週間情報通信ニュースインデックスno.1290 2021/08/21


1.クアルコム、5G+AI活用の完全自律型ドローン開発基盤を発表(8.20 日経XTECH)
米Qualcomm(クアルコム)は2021年8月17日(米国時間)、世界初とする5G(第5世代移動通信システム)とAI(人工知能)技術を活用したドローン開発用プラットフォーム「Qualcomm Flight RB5 5G Platform」を発表した。Qualcomm QRB5165プロセッサを搭載し、低消費電力かつ高性能な完全自律型ドローン開発を支援する。一般顧客向け商用ドローンに加え、企業や産業向けドローン開発を加速する。

 Qualcommでは、2021年3月に同社ブログにて、NASAの火星探査ドローンIngenuityに「Qualcomm Flight Platform」が搭載されていることを紹介。同年6月に5G、AIに対応する最新ロボティクス向けプラットフォーム「Qualcomm Robotics RB5」を発表するなど、ロボティクスやドローン開発への最新技術導入を積極的に進めている。今回のQualcomm Flight RB5 5G Platformも、Qualcomm Robotics RB5同様、ロボティクス向けにカスタマイズされたプロセッサQRB5165を搭載。さまざまな最新鋭機能を統合し、映画撮影やエンターテインメントからセキュリティー、緊急通報、配送、防衛、検査やマッピングなど各分野に向けたドローン開発を支援する。

2.「ahamo」が180万契約、低価格サービスを巡る携帯各社の狙いを決算から読み解く(8.20 日経XTECH)
2021年7月末から8月半ばにかけて携帯電話4社が決算を発表。その中では2020年末から注目を集めていたオンライン専用プランの契約数も明らかにされた。NTTドコモの「ahamo」が180万契約を獲得し、携帯電話大手3社の同種プランの中ではトップの契約数を得た。その一方、KDDIとソフトバンクはサブブランドへの注力を図る。低価格サービスを巡る各社の戦略の違いと、今後の競争に与える影響を考えてみよう。

 2021年8月6日に実施されたNTTドコモの親会社である日本電信電話(NTT)の決算説明会で、代表取締役社長の澤田純氏はahamoの契約数が「直近で180万契約を超えた」と説明。NTTドコモは2021年5月12日に実施されたNTT決算発表時点で、既に100万契約を突破したことを明らかにしている。その後の3カ月で契約数を倍近く伸ばしていることから、好調を維持している様子がうかがえる。

 それに続くのがKDDIの「povo」である。2021年7月30日にKDDIが開催した決算説明会で代表取締役社長の高橋誠氏は、povoの契約数が「約100万」であることを明らかにしている。

 そして最も契約数が少なかったのが、オンライン専用プランの中では先陣を切ってスタートしたソフトバンクの「LINEMO」である。2021年8月4日に実施された同社の決算説明会において、代表取締役社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏は、LINEMOの契約数に関して「50万に満たない」と回答、他の2社に大きく水をあけられたようだ。

 ただLINEMOが大きく出遅れている理由として、同社がもう1つの低価格ブランドである「ワイモバイル」に力を入れており、店頭でサポートを受けられることなどもあって顧客にそちらが選ばれていることも大きいようだ。実際宮川氏は、この3カ月でワイモバイルのスマートフォン累計契約数が10%伸びていると説明、LINEMOと比べるとかなり好調な様子を示している。

 さらに宮川氏は、同社がこれまであまり明らかにしてこなかったワイモバイルの契約数にも言及し、約700万の契約を獲得していることを明らかにしている。これにLINEMOの契約数をプラスすれば、同社の低価格サービスの契約数は約750万ということになる。

 KDDIは2021年6月7日のUQ mobile新サービス説明会で、UQ mobileの累計契約数が300万に達したことを明らかにしている。

 一方でNTTドコモはサブブランドを持っていないので、低価格サービスはahamoの180万契約のみとなる。確かにahamoは好調だが、低価格サービスという視点で見れば、実はNTTドコモが最も出遅れていると見ることもできるわけだ。

 また2021年8月10日にMVNO大手のインターネットイニシアティブ(IIJ)が開いた決算説明会でも、代表取締役社長の勝栄二郎氏はオンライン専用プランへの流出などは「起こっていない」と説明。ミニプランについても、同社の料金プランがより多様な内容であることから「さほど影響ないと思っている」と答えている。

