週間情報通信ニュースインデックスno.1260 2021/01/23


1.無料のツールからクラウドサービスまで、ネットワーク監視の始め方(1.22 日経XTECH)
いざネットワーク監視を始めようと考えたとき、何から手を付ければよいだろうか。ネットワーク監視を始めようと思う人に向けて、利用しやすいツールやサービスの導入方法や特徴を紹介しよう。

 ネットワーク監視が初めてという人は、pingコマンドやtracertコマンド、PsPingコマンドを定期的に実行することをお勧めする。短期間試すだけでも、トラブルの兆候や対策などに気づく可能性がある。

 例えば利用しているクラウドサービスの応答時間が徐々に長くなっていたとしよう。放っておけば、業務に影響が出るかもしれない。クラウドサービス用に別のインターネット接続回線を追加して、クラウドサービスの通信をオフロードさせるといった対策が考えられる。

 OS標準またはOSベンダーが提供するコマンドや機能を使うので、初期コストもランニングコストも低い。短期間で成果が得られなかったとしても役立つ日が来るので、継続する価値はある。

2.航空会社の苦境ですらアマゾンの追い風に、中古の飛行機を買いあさる訳(1.22 日経XTECH)
新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中の航空会社が存続の危機に立たされているが、米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)にとってはこのような状況すら追い風になっている。経営危機の航空会社から飛行機を中古で買い取り、アマゾン専用輸送網の増強に動いているからだ。

 アマゾンが米Delta Air Lines(デルタ航空)から米Boeing(ボーイング)製の中型機767-300を7機、カナダのWestJet Airlines(ウエストジェット航空)から同じく767-300を4機購入すると発表したのは2021年1月5日のこと。アマゾンは買い取った合計11機の航空機の改装を済ませたうえで、2022年までにアマゾンの航空輸送網である「Amazon Air」で運用するとしている。

 2015年に「Amazon Prime Air」との名称で開始し、2017年に現在の名称へと変更したAmazon Airは、顧客が同社のeコマースサイトで購入した商品の小包を配送するためだけに設けられた航空輸送網だ。アマゾンは2020年6月の時点で70機の航空機をAmazon Air用にリースで導入しており、その数を2021年までに80機へ増やすとしていた。航空機をリースではなく購入すると発表したのは今回が初めてで、2022年にはAmazon Airの航空機は90機を超えることになる。

 同社でAmazon Airを担当するSarah Rhoads(サラ・ロードス)バイスプレジデントは「我々のゴールは米国中の顧客がアマゾンに対して期待するやり方で配達を続けることであり、我々専用の航空機を購入するのは、ゴールを達成するための次の一手として自然なものだった」とプレスリリースで述べている。

 アマゾンで顧客が注文した商品は近くにある配送センター(フルフィルメントセンター)からのみ届くのではない。顧客から離れた場所にあるフルフィルメントセンターで箱詰めされて届くことも多い。在庫切れによる販売機会の損失をなるべく避けるためだ。国土の広い米国の場合、顧客から数百〜数千キロメートル離れたフルフィルメントセンターから届くことも珍しくない。トラックで運んでいては数日かかるため、航空輸送を積極的に活用している。

 こうした事情から米国では、空港の近くにアマゾンのフルフィルメントセンターが設けられることが多い。筆者が2018年秋に取材で訪問した米ワシントン州にあるアマゾンのフルフィルメントセンター「BF14」も、シアトル・タコマ国際空港から15分ほどの距離にあった。アマゾンは現在、Amazon Airの取り組みとして専用の貨物機を飛ばすだけでなく、米国や欧州の空港にAmazon Air専用の物流ハブまで設けている。

 米国では、注文から1〜2日での商品配達が無料となるAmazon Primeの会員数が1億人を突破した。アマゾンにとって速達の物流網の整備は、Amazon Prime事業を拡大するうえでの最重要課題である。Amazon Airの拡充は今後も急ピッチで進みそうだ。

 新型コロナ禍で経営状況が悪化している航空会社は、資金繰りのために手持ちの航空機の売却を迫られている。しかし現在は世界中の航空会社が苦境に立たされており、買い手を探すのも難しい状況だ。そうした航空会社にとってアマゾンによる航空輸送網の拡充は、渡りに船となっているだろう。一方のアマゾンにとっては今の状況は、安値で航空機を調達できるチャンスになっている。

 新型コロナ禍は、消費行動のリアルからオンラインへの大きなシフトを生み出し、アマゾンのeコマース事業の拡大を拡大させることになった。それだけでなくeコマース事業を支える物流網の拡大にとっても追い風になっている。同社は2月2日(米国時間)に2020年12月期決算を発表する予定だ。売上高や利益の伸びだけでなく、同社の設備投資の伸びにも大いに注目する必要がありそうだ。

3.富士通研、マスク着用時でも精度99%以上の顔認証技術を開発(1.21 日経XTECH)
富士通研究所は2021年1月21日、マスク着用時でも99%以上の精度で本人確認できる顔認証技術を開発したと発表した。認証に使う顔画像に疑似的にマスクを付加する「データ拡張学習技術」を開発し、精度を高めたという。

 従来の顔認証技術では、マスク着用時に顔の一部が隠れるために本人と特定されないケースが数%あったという。同技術の開発によって「マスクを着用しない場合と同等程度の高い精度を実現している」(安部登樹デジタル革新コア・ユニットプロジェクトマネージャー)。

 同社は今後、顔認証と手のひら静脈認証を組み合わせた「マルチ生体認証技術」を企業などに提案していく方針だ。まずは同日から、ローソンと富士通が共同で取り組んでいるレジなし店舗に同技術を適用し実証実験を始める。2021年度中の実用化を目指す。



