週間情報通信ニュースインデックスno.1293 2021/09/11


1.5G新音声サービスへタッグ、ファーウェイほか10社超 世界5G大会(9.10 日経XTECH)
中国Huawei Technologies(ファーウェイ)とChina Mobile(中国移動)は2021年9月1日、中国で開催された「世界5G大会(World 5G Convention)」にて、両社が参加する5G関連業界団体「5G Deterministic Networking Alliance(5GDNA)」内に、「5G VoNR+(New Calling)ワーキンググループ」を立ち上げたと発表した。両社のほか、10社を超えるパートナーが参加し、5Gを使った新音声通話に向けた技術標準化や、実現に向けたプラットフォーム提供などの活動を進める。今回の会合には、5GDNA、China Mobile、Huaweiに加え、スウェーデンEricsson(エリクソン)、中国UNISOC、HiScene(ハイセンス)、TD Tech、HiSilicon(ハイシリコン)が参加している。

 5G時代の音声サービスにおいては、ARやVRとの統合や、音声ガイダンスや呼び出し音などを視覚化するvisual menu、video RBT、遠隔コラボレーションなど、さまざまな新機能が提供可能となる。5G VoNR+ワーキンググループでは、こうした新機能を活用したビジネス開発に向けた活動を支援する。

 例えば、5G VoNR+を使った遠隔コラボレーションでは、動画によるリアルタイムな遠隔ガイダンスなどが提供可能となる。ユーザーは、介護や機械修理、物の捜索活動、子供の教育などの現場で、新たなアプリケーションをダウンロードすることなく、遠隔からガイダンスを受けられる。

 中華人民共和国工業情報化部(Ministry of Industry and Information Technology、MIIT)によると、中国では2021年上半期に、5G端末接続数が3億6500万台に到達した。今後中国では、巨大な5G音声通信市場が形成されていく。

 5G VoNR+ワーキンググループでは、こうした新しい音声市場に向けた技術標準化や検証実験などを進めていく、China MobileとHuaweiは、既に2020年11月に5G VoNR+に関する白書を発行している。China Mobile浙江支社では、Huaweiの5G新音声技術を使ったvisual menuとvideo RBTサービス立ち上げも予定している。

 5GDNAを通して、業界パートナーに向けた、5Gと5G新音声サービスを世界中に広げていくためのプラットフォーム提供も進める。

2.アサヒグループHD、「ビアリー」ヒットの裏にDX組織とデジタル人材育成の計あり(9.9 日経XTECH)
ビールテイスト飲料「ビアリー」ヒットの裏に、2020年4月に新設したDX(デジタル変革)組織によるデータ分析を活用した支援があった。情報基盤の連携と人材育成を進め、飲食を核にした新たな価値を創造する「Food as a Service(FaaS)」企業を目指す。

 アサヒビールが2021年3月30日に発売したアルコール度数0.5%のビールテイスト飲料「ビアリー」が好調だ。酒税法における「酒類」はアルコール度数1%以上の飲料を意味し、ビールテイスト飲料は清涼飲料水に当たる。同社はアルコール度数が0%を上回り1%を下回るカテゴリーを「微アルコール」と名付けた。

 体質や状況に応じて顧客が飲み方の選択肢を多様にできることを、同社は「スマートドリンキング」と呼ぶ。この考えの下、普段は酒を飲む人もビアリー片手に読書や映画鑑賞を楽しむといった飲み方をSNS(交流サイト)などで提案した。

 ビアリーのマーケターの意思決定を支えたのが、アサヒグループホールディングス(アサヒGHD)が2020年4月に新設したValue Creation(VC)室だ。グループ全体のDX(デジタル変革)を推進し、新規ビジネスを創出するのが目的の組織である。

 VC室が注力する分野の1つがビジネスアナリティクスだ。事業会社の個別プロジェクトにおいて、顧客を深く理解する、個別施策のROI(投下資本利益率)を見極める、経営資源の配分を最適化するなどの目的で、データを基にPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回す仕組み作りを支援する。

 必要に応じて、社内プロジェクトの開始段階でVC室が伴走し、仮説設定やデータ探索、効果測定などを手伝う。以前は個々のプロジェクトで課題に対して施策を考える際、どのKPI(重要業績評価指標)をモニタリングするかといった事前の設計がなおざりにされがちだったため、今後重視したいとの考えからだ。

3.高速なルーターに交換しても速度が出ない、無線LAN機器の謎に迫る(9.8 日経XTECH)
企業や家庭で使うネットワークは、LANケーブルを使って機器をつなぐ有線LANと、電波を使って機器をつなぐ無線LANに分けられる。無線LANは有線LANと違い、同じ規格に対応した製品同士で接続してもその規格の最高速度とはほど遠い速度でしか通信できない。

 例えば、有線LANの規格「1000BASE-T」に対応した機器同士を接続すれば、1000BASE-Tの最高速度1Gbpsに近いスループット(実測した速度)で通信できる。一方、無線LANの規格である「IEEE 802.11ax」の最高速度は9.63Gbpsだが、スループットが1Gbpsを超えないことはよくある。

