週間情報通信ニュースインデックスno.1261 2021/01/30


1.NECの2020年4〜12月決算は減収増益、5GとGIGAスクール関連が堅調(1.29 日経XTECH)
NECは2021年1月29日、2020年4〜12月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上収益は前年同期比6%減の2兆444億円、営業利益は同5.7%増の823億円で減収増益だった。新型コロナウイルス禍のマイナス影響はあるものの、5G(第5世代移動通信システム)や小中学校生に1人1台の端末を整備する政府の施策「GIGAスクール構想」関連の需要が堅調であり、売上収益は回復基調にあるという。

 セグメント別にみると、「ネットワークサービス」が好調だった。売上収益は前年同期比13.4%増の3658億円、調整後営業利益は同61億円増の199億円だった。国内で5Gネットワーク構築の勢いが増しており、基地局を構成する無線装置(RU)だけでなく、無線制御装置(CU)の出荷も本格的に始まったという。

 新型コロナ禍に伴う市況悪化の影響は「縮小の方向」との見方を示した。2020年10月時点では営業損益ベースで年間約650億円の損失を見込んでいたが、現状を踏まえ、期初想定の約500億円の損失まで戻した。次期社長でもある森田隆之執行役員副社長兼CFO(最高財務責任者)はリモートワーク関連サービスなどニューノーマル(新常態)需要が「2021年度以降に本格化するデジタル化への布石になる」との期待感を示した。

 2021年3月期の業績予想は据え置いた。売上収益は前期比2.1%減の3兆300億円、営業利益は同17.5%増の1500億円を見込んでいる。

2.欧州で6Gの新プロジェクト「REINDEER」、基地局不要のセルフリー(1.29 日経XTECH)
スウェーデンEricsson(エリクソン)は2021年1月25日、同社が参加する新6Gイニシアチブ「REINDEER」の活動概要を、自身のニュースサイトで報告した(Ericssonのニュースリリース)。EU(欧州連合)が出資するREINDEERは、通信業界や学術界からさまざまなパートナーが集まり、6Gシステムに不可欠となるマルチアンテナベースの高度な接続プラットフォーム開発と構築が進められるという。

 REINDEERは、5G PPP(5G Infrastructure Public-Private Partnership、欧州の5G通信産業発展に向けた戦略的官民協力体制)下のプロジェクトで、EUの研究および革新的技術開発促進計画「Horizon 2020」の一環として資金提供を受けている。2021年1月1日から3年半の予定で進められる。

  REINDEERという名称は高度に多様化されたエネルギー効率に優れる(Diversity in Energy-Efficient)RadioWeave技術を活用するREsilient INteractiveアプリケーションに由来する。そしてこのRadioWeaves技術開発が、REINDEERプロジェクトの重要な成果となるとしている。この新しい無線アクセスインフラは、分散型の無線とコンピューティング、およびストレージから構成される。面状に張り巡らす大規模かつ高度なアンテナ技術で、基地局がいらないセルフリーの無線アクセスを実現し、5Gネットワークをはるかに超える能力を提供。ほぼ無限に拡張可能な容量と、遅延時間ほぼゼロでの大量機器間相互接続を可能にするとしている。

 プロジェクトには、マルチアンテナ技術を持つ企業に加え、ベルギーのルーヴェン・カトリック大学やスウェーデンのリンショーピング大学、ルンド大学などの大学も参加する。Ericssonでは、Massive MIMOなどの分野で、長年にわたり、リンショーピング大学、ルンド大学と共同研究を続けており、そこで育まれた技術がREINDEERの強力な基盤になるとしている。

3.鉄骨の品質確認はiPhoneとZoomで、コロナ禍に活躍する鹿島の遠隔検査(1.29 日経XTECH)
鹿島が鉄骨の製品検査のリモート化を進めている。スマートフォンの映像などを基に検査を済ませられるのがメリットだ。施工者や設計者などが遠方の鉄骨製作工場に足を運ばずに済むため、これまで1日に1工場が限界だった検査を、2工場で実施することが可能になる。新型コロナウイルス感染症に罹患(りかん)するリスクも減らせる。

 鹿島が導入を進める遠隔検査では、ビデオ会議システム「Zoom」を通じて図面や映像などを工場と共有し、書類検査や鉄骨製品の対物検査を実施する。対物検査では、米Apple(アップル)の「iPhone 11 Pro」を手ぶれ防止用のジンバルに装着し、工場側で鉄骨を撮影。映像を通じて鉄骨の寸法を確認したり、溶接部の表面に穴がないことを確認したりする。第三者機関が現地で実施する超音波探傷検査の結果なども映像を通じて共有する。

 鹿島横浜支店建築部生産推進サポートグループの倉本太一氏は、「溶接部など細かい部分を確認するには、画質の良い映像が必要だ。iPhone 11 Proなら十分に対応できる」と話す。

4.東京海上日動が全国300拠点にSD-WAN、コロナ禍の通信急増を即座に解決できた訳(1.29 日経XTECH)
クラウドサービスの利用拡大で急増する通信トラフィック。通信の混雑を防ぐため、東京海上日動火災保険は次世代技術「SD-WAN」を使う社内網を構築した。テレワークへの移行にも威力を発揮した新型WANを、全国の主要な300拠点へ展開する。

 「将来はクラウドの業務利用が一段と進み、それに合わせて社内網のあり方を再定義する必要が出てくる。こう考えて、何年も前から有望な技術を探していたのが功を奏した」――。

 東京海上日動火災保険における新たなネットワーク基盤の導入経緯について、東京海上日動システムズの畠山亮オープンサービス本部オープンサービス管理部シニアアーキテクトはこう振り返る。

 日本初の保険会社として1879年に創業した東京海上保険と、1898年創業の東京物品火災保険を前身に持つ日動火災海上保険が、2004年に合併して誕生した国内損保最大手の東京海上日動。同社は現在、次世代の通信制御技術を用いた新型WAN(拠点間ネットワーク)を2年かけ展開している。

 その技術とは「SD-WAN」。「Software Defined Wide Area Network」の略で、文字通り「ソフトウエアでネットワークを定義する」という新発想のWAN構築技術である。

5.LINE、新型コロナワクチン接種予約システムを自治体向けに提供開始(1.28 日経XTECH)
LINEは2021年1月28日、対話アプリ「LINE」を使って新型コロナワクチン接種の予約ができるシステムを、地方自治体向けに提供を開始したと発表した。自治体のLINE公式アカウントを通じて予防接種を予約できるほか、人工知能(AI)による電話の音声自動応答や、OCR(光学的文字認識)を活用した接種券の自動読み取りなども提供する。

 LINEアプリを使った接種予約システムでは、自治体のLINE公式アカウントを使って住民が予防接種の予約ができる。自治体はLINE公式アカウントを無料で利用できるが、別途システム開発事業者を通じてシステムを構築する必要がある。LINEは1月上旬に自治体向けの説明会を実施し、すでに神奈川県寒川町、和歌?県紀の川市など100前後の自治体で導入の見込みという。

 また、予防接種に伴う自治体の業務フローを効率化するため、LINEが開発したAI「LINE CLOVA」を組み合わせたサービスも提供する。1月28日に開催した自治体向け説明会でサービスの概要を説明した。

 住民からの問い合わせ電話には、音声対応サービス「LINE AiCall」で自動応答する。また、LINEアプリを使った接種予約システム向けには、住民が接種券の券番号などを手入力する代わりにOCRで入力できるようにするほか、オンライン本人確認「LINE eKYC」を活用して接種会場での本人確認をスムーズにできるようにする。

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