週間情報通信ニュースインデックスno.1250 2020/11/14


1.NTTとNECが未来の通信を講演、「もう一度戦いを挑んで立ち上がる」(11.13 日経XTECH)
NTTとNECは2020年11月13日、NECの法人向けオンラインイベント「NEC Visionary Week」で将来の通信に関して共同で講演した。「NTTとNECが見据える将来の通信とそれを取り巻く世界」と題して、NTTの渋谷直樹副社長とNECの森田隆之副社長兼CFO(最高財務責任者)が登壇した。

 両社は2020年6月に光・無線技術を活用したICT製品の共同研究開発とグローバル展開における資本業務提携を発表した。提携の経緯について、NTTの渋谷副社長は「(NTTとNECの両社長が)2社で何かできないかという議論はこれまでしてきた。2人に共通しているのは一言で言うと志だ」と明かした。

 渋谷副社長によれば、NTTの澤田純社長とNECの新野隆社長兼CEO(最高経営責任者)は共に、日本は研究開発力で世界に後れをとっているという強い危機感を抱いているという。日本は5G(第5世代移動通信システム)のグローバルにおけるシェアで2パーセントしか取れておらず、競争力を発揮しなければいけない市場で厳しい状況に置かれていることから、「両社長は『ここでもう一度戦いを挑んで立ち上がり、ゲームチェンジを起こさなければいけない』という思いが一致している」(渋谷副社長)。

 NTTとNECは資本業務提携を通じて次世代通信技術を共同開発する。短期的には「O-RAN(Open RAN)をはじめとするオープンアーキテクチャーの普及促進」、中長期的には「IOWN(アイオン)構想の実現」を目指す。Open RANとは基地局をマルチベンダー製品で構成できるオープンな仕様を指す。IOWN構想はNTTが打ち出した光関連技術とITを活用した未来のネットワーク基盤で、電力効率100倍を目標に掲げている。

2.カプコンから給与明細やパスポートなどのデータ流出か、ランサムウエア被害で(11.13 日経XTECH)
ゲーム大手のカプコンから内部情報を取得したと声明を発表したサイバー犯罪集団「Ragnar Locker(ラグナロッカー)」が、インターネット上に同社のものとみられる複数のデータを公開していたことが2020年11月13日までに、分かった。

 セキュリティーコンサルティングなどを手掛けるS&Jの三輪信雄社長によると、ネット上に公開されたデータは給与明細やパスポート、Active Directory、NAS(Network Attached Storage)の情報など。カプコン広報は同データについて「コメントは差し控える」とし、同社のものであるか明言を避けた。

 Ragnar Lockerは11月9日に、カプコンへのサイバー攻撃で同社から約1Tバイトのデータを入手したと公表。データを消す代わりに暗号資産(仮想通貨)を要求しており、「標的型ランサムウエア」とされる。

 カプコンによると被害を把握したのは11月2日未明。外部からの不正アクセスによりメールシステムやファイルサーバーなどにアクセスしづらい状況になったという。ただし同社は不正アクセスがRagnar Lockerによるものかどうかを明らかにしていない。

 同社は不正アクセスによって国内外の拠点で一時業務を行えない状況となったものの、現在はメールなどが部分的に復旧しているという。「警察など関係各所と連携し調査と対応を進めている」(カプコン広報)とした。

3.NECがAWSと戦略的協業、官公庁・基幹業務向けクラウド導入強化狙う(11.13 日経XTECH)
NECは2020年11月13日、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とコーポレートレベルの戦略的協業契約を締結したと発表した。NECはAWS導入のための体制を強化し、官公庁などからの受注増加を狙う。

 NECは日本の官公庁などにおける幅広いシステム導入ノウハウを生かし、業種に最適化した形でAWSのパブリッククラウドサービスを導入するマネージドサービスを開発し提供する。既にNECは2020年10月にAWS上で稼働した政府の「第2期政府共通プラットフォーム」で運用管理業務を受注している。

 さらに、NEC自身も2020年7月、自社で利用している欧州SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージの基盤としてAWSを導入するプロジェクトを立ち上げた。グループ企業のアビームコンサルティングとも連携。プロジェクトを通じて大規模基幹業務でAWSを導入するためのコンサルティングや構築・運用のメニューを開発し、顧客に提供する。

 これに加えて、NECグループ全体のAWS認定資格保有者を現在の1500人から今後3年間で倍増させ、合計3000人体制とする。

4.うろ覚えの曲を鼻歌で検索、Googleが機械学習で実現(11.12 日経XTECH)
米Google(グーグル)は2020年11月12日、鼻歌(ハミング)による楽曲検索機能「Hum to Search」に関する日本の報道陣向け技術説明会を開催した。同機能は2020年10月に提供開始。現在、Android端末の「Google」「Googleアシスタント」アプリで利用できる。近日中にiOSにも対応する予定だ。

 マイクに向かって鼻歌を十数秒程度歌えば、該当する楽曲を検索できる。歌詞を知らなくても、耳に残ったうろ覚えの楽曲の曲名を知ることができる。ただし、CDなどのスタジオ録音音源と同等のメロディーを鼻歌でうまく再現できる人とそうでない人がいる。Krishna Kumar(クリシュナ・クマール)シニアプロダクトマネージャーは「顔認証をするのに顔写真ではなく顔のイラストを使うのに似ていて、開発の難度は高かった。歌詞が含まれる歌なら情報量が多く検索しやすいが、鼻歌は情報量が少ない」と話す。

 そこで、1つの楽曲について、スタジオ録音音源だけではなく歌声、鼻歌、口笛など多様な音源を収集し、機械学習によって検索データベースを構築した。この際、伴奏や声質といったメロディー以外の要素を排除して数列化し、学習させる。学習の精度を上げるために、Google社員も鼻歌を録音して協力したという。ユーザーがAndroid端末のマイクで鼻歌を歌うと、これも同様に数列化し、膨大な楽曲を学習させたデータベースと照合して結果を出す仕組みだという。

5.5Gスマホは「サブ6」がけん引、2023年にはスマホ出荷の過半が5Gに(11.10 日経XTECH)
中国・華為技術(ファーウェイ)は、5G(第5世代移動通信システム)対応のスマートフォンとネットワークで業界をリードしてきた。しかし米国の制裁によって、今後の事業存続に対する不確実性が高まっている。スマートフォンに関しては、一部のサプライヤーに対して米国が供給を許可し始めているものの、先行きの見通しが立たない。

 こうした状況の中でみずほ証券は、5Gスマートフォン市場の今後を次のように予想した。中国市場主導で5Gの普及は加速し、スマホの出荷台数に占める5Gスマホの割合は2020年に18%、2021年に33%、2022年に45%、2023年に56%になる。

 5Gの周波数帯には「サブ6」(6GHz未満の周波数帯)と「ミリ波」があるが、中国市場がけん引する形でサブ6機種が普及するだろう。ファーウェイが抜けた穴は、中国の他のスマホメーカーが中心になって埋めるとみる。その過程で中位機種の比率が上昇するだろう。ただし半導体の生産能力が普及の支障になるリスクに留意する必要がある。

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