 また無線LANは同じ規格に対応した製品でも、対応する機能によって最高速度が異なる場合がある。こうした無線LANの特性や規格のため、「より高速なルーターに交換したのに速度が上がらない」といった失敗が起こりやすい。無線LANに関する知識を身につければ、こうした失敗を減らせるだろう。ここでは、無線LAN機器の製品選びに役立つ専門用語を解説する。

 現在販売されている無線LAN機器が対応する最新規格はIEEE 802.11axである。ところが、IEEE 802.11axに対応している無線LAN機器のパッケージを見ても、IEEEから始まる規格名が確認できないことがある。代わりに「Wi-Fi 6」と記載されていることが多い。このWi-Fi 6はIEEE 802.11axの愛称である。

 Wi-Fi 6という愛称はIEEE 802.11axが登場したときに導入された。Wi-Fi 6の「6」はWi-Fi規格の6世代目を表す。それと同時に従来規格のIEEE 802.11acは「Wi-Fi 5」、IEEE 802.11nは「Wi-Fi 4」という愛称を使うようにWi-Fi Allianceが定めた。

 Wi-Fi 6対応のノートパソコンの場合、ほとんどが無線LANのボードに米Intel(インテル)の「Wi-Fi 6 AX200」か「Wi-Fi 6 AX201」を採用する。その最高速度は5GHz帯で2.4Gbps(2401Mbps)だ。Wi-Fi 6対応の無線LANルーターを購入するときは、それと同じかそれ以上の最大速度を持つ無線LANルーターを選ぶと、性能を十分に発揮できる。スマートフォンやタブレットなどは、5GHz帯の最高速度が1.2Gbpsの製品が多い。もしスマホだけを接続するのであれば、最高速度が1.2Gbpsで安価な無線LANルーターを選ぶ手もありだろう。

 Wi-Fi 6対応製品は、ほぼすべてがWPA3に対応する。このWPA3は、無線LANの最新の暗号化規格だ。現在、無線LANの暗号化はWPA2が広く使われているが、2017年に第三者がデータを傍聴できる脆弱性が発見されてしまった。その脆弱性を悪用される条件はかなり限られているのでほとんど心配する必要はないが、WPA3はこの脆弱性を解消しているのでより安心して使用できる。

 WPA3の使い勝手は、従来のWPA2と全く同じだ。ただし、無線LANルーターで暗号化をWPA3に設定しても、WPA3に対応したパソコンやスマホといった子機がないと接続できない。現在売っているWi-Fi 6対応無線LANルーターには、WPA2を併用できる互換モードも備えておりWPA3とWPA2の共存はしやすい。

 無線LANルーターの仕様を眺めていると、バンドステアリングやビームフォーミングやMU-MIMOという言葉を目にする。

 バンドステアリングは、周囲の電波状況を判断し状況に応じて5GHz帯から2.4GHz帯、またはその逆を切り替える機能だ。相互に切り替える機種もあれば一方通行の機種もあり、実装方法は機種によって異なる。バンドステアリングは接続台数が多い環境や、電波干渉が多い場所での利用で効果を発揮しやすい。

 ビームフォーミングは電波の波形を調節し、特定位置の電波の信号強度を引き上げて通信する仕組み。通信速度が向上し、遠距離で通信の安定が期待できる。無線LANルーターは端末の位置を把握しており、端末が動いても利用できる。

 MU-MIMOは、複数台に向けて通信を送信する仕組み。従来の無線LANの場合、複数の端末と通信するときは通信をいちいち切り替える必要があり、端末の台数が増えれば増えるほど速度が低下した。MU-MIMOは、ビームフォーミングを使い電波干渉が起きないよう複数の端末に向け、位相をずらしてデータを送信するため、速度低下が起こりにくい。無線LANルーターだけでなく端末の対応も必要になるが、最新の端末であれば対応している製品は多い。

 MU-MIMOはWi-Fi 5では下りのみ利用できたが、Wi-Fi 6からダウンロードだけでなくアップロードでも活用できるようになった。また、利用できる台数も最大8台に拡張されている。製品では「8 x 8 MU-MIMO」などと記載される。

 有線LANにギガビットイーサネットより高速な10ギガビットイーサネットやマルチギガビットイーサネットを採用した製品もある。10ギガビットイーサネットの規格名は10GBASE-Tで、その名の通り10Gbpsが最高速度だ。マルチギガビットイーサネットには、最高速度が5Gbpsの5GBASE-Tと同2.5Gbpsの2.5GBASE-Tがある。

4.200倍の金利優遇と「au PAY」からの自動払い出し、auじぶん銀行の狙いは何か(9.6 日経XTECH)
KDDIとその傘下のauフィナンシャルホールディングスは2021年8月26日、「au PAY」の残高から「auじぶん銀行」へ、手数料無料で自動払い出しする機能を追加すると発表した。決済のためにチャージした残額を銀行に戻すというのは不思議な印象を受ける。だが同時に打ち出したauじぶん銀行の金利優遇策と併せて考えると、真の狙いが見えてくる。

