1.クアルコム、5Gと無線LANを共存可能へ 7GHz帯の新RFフィルター(10.29 日経XTECH)
米Qualcomm(クアルコム)は2021年10月20日、7GHz帯までに対応する新しいRFフィルター技術「ultraBAW」を発表した。このRFフィルターを使うことで、任意の周波数帯の信号だけを取り出し、他の周波数帯の信号を遮断することが可能になる。今回の新技術では、5Gと無線LAN(Wi-Fi)の共存もサポートし、7GHz帯までの無線システムにアクセスできるようになる。携帯機器類やノートパソコン、自動車、IoT、産業用アプリケーションなどさまざまな分野で、5GとWi-Fiがシームレスに使えるようになり、屋内、屋外での性能や電力効率が向上する。
今回のultraBAWは、600M〜2.7GHzまでをカバーする既存のRFフィルター「ultraSAW」から中周波数帯域接続を拡大し、2.7G〜7.2GHzに対応する。また、最大300MHz幅の超広帯域チャネルにも対応するため、ダウンロードやアップロード時の高速化も可能になる。
2.データセンターの400Gbps通信を実現、三菱電機が半導体レーザー(10.28 日経XTECH)
三菱電機は、+5?85℃と広い温度範囲で動作する光トランシーバー向け半導体レーザーを開発し、21年11月1日にサンプル出荷を始める。新製品1つで100Gビット/秒(bps)のデータ伝送速度が得られる。光トランシーバーに4つ搭載することで、データセンターの400Gbps光ファイバー通信を実現する。
今回の新製品は、半導体レーザーを埋め込んだ基板(チップ)に電界吸収型光変調器を集積した素子(EML:Electro-absorption Modulator Laser Diode)である。半導体レーザーから連続的に出力される光を、電界吸収型光変調器でオン/オフし、データ伝送信号を生成する。電界吸収型光変調器で53Gボー(Baud)の4値パルス振幅変調(PAM4:4 Level Pulse Amplitude Modulation)を実行することで、最大100Gbpsのデータ伝送速度が得られる。光トランシーバーに新製品を4つ搭載してCWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing)通信システムを構成すれば、データ伝送速度は最大400Gbpsに達する。データセンターに設置したサーバーやルーターなどを接続する光ファイバー通信システムに向ける。
新製品には、+5?85℃と動作温度が広いという特徴がある。「+5?85℃動作のデータセンター向けEMLチップは、三菱電機では初めて」(同社)。「広い温度範囲で動作するため、素子の冷却が不要になり、光トランシーバーの消費電力とコストを低減できる」(同社)とのことである。
3.ファーウェイ、低炭素な5G基地局や省電力な5G構築を支援(10.26 日経XTECH)
中国Huawei Technologies(ファーウェイ)は2021年10月14日(現地時間)、環境に優しく低炭素な5Gネットワーク構築を支援する「GreenSite」「PowerStar2.0」を同社イベント「2021 Global Mobile Broadband Forum」にて発表した。GreenSiteは革新的なアーキテクチャーと基地局構成、最先端のソフトウエアとハードウエア統合により、20倍のエネルギー効率化を実現。PowerStar2.0は新しい省エネ機能を導入し、基地局やネットワークのエネルギー消費量を25%以上削減するとしている。
省電力な無線装置:大規模アンテナアレイ「MetaAAU」で大幅な利得向上を実現。従来のAAU(アクティブアンテナユニット)モジュールと同じダウンロードカバレッジを提供しながら、消費電力を30%削減する。また、超広帯域RRUは、超広帯域対応パワーアンプや各種ハードウエアユニット、最新アルゴリズムを使用して統合した複数のシングルバンド対応機器を小型の1つの筐体(きょうたい)に格納。従来と同等の消費電力で、より多くの帯域サポートを実現する。
空調不要の基地局:基地局の総エネルギー消費量の30%〜40%は、設備室内のエアコンによるものだ。Huaweiは、基地局の構造を簡素化する新しい屋外用キャビネット「APM5950」を用意。設備室やエアコンが不要になり、基地局のエネルギー効率が60%〜90%向上すると同時に、エネルギー消費量も30%削減する。また、従来のディーゼル発電機の代わりに太陽光発電と高サイクルリチウムイオン電池を使用することで、さらなるCO2排出量削減も実現する。
