週間情報通信ニュースインデックスno.1249 2020/11/07


1.機種変で史上最高の満足度だったiPhone 12 Pro、ドコモの5Gプランに落とし穴(11.6 日経XTECH)
iPhone 12 Proを手に入れた。とても気に入っている。自分にとってiPhoneの機種変更史上で最高の満足度だと思う。最大のポイントはデザインにある。かっこいい。シャープな印象を放つ、角が張ったボディーを眺めているだけで気分が上がる。

 進化ポイントはカメラに尽きる。というか「分かりやすい進化」という意味ではカメラくらいしかない。2019年のiPhone 11をパスした筆者は、2018年発売のiPhone XS Maxからのカメラ進化に衝撃を受けた。とにかく夜景が美しく撮れる。HDR処理がより強く利いており、立体的で印象深い写真に仕上がっている。

 最後に5Gネタで記事を締めたい。ITに精通しているとは言い難い友人が「iPhone 12なら5Gを使えるんでしょ」と聞いてきた。5G対応を言いはやした各メディアの影響なのか、期待が膨らんでいるようだ。だが現時点での5Gのエリアは、基本的に携帯電話ショップ内、一部の繁華街、一部空港・ターミナルのみで、まさに“点”状態。「5GのためにiPhone 12に替えるのなら失望するよ」と助言した。

2.淡路島移転をパソナのDXの契機に、IT部門の働き方も変え「定住」以外に選択肢も(11.2 日経XTECH)
パソナグループが淡路島に大型のデジタル拠点を立ち上げる。本社機能の大半を移転する計画の一環で、IT部門の拠点も淡路島に置く。主導するCIOの河野一氏はこれを機にIT部員の働き方の多様化も目指す。

 パソナグループは2020年9月に、本社機能を兵庫県の淡路島の拠点に段階的に移転すると発表した。パソナグループで働く人々の「真に豊かな生き方・働き方」の実現とBCP(事業継続計画)対策のためだ。

 移転はIT部門とその業務も対象になっており、これから立ち上げる「DX・BPOセンター淡路」というデジタル拠点に順次入居する。この拠点をいかに活性化させて成功させるかが、CIO(最高情報責任者)である私にとって今最も重要な役目だ。

 DX・BPOセンター淡路の役割は大きく2つある。1つはインサイドセールスの効率化や高度化などパソナグループ内のDX(デジタル変革)を進めること。もう1つは給与計算などのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業の競争力強化だ。センター名にDXとBPOの文字を並べたのは、両者を表裏一体のものとして進める必要があるとの認識からだ。

 IT部門の移転についてはまだ計画の段階だが、数十人が淡路島に転勤する予定だ。ただ具体的な人数の目標は設けていない。働き方についても様々なオプションを用意するつもりで、IT部員は必ずしも淡路島に定住するとは限らない。3週間とか6カ月とかプロジェクト単位で淡路島に滞在するケースも想定している。最近話題になっている「ワーケーション」のようなワークスタイルと言えばイメージしやすいかもしれない。

 個々の事業を担うグループ会社と一緒に進めるDXでは、対面ではなくリモートで実施するケースもあるだろう。IT部員に対しては、転居は難しいなどの個人の事情や考え方をヒアリングして配慮する。

3.楽天モバイルが「ZERO宣言」、各種手数料の無料化で攻勢へ(11.4 日経XTECH)
楽天モバイルは2020年11月4日、顧客の利便性向上や負担軽減に向けた取り組みとして「ZERO(ゼロ)宣言」を発表した。10月12日に始めたSIMの交換手数料や再発行手数料の無料化に加え、回線の契約事務手数料とMNP(モバイル番号ポータビリティー)転出手数料も同日から無料とした。

 契約に当たって運転免許証の券面と顔を撮影するだけで本人確認を完了できる「AIかんたん本人確認(eKYC)」も11月9日から導入する。eSIMの仕組みと組み合わせればオンライン上で簡単に本人確認を済ませ、「実質、数分」(同社)で契約を完了することが可能になる。今後、マイナンバーカードを用いた本人確認への対応も予定する。

 同日、「Rakuten UN-LIMIT V」の新規契約者を対象に「楽天ポイント」を最大2万8000ポイント還元するキャンペーンも始めた。これらの取り組みを通じて契約数の早期拡大につなげる考え。

4.2025年までに移動通信加入数が3億4000万を超える(11.6 日経XTECH)
移動通信関連の業界団体GSMA(GSM Association)は2020年10月27日、北米では、2025年までに5Gが移動通信の過半数を占めるようになるとする最新リポート「Mobile Economy North America 2020」を発行した。この地域の全4億2600万の移動通信接続のうち、51%を5Gが占めるという。

 5Gの導入が急速に進み、移動通信事業者の5Gネットワークへの投資額も増え続け、5G対応スマートフォンも幅広い価格帯の製品が市場に出回っている。中期的に見ると、北米における5G接続は2022年までには1億を超え、その革新的なサービスと効率改善により、さまざまな業界や経済に利益をもたらす。

