週間情報通信ニュースインデックスno.1299 2021/10/23


1.「東京五輪で4.5億回のサイバー攻撃」NTTらが語る大会運営の裏側(10.21 日経XTECH)
 「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の期間中に、約4億5000万回ものサイバー攻撃とみられるシグナルを検知した。しかし攻撃をブロックするなどして、大会運営に支障を来すインシデントは発生しなかった」。

 NTT執行役員でCISO(Chief Information Security Officer)を務める横浜信一氏は2021年10月21日、21年夏に開催された東京五輪・パラリンピック大会の舞台裏をこのように明かした。NTTグループは同大会のゴールドパートナーとして、サイバーセキュリティー対策を含む大会の運営に必要な通信サービスを提供した。

 約4億5000万回という攻撃回数は、12年に英国で開催されたロンドン五輪における約2億回という攻撃回数の2倍以上に当たるという。18年に韓国で開催された平昌冬季五輪では、サイバー攻撃によって一部ネットワークが接続できなくなるなどの被害が出た。

 今回の東京五輪・パラリンピックで、このような大きな被害が起きなかった理由について、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会テクノロジーサービス局局長の舘剛司氏は「組織委員会の立ち上げ期から、サイバーセキュリティーの専門家が内部スタッフとしてシステムを早期導入してきた。プロアクティブな対策を早期から推進できたことも重要だった」と振り返った。

 東京五輪・パラリンピックのサイバーセキュリティー対策の中心となったのは、大会前の19年3月から組織委員会が運用を開始した「セキュリティオペレーションセンター(SOC)」だ。大会期間中に最終的には128人の技術者が24時間体制で、サイバー攻撃から大会運営用ネットワークなどを防御した。128人の約7割がNTTの技術者だったという。

 NTTの横浜氏は「東京五輪・パラリンピックをきっかけに、NTT全体のセキュリティーの能力を高めようと考えてきた。当初達成したいと考えていた多くを実現できた。今後、海外の五輪・パラリンピックに向けて今回の知見をシェアするほか、2025年大阪・関西万博など国内の類似のビッグイベントに今回のノウハウを生かしていきたい」と語った。

2.ノキア、ソフトバンクとKDDIに共用5G RAN提供へ(10.21 日経XTECH)
フィンランドNokia(ノキア)は2021年10月14日、ソフトバンクとKDDIに向け、5G無線アクセスネットワーク共用環境を提供すると発表した。Nokiaのマルチオペレーター無線アクセスネットワーク(MORAN)をそれぞれの基幹ネットワークに接続することで、無線ネットワーク基地局やその他インフラ設備を共有する。これにより、低コストで効率的なネットワーク展開が可能になる。

 NokiaのMORANは、最新のベースバンド装置や無線プラットフォームを含むAirScale製品群で構成されており、LTEと5G、DSS(Dynamic Spectrum Sharing、動的周波数共有)の3つのモードをサポートする。ベースバンド部の容量拡張に向けては、同社製の次世代ReefSharkチップセットを搭載するプラグインカードを用意。導入やアップグレード時の手順を簡素化すると同時に、前世代の最大8倍のスループットを実現する。

 MORANを導入することで、多様な運用シナリオでの無線アクセスネットワーク共有が可能になり、コスト削減、カバレッジ拡張に加え、効率的な新技術導入が可能になる。なお、周波数は各通信事業者に割り当てられた専用周波数帯を使用し、独立したリソースとして制御する。

 Nokiaでは、この最新技術を使ったMORANソリューションを使うことで、必要な場所に必要な容量を追加し、最高の5G接続を実現できるとし、プライベートネットワークや産業向けにも活用可能という。

3.日本人の4分の3は「コロナ禍前に戻らず」、デジタル化で価値観変わるとNRI調査(12.19 日経XTECH)
野村総合研究所(NRI)は2021年10月18日、コロナ禍が収束した場合の生活者の消費価値観や生活行動を把握することを目的にした大規模インターネット調査「日常生活に関する調査」の結果を発表した。コロナ禍以前の生活状態に完全には戻らないとみている回答者は75%で、理由として「オンライン化・デジタル化が浸透した今の生活様式に慣れた」が20%近くあったことが分かった。

 この大規模インターネット調査は2021年7月から8月にかけて、全国の15〜69歳の男女個人、1万8800人を対象に実施した。調査の中で、コロナ禍後の生活全体の状況を尋ねたところ「コロナ禍以前の生活に完全に戻る」と回答した人は25%にとどまった。

