週間情報通信ニュースインデックスno.1237 2020/8/15


1.全銀システム改革に「不意打ち」、大手行の新決済インフラに漂う思惑と懸念(8.11 日経XTECH)
銀行間決済を担う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」が変革のときを迎えている。

 40年にわたって手つかずだった銀行間手数料を見直す方針が固まり、さらに3メガバンクやりそな銀行は2020年8月6日、小口決済を対象にした新たな決済インフラの構築に乗り出すことを発表した。「硬直的で高コスト」という全銀システムの課題解消に向け、銀行業界が重い腰を上げた格好だ。しかし、関係者からは「小手先の改革でお茶を濁し、早期の幕引きを図っているのではないか」との疑念も漏れる。

 政府が2020年7月に閣議決定した「成長戦略実行計画案」には、3つの全銀システム改革が盛り込まれた。「銀行間手数料の引き下げ」「多頻度小口決済を想定した新決済システム(全銀LITE)の構築」「キャッシュレス決済事業者などによる全銀システムへの参加」――である。いずれもキャッシュレス決済の普及を加速させるのが目的で、銀行以外の決済事業者に立ちはだかる障壁を取り除く狙いがある。

 全銀システムを運営する全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は、全銀システムの改革を担わせるべく2020年5月に発足させた「次世代資金決済システムに関する検討タスクフォース」の席上で、銀行間手数料の仕組みを撤廃し、新たなスキームへの移行を検討すると公表している。2020年11月から2021年2月にかけて新スキームにおける費用などを決め、同年3月以降に導入する。銀行間手数料の引き下げについては、2020年6月16日に開かれた未来投資会議で安倍晋三首相が言及するなど既定路線だ。

 一方でサプライズとなったのは、3メガバンクとりそな銀行、埼玉りそな銀行の5行が連名で2020年8月6日に発表した新たな決済インフラ構想だ。1000以上の金融機関が参画する「J-Debit」基盤を活用し、少額送金に特化した決済インフラの構築を検討する。当初は各行のバンキングアプリや銀行系キャッシュレス決済サービスである「J-Coin Pay」などとの接続を見込む。

2.「7pay」の悲劇から1年、セブンイレブンがアプリ決済にPayPayを採用へ(7.11 日経XTECH)
セブン―イレブン・ジャパンは2020年8月11日、「セブン―イレブンアプリ」内の決済機能として、2020年10月以降に決済サービス「PayPay」を搭載すると発表した。同社は過去に独自の決済サービス「7pay」を実装したものの、設計の不備から不正アクセスの被害を受けて2019年9月末にサービス終了に追い込まれた経緯がある。外部の決済サービスを自社アプリに搭載することで再出発を目指す。

 10月以降、セブン―イレブンアプリの画面上にPayPayの支払いバーコードが表示され、全国の「セブンイレブン」店舗で決済できるようになる。同機能を使えば別途会員コードを読み取る必要がない。ただしセブン―イレブンアプリ内でのPayPay機能はセブンイレブン店舗でのみ利用でき、他の店でPayPayを利用する場合は専用アプリを利用する必要がある。

 セブン―イレブン・ジャパンの親会社セブン&アイ・ホールディングスの広報は「PayPayの実績やセキュリティーの高さなどを考慮し公式アプリへの採用を決めた。現時点で当社が新たに独自のバーコード決済サービスを開発する計画はない」とした。

3.ハンドソープで洗える5Gスマホ、富士通が「arrows 5G」の特徴を紹介(8.11 日経XTECH)
富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)は2020年8月7日、オンラインで新商品発表会を開き、7月30日にNTTドコモが発売した第5世代移動通信システム(5G)スマートフォン「arrows 5G F-51A」の特徴を紹介した。

 発表会にはFCNTの高田克美社長が登壇した。5Gがもたらす体験価値について、「映像コミュニケーション」や「クラウドゲーム」を挙げ、「5Gをまだ漠然としか感じていない人は多い。arrows 5Gで、より多くの人に5Gの世界を体験してほしい」と語った。

 5Gの産業用途としては「遠隔監視」や「スマート工場」を挙げた。「5Gはさまざまな産業に革命をもたらす。今後広がるローカル5Gの市場にも、FCNTの技術を活用していきたい」(高田社長)。

 arrows 5Gの開発に当たって、同社が「5Gの頂点を極める」ことを目標に掲げたという。米Qualcomm(クアルコム)と2年間にわたって開発に取り組み、2020年4月にはSub6とミリ波に両対応した5Gスマホのリファレンスデザインを公開。arrows 5Gはこれをベースに商品化した最初の製品となった。