 とはいえ携帯大手の通信品質を低価格で利用できるサービスは、消費者にとって魅力的なはずで、その影響は無視できなくなってくるだろう。そうしたときに大手以外の事業者、そして総務省がどのような動きを見せるのかが、年度後半の競争軸を大きく左右するのではないかと筆者は見ている。

3.高さ20cmの宅内用5G基地局を分解、容積の大半は巨大ヒートシンク(8.19 日経XTECH)
欧州の移動通信基地局メーカーなどで構成される団体「Small Cell Forum」によると、2021年に世界中で出荷される基地局はおよそ2000万局。その95%を占めるのが「スモールセル」と呼ばれる、屋内用で小出力の小型基地局である。

 これまでスモールセル基地局を製造してきたのは、中国Huawei Technologiesや中国ZTE、スウェーデンEricsson、フィンランドNokia、富士通やNECなどの有名な基地局メーカーだった。その牙城が近年になって崩れつつある。

 今回はスマートフォンメーカーである中国OPPOが発売した5G(第5世代移動通信システム)Sub-6周波数対応のスモールセル「T1 CTA02」を紹介する。

 スモールセルの中で個人宅などに設置されるものをCPE(Customer Premises Equipment、宅内用基地局)と呼ぶ。CPEは、主に光ファイバーの普及が遅れている国や地域で広がっている。CPEが端末となって屋外の4G(LTE)や5Gのマクロセルに接続し、屋内に対して、4Gと5G、Wi-Fiの接続環境を提供する。

 さまざまなジャンルの基地局の中で最も成長が予想されているのが、このCPEである。なぜなら、複雑な設置手続きが必要な大型基地局と比較すると、量販店でも販売されているため入手が容易だからだ。例えばマクロセルが1局で数百万円する場合があるのに対し、本製品は378.99米ドル(約4万1600円)で購入できる。

4.「電話」はもう使われずに消えてしまうのか?(8.21 ITmedia)
 新型コロナウイルス感染症のパンデミックでテレワーク移行した企業が、電話に代わるコミュニケーション手段を模索し始めている。その背景には何があるのか。このまま電話はオフィスから消えるのか。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響でテレワーク導入が拡大する中で、特に社内コミュニケーション手段としての企業向け電話システムの利用機会が失われつつある。これには特に3つの要素が大きく影響する。

1.自宅での内線通話が困難
 1つ目の要因は、自宅では会社の内線を利用できない従業員がいることだ。特にパンデミックが起きて初めてテレワークを導入した企業は、テレワーク中の従業員(以下、テレワーカー)が自宅で内線通話できる仕組みを十分に構築できていない可能性がある。

2.音声通話の選択肢の充実
  2つ目の要因は、電話機だけでなくPCやスマートフォンで利用できる音声通話システムの充実だ。こうした音声通話システムには、「Skype」といったコンシューマー向け音声チャットアプリケーションに加えて、PBX(構内電話交換機)に近い機能を持つ音声通話サービスもある。音声通話システムの音声品質は改善が進んでおり、業務用コミュニケーション手段として十分通用する。

3.“電話ありき”の前提の消失
 3つ目の要因は、電話そのものに対する考え方の変化だ。企業において「電話」の意義は、COVID-19のパンデミックが始まるずっと前から変化しつつあった。技術の進化でコミュニケーション手段が充実し、生まれた頃からITに慣れ親しんできた「デジタルネイティブ」世代では、電話以外の手段を好む人が珍しくなくなった。

 電話などの音声通話システム以外にも、共同作業に役立つコミュニケーションツールは豊富に存在する。別々の場所で働く従業員が、それぞれ別のコミュニケーションツールを利用して共同作業していた場合、ツール間連携がスムーズでないと生産性が下がる可能性がある。

 こうした課題の解決策となり得るのが「ユニファイドコミュニケーション」(UC)システムだ。UCシステムは、音声通話を含む複数のコミュニケーションツールに一貫性のあるユーザーエクスペリエンス(UX)を提供する。

 固定電話機を使う従来型の企業向け電話システムの利用は、今後も減少を続ける可能性がある。電話に代わる音声通話システムがより充実する可能性があるだけでなく、テレワーカーの間で複数のコミュニケーションツールの活用ニーズが高まると考えられるためだ。