 コロナ禍以前の生活に完全には戻らないと考えている75%の回答者に自由回答の形式で理由を尋ねた。その回答を分析したところ、「(新型コロナウイルスが)完全に収束するとは思えないから」が41.1%で最多だった。

 次いで多かったのが、コロナ禍をきっかけにテレワークが進んだり、オンライン化やデジタル化で無駄を排除した生活様式に慣れたりしたことを理由として挙げたケースで、18.4%になった。この結果についてNRIは「コロナ禍で半ば強制された行動変容、すなわち生活のデジタル化によって意識や価値観も変わってしまった」とみる。さらに「生活者の意識が変わったことなどを企業経営者はビジネスチャンスと捉えて、新需要獲得のためにもDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる必要がある」と指摘する。

4.楽天のパートナーが抱える「基地局用地」と「周波数」問題(10.23 ITmedia)
 現在、楽天は自社で構築した完全仮想化ネットワークの販売に注力している。すでにドイツの1&1社がネットワーク構築の長期的パートナーシップを締結している。  楽天グループの副社長兼CTOであり、楽天シンフォニーのCEOでもあるタレック・アミン氏と、ドイツ・ドリリッシュ・ネッツ AGのCEOであり、1&1社のテレコミュニケーションSEでもあるミハエル・マーティン氏が登壇していたのだが、1&1社がいま「苦労していること」としてあげたのが2点あった。

 一つ目が基地局設置で「数年間で1万2000という基地局を設置するには、場所を確保して認可申請をしないといけない」という。もうひとつが周波数帯でプラチナバンドを確保するため、2025年に予定されている800MHzのオークションに期待しているということであった。

 まさに楽天モバイルが抱えている課題と同じだ。ネットワークは完全仮想化で既存キャリアをリードできても、基地局設置と周波数というアナログな部分では、どの国であっても、どうにもならないということなのだろう。

 さらに注目のセッションだったのが、楽天モバイルの「スペースモバイル計画」についてだ。セッションには楽天モバイルの内田信行技術戦略本部長とASTスペースモバイルのアーベル・アヴェランCEOが登壇。内田氏からは「スペースモバイル計画を業界関係者に説明すると実現性について疑いを持つコメントをもらうこともある。アーベル氏も同じようなことがあったと思うが、どういったことを言われたことがあったか」と、筆者が聞きたかった質問をASTスペースモバイルにぶつけてくれた。

 アーベルCEOは「イノベーションを起こす上でたくさんの課題解決をしてきた。これまで誰もやったことがないことだが、1兆ドルのマーケットがあり、地球上の4分の3の人がインターネットサービスを受けていない状態にあり、大きなチャンスがある。

5.国内初、スタンドアローン(SA)方式の5G商用サービスを提供開始(10.19 ソフトバンク)
ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、スタンドアローン(Stand Alone)方式による5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス(以下「5G SA」)の提供を、SoftBank Airの新機種で5Gに対応した「Airターミナル5」の発売に合わせて、2021年10月から国内で初めて開始しました。

5G SAは、これまで同一のネットワークによる実現が困難だった超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続の通信を実現します。

また、5G SAは、従来の4Gコア設備と5G基地局を組み合わせたシステム構成のノンスタンドアローン(Non Stand Alone)方式による5Gサービス(以下「5G NSA」)とは異なり、新たな5G専用コア設備と5G基地局を組み合わせた最先端の技術を用いています。

5G SAの最大の特長は、ネットワークスライシングや企業のニーズに合わせてカスタマイズしたネットワークサービスであるプライベート5Gなどの高度な技術をベースにした通信機能を提供できることにあります。

また、ソフトバンクが提供する5G SAは、コンテナをベースとしたアプリケーションがクラウド基盤上で稼働することにより、迅速な容量拡張や新サービスの提供が可能となります。

今後、ソフトバンクは、「Airターミナル5」への導入をはじめ、5G SAの特長を生かしたサービスを順次展開していく予定です。また、さまざまな領域の事業会社や5G関連パートナー、外部有識者と連携した「ソフトバンク5Gコンソーシアム」での取り組みを通して、次世代社会の先進医療や自動運転などを、超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続を中心とした5G SAならではの高品質な通信サービスで支え、産業の発展に貢献していきます。

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