週間情報通信ニュースインデックスno.1265 2021/02/27


1.波長爆発を防げ、NTT「IOWN」の超ネットワークを支える技術(2.26 日経XTECH)
NTTがこれまでにない規模の大勝負を仕掛ける「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想。同構想が掲げる超高速・大容量で超低遅延なネットワークを実現するのが、「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」である。「1人1波長」を目指すAPNの実現に向けて課題になるのが、大量に必要となる波長を効率的に扱うための技術だ。現状のインターネットのプロトコルであるTCP/IPもネックになり、NTTは課題解決に向けた研究開発を進めている。

 波長分割多重方式で伝送するWDM装置は、S帯、C帯、L帯という主に3つの光の伝送波長帯を扱う。WDM装置1台当たり、最大で100以上の波長を扱える。ローカル面はともかく、各ローカル面からの光信号が集中するコア面では、波長が重複する問題が多発することになる。波長が重複した場合、エンド・ツー・エンドの光パスが作れなくなり、別のファイバーを増設するなどの措置が必要となる。

 そこで鍵を握るのが波長帯変換技術だ。コア面で波長が重ならないように、Ph-EXで適切な波長帯に変換する。

 波長帯変換技術自体は、NTT以外の事業者も研究を進めている。たとえば、富士通は2018年、もっとも使用頻度が高いC帯から、異なる帯域に変換する全光一括波長変換システムを開発した。

 波長変換で波長の重複を防いだとしても、現状では供給可能な波長数に限度がある。そこでNTTは、大規模ネットワークにおいて光パスに波長を効率的に割り当てることで、使用波長数を減らす研究にも取り組んでいる。

 光ネットワークにおいて波長は物理的な資源であり、効率よく使いまわさなければならない。光パスに対して順番に波長を割り当てるのではなく、需要を予測しながら計画的に行う。こうした波長割り当てのアルゴリズムは、複数の最適化技術を組み合わせながら構築しているとする。 

 

2.光の伝搬で演算、光ニューラルネットワークとは?(2.22 日経XTECH)
ここに来てNTTだけでなく、光を情報処理に使おうという動きが世界で活発化している。特に活発化しているのが、光の伝搬を利用して演算を実行する「光ニューラルネットワーク」だ。

 簡単に言えば、光回路を演算用に調整し、光が通るだけで演算が完了する技術である。短い距離を光の速さで通過して演算するため、一部演算においてCPUなどのチップより高速なデータ処理を実現できる。「米マサチューセッツ工科大学(MIT)のグループが論文を発表した2017年から、光ニューラルネットワークの研究が非常に盛んになった」と名古屋大学大学院 情報学研究科 教授の石原亨氏は語る。

 光ニューラルネットワークの概念を簡単に説明しよう。左側に光回路内を通過する光の光源があり、右側に光の観測点がある。光ニューラルネットワーク内には、光の位相や強度などを変調する光デバイスを並べる。光デバイスはコンピューターの電気信号を受けて動作する。

 コンピューターに学習用サンプルのパラメーターデータを与え続け、光ニューラルネットワークで正しい演算結果(出力光)を観測できるように、光デバイスへの電気信号強度を調整し続ける。

 この調整の中でコンピューターは、正しい演算結果が得られる光デバイスへの電気信号を学習する。

 学習後、電気信号を固定することで、学習済み光ニューラルネットワークが完成する。ここに推論用サンプルのパラメーターデータをコンピューターに与えると、光ニュートラルネットワーク中の光の伝搬だけで正しい演算結果が得られるようになる仕組みだ。

 この技術の応用先としては自動運転車が挙げられる。「自動運転車がエッジ側で膨大データを処理し続けようとすると、搭載している電池をすぐに使い切ってしまう」(インテル 日本法人 執行役員 新規事業推進本部本部長の大野誠氏)。自動運転車では、周囲の状態などを低消費電力で認識できるようにする演算処理が求められている。そこで光ニューラルネットワークで消費電力を抑えられる可能性がある。

