週間情報通信ニュースインデックスno.1295 2021/09/25


1.西京銀行が日本ユニシスのクラウド勘定系を採用、富士通からのリプレース(9.24 日経XTECH)
山口県の西京銀行は2021年9月24日、日本ユニシスが提供するオープン勘定系パッケージ「BankVision」を採用すると発表した。勘定系システムのシステム基盤には米Microsoft(マイクロソフト)のパブリッククラウド「Microsoft Azure」を採用する。地方銀行が既存の勘定系システムをパブリッククラウドに移行させるケースは、現時点で石川県の北国銀行に次いで2行目となる。

 新しい勘定系の稼働開始は2024年を予定する。BankVisionに加え、日本ユニシスの次世代営業店システム「BANK_FIT-NE」やオープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)基盤「Resonatex」も採用する。西京銀行を加えると、BankVisionを使う地銀は10行となり、2桁の大台に再び乗る。

 西京銀行は現状、富士通の共同システム「PROBANK」を使っている。PROBANKを使う福島県の東邦銀行は、千葉銀行などが参加する「TSUBASA基幹系システム共同化」への移行を明らかにしており、PROBANKを使う地銀は静岡県の清水銀行だけとなる見込みだ。富士通の地銀向け勘定系ビジネスの先行きも今後の焦点になりそうだ。

2.iOS 15の新機能オンで予期せぬ課金発生、携帯各社が注意喚起(9.22 日経XTECH)
米Apple(アップル)が2021年9月21日(日本時間)に配信を開始した「iOS 15」の新機能「プライベートリレー」を巡り、携帯電話各社が利用者への注意喚起に追われている。「有害サイトへのアクセスを制限するフィルタリングサービスが使えない」「特定アプリケーションの通信を非課金とするゼロレーティングサービスが適用されず課金対象になる場合がある」といった内容だ。

 プライベートリレーはアップルの新たなクラウドサービス「iCloud+(プラス)」に備わる機能の一部で、オンにするとデバイスからのトラフィックを自動的に暗号化し、Webブラウザー「Safari」でアクセスする際の利用者のプライバシーを保護する。

 NTTドコモは、同社の顧客ID「dアカウント」においてパスワードの確認や2段階認証の設定、dアカウント利用履歴の確認といったメニューが利用できない可能性があるとしている。コンテンツサービス「iチャネル」の利用も一部制限される。

 ソフトバンクでは「ソフトバンク」「ワイモバイル」「LINEMO」の各ブランドで提供しているフィルタリングサービス「ウェブ安心サービス」が利用できなくなる。ソフトバンクの「動画SNS放題」やLINEMOの「LINEギガフリー」といったゼロレーティングサービスも適用されず課金対象になる場合がある。

 楽天モバイルは独自の通信アプリ「Rakuten Link」同士のメッセージ送受信や電話の発着信、公式サイト「my 楽天モバイル」の閲覧といった「通常、課金対象ではないサービスのデータ利用量が、課金対象としてカウントされる」と説明している。KDDI(au)は、国際ローミングサービス「世界データ定額」を利用できない場合があるという。

3.「5G」対「無線LAN」 「消費電力が高過ぎる」「信頼できない」のはどっち?(9.25 ITmedia)
企業はエッジコンピューティングに取り組む際、通信技術を5Gに切り替えるべきなのか。それともおなじみの無線LANを使い続けた方がいいのか。「消費電力」と「信頼性」の観点から考える。

 IoT(モノのインターネット)時代の今、データの発生源であるデバイスの近くを意味する「エッジ」でデータを処理する「エッジコンピューティング」が広がっている。そうした中、高速で遅延の少ない通信を支える技術として、無線LANと「5G」(第5世代移動通信システム)の2つに注目が集まる。企業はどちらを採用すればいいのか。

 エッジコンピューティングを採用している企業にとって、「IEEE 802.11ax」(業界団体Wi-Fi Allianceによる表記は「Wi-Fi 6」)の省電力機能「Target Wake Time」(TWT)も、無線LANを使い続けることを決定する上で重要な機能だ。この機能は、ネットワークに接続するデバイスが無線LANアクセスポイントと通信する時間をうまく調整し、電力供給の必要な時間を短縮。そのため電力コストを抑えるとともに、デバイスのバッテリー駆動時間を長持ちさせることができる。

