1.三菱電機のMicrosoft 365に不正アクセス、取引先情報8635件流出(11.20 日経XTECH)
三菱電機は2020年11月20日、契約しているクラウドサービスが不正アクセスを受け、国内取引先情報の一部が外部に流出したと発表した。
不正アクセスを受けたクラウドサービスは三菱電機が全社的に使用していた米Microsoft(マイクロソフト)の「Microsoft 365」。取引先の口座情報などを記録し、同サービスで社内に共有していたファイルが外部から不正アクセスを受けた。Microsoft 365ではメールやファイル共有、社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など複数の機能を使っており、どの機能に対して不正アクセスを受けたかは現在調査中だという。
これまでの調査によれば、11月16日に異常なアクセスを認識し、アクセスを遮断するなどの対策を講じて調査を進めた。11月20日までに、国内取引先8635件の名称、住所、電話番号、代表者名、金融機関名、口座番号、口座名義などの情報の流出が判明した。対象となる取引先には個別に報告する。
原因は判明していないが、2020年1月と2月に公表した不正アクセス事案の手口とは異なる可能性が高いとしている。
2.「ググる」よりSNSを「タグる」、若者の新しい情報収集法(11.20 日経XTECH)
Googleにキーワードを入力し検索することを「ググる」と呼ぶ。「ググる」に代表されるネット検索を多くの人が日々利用しているだろう。しかし若者はそうとは限らない。ネット検索ではなく、InstagramやTwitter、TikTokなどのSNS(交流サイト)を使って情報収集する傾向が生まれている。
若い世代ほどSNSが生活の中心にあり、SNSのアプリを開けば欲しい情報が自然と集まってくる。美容に興味がある人は美容系のインフルエンサーをフォローしているし、好きなタレントの最新情報は互いにフォローし合うファン同士でシェアする。投稿のリンクをタップすれば記事が開き、詳細な情報を知ることができる。
しかもSNSの「ハッシュタグ」機能を使うことで、もっと簡単に欲しい情報にたどり着きやすくなる。ハッシュタグとは、投稿に含める「#○○」のようなテキストのことだ。○○の部分にはキーワードが入る。SNSならハッシュタグをタップするだけで、同じハッシュタグを付けている別の投稿が検索されて表示される。ハッシュタグでの検索を「タグる」という。情報収集は、SNSでタグる。若者はそんな使い方を始めている。
Instagramではハッシュタグをフォローすることもできる。フォローしたハッシュタグを付けた投稿があると、フィードに表示される。フォローしていないアカウントの投稿も対象になり、Instagramのアプリを眺めているだけで欲しい情報を入手しやすくなる。
ハッシュタグ検索でもキーワードを使うが、得られる情報に広がりがある。通常、1つの投稿に複数のハッシュタグを付ける。10個以上のハッシュタグが付いていることも珍しくない。気になった投稿に付いているハッシュタグを見れば、聞いたこともない言葉が入っていることがある。
Twitterには「トレンド」タブがあり、ここにも話題のハッシュタグが表示される。聞いたことのないキーワードが含まれている場合、タップしてみると知らない世界を垣間見たり、今この瞬間に日本で話題になっている言葉を知ったりできる。
「バズ(buzz)」を狙うなら、オリジナルのハッシュタグを考える手もある。例えば高校生たちは自分たちの学校にオリジナルのハッシュタグ、例えば「#○高最高」「#○高ってすてき」などを付けて投稿している。企業で言えば、キャッチコピーのようなものだ。新製品発表やキャンペーンに合わせて、覚えやすく語呂が良いハッシュタグを付けることをお勧めする。感度の高い読者なら、すでに実践しているかもしれない。情報を発信する企業側も、ハッシュタグ対策を情報拡散の有力な手段として注目する必要がありそうだ。
3.NECがベクトル型スパコンのエンジンを販売開始、目標は累計で100億円(11.19 日経XTECH)
NECは2020年11月19日、スーパーコンピューター(スパコン)関連事業においてカード型ベクトルエンジン(Vector Engine、VE)単体で販売を始めると発表した。システムインテグレーターやサーバーベンダーにVEを販売し、パートナーを通じて中堅・中小企業などに市場を拡大する。販売価格は最小構成で114万4000円(税別)から。VEを2021年1月から出荷を始め、今後3年間の累計で100億円の販売を目指す。
NECはこれまでVEをNEC製専用サーバーに搭載して、ベクトル型スパコン「SX-Aurora TSUBASA」として大学や研究機関、大手製造業をメインに提供してきた。地球シミュレーターなど超大規模システムなどが代表例だ。人工知能(AI)を活用する企業が増加している背景を踏まえ、VEを単体販売する。「演算速度を上げたい」などのニーズがある中堅・中小規模の企業からの受注増を見込む。
今回販売を開始するVEは、PCI Express規格サイズのカードに、単一コア性能や単一コアメモリー帯域を持つコアを8個内蔵する。1枚で2.45テラフロップスの演算性能と毎秒1.53テラバイトのメモリー帯域を備える。