 さらに光電融合技術の普及が進めばセンサー類から集めたデータを光で送受信するため、同デバイスの利用先が広がっていくはずだ。例えばCMOSイメージセンサーは周囲の光をセンシングし、電気信号として取り出している。それを再度変換して光信号で送信することで、光ニューラルネットワークデバイスによる物体認識などの分析処理を高速処理できるようになる。自動運転などで求められる瞬時の認識・判断に寄与するかもしれない。

 光ニューラルネットワークの研究開発は、産業技術総合研究所(以下、産総研)や名古屋大学などが取り組む。産総研は同デバイスを利用し、光ニューラルネットワークで3種類のアヤメの分類に取り組む研究を進めている。  

 

3.セキュリティーツール「VT4Browsers」の謎、文科省指摘の機密情報流出はこれが原因(2.22 日経XTECH)
2021年1月下旬から2月上旬にかけて一橋大学や慶応義塾大学、関西学院大学、日本医科大学など複数の国公立・私立大学が相次いで、学生・教職員向けにWebブラウザーのプラグイン「VT4Browsers」に関する注意喚起を出した。一部の大学は、文部科学省の関係機関で発生したプラグインによる機密情報の流出事故の報告と、このプラグインの利用方法に関する注意喚起を同省から受けたことを明らかにした。

 文科省は日経クロステックの取材に対して、「該当する事案があったと報告を受けた。2月中旬時点で報告は1件のみで、それ以外の事案は把握していない」(同省のセキュリティー担当部署)とした。

 文科省が報告を受けた流出事故とは何だったのか。またVT4Browsersを利用するとどうして情報流出につながるのか。謎に迫った。

 流出事故は、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の学生・教職員の個人情報が外部に流出した事故だとみられる。JAISTは1月29日、この事故を明らかにした。

 JAISTの発表によれば、事故は2020年11月に発生した。職員が「ダウンロードしたファイルを外部のウイルスチェックサービスサイトに自動アップロードし、安全確認を行う機能」が導入された端末を誤って使用し、学生・教職員の個人情報1725件(名前、メールアドレス、所属部局・研究室)を含むファイルをダウンロードしたという。

 

4.江の島の自動運転バス実験、3年目で直面した「あの問題」(2.25 日経XTECH)
小田急電鉄は神奈川県と共同で2021年1月、同県藤沢市江の島周辺の公道において自動運転バスの実証実験を行った。2018年9月の1回目、2019年8月の2回目に続く3回目の実証実験で、「自動運転に特化した車両を使い、将来の実用化により近い形にした」(小田急電鉄の長岡亮介 経営企画本部経営戦略部次世代モビリティチーム交通サービスプランナー)。今回、実用化に近づけたことで見えた課題を探る。

 江の島は県内有数の観光地であるとともに、セーリング(ヨット)競技の拠点でもある。2018年9月にはセーリングワールドカップが開催された。2021年夏には東京五輪のセーリング競技会場になる予定である。神奈川県産業労働局産業部産業振興課さがみロボット産業特区グループの本間陽一グループリーダーは「多くの人が集まる江の島で自動運転の将来性を感じてもらうことを狙った」と説明する。

 1回目と2回目の実証実験では日野自動車の小型バス「日野ポンチョ」の改造車を使った。今回は車両を仏Navya(ナビヤ)製の電動自動運転バスARMA(アルマ)に変更した。既存のバスとは異なる自動運転に特化した車両で、ハンドルやアクセル・ブレーキは付いておらず、タッチパネルなどで操作する。GPS(全地球測位システム)やレーザーセンサー(LiDAR)で自己位置を特定したり周囲の安全を確認したりしながら自動走行する。

 

5.MVNO業界に衝撃を与えたIIJmioの新料金プラン なぜここまで安くできたのか?(2.27 ITmedia)
楽天モバイルのMVNOを除くと実質的なシェア1位となるIIJが、IIJmioの新料金プランである「ギガプラン」を発表した。ギガプランは2GBから20GBまで5段階に料金が分かれており、最安の2GBプランは音声通話付きで780円(税別、以下同)。大手キャリアはもちろん、他のMVNOの新料金プランを大きく下回る金額が話題を集めた。さらに、データ通信のみのeSIMだと、料金は2GBで400円まで下がる。では、なぜIIJがここまで低価格な料金を打ち出せたのか。その理由を読み解いていきたい。