 企業はソフトウェアの更新のため、デバイスを定期的に起動させる必要がある。更新はセキュリティを維持するために不可欠だが、電力を消費する。企業はWi-Fi 6の省電力機能を活用すれば、更新を実行しつつも、消費電力の削減が可能だ。

 5Gでは以前の移動通信システムと比べて、データセンターや基地局の消費電力が増えるとみられている。ITインフラベンダーVertiv Groupの調査によると、5Gを導入すれば、2026年にはネットワークの総エネルギー消費量が従来比50%〜70%増加すると計算している企業もある。企業は今後、エッジで使われるデバイスを大幅に増やす計画があれば、なおさらエネルギー効率を重視する必要がある。そうした中、Wi-Fi 6は企業の「エネルギーフットプリント」(電力消費による環境への影響)を削減するための有効なツールになり得る。

 もちろん5Gもデメリットばかりではない。エッジコンピューティングにおける5Gの主要な強みは、高い通信の安定性だ。5Gはネットワークを「スライス」という複数の仮想的ネットワークに分割し、用途ごとに各スライスに異なる特性を持たせる。それによって、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させ、低遅延を追求する。

 無線LANには、こうしたスライス機能はない。ただしポリシー制御やトラフィック最適化といった通信の安定性を高める複数の機能を備え、5Gと同等の信頼性を実現している。Wi-Fi 6は、デバイス数が増えたときに通信の安定性を高める「直交周波数分割多元接続」(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)の機能も持つ。そのため堅実な選択肢になるといえそうだ。

4.日本企業の7割以上が「サイバー攻撃から復旧できる自信なし」 データ保護の現状に警鐘(9.24 ITmedia)
デル・テクノロジーズの調査によると、世界の67%、日本の78%のIT意思決定者がサイバー攻撃で業務データが損失した場合に「自社の重要な基幹業務データを復旧できる自信がない」と回答していることが分かった。

 デル・テクノロジーズは2021年9月22日、データ保護に関する調査レポートを発表した。

 調査によると、テレワークの導入や先端テクノロジーの利用増加とともに企業のデータ保護リスクが高まっている一方、多くの企業が、ランサムウェア攻撃などによるデータ損失から復旧するための自社のサイバーレジリエンス力を不安視していることが明らかになった。

 今回の調査は、「Dell Technologies Global Data Protection Index(GDPI) 2021(2021年度版 デル・テクノロジーズ グローバルデータ保護インデックス)」と題する企業のデータ保護環境に関する年次調査で、第5回目となる今回は、世界15カ国の14業種にわたる企業(従業員数250人以上)のIT意思決定者1000人を対象に2021年2月から4月に実施された。回答者には日本のIT意思決定者50人が含まれている。

 調査によると、世界の企業が管理しているデータ量は14.6PB(ペタバイト)に上り、2016年の調査時の1.45PB(ペタバイト)と比較すると約10倍以上に増えていることが分かった。

 そうした増え続けるデータ量を背景に、高まるデータ保護の複雑さに苦慮している企業の姿が浮き彫りになった。

 調査では、世界の82%、日本の84%の回答者が、「現在自社が使用しているデータ保護ソリューションでは、将来の全てのビジネス課題には対応できない」との懸念を示していた。

 こうした不安を裏付けるように、世界の30%、日本の30%のIT意思決定者が「過去1年間にデータ損失を経験」し、世界の45%、日本の40%が「計画外のシステムダウンタイムを経験」していることが判明。

 さらに、世界の62%、日本の68%が、「自社の現在のデータ保護対策はマルウェアやランサムウェアの脅威に対処するには十分ではない」との懸念を示し、世界の74%、日本の74%が「在宅勤務の増加に伴い、サイバー攻撃によるデータ損失の危険性が高まった」と回答していた。

 また、世界の67%、日本の78%が、破壊的なサイバー攻撃でデータが損失した場合、「自社の重要な基幹業務データの全てを復旧できる自信がない」と回答していた。

 企業はマルウェアやランサムウェアなどによる絶え間ない脅威にさらされているのに加え、「クラウド ネイティブ アプリケーション」や「Kubernetesコンテナ」「人工知能(AI)/マシンラーニング(機械学習)」といった先端テクノロジーの利用とともに高まるデータ保護のリスクに直面していることが明らかになった。

