週間情報通信ニュースインデックスno.1289 2021/08/14


1.ドコモが明かす、O-RANがもたらす通信事業者のメリットとは?(8.11 日経XTECH)
 5G(第5世代移動通信)時代のネットワークは、ユーザー体感の向上に加えて、他の産業との連携による新たな産業の創出や地方創生、人手不足など社会的課題の解決への期待も高まっています。そのためには、新たなユースケースに対してさまざまなパートナーが開発したソリューションを柔軟に取り込むことが期待されます。

 これらの期待に応える手法としてネットワークのオープン化があります。オープン化を活用することで、さまざまな技術を結合、あるいは融合させることで新たな価値を生み出すことが可能です。世界の通信事業者を中心にネットワークのオープン化を進める業界団体「O-RAN ALLIANCE」は、下記の3つのオープン化について標準仕様の作成やオープンソースコードの作成を進めています。

(1) 装置間のインターフェースのオープン化
(2) 装置内のハードウエアとソフトウエアの分離(vRAN化)
(3) ネットワークのインテリジェント化(RANオペレーションの自動化、最適化)

2.2024年に世界の大手通信事業者6割が5G商用化、米ガートナー予測(8.11 日経XTECH)
米Gartner(ガートナー)は2021年8月4日、世界の5Gネットワークインフラの売り上げが2020年の137億米ドルから2021年には191億米ドルと39%増加するとの予測を発表した。背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、在宅勤務や、大容量通信を必要とする動画ストリーミング、オンラインゲーム、SNSなどの需要の急成長により、高速大容量ブロードバンドへの需要が高まったことがあるとしている。また2024年末までに、世界の大手CSP(Communications service provider、通信サービスプロバイダー)の6割が商用5Gサービスを開始し、世界の主要都市をカバーするとも予測している。

 Gartnerでは、2020年に世界のCSPの1割しか提供していなかった商用5Gサービスが、2024年には6割で提供されるようになり、その普及率が現在のLTEや4Gに並ぶとも予測している。

 この背景には、企業や一般顧客からの需要増がある。事務所勤務が再開されても、家庭での接続性を重要視し、家庭にギガビットクラスの光ファイバーを導入したり、アップグレードしたりするギガビットFTTH(fiber to the home)の動きが継続していることがある。

 こうした顧客行動の急速な変化は、世界的な、PON(passive optical network)市場の成長を後押しする。上り下り共に10Gビット/秒の通信が可能な10XGS-PON(Gigabit-capable symmetric-PON)が以前より低価格になってきたこともあり、今後、多くのCSPがXGS-PONに投資するようになる。Gartnerでは、2025年までに大手CSPの6割がこのXGS-PON 技術を大規模導入し、2020年には30%未満だった超高速ブロードバンドサービスの家庭や企業への提供を進めるようになるとしている。

3.企業体質に合う「日本型テレワーク」とは 総務省が提言書を公開(8.13 ITmedia)
総務省は2021年8月11日、新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)の収束後(ポストコロナ)のテレワークの在り方に関する提言書「ポストコロナの働き方『日本型テレワーク』の実現〜個人・企業・社会全体のウェルビーイングを目指して〜」を公開した。

 従来、一部の企業による特別な働き方だったテレワークは、コロナ禍をきっかけに多くの企業による日常的な働き方へと変化してきた。総務省が公開した関連資料によれば、現在テレワークが制度化されている企業の割合は、大企業で53.8%、中小企業で23.7%となっている。

 ただし、コミュニケーションが取りにくかったり、生産性が低下したりといった懸念の声も顕在化し、2020年5月(1回目の緊急事態宣言時)に56.4%だった企業のテレワーク実施率は、2021年3月(2回目の緊急事態宣言時)には38.4%に低下した。

 タスクフォースは同提言書の中で、これまで2008年の新型インフルエンザや、2011年の東日本大震災といった危機への対応としてテレワークが注目を浴びたものの、日本ではテレワークが「流行っては廃れる」という状態を繰り返してきたと指摘する。

 継続的なテレワークの実施を希望する労働者は多いが、管理職の中には同じ場所と時間を共有する大部屋主義や対面主義、暗黙知などの利点を過度に意識し、テレワークへの不信感が根強く残っていることも問題だという。タスクフォースは、COVIDー19のワクチン接種が進むにつれて、「企業の明確な意思決定がないまま、なし崩し的に出社が増え、これまでと同様にテレワークが定着しない恐れが非常に高い」点を懸念として挙げる。

 同提言書の中では「時間を有効に活用する」ことを踏まえて、「長く働くことが評価されるのではなく、テレワークによってできた時間を自分や家族のために使えるよう、時間当たりの業務効率を高める方向に向かうべき」といった主張も見られる。