 移動通信技術とサービスによる北米地域への経済効果は2019年に1兆米ドルを超えた。この金額はGDP(国内総生産)の4.8%に相当する。同時に、移動通信エコシステムによる直接・間接的な雇用増加は200万件以上に上り、税収も980億米ドルに押し上げた。

 今回の調査では、米国とカナダの移動通信ユーザーの半数以上が、健康に関するアプリを活用していることも報告。新型コロナウイルス感染症への対応として、医師からの直接的な助言とは異なる形の健康管理システムがますます重要なものになっている。

5.5Gへの移行を加速させるドコモ エリア拡充で強みあり、普及モデルも強化(11.7 ITmedia)
NTTドコモは、5Gへの移行を加速させていく。鍵となるのが、ミドルレンジモデルの拡充とエリアやスループットの拡大だ。11月5日に開催された発表会では、冬春モデルのラインアップと同時に、新周波数帯を活用した「瞬速5G」をアピールした。

 サービス開始時の5Gスマートフォンは、いずれもハイエンドモデルで、機能が充実していた一方で、価格が高止まりしていた。2019年10月の電気通信事業法改正で、割引に制限がかかり、普及のペースは緩やかだった。ドコモは、2021年3月末までに250万契約を目標にしていたが、7月上旬の契約数は約17万、上期が終わった9月末時点では38万にとどまっている。iPhone 12、12 Proが発売され、直近での契約数は50万を超え、ペースは上がっているが、ようやく目標値の5分の1に届いたところだ。

 このスピードをさらに上げるため、ドコモは5Gのスタンダードモデルを一気に4機種投入する。サムスン電子の「Galaxy A51 5G」、富士通コネクテッドテクノロジーズの「arrows NX9」、LGエレクトロニクスの「LG VELVET」、シャープの「AQUOS sense5G」が、その4機種だ。ハイエンドモデルに近い高機能なモデルはスマホおかえしプログラムを適用したときの実質価格になるが、4機種は「3万円台から5万円台で提供予定」(吉澤和弘社長)だという。

 Galaxy A51 5G、arrows NX9、LG VELVETは、いずれもQualcommのSnapdragon 765Gを搭載したミドルハイのスマートフォン。ミドルレンジとはいえ、どの機種も3眼、4眼のカメラを搭載しており、処理能力も高いためサクサクと動く。

5Gのメリットは、スマートフォンだけで引き出すことができない。周辺機器への広がりが期待されるが、ユーザーにとってのハードルも多い

 そこでドコモは、周辺機器のレンタルサービス「kikito」を開始する。kikitoでは、スマートフォンと連携できる一眼カメラやアクションカメラ、プロジェクター、VR用ヘッドマウントディスプレイ、家庭用ロボットなどを用意しており、1日単位の短期レンタルと、30日単位の長期レンタルを選択可能。試用して気に入った場合は、レンタル品を買い取ることもできる。

 スマートフォンや周辺機器をそろえても、5Gに接続できなければ意味がない。普及を加速させるには、エリアの拡大も急務だ。ただ、ドコモは「5Gのために用意された3つの新周波数帯にこだわって、エリアの構築を進めている」(吉澤氏)。4Gの周波数転用で、既存の基地局を生かしながら5Gのエリアを一気に広げようとしているKDDIやソフトバンクとは対照的だ。

 実際、2023年3月末までには5Gの基地局数を3万2000局に拡大し、人口カバー率で70%を達成するというが、この数字は3.7GHz帯や4.5GHz帯、28GHz帯といった5G用に割り当てられた周波数帯で達成するという。対するKDDIやソフトバンクは、2022年3月末までに基地局数を5万に拡大する計画を明かしている。ドコモより1年早く、1万8000局多い基地局を開設する予定だが、ここには4Gからの転用も多く含まれている。

 マクロ局を展開する上でドコモにとって有利なのが、4社の中で唯一4.5GHz帯を持っていることだ。3.5GHz帯は衛星との干渉調整が必要になり、基地局の展開に時間がかかる。広いエリアを確保しようとすると、それだけ干渉する可能性も高くなってしまうからだ。見かけ上のエリアの広さではKDDIやソフトバンクのリードを許してしまう可能性はあるが、多少の差であれば、5Gならではの速度で他社を圧倒できるというのがドコモの見立てといえる。裏を返せば、4.5GHz帯のない他社は周波数転用に頼らざるを得ない側面がある。

 5Gならではの超高速通信をアピールするため、ドコモは新周波数帯のエリアを「瞬速5G」と名付けて展開。さらに12月からSub-6のキャリアアグリゲーションも開始する。対応するのは、先に挙げたGalaxy Note20 Ultra 5GとXperia 5 IIの2機種のみで、春夏モデルやiPhone 12シリーズは非対応だが、理論上の速度は下り最大4.2Gbpsになり、ミリ波単独の4.1Gbpsをも上回る。

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