週間情報通信ニュースインデックスno.1230 2020/6/27


1.NTTが645億円の「カンフル剤」、日の丸通信連合の再建なるか(6.25 日経XTECH)
「『新メイドインジャパン』と言える日本発で付加価値の高い技術を強化し、オープンな連携のもとで(研究開発やビジネスを)展開していきたい」

 NTTとNECが2020年6月25日午後に開催した、両社の資本業務提携に関する記者会見。NTTの澤田純社長は冒頭でこう意気込みを語った。NTTは約645億円を投じてNEC株式の4.8%を取得、NECの第3位株主となる。両社は最先端の情報通信技術を共同開発し、世界に打って出る。

 共同開発に取り組む分野は大きく2つある。1つは5G(第5世代移動通信システム)の通信基地局だ。基地局は様々なハードやソフトを組み合わせて構成するが、澤田社長はこれまで「メーカー1社が(ハードとソフトの)一式を提供する垂直統合モデルが主流で、イノベーションが進みにくい構造になっていた」と指摘する。

 NTTとNECは基地局装置のマルチベンダー調達を可能にする国際仕様「Open RAN」の普及促進を図りつつ、国際競争力の高いOpen RAN対応製品を開発して世界の基地局市場でシェア獲得を狙う。

 もう1つの狙いは、NTTが2030年代の商用化を目標に掲げる「IOWN」構想の実現に向けた研究開発の継続と拡大だ。トランジスタから海底ケーブル、宇宙通信まで両社が培ってきた幅広い技術を持ち寄り「中長期で(開発に)取り組んでいく」(NECの新野隆社長兼CEO=最高経営責任者)という。

2.セブンのシステム障害が約5時間後に復旧、原因はベンダーの通信経路設定ミス(6.25 日経XTECH)
セブン―イレブン・ジャパンは2020年6月25日、全国の「セブンイレブン」店舗で同日午後0時過ぎから発生していたシステム障害が、同日午後5時15分ごろに復旧したと発表した。原因はシステムベンダーが日中に実施したネットワークの設定変更作業のミスといい、設定を元に戻すことで不具合を解消したとしている。

 このシステム障害によって、全国のセブンイレブン約2万1000店において「PayPay」や「LINE Pay」などの決済サービスや、フリマアプリ「メルカリ」の発送、セブン銀行ATMの一部サービスなどが利用できない不具合が発生していた。

 セブン&アイ・ホールディングス広報によると、外部のシステムベンダーが実施したネットワークの設定変更作業で誤った通信経路が設定され、その通信経路を通る全てのサービスが利用できない状況になっていた。同社は作業を行ったベンダー名を明らかにしていないが、「作業者の人的ミスによるもの」と説明している。

 同社広報は「このたびは、皆様にご迷惑とご心配をお掛けし、まことに申し訳ございませんでした。今回の事態を真摯に受け止め、今後このようなことが起こらぬよう、努めてまいります」としている。

3.クアルコムのAIロボティクス向け新SoC、TDKやパナソニック採用(6.23 日経XTECH)
米クアルコム(Qualcomm)は2020年6月17日、AI(人工知能)や5G(第5世代移動通信システム)に対応する最新のロボティクス向けSoC「Qualcomm Robotics RB5」を発表した(Qualcommのプレスノート)。Robotics RB3の後継品として、新たに5GとAIに対応し、一般顧客から企業、防衛、産業、専門性の高いサービスに向け、省電力で高いコンピューティング能力を持つ次世代のロボットやドローン開発を支援する。20社以上が評価を開始しており、米インテル(Intel)やTDK、パナソニックを含む30社余りが、ロボティクスアプリケーション実現に向けた各種ハードウエアやソフトウエア開発を進めている。Robotics RB5をベースとした製品は2020年内に市場投入見込みとなっている。

 Robotics RB5は、ロボティクス向けにカスタマイズされたプロセッサ「QRB5165」を搭載。15TOPS(Tera Operations Per Second、1秒間に15兆回の演算処理)のAI性能を持つ第5世代のAIエンジンと合わせて、高性能なヘテロジニアスコンピューティングを提供する。最新の「Qualcomm Hexagon Tensor Accelerator」で高度な機械学習推論を行うほか、7個のカメラを同時にサポートするISP(Image Signal Processor、画像処理プロセッサ)、高度な映像分析を実現するコンピュータービジョンエンジンなども搭載している。

 4G/5G対応モジュールとの組み合わせで、ロボティクスやインテリジェントシステムの5G対応を推進するほか、産業レベルの動作温度範囲や2029年までの長期供給などのオプションにも対応する。

