週間情報通信ニュースインデックスno.1278 2021/05/29


1.アクセンチュアが提唱する5つの技術トレンド、先行企業に共通するリーダー像は(5.28 日経XTECH)
「テクノロジーを活用している先行企業と出遅れた企業の収益成長率の差は拡大した」――。こう説明するのは、アクセンチュアの山根圭輔テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェア エンジニアリングサービス グループ日本統括 マネジング・ディレクターだ。

 アクセンチュアの調査によれば、先行企業と出遅れた企業の収益(売上高)成長率の差は2015〜18年におよそ2倍だったが、その後およそ5倍に広がったという。あらためてテクノロジーを活用することの重要性が浮き彫りになった形だ。

 では、テクノロジーを活用できている先行企業にはどのような特徴があるのか。山根マネジング・ディレクターは「従来と異なる新しいタイプのリーダーが現場を率いている」と説明する。

 アクセンチュア日本法人は2021年5月24日、IT技術の動向に関する年次調査リポート「テクノロジービジョン」2021年版の記者説明会を開催。新型コロナウイルスの影響で顧客のニーズは変化し、業務はバーチャルな空間へと移行しつつある。先行企業はこうした変化に即応できる「変化の達人」をリーダーに起用しているという。変化にどう適応するかを判断するリーダーシップの重要性が浮き彫りになったといえる。

 テクノロジービジョンのリポートでは変化に即応できるリーダーになるために、今後3年間で押さえるべき技術トレンドを5つ挙げている。それが「テクノロジーの戦略的集積」「ミラーワールド」「一人ひとりがテクノロジスト」「あらゆる場所が仕事場に」「『個』から『全体』へ」である。

 「テクノロジーの戦略的集積」はビジネス戦略とテクノロジー戦略を融合させることを指す。「ミラーワールド」は現実空間と同じ世界をデジタル空間に構築することだ。新たなオペレーションやイノベーションをデジタル空間で生み出し、現実空間に及ぼすリスクを負わずにデータを生成したり、取得したりして蓄積する。

 「一人ひとりがテクノロジスト」は、IT部門に限らず従業員一人ひとりによる草の根的な取り組みによって企業のイノベーションを推進すること。「あらゆる場所が仕事場に」は、新型コロナウイルスの影響で広がったリモートワークなどの暫定的な対応を「新たな機会」と捉え、会社の文化・ルールを適用してビジネスを再創造すること。

 そして「『個』から『全体』へ」は、業界を横断してデータ活用できるようなマルチパーティーシステムの構築を指す。

2.22年北京冬季五輪会場でギガビット超の屋内5G、ファーウェイほか(5.28 日経XTECH)
 中国Huawei Technologies(ファーウェイ)は2021年5月14日、China Unicom(中国聯合通信)北京支社と連携して進める北京5G化計画の一環として、北京国家体育場内に構築したギガビット5G屋内ネットワークを公開した。「2021 World Telecommunication and Information Society Day(WTISD、世界電気通信・情報社会デー)」記念式典にて披露した。300MHzの帯域幅と分散型Massive MIMO技術を使ったHuaweiの5G小型屋内向け基地局「LampSite」により、屋根付きスタンド席の9割の場所にて、1Gビット/秒超の通信が可能になるとしている。

 鳥の巣という通称で知られ、2022年北京冬季五輪の開会式会場にもなるこの北京国家体育場は、延べ床面積25万8000m2の広さを持ち、9万1000人を収容できる。こうした場所で観客が一斉に写真や動画を共有した場合には、膨大なデータ通信量が必要となる。また、AR技術の向上などにより、今後さらに多様なコンテンツやサービスの提供が始まることも予想される。

 こうした状況に対応するため、China UnicomとHuaweiは帯域幅300MHzに対応する5G小型屋内向け基地局を使ったネットワーク環境を構築。今回のフィールドテストでは、3.3〜3.5GHz帯の300MHz幅を使った下り通信でのピーク時スループットとして、12Gビット/秒を確認。上りリンク時の速度も改善し、通信が混雑するスタジアム内でも大容量通信が可能になったとしている。

 また、分散型Massive MIMO技術を活用することで、屋内でのビームフォーミングとマルチユーザーMIMOも可能にし、5Gネットワーク容量とユーザーエクスペリエンス両方を強化。複数セル間の干渉をなくし、5Gカバレッジ内のほとんどの場所で高速高品質なネットワークを提供するとしている。今回のフィールドテストでもユーザーの認識する通信速度を3割以上改善し、移動中のユーザーにも安定的にギガビットレベルの通信を提供できることを確認している。