 さらに、単一ベンダーのデータ保護ソリューションを導入している企業と、複数ベンダーのデータ保護ベンダーを導入している企業を比較した場合、後者の方が「先端テクノロジーの利用でデータ保護リスクが高まる」と懸念する回答者が多く、実際の過去12カ月におけるデータ損失コストが後者の方が平均して4倍近く高いことも分かった。

5.リモートワークを導入できない企業は何が“やばい”のか、成功企業が得るもの(9.21 ITmedia)
現在は企業にとって奇妙な時代だ。よく耳にするのは、「仕事はあるが、人材が見つからず、どうすればいいのか分からない」という言葉だ。新型コロナウイルス(COVID-19)が市場に大きな打撃を与えた前例のない15カ月を経た後、景気回復の兆しが見えてきた。しかし、労働者が自分のキャリアの選択を再考し、一部の従業員が職場を去ることで、企業は新たに従業員を採用することが難しいと感じている。雇用主は、この新しい世界に適応し、取り残されないために必死になっている。

 新型コロナウイルスのパンデミックの結果、職場は永久に変わったと感じるかもしれないが、実際には、進化はかなり前から起きていた。パンデミックは単に影響を加速させたにすぎない。機敏で創造力のある雇用主は、最も優秀で才能のある人材をひきつける。

 成功するリーダーは、今日の労働者が自分の職場を過去と違った目で見ていることを認識しなければならない。求職者は今、彼らが新たに知るようになった文化的規範を反映した職場を望んでいる。成功する企業は、従来の偏見を排除し、多様性が育つ健康的で柔軟な職場を促進するためのルールとシステムを構築している。これらの企業は、パンデミック、人口動態の変化、テクノロジーの使用の増加など、コントロールできないイベントによって引き起こされる混乱に適応するだけでなく、それを受け入れることができる。

 しかし、熟練した労働力も見落としてはならない。例えば、年配の従業員を対象とした「リターンシップ」の導入や、経験豊富な従業員と若い従業員を組み合わせたメンタリングプログラムの導入により、両グループのモチベーションが高まり、生産性が向上することが分かっている。

 多様な働き方を推奨するギグエコノミーの成長とその職場への影響を無視してはならない。ギグエコノミーは大不況の中で爆発的に広まり、アメリカの労働力を大きく変えた。今日、アメリカ人の3分の1以上が何らかの形で仕事に参加していると報告しており、35歳未満の成人の49%が「ギグ」な働き方をしている。ギグワークには確かに賛否両論がある。「従業員」であることの本当の意味を定義するのに議員や裁判所が苦労しているため、この問題は継続的な論争になると思われる。しかし企業は、特に若者の間で、ギグで働くことに魅力を感じている人が多い実情を無視するわけにはいかない。

 ギグワークのより厳しい現実(従業員が享受する福利厚生や受給権保護の欠如)にもかかわらず、若者たちはこの働き方にますます魅了され、切望している。若い労働者たちは、自分で時間を設定したり、遠隔地から出勤したり、家族の用事のために特に急に休暇を取れることを好む。この柔軟性を提供できる企業は、将来繁栄する企業だ。「定職」が提供できる経済的安定と、ギグワークに伴う自由な感覚の両方のメリットを、従業員に提供することがポイントだ。

 そこで、リモートワークが有効になる。コロナ禍により、多くの職場でこれをリアルタイムで試す必要があった。多くの場合、結果は良好だった。以前はそのようなポリシーを提供することをためらっていた企業は、生産性が急上昇するのを見て驚いた。在宅勤務がうまくいくと、従業員の生産性、創造性、士気を向上させられる。

 従業員が不定期または常にリモートで勤務できるようにすることを推奨する。在宅勤務は、従業員に柔軟性を与える唯一かつ最大の要因だ。多くの場合、リモートワークによって、長時間の通勤(交通費もかかる)、育児のジレンマ、学校の保護者面談のキャンセルなどが解消される。しかし、仕事に何が必要かを正直に伝えることは必要だ。リモートワークに伴う制度が有効な場合は言うことはないが、うまく機能しない場合にそれを放置すると、長期的には雇用主と従業員の両方が不幸になる。多くの場合、ハイブリッドワークが良い解決策になる。

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