週間情報通信ニュースインデックスno.1252 2020/11/28


1.オプテージ、集合住宅対象にローカル5Gによるラストワンマイル無線化の実証実験(11.27 日経XTECH)
関西地区において「eo」ブランドでFTTHサービスを展開するオプテージは2020年11月27日、集合住宅を対象にローカル5Gを活用したインターネット接続サービスの無線化に向けた実証実験を大阪府茨木市で2021年2月に開始すると発表した。

 集合住宅向けのサービスは、建物の外まで引き伸ばした光ファイバーの幹線から、各フロアの利用者宅までの区間を有線で接続する必要がある。今回の実証実験は、このラストワンマイルをローカル5Gで無線化し、電波の特性や通信速度を評価するほか、ネットや電話、テレビのサービス品質を検証する。

 今回の検証は、高速な通信が期待できるミリ波(28GHz帯)を用いて実施する。実フィールド環境において、実音声の伝送、8K映像の上り方向の伝送、5G用レピーターを用いた中継伝送などを行う。5G用レピーターによる中継伝送の実証実験はDXアンテナ、スリーダブリュー、オプテージの3社共同で実施する。

 ラストワンマイルをローカル5Gのミリ波で無線化することで、これまで通りのサービス品質を維持しながら、さらなる高速大容量通信の提供、引き込み工事の不要化、サービス開始までの期間短縮、工事費の低減などの利点を見込む。今回の実証実験を経て2021年度以降、商用化を検討していく予定。

2.フレンドと居場所を24時間共有する「Zenly」、大人にも役立つ用途とは(11.27 日経XTECH)
「Zenly(ゼンリー)」という家族や友達と常に現在位置を共有し合うアプリがある。フランスのZenlyが2015年にリリースし、日本では2019年から女子高生の流行ランキングに入るなど、若者を中心に流行している。

 アプリを開くと、アプリでつながっている相手を指す「フレンド」の現在位置や滞在時間、移動速度、スマートフォンの電池残量が地図上に表示される。さらに最近のアップデートで、出発地点と移動経路をリアルタイムに把握する「Going」、スマホの使用状況から寝ているかどうかを判別する「Sleeping」という機能が実装された。

 若者はZenlyを「つながっている安心感がある」「相手の都合を察することができる」「待ち合わせをする必要がない」などの理由で使っている。つまり、友人と円滑に交流することを目的としている。

 しかし、Zenlyを単なる交流ツールとして片付けてしまうのは早計だ。家族や親友と常に位置情報を共有すれば、大人にとっても役立つことが多い。

 Zenlyが日本で起きた強盗事件において救出に役立った例を紹介しよう。2020年9月8日のことだ。突然、強盗がタクシーに乗り込んできた。タクシー運転手の女性は、体を粘着テープで拘束され、後部のトランクに閉じ込められた。強盗はタクシーを運転して移動した。

 この日、東京都内の最高気温は34度を超え、トランク内の温度はどんどん上昇した。危機にひんした女性は、隠し持っていたスマホをかろうじて操作してLINEで家族に連絡を取った。幸いZenlyを使っていたため、女性の家族は強盗が運転するタクシーの位置情報を把握でき、警察が女性を救出した。

 地震などの災害時もZenlyは役立つ。Zenlyはフレンドとのメッセージ機能を備えており、スタンプを送り合って安否確認ができる。相手から応答がない場合、「Sleeping」状態かどうかで状況を推察できる。Zenlyはスマホの傾きのセンサー情報を基に、まったく動かしていなければ「Sleeping」と表示する。このことから相手がスマホを手に取っていない状態だと分かる。さらに相手のスマホの電池残量を見ることもできるので、電池切れかどうかも把握できる。

身内や親しい人とだけつながる

3.日本企業の32%がランサムウエアの身代金を支払い、米クラウドストライク調査(11.26 日経XTECH)
米セキュリティー企業クラウドストライク(CrowdStrike)の日本法人クラウドストライクは2020年11月26日、「CrowdStrikeグローバルセキュリティ意識調査」を発表した。同調査によると日本企業の52%が過去12カ月以内にランサムウエアの攻撃を受けているほか、ランサムウエアの被害に遭った日本企業の32%が身代金の支払いに応じているという。またその平均額は117万ドル(約1億2300万円)にのぼるとした。

 調査は2020年8月から9月にかけて、米国や英国、フランス、ドイツ、日本、シンガポールなどの企業に勤めるIT関連部門の意思決定者やセキュリティー担当者2200人を対象に実施。日本企業の回答者は200人だった。