 ギガプランと銘打たれたIIJmioの新料金プランは、単なる値下げではない。データ容量やデータシェアの仕組み、さらには速度制限時の通信速度や対応する通信方式の世代まで変わっており、全面改定と言っても過言ではない中身だ。現行の料金プランは、データ容量が3GBの「ミニマムスタートプラン」、6GBの「ライトスタートプラン」、12GBの「ファミリーシェアプラン」の3つ。これを、2GB、4GB、8GB、15GB、20GBの5段階に改める。

 音声通話付きの場合、2GBは先に挙げたように780円。4GBは980円、8GBは1380円、15GBは1680円、20GBは1880円とリーズナブルな料金を打ち出している。現行のミニマムスタートプランは3GBで1600円だが、ギガプランで4GBプランを選べば、データ容量が1GB増えるとの同時に、料金も620円安くなる。1つ上の8GBプランを選んでも、3GBのミニマムスタートプランより維持費が安くなるのは驚きだ。より安価なプランを選んで節約してもよし、近い金額のプランを選んで容量を増やしてもよしと、選択に迷ってしまいそうな料金体系になっている。

 大手キャリアやそのサブブランドはもちろん、直接的に競合する他のMVNOと比べても、IIJmioのギガプランは安い。例えば、2月に料金を改定したmineoの「マイピタ」は、音声通話付きの1GBプランが1180円で、IIJmioの2GBプランより容量が少なく価格が高い。5GBプランは1380円で、IIJmioの8GBプランと同額だが、データ容量が3GB少ない。中容量帯も同様で、全体の傾向としては、IIJmioの料金の方が安く、データ容量も多い。IIJ 執行役員 MVNO事業部長の矢吹重雄氏は、「来年、再来年にはMVNOの標準的な価格になっていると思うが、将来を予見して、積極的なプライシングができた」と自信をのぞかせる。

 特筆したいのが、eSIMだ。音声通話やSMSができないなど、機能はデータ通信専用SIMに近いが、価格は一段安い。2GBは400円、4GBは600円、8GBは1000円、15GBは1300円、20GBは1500円と、他のMVNOの追随を許さない低価格を打ち出している。「設備や運営にまつわるコストを削減し、お客さまに還元した」(MVNO事業部 コンシューマサービス部長 亀井正浩氏)というのが安さの理由の1つだ。

 この価格には、プロモーションの意味合いも込められている。亀井氏は「eSIMはとにかく使ってほしいので、あの価格で出した」と語る。対応端末はiPhoneやPixelなどに限定されるが、価格の安さゆえに、2回線目として維持しやすいため「サブ回線としてのニーズも大きい」(同)。eSIM対応端末の多くはデュアルSIMで利用できるため、他社ユーザーの“2スロット目”を奪いにきたともいえそうだ。

 まず、音声通話対応SIMの場合、現状では基本使用料が1回線につき666円かかる(ドコモ回線で割引適用後、以下同)。IIJも、音声通話対応SIMには700円の基本使用料を設定しているが、これはMNOからの仕入れ原価に基づいたものだ。差額はIIJ側の利益になるが、音声通話対応のためにかかる追加のコストを考えれば、ほぼ原価でユーザーに提供しているといえる。音声通話が30秒20円なのは、卸価格として30秒14円をMNOに支払っているからだ。

 予測を交えながらコスト低下分をダイレクトに料金プランへと反映させた格好で、大手キャリアとの価格差もしっかりついている。混雑時に極端な品質が低下するようなことがなければ、ユーザーの支持を集めそうだ。大手MVNOでは、NTTコミュニケーションズのOCN モバイル ONEや、ソニーネットワークコミュニケーションズのnuroモバイルが、まだ料金を改定していない。価格のインパクトが大きかっただけに、既に新料金を導入済みのmineoなども含め、他のMVNOの出方にも影響を与えそうだ。

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