3.「Industry 4.0時代の労働者守る」、エリクソンの5G IoTデバイス(5.28 日経XTECH)
スウェーデンEricsson(エリクソン)は2021年5月17日、Industry 4.0(インダストリー4.0)時代の労働者の安全を守る小型デバイスを紹介した。5GとセルラーIoT技術を組み合わせて開発されたこのデバイスは、鉱業や製造業をはじめ、さまざまな業界で働く労働者の安全確保に貢献する。米Sigma Connectivity、スウェーデンMobilarisの協力を得て開発を完了し、既にスウェーデンで実用化されている。

 今回のMobilaris製5G対応デバイスは、センサーを使って、人や車両、その他移動式設備をリアルタイムにポジショニング・監視し、衝突の危険を察知して通知を行う。小型ながら有毒ガスの発生や気圧や温度、湿度の変化に自動的に反応するセンサーも搭載している。

 開発はMobilarisとSigma Connectivityが担当。Ericssonは、高い信頼性とセキュリティーにも優れた接続を低コストで実現するIoTプラットフォーム「IoT Accelerator」とリファレンスデザイン「Ardesco」を提供している。

 この小型5G IoTデバイスは、現在、欧州や北米、オーストラリアで認定が完了し、利用可能となっている。北欧を拠点とする通信事業者Teliaの公共およびプライベートネットワーク上で検証完了し、スウェーデンの産業界で既に活用されているという。

4.富士ソフトが仮想オフィス、複数座席にアバターの分身を配置可能(5.27 日経XTECH)
富士ソフトは2021年6月15日、仮想オフィス空間を提供するサービス「FAMoffice」の販売を始める。新型コロナウイルス対策として在宅勤務を中心としたテレワークに大規模に取り組む企業では、コミュニケーションを取りづらくなるといった課題に直面していることが多い。富士ソフトは新サービスを提供することでこうした課題を解決できるようにする。2023年度までに1000社への販売を目指す。

 FAMofficeでは会議室や執務スペースなどがある仮想的なオフィス空間に、ユーザーである企業の社員がアバターとして出社できる。出社している他の社員もアバターとして空間上に表示させて、他の社員の状況を把握できるようにする。マウス操作などで自身のアバターを他のアバターと重ねることで、ビデオ通話をすぐに始められるようにして、ちょっとした相談や雑談を始めやすくする。

 さらに、仮想オフィス空間にある複数の座席に、アバターの分身を座らせることができるマルチアバター機能も提供する。複数の部署やプロジェクトを兼務する場合に使うと、コミュニケーションを取ったり、部署やプロジェクトの一体感を高めたりすることがしやすくなるという。

 富士ソフトではコロナ下で社員全体の7割ほどがテレワークをするようになっている。コミュニケーションが取りづらいといった課題に直面したため、解決策としてFAMofficeを試験的に開発。2020年7月から活用してきた中、製品化を決めた。

5.5G加入で屋内Wi-Fi接続が減少、エリクソンの最新ユーザー調査(5.25 日経XTECH)
スウェーデンEricsson(エリクソン)は2021年5月12日、既に世界中に使われている5G対応スマートフォンユーザーの要望をまとめた最新リポート「Five ways to a better 5G - Key trends impacting consumer adoption, usage, and perception.」を発表した。5人に1人は、屋内でも5G接続できるようになったことでWi-Fi接続が減ったと回答。一方で、屋内カバレッジへのさらなる強化が望まれていることなど報告している。

 リポートは、米国、中国、韓国、英国を含む世界26カ所の市場にて、2億2000万の5Gユーザーを含む13億のスマートフォンユーザーを対象としたアンケート結果を基にまとめられている。

 2020年末の時点で、5G対応機種を購入していながら、5Gに未加入のユーザーが22%に上るとするほか、5G加入後に始まる新しい利用行動についても報告している。早期5G加入者ではWi-Fi接続が減る一方で、4Gユーザーに比べて、クラウドゲームに平均週2時間、ARアプリに週1時間多く時間を割いている。

 5Gユーザーが通信速度に満足している一方で、70%のユーザーは、5Gプランに革新的なサービスや新しいアプリケーションの追加を望んでいる。そうした対応があれば、20〜30%増額されてもよいと答えている。

 新型コロナウイルス感染症によるロックダウンや移動制限により、ユーザーの多くが屋内での活動を余儀なくされてきた。その結果、5G体験を満たす条件として、速度や電池持ちを望む声より屋内カバレッジが重要だと回答する人が2倍以上となっている。

 リポートでは、今後こうした消費者の要望に迅速に、または長期的に応えるために、通信サービスプロバイダーが行うべきこととして、下記5つを提案している。

5G価値を消費者に理解してもらうため、適切なマーケティングと情報提供を行う
屋内および屋外での一貫した5Gカバレッジ品質の確保
新しい5Gサービスに向けたネットワーク要件の対応
消費者の要望を的確につかむ新しい5Gサービスの実現
既存サービス、および、新規サービスの5G上での利用に向けた迅速な対応

 ホームページへ