 高田社長はパートナーの重要性も強調した。arrows 5Gは、カメラアプリでは米Adobe(アドビ)の日本法人と、モバイルゲームにおける操作性のチューニングではeスポーツチームの「REJECT」とそれぞれ協業。今後も5Gゲームの共同開発ではセガ エックスディー(SEGA XD)と、5G IoT(インターネット・オブ・シングズ)の分野では米Thundercomm(サンダーコム)とそれぞれ協業していく意向を示した。

 FCNTはarrows 5Gを、arrowsシリーズとしては3年ぶりのフラグシップモデルと位置づける。プロセッサーにはQualcomm製のSnapdragon 865 5G Mobile Platformを搭載。受信時最大4.1ギガビット/秒、送信時最大480メガビット/秒の高速通信に対応した。

 Sub6とミリ波に両対応したモデルとして世界最薄の約7.7ミリメートルを実現しつつ、さまざまな持ち方をしてもミリ波の電波が飛ぶよう工夫したという。5G通信やゲームによる発熱対策では、FCNTとして初めてベイパーチャンバー構造を採用した。

 ニューノーマル(新常態)時代に向けた特徴として、泡タイプのハンドソープで洗える機能を紹介した。「うがいや手洗いはしても、スマホを洗う人は少ない。生活のなかで洗えることは大切な機能として作り込んでいる」(高田社長)とした。

4.MSから2画面Androidスマホ、開くと8.1型で250g(8.13 日経XTECH)
米Microsoftは2020年8月12日(現地時間)、2画面のAndroidスマートフォン「Surface Duo」を同年9月10日に米国で発売すると明らかにした。価格は1399米ドルから。5.6型のディスプレーを2枚備え、2つの画面それぞれに別のアプリを同時に表示したり、一方の画面に仮想キーボードを表示したりできる。2画面を1画面として利用可能で、その際は8.1型ディスプレーとして機能する。それぞれの画面はヒンジを介して接続されており、折り畳み可能で、ヒンジは360度回転する。

 ディスプレーには、1800×1350画素、401ppiの有機ELパネルを2枚採用した。プロセッサーに米Qualcomm社の「Snapdragon 855 Mobile Platform」を採用した。メモリーは6GバイトのDRAMで、ストレージの容量は128Gバイト、あるいは256Gバイトである。

5.ソフトバンクグループ孫正義氏が60代での引退計画を修正、70歳以降の続投に意欲(8.11 日経XTECH)
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は2020年8月11日、2020年度第1四半期の決算説明会に登壇し、70歳を過ぎても健康状態に問題がなければ「経営を続行したい」と述べた。孫氏は自身が19歳の時に立てた「人生50カ年計画」に基づき「60代で後継者に引き継ぐ」と表明していたが、これを方向修正した格好だ。

 孫氏は人生50カ年計画として自身の経営者としての計画を立て、ほぼ実行してきている。計画とは、20代で名乗りを上げ、30代で軍資金をため、40代でひと勝負かけ、50代で事業を完成させ、60代で次の世代に事業を継承するという内容だ。計画に基づき、後継者育成プログラムを設けたり、後継者候補としてニケシュ・アローラ氏を副社長に招き入れたりしてきた。

 2016年にニケシュ・アローラ氏が退任して以降は、後継者探しをいったん棚上げし、しばらくは社長を続ける意向を示していた。ただし60代で引退するかどうかについては、明言していなかった。

 風向きが変わったのは今年に入ってからだ。2020年6月の株主総会で「健康状態によっては、70歳を過ぎても『おおむね60代だ』と言って、経営に携わり続けるかも」と発言していた。

 この発言は「人生50カ年計画」の撤回なのか。冒頭の決算発表会が開かれた8月11日に、ちょうど63歳の誕生日を迎えた孫氏に改めて聞くと、「まあそうですねえ。19歳の(人生50カ年計画を立てた)時よりも医学が進化して平均寿命も延びた。ゴルフに行っても1カ月に3回もパーでプレーできた。まだまだわしゃ現役だ。もう少し経営を続行すると、今のうちに方向修正と言っておこうと思った」と回答。計画の修正を正式に認めた。

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