4.KDDIの新料金で大打撃、悲鳴を上げる格安スマホ業界が緊急措置を総務省に要望(1.20 日経XTECH)
KDDI(au)が2021年1月13日に新料金を発表した。大手3社では最後の発表だったこともあり、よく練られた料金プランとなっている。

 オンライン専用の新ブランド「povo(ポヴォ)」は毎月のデータ通信量が20ギガバイトで月2480円(税別、以下同じ)。NTTドコモやソフトバンクのオンライン専用ブランドが標準で備える「5分以内の国内通話かけ放題」をオプション扱いとすることで月500円安くした。

 ただ、筆者が最も驚いたのは「UQモバイル」の新料金だ。最も安い「くりこしプランS」は毎月のデータ通信量が3ギガバイトで月1480円と格安スマホ並みに下げてきた。同じ3ギガバイトの条件で格安スマホの料金を見ると、インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJmio」が月1600円(KDDI回線を使うタイプAの場合)、オプテージの「mineo」が月1510円(KDDI回線を使うAプランの場合)である。

 格安スマホは朝の通勤・通学、昼休み、夕方などの混雑時に通信速度が低下することで知られるが、UQモバイルにはこうした弱点がない。店舗で手厚いサポートも受けられるとなれば、格安スマホから乗り換える動きが加速しそうだ。今回、KDDIが小容量の領域にまで踏み込んで攻めてきたことで、格安スマホを展開するMVNO(仮想移動体通信事業者)はいよいよ危機的な状況となってきた。

 現行の回線貸出料金でMVNOが大手3社に対抗するのは極めて困難――。大手MVNOなどで構成する業界団体「テレコムサービス協会MVNO委員会」は2021年1月19日、総務省の有識者会議で緊急措置の実施を強く訴えた。

 具体的には、イコールフッティング(平等な競争条件)の早期確保が必要として以下の3点を求めた。(1)データ通信サービスの貸出料金の低廉化、(2)音声通話サービスの貸出料金の低廉化、(3)イコールフッティングの担保に向けた新ルールの整備、である。

 UQモバイルの新料金は2021年2月1日から提供が始まる。ソフトバンクも「ワイモバイル」ブランドで追随すると想定され、緊急措置は待ったなしの状況だ。サービス多様化や競争促進の観点でMVNOの存在意義は大きく、総務省には早急な対応を期待したい。

5.こだわりの仮想オフィス、会話のしづらさやアイデア出しは簡単操作で解決(1.20 日経XTECH)
「在宅勤務だと同僚の状況がつかめずコミュニケーションが取りにくい」「雑談がしづらい」。新型コロナ対策で在宅勤務に取り組む企業ではこうした課題に直面している。解決策として注目が集まるのが「仮想オフィスサービス」だ。本特集では3回に分け、仮想オフィスサービスとは何か、メリットはどういうものかなどを分かりやすく解説する。今回は会話やアイデア創出のしやすさを狙ったサービスを取り上げる。

 「オフィスにいるときとは違って、相手の様子がつかみにくく、今チャットなどでコミュニケーションを取ってよいのかが分からない」「複数のメンバーがホワイトボードを使いながら、事業や業務に関するアイデアを自由に出し合うといったことがオンラインではしづらい」。新型コロナ対策として在宅勤務を中心にテレワークが普及した企業では、こうした課題に直面しやすくなっている。

 こうした課題を解決するため、テレワーク環境下でも会話を始めたり、複数メンバーでアイデアを出したりしやすくする仮想オフィスサービスが登場している。このうち会話のしやすさに重点を置いているのが、テレワークツール開発のラウンズが2019年10月から提供している「roundz」だ。

roundz(ラウンズ) 仮想オフィス空間を通してユーザー同士が音声チャットや画面共有などでコミュニケーションを取れるようにするサービス。他のユーザーに話しかけやすくするため、パソコンの利用状況などを踏まえて自動でユーザーのプレゼンス情報を表示したり、パソコンのキーボードのキーを押すと同じ仮想空間にいるユーザーに話しかけたりできる 月891円(1ユーザー)

 roundzは、話しかけてよいかどうかといった他のユーザーの状態を示すプレゼンス機能や、音声チャット機能、あるユーザーが使うパソコンのデスクトップ画面を複数ユーザーで共有する画面共有機能などを備える。UI(ユーザーインターフェース)を見ると、プレゼンス情報の表示や音声チャット用のボタンなどに限定していることが分かる。

 シンプルなUIにすることで、ユーザーが資料作成などのパソコン作業を進めているときに、ちょっと視線を移せば自然と目に入るようにしている。パソコン作業の途中で「Aさんに確認したいことが出てきた」といった場合にも、すぐにUIにあるマイクアイコンを操作できるようにしている。ラウンズの合田翔吾社長は「roundz は会話にこだわった声のバーチャルオフィスだ。機能面でも話しかけやすさを担保することにこだわっている」とは説明する。

 音声チャット機能については電話のように相手を呼び出してから通話するといった手間を省いている。あらかじめ通話用のキーがパソコンのキーボードで割り当てられていて、これを押せばすぐに通話できる。仮想的な部屋である「ルーム」に複数のユーザーがいる場合、キーを押して話すとルーム内のユーザーに声が聞こえる。合田社長は「パソコンの中にトランシーバーがある感じだ。操作面など物理的なハードルを下げることで、ユーザーが思い立ったとき、すぐに話しかけられるようにしている」と説明する。

 Webカメラなしでコミュニケーションを取れるようにしたところ、プライバシーが気になる人や「カメラをONにしないと失礼になるのではないか」といったマナーを気にする人も気兼ねなく会話ができると好評だという。「実際に対面で会話するときも、相手の顔ではなく同じ資料などを見て会話をすることが多い。オンラインでカメラがなくても違和感は少ない」と合田社長は話す。

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