4.テレワークの「新たな課題」ダントツ首位はあれ、独自調査で判明(11.19 日経XTECH)
テレワークにおける最大の課題は、同僚とのコミュニケーションにある――。日経BP総合研究所 イノベーションICTラボが実施した「新たな働き方に関する調査」の結果を一言でまとめるとこうなる。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で広がったテレワークの実態を調査によって探る特集の第2回は、在宅勤務の新たな課題について見る。
調査は2020年10月14〜30日にWebサイトを通じて、日経BPのデジタルメディアの読者・会員を対象に実施した。調査で「テレワークを利用する際に不便・不安と感じる点や、テレワーク利用の阻害要因になると思う点」について複数回答で聞いた。
首位は「同僚(上司や部下を含む)とのコミュニケーションに支障がある」が突出。48.0%と約半分の人が選んだ。Web会議ツールよりもリアルで話をしたほうが意思疎通しやすいということだろう。
一方で、同じ対話でも「取引先や顧客とのコミュニケーションに支障がある」を選んだ人は20.6%にとどまった。「同僚とのコミュニケーションに支障がある」を選んだ人より27.4ポイントも低い。
取引先や顧客との対話は、商談などテーマが決まっているケースが多い。一方で同僚との対話はアイデアの議論や雑談を含め議題が曖昧なこともある。部署内でのフリーディスカッションをどのように展開していくかが、今後の課題と言えそうだ。
テレワークを阻害する要因の2位は「ずっと自宅にいると、心身を仕事モードに切り替えにくい」で36.3%だった。3位は「書類・伝票類(紙)を取り扱う業務(押印、決裁、発送、受領等)をテレワークの対象とできずに不便」が31.4%で続いた。
5.「5Gミリ波の疑問に答えます」、QualcommがROIなどに言及(11.17 日経XTECH)
米Qualcomm(クアルコム)は2020年11月10日、5Gミリ波がもたらすさまざまな変革についての解説を同社サイトに掲載した(Qualcommのブログ)。
商用5Gミリ波サービスは、現在、米国の55を超える都市部と、日本の160エリア超で利用可能となっている。対応端末の品ぞろえも、スマートフォンやノートパソコンからFWA(固定無線アクセス)対応CPE(顧客構内装置)までと幅広い。2021年には韓国、ロシア、イタリア、シンガポール、香港、台湾、タイ、フィンランドといった地域でも始まり、対応端末の種類もさらに拡大していく。
一方でミリ波については、通信事業者、サービスプロバイダー、そして消費者からも多くの疑問が寄せられている。「5Gミリ波を導入する際の投資収益率(ROI)はどのようになるのか」「大規模展開は可能か」「新ビジネスは生まれるか」といったものだ。今回は、そのような質問に対する回答を示す。
移動通信関連の業界団体であるGSMA(GSM Association)は最近、都市部で建物が密集する場所や企業のオフィス内など、さまざまな環境での5Gミリ波通信状況を調査した。すべての場合において、ミリ波がコスト効率性に優れた通信手段であることが示されたという。
高密度都市部ネットワーク:2025年までに、ミリ波は中国や欧州の高密度都市部における通信容量の増強手段として、高いコスト効率で展開される
FWA:中国の都市部、欧州の郊外や米国の農村部などで、5Gミリ波FWAによる高速大容量ブロードバンドが広く普及するようになれば、その費用対効果は高い
企業オフィス内通信:大規模なオフィススペースを構える企業がデータ通信の大部分をオフィス内の5Gサービスで賄う場合、ミリ波を採用することで、5〜20%のコスト削減につながる
5Gミリ波を大規模導入した際の性能評価としては、米Ooklaによる、5Gミリ波の平均スループットをサブ6(6GHz未満の周波数帯域)の5GやLTEと比較したベンチマークがある。この調査は商用ネットワークの実ユーザーから提供された情報に基づくもの。それによると、5Gミリ波のピーク時速度は3Gビット/秒、平均スループットはサブ6の6倍以上、LTEの20倍以上になる。
3GPPリリース16で標準化された主な技術分野の1つに、5Gによる高性能な産業用IoT(IIoT)アプリケーション対応がある。超信頼性低遅延の無線接続技術が要求される。既にQualcommでは、5Gミリ波で、ノイズの多い環境でも優れた屋内カバレッジと大容量通信を提供できることを確認している。初期導入事例のスループットは下り1.5 Gビット/秒、上り120 Mビット/秒である。
ミリ波利用のための機能、性能、効率のさらなる改善に向けて、さまざまな基盤技術の研究が進んでいる。例えば、リリース16標準のIntegrated Access and Backhaul(IAB)がある。ミリ波対応基地局で、無線アクセスとバックホール接続の両方が提供可能となる。有線によるバックホールが必要なくなり、より柔軟な高密度ネットワークが実現できるとする。
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