 タスクフォースは、こうした日本特有の課題を認識し、ポストコロナで目指すべき「日本型テレワーク」を次の5項目によって定義した。
1.少子高齢化や生産性といった日本の社会課題の解決に貢献すること
2.テレワークを契機としてICTツールを積極的に活用すること
3.一律テレワークではなく、育成期には対面機会を計画的に設けるなどの配慮をすること
4.無駄な出社への同調圧力の排除やコミュニケーション促進施策の実施といった世代間ギャップを埋めるための工夫を図ること
5.ウェルビーイングの向上
 同提言書は、ICTで解決できるテレワークの課題の例として、「自分の職種や業種はテレワークに向かない」と思い込みがちな従業員の意識変革や、テレワーク導入初期のインフラ課題、業務の管理や従業員同士のコミュニケーションなどを挙げる。

 タスクフォースによれば、こうした課題は先入観やテレワークを十分に経験してこなかったことによる不慣れ、各課題に応じたICTツールを使いこなすスキルの不足などに起因する。

 コミュニケーションの促進については、特に中高年の管理職の意識を変えるために、良質なテレワークの実施に向けたトレーニングが必要だ。年功序列がいまだに維持されている状況が存在し、中高年の管理職が出勤すると若い社員は出勤を余儀なくされ、無駄な出社への同調圧力が発生しやすい傾向がある。タスクフォースは、「中高年層には対面主義が根付いており、職場にいるだけの時間を労働時間と見なして、長時間働いている人こそ評価する傾向にある」とも指摘した。

 タスクフォースの議論の根底には「働くことが個人やチームのウェルビーイングにつながるべきだ」という強い考えがある。同組織によれば、テレワークは、従業員が離れた場所で働くため個人の業務の明確化にフォーカスされがちだが、テレワークでも適切なコミュニケーションをとれば従来の日本型の働き方の良さであるチームワークによってパフォーマンスを最大化することも可能で、これが企業全体や社会全体の生産性の向上にも結び付くという。

4.“キャリア端末”のセット販売を仕掛けるイオンモバイル SIMロック禁止で変わる端末販売の在り方(8.14 ITmedia)
イオンリテールは、10月1日にイオンモバイルの新料金プランを220円(税込み、以下同)値下げすることを発表した。同社に回線を提供するMVNEが、ドコモとの契約を「音声接続」と呼ばれるオートプレフィックス機能に切り替えることに伴い、仕入れ価格が下がるためだ。イオンモバイルはドコモとauの2回線から大本のキャリアを選択できるが、au回線側もドコモ回線に合わせる形で値下げを行うという。

 一方で、値下げ以上にインパクトが大きかったのが、端末販売の新戦術だ。同社は大手キャリア3社の販売するスマートフォンと、イオンモバイルのSIMカードをセットで販売していく方針。イオンはMVNOを展開するのと同時に、大手3キャリアの代理店でもあるため、キャリアモデルを仕入れることが可能。イオンモバイルがこうした販売施策に踏み切る背景には、10月1日に義務化されるSIMロックの禁止がある。

 キャリアモデルのセット販売は、イオンモバイルにとっての武器になるのはもちろんだが、同様の方法で販売を行うMVNOが増えてくると、キャリアとメーカーの在り方に与えるインパクトも大きくなる。現時点では少数にとどまっている端末の単体販売が主流になれば、キャリアモデルの存在意義も見直す可能性がある。その影響を考察した。

 イオンリテールでイオンモバイルの事業を推進する、住居余暇本部 イオンモバイルユニット イオンモバイル商品マネージャーの井原龍二氏によると、「イオンは代理店としてキャリア端末の販売を行っているため、キャリアのスマートフォンとイオンモバイルをセットで販売できる」という。これは、今までMVNOでの取り扱いが少なかったiPhoneやGalaxy、Xperiaといったブランドの端末を、フルラインアップで販売できるようになることを意味する。

5.総務省が「SIMロック原則禁止」のガイドライン改訂を確定 10月1日から順次適用 「eSIMガイドライン」も新設(8.12 ITmedia)
総務省は8月10日、「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」を改訂した。今回の改訂では、主に移動端末設備(携帯電話端末)のSIMロックに関するルールを改訂しており、原則として10月1日から適用される。ただし、一部の内容は10月1日以降に適用されるものもある。

 今回のガイドライン改定では、2021年10月1日以降に発売する端末について、SIMロック状態で販売することを原則禁止する。ただし、以下のプロセスを経た上で総務省に確認を取った場合は、同日以降に発売する端末でもSIMロックを設定して販売可能だ。

販売する事業者においてSIMロック以外の利用制限方法を検討すること
SIMロックを掛ける判断に至った経緯や目的、運用計画などを記した資料を用意すること
総務省による有識者への意見聴取を経ること
 例外的にSIMロックの設定が認められた場合、事業者はその運用計画と運用方針を公表すると同時に、ユーザーにTVCMやインターネットなどで周知することが求められる。

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