5.「Pixel 5a(5G)」はなぜ日米限定? 半導体不足だけじゃない、Googleの戦略を読み解く(8.21 ITmedia)
Googleのミドルレンジスマートフォン「Pixel 5a(5G)」が8月26日に発売される。発売する国を日本と米国に限定しているのは、半導体不足が大きいという。日米ともにiPhoneのシェアがグローバル平均より高いことも関係しているのだろう。

 Googleは、自社ブランドのミドルレンジスマートフォン「Pixel 5a(5G)」を8月18日に発表した。現在、事前予約を受け付けており、発売は8月26日を予定する。価格はGoogleの直販であるGoogle Storeが5万1700円(税込み、以下同)。取り扱うキャリアはソフトバンクだけで、価格は6万4800円とGoogleよりやや高めだが、「トクするサポート+」を適用して26カ月目で機種変更すると、実質価格は3万2400円になる。

 驚いたのは、欧州やアジアではなく、日本が含まれていたことだ。Googleのお膝元である米国を除くと、日本は唯一の海外市場ともいえる。しかも、過去のaシリーズと同様、FeliCaを搭載する専用のカスタマイズまで行っている。では、なぜGoogleはここまで日本市場を優遇しているのか。その理由に迫った。

 aシリーズのPixelは、コストパフォーマンスの高い廉価版Pixelとして人気が高い。廉価版といってもカメラ機能については上位モデルとの差がほとんどなく、ソフトウェアも共通。ミドルレンジモデルながら、Googleの目指す「ハードウェアとソフトウェアとAI」を融合させた体験は、フラグシップモデルとそん色ないレベルに仕上げられている。Pixel 5aにもそのコンセプトは踏襲されており、5万1700円という価格ながらも、機能は限りなく近い。

AIを使ってセンサーの実力以上の画質を引き出せるのがPixelの魅力。コンピュテーショナルフォトグラフィーをけん引している端末の1つだ。  では、なぜPixel 5aは展開する地域が2カ国に減ってしまったのか。Googleでハードウェアプロダクトマネジメントのバイスプレジデントを務めるブライアン・ラコースキー氏は、その理由として昨今の世界的な半導体不足を挙げつつ、次のように語る。「新型コロナ感染症で大きな問題が生じた。特にシリコン不足の影響が大きく、展開する地域を限定しなければならなかった。Pixelにとって、主要なマーケットに絞っている」。

 実際、Googleの“日本優遇”は以前から続いている。初代の「Pixel」や2世代目の「Pixel 2」は発売が見送られたものの、「Pixel 3」を投入するにあたって日本独自仕様のおサイフケータイに対応。2020年10月のPixel 4a(5G)は、その他の国や地域より1カ月以上早く先行発売している。取り扱いキャリアが徐々に少なくなってはいる一方で、独占提供するソフトバンクは販売に力を入れており、Androidスマートフォンの中では売れ行きも好調だという。

 日米ともにiPhoneのシェアがグローバル平均より高いことも、Googleが両市場を優先してPixel 5a(5G)を投入する隠れた理由の1つと考えられる。ある業界関係者は「なりわいである検索の広告収入を考えると、iPhoneの比率が高いのはGoogleにとってマイナス。Androidのシェアが(相対的に)低い国だからこそPixelを投入する意味がある」と指摘する。

 これに対し、グローバルではAndroidが圧倒的に強い。調査会社Gartnerが公表している2020年の出荷台数は、Appleが2位につけているものの、シェアはわずか14.8%。その他のメーカーはおおむねAndroidを採用しており、合計したときのシェアは85.2%にものぼる。Samsung以外のメーカーはAppleより出荷台数が少ないものの、HuaweiやXiaomi、OPPOなど一定規模のメーカーが上位にひしめきあっている上に、その他メーカーの数も多いからだ。欧州やアジアでは軒並みAndroidのシェアが高く、日本と米国の状況は例外的だ。

 逆に言えば、日本や米国はGoogleが自ら乗り込み、シェアを上げていかなければいけない状況にある。出荷台数を稼げるミドルレンジモデルのPixel 5a(5G)を、優先的に投入しない手はない。GoogleのソフトウェアやAIの技術力を見せるショーケースとしての意味合いが強いフラグシップモデルに対し、ミドルレンジモデルは普及促進の役割を担っている。半導体不足で生産台数が限られる中、Pixelの売れ行きがよく、Androidのシェアが低い国を優先するのは自然な流れといえる。

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