サービスとの連携による省電力化:基地局の電源、ストレージ、各種ユニットをサービスと高度に連携させることで、通信量負荷に応じたリアルタイムな電力供給、電力消費最適化が可能となる。サービスに適したエネルギー使用とスマート温度制御を行い、エネルギー供給効率を最大限に高める取り組みを進める。
秒単位での最適化による性能保証:高い性能を保証しつつ、省電力化を実現する高度な基地局を導入する。ネットワークの性能要件が変化した場合には、基地局が高度な予測とそれに基づく最適化を行い、スリープ条件を数秒内に変更する。これによりネットワーク性能を確保しながら、最大限の省電力化が可能となる
4.NTTドコモがNTTコムとコムウェアを子会社に、2025年度に法人売上高2兆円目指す(10.25 日経XTECH)
NTTドコモは2021年10月25日、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)とNTTコムウェアを2022年1月1日付でNTTドコモの子会社にすると発表した。法人向けなど各社の事業を統合するとともに、移動通信と固定通信を統合したネットワークの提供などを進めることで、2020年度に約1兆6000億円の法人売上高を2025年度に2兆円に引き上げることを目指す。
NTTドコモは2社の子会社化に伴い、2022年1月に新たな法人事業のブランド「ドコモビジネス」を立ち上げ、中小企業向けの営業体制を強化する。2022年度第2四半期にかけて3社の機能を統合していく予定で、詳細は2021年12月ごろまでに発表するとしている。
NTTドコモの井伊基之社長は会見で、統合の狙いについて「通信を主力としてきたこれまでの事業構造から転換し、法人とスマートライフ事業で収益の過半を創出する」と話した。さらに「NTTドコモとNTTコムのネットワーク機能を統合することで高品質で経済的なネットワークを実現する。多様なニーズに応える料金・サービスの提供や販売チャネルの変革にも取り組み、期待を上回る顧客体験を提供するとともに、収益を確保できる事業構造にしていく」と意気込みを語った。
5.5Gミリ波で上り700M超え、ベライゾン・サムスン・クアルコム達成(10.25 日経XTECH)
米Verizon(ベライゾン)と米Qualcomm(クアルコム)、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は2021年10月14日、実験施設内におけるミリ波のキャリアアグリゲーション(CA)試験により、アップロード(上り)速度711Mビット/秒を達成したと発表した。これは1Gバイトの動画を約10秒でアップロード可能な速度に相当する。
実験には、ミリ波CAのほか、SU-MIMOなど最新の5G技術が適用されている。Verizonは5Gミリ波の帯域幅400MHzと4Gの同20MHzを組み合わせ、Samsungがベースバンド装置と無線装置、アンテナを一体化した28GHz帯対応小型基地局「5G Compact Macro」、仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)、仮想基幹ネットワーク(vCore)を提供。試験端末には、Qualcommの第4世代5Gミリ波対応モデム-RFシステムとなる「Snapdragon X65」が搭載されている。
アップロード速度が高速化されると、混雑した繁華街やコンサート会場、スタジアムなどでも動画、画像、データ類をクラウドやソーシャルメディアに短時間でアップできるようになる。また、リモートワークなどでも、大量ファイル送信やクラウド上の文書編集、同僚との連携作業などが円滑に行える。
企業のプライベートネットワークにおいても、工場でのAI(人工知能)や超高解像度動画を駆使した不良解析、防犯カメラの大規模配備によるセキュリティー強化などのユースケースを実現可能とする。
3社は今後も5Gミリ波サービスの大規模展開を進めると同時に、ミリ波の新たな可能性に向けた技術革新を行っていくとしている。
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