」と指向性アンテナを組み合わせて、この圃場12haに対して5台セットで監視システムの通信基盤として安定した無線LAN環境を構築できたという。電源にはソーラーパワーとバッテリーを組み合わせて、完全にケーブルレスな圃場監視ソリューションを実現した。

5.XperiaがAndroidスマホ販売シェア1位に浮上――今さら感強い「Xperia View」に不安要素(12.4 ITmedia)
MM総研が2021年度上期(2021年4月〜9月)の国内携帯電話端末の出荷台数を発表。スマートフォン出荷台数で、ソニーがAndoridスマートフォンで1位となり、これまで1位をキープしていたシャープは2位に陥落した。

 ソニーとしては、Xperia 10 IIIやXperia Ace IIなどが好調なのだろう。低価格路線でユーザーが手が届きやすいとともにサブブランドやMVNOなどの販路拡大もあって、販売台数を伸ばしたようだ。

 他社が得意としていた「ミドルクラスで台数を稼ぐ」という戦略が、ようやくソニーでも成功を収めつつあるのだろう。

 スマートフォンメーカーとしては「ハイエンドでメーカーとしてのブランド力を訴求しつつ、ミドルクラスで台数を稼ぐ」というのが定番の勝ちパターンとなりつつある。10年連続、スマートフォン出荷台数1位のアップルも毎年、秋にハイエンドとして新製品を投入しつつも、しっかりと台数を稼いでいるのは今年であればiPhone SE、最近であれば1円で売られることも珍しくなくなったiPhone 12 miniではないか。

 ソニーとしてはXperia 1 IIIやXperia 5 IIIといったハイエンド路線も支持されているなか、さらに上をいくXperia PRO-Iも投入してきた。ソニーはXperia PRO-Iに関してはグローバルでもチカラが入っているようで、YouTubeには世界各国からレビュー動画が上がっている。

 コメントを見ても、英語などで「ソニーらしい製品」と絶賛されているのを見ると、ユーザーに「わかりやすく、ソニーとしての個性があるスマホ」として認識されているようだ。

 ただ、一方で、VRヘッドセット「Xperia View」が、なぜ、このタイミングに発売になったのが、いまいち、よくわからない。スマートフォンを使ったVRヘッドセットは、サムスン電子がGalaxyで散々、アピールし、CESやMWCの会場でスポーツやゲームなど、まるで遊園地にあるような設備を使ってバーチャル体験させており、国内でもGalaxy Harajukuなどでも展開していた。しかし、結局、普及することなく、サムスン電子はあっさりと諦めてしまった過去がある。

 確かに世間では「メタバース」が注目を浴びているが、Xperia Viewでは、そこまで多機能なことができるというわけではない。限られた映像コンテンツを視聴できるだけにとどまっており、「今さら感」が強いのだ。



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