週間情報通信ニュースインデックスno.1232 2020/7/11


1.3GPPの5G次世代仕様がついに完成、満を持してQualcommが解説(7.10 日経XTECH)
移動通信の標準化団体3GPP(Third Generation Partnership Project)は、2020年7月3日の第88回全体会合にてリリース16のステージ3(プロトコル仕様)とASN.1、OpenAPI仕様標準化を完了したこと報告した。5G機能強化に加え、産業のデジタル化に向けた新機能が追加されている。これを受けて、米Qualcomm(クアルコム)は2020年7月7日、リリース16の各機能について解説している(Qualcommのブログ)。

 リリース16で強化された5G NR基本機能として下記を挙げている。

Massive MIMO機能強化
超高信頼性低遅延通信強化
 工場自動化など新しい用途に向けては、超高信頼性低遅延通信を強化(eURLLC)している。遅延時間への厳しい制約に対応するため、CoMP(coordinated multi-point、協調マルチポイント)を導入し、multi-TRP(複数送受信ポイント)や空間ダイバーシティを活用して複数の通信経路を確保。ある経路が使用できない場合にも他の経路を使うことで通信中断を回避する。

無線アクセスネットワークと無線バックホール統合
 5G NRミリ波ネットワークのカバレッジ拡張時課題としては、光ファイバーによるバックホール設置が必要となるなど、基地局増設にかかる費用が挙げられる。今後のミリ波ネットワーク高密度化をコスト効率よく行うために、リリース16では、IAB(Integrated access and backhaul、無線アクセスネットワークと無線バックホール統合)を導入し、基地局から端末への無線アクセスと同時に無線バックホールも実現する。このIABを活用することで、さらに柔軟なネットワーク高密度化が可能になり、事業者が新しい基地局を迅速に増設できるようになる。

非公共ネットワークの活用
 リリース16では、プライベートネットワーク、あるいは3GPP用語でNPN(non-public networks、非公共ネットワーク)に向けたシステムアーキテクチャを追加する。プライベートネットワークでは、スモールセル型の基地局のような、独立した専用のリソースを使用し、内部に留めるべきデータなどに向けたセキュリティーやプライバシーを提供すると同時に、内部使用のアプリケーションに向けた遅延時間などの最適化環境を提供する。プライベートネットワークは、IIoT(industrial IoT、産業向けIoT)など幅広い用途に向けた5Gサービスとして期待できる。

リアルタイム性の高いネットワーク
 工場の自動化などのインダストリー4.0に向けた取り組みとして、リリース16では、データパケット送信時の高い時間確定性を保証するTSN統合機能をサポートする。

2.6G戦略で日本失地回復なるか、ファーウェイの過去に学べ(7.8 日経XTECH)
総務省は2020年6月30日、5G(第5世代移動通信システム)の次の世代「6G」へ向けた戦略「Beyond 5G推進戦略」を公表した。日本は5Gの商用化で米中韓などから遅れ、必ずしも主導権を握れなかった。その反省から、2025年にいち早く6Gの主要技術を世界に示すという野心的な目標を掲げた。もっとも実際に日本が6Gで主導権を握るためには、海外の成功例も徹底的に学ぶ必要がある。学ぶべき成功例とは、過去10年で驚くべき成長を遂げた中国ファーウェイ(華為技術)にほかない。

 Beyond 5G推進戦略では、基本方針として「グローバル・ファースト」「イノベーションを生むエコシステムの構築」「リソースの集中的投入」の3つを掲げた。

 日本の情報通信政策はこれまで、「まず国内を固めて、その後に海外へ」という発想から脱却できていなかった。6Gでは「まず海外市場ありき」と発想を変えて、オール光ネットワークや完全仮想化、テラヘルツ波など日本が強みを持つ分野にリソースを集中投入。6Gインフラを構成するハードウエアとソフトウエアの世界市場において「パートナー企業とともに市場シェアの3割程度を獲得すること」という高い目標を掲げた。

 5G関連特許では欧米や中国、韓国の企業が主要特許を押さえた。その点を踏まえ、6Gの必須特許数シェアにおいて、日本は世界トップシェアと同水準の10%以上獲得を目指す。

3.九州豪雨で携帯3社に通信障害、伝送路故障や停電が原因(7.7 日経XTECH)
九州で起きている豪雨の影響によって2020年7月7日朝の時点で、NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクの大手携帯3社に通信障害が発生している。伝送路故障や停電などが原因だ。

 NTTドコモは同年7月7日の午前7時時点の状況として、熊本県や鹿児島県、長崎県、大分県の一部地域でドコモの携帯電話および「ドコモ光」が利用できない、もしくは利用しづらくなっていると発表している。携帯電話の通信障害が起きている地域は熊本県の葦北郡芦北町、八代市、球磨郡(球磨村、五木村、山江村、相良村)、水俣市、鹿児島県の伊佐市、曽於郡大崎町、志布志市、長崎県大村市、大分県の玖珠郡九重町、日田市だ(市区町村ごとにその全域ではなく一部地域で通信障害が起きている場合も含む、以下同)。このほか鹿児島県鹿屋市で通信障害が起きていたが復旧したという。

 KDDIの発表によると、同年7月7日の午前9時30分時点でauの携帯電話や「auひかり」が福岡県や大分県、熊本県、鹿児島県の一部地域で利用しづらくなっている。影響を受けている地域は福岡県八女市、大分県日田市、熊本県の人吉市、八代市、球磨郡(多良木町、山江村、球磨村、相良村、錦町)、葦北郡(津奈木町、芦北町)、阿蘇郡小国町、鹿児島県志布志市だ。