4.「富岳」がスパコン世界ランキングで1位に、世界初の同時4冠達成(6.23 日経XTECH)
理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が2020年6月22日(ヨーロッパ夏時間)、スーパーコンピューターの性能を競う世界ランキング「TOP500」で1位を獲得した。日本勢が同ランキングで1位を取るのは2011年11月の「京(けい)」以来、8年半ぶり。HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)に関する国際会議「ISC 2020 Digital」が同日ランキングを発表した。

 TOP500は最も一般的なスパコンの性能ランキングで、規則的な行列演算である連立1次方程式を解く計算(LINPACK)でスパコンの性能を評価する。多くの科学技術計算で使われる倍精度演算(10進で16桁の浮動小数点)のみで計算するルールである。

 富岳のシステムは396きょう体(15万2064ノード)の構成で、LINPACK性能は415.53ペタ(ペタは1000兆)フロップス(1秒当たりの浮動小数点演算回数)、実行効率は80.87%だった。同ランキング2位は米IBMなどが開発した「Summit(サミット)」で、LINPACK性能は148.6ペタフロップスだった。富岳は2位と約2.8倍の性能差をつけた。

 富岳はTOP500以外の3つの性能ランキングでも1位を獲得し、4冠を達成した。具体的には、スパコン上で動く実アプリケーションに近い演算の性能を測る「HPCG」、ビッグデータ処理(大規模グラフ解析)に関する性能を測る「Graph500」、今回から加わったAI(人工知能)関連処理の性能を測る「HPL-AI」でそれぞれ1位だった。同じスパコンがTOP500とHPCG、Graph500で1位となるのは世界初で、同時4冠獲得も世界初だ。

 HPL-AIはAIの計算処理などで使われる低精度演算の使用を認めた新しいベンチマークで、ディープラーニングなどAI関連処理の性能を示す。今回富岳は330きょう体(12万6720 ノード)で1.421エクサ(エクサは100京)フロップスという性能を記録し、浮動小数点演算を用いたベンチマークではじめてエクサ級の性能を達成した。

5.エリクソンが最新調査で5G契約数予測を上方修正、「一部で鈍化するも他市場の伸びが上回る」(6.22 日経XTECH)
スウェーデンEricsson(エリクソン)は2020年6月16日、最新調査リポート「Ericsson Mobility Report June 2020」を発表した(Ericssonのニュースリリース)。新型コロナウイルス感染症の流行により、新常態(ニューノーマル)への適応が全世界規模で求められる今、デジタルインフラはこれまでよりさらに重要なものになると指摘している。

 リポートでは、2020年末までに全世界の5G契約数が1億9000万件になり、2025年末までには28億件に達するとしている。

 今回は、新型コロナウイルス感染症が大流行する中、社会運営や家族のつながりを維持するために、ネットワークやデジタルインフラが果たす役割についても詳細に調査した。その結果、全世界的な5G契約件数予測を上方修正している。パンデミック(世界的な大流行)の影響により、一部の市場では契約件数の伸びが鈍化しているものの、他の市場ではそれを上回る勢いで伸びているとする。

 世界のあちこちで都市がロックダウン(都市封鎖)されたことによる行動の変化は、固定通信ネットワークと移動通信ネットワークの使い方にも多大な影響を及ぼしている。通信量増加の最大要因は、家庭用の固定通信ネットワークによるもので、20〜100%の伸びを示している。一方、サービスプロバイダーの多くが、自社の移動通信ネットワークの需要も10〜20%増加したとしている。

 今回の調査では、11カ国の回答者のうち83%が、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)がロックダウンへの対処に大いに役立ったと回答した。調査結果からも、eラーニングや健康関連のアプリなど、ニューノーマルへの適応を支援するサービスの利用率が大幅に増加している様子がみて取れる。

 今後に向けては、57%が経済的に安定するために節約を心がけたいとする一方で、3分の1が新型コロナウイルス感染症の第2波に備えて、5Gの導入など家庭のブロードバンドの改善を計画中と回答している。

 その中でFWA(固定無線アクセス)は、4Gブロードバンドや5Gブロードバンドに向けたコスト効率の高い対応手段として、一般消費者や企業などからの需要に、政府による支援プログラムや補助金などの要因も加わり、市場を拡大していく。

 FWA接続件数は2025年には約1億6000万件に成長し、全世界のモバイルネットワークによるデータ通信量の25%を占めるようになる。2019年末時点では約15%だったFWAによるデータ通信量は2025年には8倍近く成長し、月53エクサバイトにもなる。

 ホームページへ