週間情報通信ニュースインデックスno.1231 2020/7/4


1.NEC新野社長がジョブ型雇用拡大に意欲、SEのリモート勤務も(7.2 日経XTECH)
NECの新野隆社長兼最高経営責任者(CEO)が2020年7月2日に記者団の取材に応じ、アフターコロナ/ウィズコロナ時代の方針や考え方を話した。

 新野社長は新型コロナウイルス感染症の流行を受け「社員の働き方は従来の時間管理型から(職務を明確にし成果を評価軸とする)ジョブ型へ大きく変化していく」と話す。緊急事態宣言の期間中、出社する社員の割合はNECグループ全体で2割ほどだった。勤務状況についての労働組合員へのアンケート結果から、SEや保守部門、管理部門など、職種によって出社率に違いがあることがわかった。「ジョブ型にして多様な働き方を選択できるようにしたい」(同)。

 NECがかねて経営課題と捉えている優秀な技術者の獲得にも、ジョブ型は効果があるとする。「研究者にとって魅力のある報酬や研究を用意するだけでなく、自由な働き方ができる環境を整えたい」(同)とする。NECはIT人材の流動化が進む中で中途採用に力を入れており、スキルや成果に応じて報酬を支払う仕組みを積極的に取り入れたい考えだ。

 システム構築部門の働き方もコロナ禍を踏まえて見直す。従来は顧客の職場に物理的に人が集まってプロジェクトを進めていたが、今後はいわゆる「3密」を避けるためリモートワークを積極的に取り入れる。実際、金融機関など一部の顧客についてはコロナ禍以降、リモートで作業できる環境が一気に整備されてきたという。「ほかの様々な業種の顧客にも広げたい」(同)。

 新野社長はアフターコロナ/ウィズコロナ時代に注力したい技術やサービスとして、顔認証をはじめとする生体認証技術を挙げた。「非接触で本人を認証できる技術を生かせる領域は今後増えていく」と新野社長は話す。マスクをつけたままでも本人を認証する技術、ビルの入館管理やPCへのログインに使う非接触の生体認証技術などは「今後需要が大きく伸びる」(同)とした。

2.ロボットを介して自治体と地元企業が高齢者をサポート、NECがサービス提供(7.1 日経XTECH)
NECはコミュニケーション・ロボット「PaPeRo i(パペロアイ)」を活用した高齢者の見守りと生活をサポートするサービス「みまもり パペロ」を、静岡県藤枝市に提供すると発表した。藤枝市は2020年7月1日から3カ月間の実証実験を実施し、10月から希望する市民にサービスを提供する予定。

 藤枝市の取り組みの特徴は、従来の「みまもり パペロ」のサービスに加えて、警備会社と連携した独自の緊急通報サービスを提供する点にある。ロボットを介して自治体と警備会社が連携するサービスは全国初という。

 NECは今後、全国の自治体に向け、ロボットを介して自治体と地元企業が連携するサービスを提案していく。NECは「みまもり パペロ」の基本サービスを提供し、自治体はNECが提供するAPIを使って宅配スーパーと連携した「買い物支援」、病院と連携した「健康管理支援」などを提供する。これにより、地域社会が連携して高齢者の生活を支える仕組みの実現に貢献する。

 さらに、高齢者の新型コロナウイルス感染を避けるため、訪問による見守りが困難になっている自治体に対しては、非訪問・非対面による見守りサービスとして「みまもり パペロ」の活用を提案していく。ロボットとの会話や家族とのコミュニケーションにより、新型コロナの影響で外出が難しくなった高齢者の癒やしに貢献する。NECは、自治体などとの連携を進め、2022年末までに「みまもり パペロ」を1万人へ提供することを目標としている。

3.DX推進を妨げる、レガシーシステム3つの課題とは(7.1 日経XTECH)
本特集シリーズの記事「DX時代のITアーキテクチャー、7階層ですっきり理解」では、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)を支えるITアーキテクチャーの全体像を整理した。

 とはいえ、この一般的な全体像があらゆる業種・業界にそのまま適用できるわけではない。業界ごとに異なるニーズや課題を洗い出し、古いシステムとの共存に配慮しつつ、自社に合ったITアーキテクチャーを描く必要がある。

 そのためには、自社に最適なシステムの構想を練り、全体の設計図(グランドデザイン)を描く――いわゆる「超上流工程」が重要だ。

 本記事では企業のデジタルビジネス要件に合致し、DXを推進するITアーキテクチャーとその「超上流工程」をまとめて「デジタルアーキテクチャー構想」と呼ぶ。DX推進のために求められるものと、現状のシステムの間にはギャップがある。デジタルアーキテクチャー構想によって、これを解消することを目指す。