 ソフトバンクは、同年7月7日の午前7時時点で熊本県や鹿児島県の一部地域で携帯電話やブロードバンドサービスが利用しづらくなっていると発表している。影響を受けている地域は熊本県の八代市、人吉市、上益城郡山都町、葦北郡(芦北町、津奈木町)、球磨郡(多良木町、湯前町、相良村、山江村、球磨村、あさぎり町、水上村、錦町)、鹿児島県の鹿屋市、垂水市、曽於郡大崎町だ。このほか鹿児島県の出水市、薩摩郡さつま町で通信障害が起きていたが復旧したという。

4.大阪ガスが工場敷地100万平米にプライベートLTE、導入費用「Wi-Fiの10分の1」(7.6 日経XTECH)
大阪ガスは2020年7月6日、泉北製造所(堺市・大阪府高石市)の約100万平方メートルの敷地にプライベートLTEを導入したと発表した。工場内の設備にIoT(インターネット・オブ・シングズ)センサーを設置して点検作業の負荷を減らしたり、離れた場所にいる作業員同士が映像を使って現場の状況を報告したり作業方法を指示したりする用途を想定している。

 今回使ったのは、総務省が2019年12月に申請受け付けを始めた、2.5ギガヘルツ帯の「自営等BWA」回線である。1カ所の基地局で半径2キロメートル程度をカバーでき、通信速度は下り最大毎秒110メガビット。基地局などのインフラ設備はパナソニックシステムソリューションズジャパン製で、敷地内への設置作業も同社が担当した。2020年7月1日に免許を取得したことを受け、電波を発射して敷地内における電波のカバー状況の確認作業を始める。スマートフォンやノートパソコン、監視カメラ、センサー類などの接続を検討しており、8月以降にこれらの端末などを順次接続して業務の効率化に向けた検証を始める。

 大阪ガスはこれまで同製造所で構内PHSを使用していたが、PHSを継続使用するには2022年11月までに新規格のPHSへ更新する必要があること、PHSの音声通話だけで業務の効率化を図るには限界があることなどから別方式を模索したという。無線LANと自営等BWAを比較し、「自営等BWAであればネットワークの敷設コストを無線LANの10分の1程度に抑えられる」(パナソニックシステムソリューションズジャパン)ため、導入を決めたという。2社は今後、同製造所へのローカル5G導入も検討していくとしている。

5.コロナでばれた「IT後進国」日本、向上すべきはITリテラシーだ(7.6 日経XTECH)
コロナ禍により、日本が「IT後進国」であることが白日の下にさらされてしまった。もっとも、この日経クロステックにアクセスするIT業界や情報システム部門で働く読者の方々は日本のITの問題は先刻ご承知だと思うが、特にITに疎い人ほどなぜか日本はIT先進国と思い込んでいる。それが持続化給付金や特別定額給付金の支給にまつわるゴタゴタが連日報道されたことで、ついに広く社会にばれてしまった。

 批判の矛先が向かったのはマイナンバーカードである。マイナンバーカードを利用したオンラインによる特別定額給付金の申請でトラブルが頻発した。マイナンバーカードの普及率は約15%といわれるが、この低い普及率にも関わらずオンライン申請は大混乱で郵送のほうが効率が良いとまで言われてしまった。オンライン申請の主なトラブルは以下の通りだ。

・マイナンバーカードとマイナンバー通知カードを混同した
・複数の暗証番号を管理する必要があり、その暗証番号を忘れた。あるいは失効していた
・オンラインで使う暗証番号の再設定のため市町村窓口に行かなければならない
・PCで申請するのにカードリーダーが必要とは知らなかった
・申請者の入力ミスが多く人による目視確認が必要で、郵送より手間がかかる

マスコミの「給付金、オンライン申請でトラブル続発。政府が悪い、制度が悪い、システムが悪い」という論調にはやや違和感を覚えた。先に挙げたトラブルを見れば、システムの出来の悪さだけでなく、利用者のリテラシーの低さも明らかに大きな原因であろう。

 そうなのだ、ITリテラシーの低さが大問題なのである。利用者が暗証番号を忘れる、入力ミスを頻発することだけがリテラシーの問題ではない。自治体側が結局は人海戦術による目視確認に行き着いてしまったことや、オンラインで利用するパスワードの変更を窓口業務にしていることなど、様々な問題はITリテラシーが低いことに起因している。

 冒頭に述べたように日本のIT事情は厳しい状況にある。ハードウエアに関しては高い技術力はあるものの、半導体やスマホなどの主要製品において国際的な競争力は低下している。さらに弱いのがソフトウエアやサービスである。OSやDBMSは言うに及ばず、クラウドに関しても国内ベンダーが販売しているのはAWSやMicrosoft Azureである。

 そしてもう一つのITで重要なファクターがリテラシーであるが、オンライン申請のもたつきを見る限りはお寒い状況であることは否めない。しかし、リテラシーに関してはハードウエアやソフトウエアに比べると、日本がその遅れをキャッチアップしていくことは十分可能ではないだろうか。いや、むしろ日本人の気質や教育水準を考えると、ITリテラシーはもっと高くないとおかしいくらいだ。

 ソフトウエアの開発能力を飛躍的に向上させるよりも、ITリテラシーを向上させ、ITをもっと使いこなせるようになるほうが日本には適しているし、早く効果が出る。その意味では小学校のプログラム教育は効果があるだろう。海外の製品やサービスだろうがなんだろうが、使い倒せば勝ちだ。

 すべての責任を国がダメ、総理がアホだと他者に「丸投げ」するのではなく、一人一人がITリテラシーの向上に努めるべきである。その先兵となり、啓蒙者となるのは、ITの仕事をしている読者の皆さんだ。

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