 米クラウドストライクのマイケル・セントナスCTO(最高技術責任者)は「(ランサムウエアの被害に遭った日本企業の)3分の1が身代金を支払っていることは非常に深刻だ」と指摘。被害に遭っても交渉には応じず、身代金を支払わないよう呼びかけた。

4.NECがローカル5Gの構築支援サービス、機器込みで運用は月額100万円から(11.26 日経XTECH)
NECは2020年11月26日、ローカル5Gの企画から導入、運用まで段階に応じた支援サービスをそろえ、同日から提供を始めたと発表した。2025年度までにローカル5G関連製品やサービスを含むNECのネットワークサービスの総称である「NEC Smart Connectivity」関連ビジネスで累計2000億円の売り上げを目指す。

 ローカル5Gは超高速大容量・超低遅延・多数同時接続を特徴とする5Gを、企業や自治体が自営用として敷地内などに設置できるネットワークを指す。NECが今回用意したメニューは、「コンサルティングサービス」「インテグレーションサービス」「マネージドサービス」の3つ。

 コンサルティングサービスでは、ローカル5G構築の準備段階で必要な企画や要件定義、電波調査、端末検証などを提供する。インテグレーションサービスでは無線局免許の取得支援をはじめ、現地調査や設計、検証を実施してネットワークを構築する。価格はどちらも個別見積もり

 マネージドサービスではローカル5Gネットワークを24時間365日監視するほか、問い合わせ対応や保守手配、復旧対処などの運用業務を支援する。コアネットワークや基地局などローカル5Gを構成する機器と保守サービスを併せて月額料金で提供するメニューも用意した。企業や自治体は初期費用を抑えてローカル5Gを導入できる。価格は月額100万円(税別)から。

5.5Gエリア拡大前の今、SIMロックフリースマホに感じる先行き不安(11.26 日経XTECH)
 5Gはまだ使えるエリアが狭いという話がよく出てくるが、対応端末は着々と増えているようだ。MM総研が2020年11月に発表した「2020年度上期 国内携帯電話端末の出荷台数調査」によると、2020年度通期のスマホ出荷台数(予測)は2915万台で、うち28.6%に相当する833万台が5G対応のものになる見込みだという。

 例えばNTTドコモが2020年11月5日に発表した2020ー2021冬春モデルは、スマホ7機種中6機種が5G対応製品である。SIMロックフリーの製品も、キャリアほどではないが5G対応が進んでいる。特に2020年10月から11月にかけて発売されたiPhone 12シリーズ4機種で、選択肢が増えた感がある。

 今、5G対応製品に関して気になっている点がある。筆者は仕事柄SIMロックフリースマホのスペックを調べる機会が多い。日本で使われている5G用周波数の一部に、対応していない機種が目に付くのだ。

 5G対応機種のスペックは、対応する周波数帯を「n+数字」で記載する。日本では、Sub6と呼ばれる6GHz以下の周波数帯はn77、n78、n79の3つ、ミリ波と呼ばれる28GHz帯はn257が使われている。

 携帯各社の対応周波数帯は以下の通り。
NTTドコモ:n78、n79、n257
KDDI(au):n77、n78、n257
ソフトバンク:n77、n257
楽天モバイル:n77、n257

 筆者が知る限り、現時点でSIMロックフリーでn257に対応している製品はない。ミリ波は低い周波数に見られる電波が回り込むという特性がなく、屋外から屋内などで壁に浸透しない、いわば通り抜けにくい性質がある。その一方で割り当てられた周波数幅が広いため通信速度の高さを期待できる。
 よってn257に対応しない機種は、28GHz帯の基地局が今後増えても、速いという5Gのメリットを十分に享受できない。その点、日本で販売されるiPhone 12シリーズがミリ波非対応である(米国向けは対応)のは残念だ。
 そしてSub6に関しても、一部に対応しないSIMロックフリースマホが目立ってきている。具体的にはNTTドコモが4.5GHz〜4.6GHzで使っているn79だ。最近だと米Google(グーグル)が2020年10月に発売したPixel 4a(5G)とPixel 5、台湾・華碩電脳(エイスース、ASUS)が同年10月に発売したZenFone 7/7 Pro、中国TCL集団が同年11月に発売したTCL 10 5Gがn79に対応していない。
 5Gのエリアが広がってきたときに、これらの機種が受ける影響は2つ考えられる。1つは通信速度だ。NTTドコモは2020年12月からn78とn79でキャリアアグリゲーションを実施し、下り最大4.2Gbpsの通信が可能なエリアを展開する予定になっている。両周波数帯を束ねて使用し、通信を高速化するわけだ。このうちn79が使えなければ、最大通信速度が低くなる。
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