 DX時代にはITシステムがビジネスに対して担う役割が増していく。そしてビジネスのニーズに対応するには、ITシステムに「アジリティー、スピード」と「データ活用」が求められる。

 「アジリティー、スピード」は、ビジネスの変化に迅速に追随できることを指す。特に、顧客(一般消費者)向けのサービスを実現する「ビジネスIT」の領域では、市場の変化に合わせて迅速にシステムを改修する必要がある(「ビジネスIT」については本特集シリーズの過去記事を参照)。顧客の潜在的要求にいかに早く対応できるかが、競争力を高め、DX時代のビジネスを勝ち抜く鍵となる。

 「データ活用」は、部門や企業の垣根を越えて、データを使いたいときに使える状態を指す。近年はAI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)の発展により、あらゆる情報の収集・分析が可能となってきた。これまでのデータ活用は、主に経営情報やリスク管理、業務改善を目的としていたが、近年はサービスの高度化や新たな価値創造がターゲットとなりつつある。データは、DX時代のビジネス競争力の源泉といえるだろう。

 こうした「アジリティー、スピード」や「データ活用」機能を備えるITアーキテクチャーは、部門やシステムごとの個別最適では実現しにくい。

 例えば、「企業内の1つのシステムだけでスピードとアジリティーの向上に取り組んでも、他システムとの接続部分の対応が間に合わない」などのケースが考えられる。「あるサービスでデータ活用を進めても、他サービスのデータがタイムリーに更新されないため、中途半端な分析しかできない」といったケースも珍しくない。システムごとの取り組みにとどまらず、企業全体のITアーキテクチャーを見据え、システム全体がビジネスの足かせにならない状態を目指す必要がある。

 企業全体の新システムの全体像を描き、実現に向けてロードマップを決めて関係者間で合意を得るには、デジタルアーキテクチャー構想という「超上流工程」が欠かせない。

4.J:COMが全国のケーブル局にメッシュWi-Fiの提供開始(6.30 日経XTECH)
ジュピターテレコム(J:COM)は2020年6月29日、家庭における安定した無線LAN環境の実現を可能にするサービスとして、全国のケーブルテレビ事業者向けに「ZAQ メッシュ Wi-Fi」の提供を7月1日から順次、開始すると発表した。

 J:COMは、2019年10月に「J:COM NET」の加入者向けに「J:COM メッシュWi-Fi」の提供を開始しており、同社では月額サービスの形でメッシュ型の無線LAN環境を提供している。米プリューム・デザイン製の装置を採用し、AIやトライバンドなどの技術により、一層の安定性向上を図っていることが特徴という。ZAQ メッシュWi-Fiは、このサービスで利用する装置やスマートフォン向けアプリなどを、全国のケーブルテレビ局に提供するもの。採用局では、採用決定から約2カ月で地域の利用者向けにサービス開始が可能という。

 J:COMでは、全国のケーブルテレビ局に対して採用を働きかけていく。ZAQメッシュWi-Fiとして、今後5年間で10万セットの普及を目指す。

5.コロナ禍で見せた市民の力、行政の課題をOSSコミュニティーが解決(6.30 日経XTECH)
東京都から受託した感染対策サイトが「分かりやすい」と評判を呼んだ。東日本大震災復興サイトでの経験を原点に市民の立場で行政を支援する。オープンソースの力で行政の情報活用と組織の枠を超えた横連携を促す。

 新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年3月以降、感染者の集計ミスが頻発するなどIT活用で立ち後れた国や地方自治体の問題が噴出している。その中で、行政機関のIT化を支援して成果を上げているのが、関治之が率いる非営利法人(NPO)のコード・フォー・ジャパン(CFJ)だ。

 東京都から受託した新型コロナ感染症対策サイトは、感染者情報を詳細かつビジュアルに表現でき、3月の公開とともに「情報が分かりやすい」と評判を呼んだ。開発したコードをオープンソースソフトウエア(OSS)として公開したことで、派生版の開発も進んだ。愛知県や岡山県の公式サイトなど、これまでに30以上の新型コロナ対策の地域版サイトが登場している。

 CFJの代表理事としてプロジェクトを率いた関治之は「Linuxの成功などOSSの価値を体現してきた世代として、(地域の市民や有志のエンジニアによる)コミュニティーの力を借りて、多くの自治体の課題解決に協力したい」と自らの役割を語る。

 東京都公式サイトでOSSにした成果の1つが多言語化だ。関によると、中国語など多言語版のコード修正に貢献したエンジニアの1人が台湾のIT担当大臣を務めるオードリー・タン(唐鳳)だ。タンも台湾で行政のIT化を支援するNPOに参画し、CFJと交流があった。コミュニティーの力が新型コロナ対策サイトの成功をけん引した。

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