 「auじぶん銀行」といえば、KDDIが2008年に三菱UFJ銀行と共同で設立し、モバイルでの利用を主体としたオンライン専用の銀行サービスを提供している。現在はKDDIの金融持ち株会社であるauフィナンシャルホールディングスの傘下にある。KDDIがスマートフォンを中心とした金融・決済サービスに注力していることもあって、口座数も2021年7月時点で440万超と、順調に拡大を続けているという。

 その原動力となっているのが、KDDIやその傘下企業のサービスとの連携による優遇施策である。実際KDDIの電力サービスや、auブランドの携帯電話契約者がauじぶん銀行の住宅ローンを利用すると金利が優遇される「auモバイル優遇割」「じぶんでんき優遇割」を提供している他、「auカブコム証券」と口座連携することで、auじぶん銀行の普通預金金利が年0.1%に優遇される施策などを展開している。

 そうした施策が好評を得ていることもあり、KDDIとauフィナンシャルホールディングスは2021年8月26日に発表会を実施し、auじぶん銀行の新サービスを打ち出した。その1つが、決済サービス「au PAY」の残高を自動でauじぶん銀行の口座に払い出す機能だ。

 これはau PAYとauじぶん銀行の口座を連携して利用するもの。払い出しの頻度や金額を指定しておけば、自動的にau PAYからauじぶん銀行へと残高を払い出してくれる(送金・払い出し可能な残高のみ)。このサービスの最大のポイントは払い出し手数料が無料だということだ。

 ただau PAYはあくまで決済サービスであり、どちらかといえば決済をするために、銀行口座やクレジットカードなどからau PAYにチャージして利用することが多い。そのチャージした残高を再び銀行に戻す施策に力を入れることには、利用者側としてもあまりメリットを見出しにくいと思える。

 その狙いは、同時に打ち出された別の施策から見て取ることができる。それは2021年9月1日より実施される、各種サービス連携によるauじぶん銀行の金利優遇の強化だ。

 さらにauカブコム証券との連携による金利優遇を加えることで、普通預金の金利が0.2%(税別)になる。これは通常金利の200倍という水準とのことで、超低金利が長く続く中にあって大幅な優遇となることは確かだろう。

 しかもau PAYは共通ポイントプログラム「Ponta」のポイントを送金・払い出し可能な残高としてチャージできるので、一連の仕組みはau PAYを通じ、auじぶん銀行にポイントを預金して運用できることにもなる。これらの施策には余っているPontaポイントを銀行口座に取り込みたい狙いもあるといえそうだ。

 実は0.2%という金利を実現している銀行は他にも存在しており、auじぶん銀行だけのメリットというわけではない。だが一連の施策は、決済も含めた複数サービスを連携させることでメリットを発揮する点にポイントがある。

 今回の施策でauじぶん銀行の利用者はKDDIの系列サービスを利用する機会が増え、それによって得られたPontaポイントを決済や預金に利用できるなど、金利だけにとどまらない多くのメリットが得られるようになる。利用者を囲い込んで複数サービスの利用拡大につなげられる点は、グループに多くのサービスを持つKDDIならではといえるだろう。



5.コロナ禍で分かった会社の「無くてよかったもの」 「社内イベント」や「定時勤務」を抑え1位になったのは?(9.10 ITmedia)
コロナ禍に対応することで分かった会社の「無くてよかったもの」1位は「対面での会議」(45%)――そんな結果が、エン・ジャパンの運営する人事向け情報サイト「人事のミカタ」の調査で分かった。2位は「社内イベント」(25%)、3位は「定時勤務」(23%)という結果に。

 「対面での会議」と回答した企業からは、「対面が全く不要とは思わないが、オンラインに移行すれば宿泊を伴う出張や長時間の移動もしなくて済むため」「紙の資料をオンラインでの画面表示に置き換えても、支障がないことが分かって良かった」「今までは各支店から本社に集まっていたが、オンラインでも特に支障がなく、移動費用などの無駄な経費もかからなくなった」といった声が寄せられた。

 「社内イベント」と回答した理由としては、「社内イベントが中止・縮小となったが、不満は出なかった」「社内イベントの企画をしなくなったことで業務が軽減された」などが挙げられた。

 「定時勤務」については、「時差出勤を推奨したことにより、個々のスタイルに合わせて柔軟に働けるようになった」「早朝出勤で通勤ラッシュも避けられ、仕事の効率も上がると社員に好評」といった指摘があった。

 コロナ禍を受けて変更した働き方や社内制度については、1位が「社員が大勢集まる会議やイベントの禁止」(78%)、2位が「テレワーク・在宅勤務の導入」(72%)、3位が「オンライン会議システムの導入」(62%)だった。

 今回の調査は4月14〜5月11日、インターネット上で実施。調査対象は「人事のミカタ」を利用する企業で、有効回答数は655社。

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