週間情報通信ニュースインデックスno.1220 2020/4/18


1.JTBなど400社が使うTISのリモートアクセスサービスが全面停止、復旧は6月以降(4.17 日経XTECH)
 TISは2020年4月16日、同社がSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)で提供するリモートアクセスサービス「RemoteWorks」について、不具合を解消するために5月末までサービスを停止すると発表した。調査状況によっては6月以降も停止する。RemoteWorksを巡っては2020年3月26日にシステム障害が発生し、以降断続的に不具合が続いていた。4月13日からはサービス停止が続いている。

 TISによれば、RemoteWorksは約400社が使い、2万IDを抱える。現在は全面停止している。不具合の原因についてTISは「利用者数の急増に伴い不具合が発生しているようだ」(広報)とする。セキュリティー面の脆弱性が存在する可能性も考慮に入れて、調査を進めているという。既存ユーザーへの代替手段の提供に関しては「個別に調整を進めている」(同)。

 RemoteWorksを全社推奨ツールとして使っているJTBはサービス停止により一部の業務で支障が出ている。「リモート環境での代替手段がない業務については担当者が出社して対応している」(JTB広報)という。

2.「新型コロナ対策テレワーク実態調査」速報、テレワーク利用は75%(4.16 日経XTECH)
日経BP総研 イノベーションICTラボが日経BPのデジタルメディアの読者・会員を対象に実施した「新型コロナ対策テレワーク実態調査」で、「テレワークを利用している」は75%、「利用していない」は25%であることが分かった。本調査は2020年4月13日からインターネットを通じて実施しているアンケートで、4月13日〜16日12時までの回答(速報値)を集計、分析した。回答者の勤務先業種は、「製造」が4割、「情報・通信サービス」が3割で大半を占めた。

 本調査では、「(直近の1週間もしくは1カ月間について)あなたはテレワークを利用して、職場以外でどの程度の頻度で働いていますか」と質問した。その結果、「週5日以上利用」が42.9%で最も多く、それに「週3〜4日利用」(20.5%)が続く。「利用していないが、今後利用する予定」は11.2%、「利用していないし、今後も利用する予定はない」は14.0%である。

 「テレワークを利用している」という回答者に対して、「あなたはご自身のテレワーク利用で業務に支障が出ていますか」と尋ねた。最も多かったのは「業務にあまり支障はない」(49.2%)である。「業務に全く支障はない」(14.3%)と「業務に多くの支障がある」(13.9%)でほぼ同じ割合だった。

 一方、「テレワークを利用していない」という回答者に、その理由を聞いた(17個の選択項目に対して複数回答可)。特に多かったのは、「勤務先(または派遣・常駐先)がテレワークに必要なITシステムを整えていない(または、必要な機器を支給していない)」と「勤務先(または派遣・常駐先)がテレワーク制度を導入していない」の2つである。

 このほか「そもそも担当している業務はテレワークに適さない」や「勤務先でテレワークを推進すべき部門や司令塔が不明確」、「職場(または派遣・常駐先)で扱う帳票や文書の電子化が進んでいない」を理由に挙げる回答者が多い。

3.オプテージとAPRESIA、SA方式のローカル5G実証実験を2020年度内に開始(4.16 日経XTECH)
オプテージとAPRESIA Systemsは2020年4月16日、SA(スタンドアローン)方式によるローカル5Gの共同実証実験の実施で合意したと発表した。対応する機器開発を経て、2020年度末からオプテージビル内に設置するラボなどで開始する。周波数は、ローカル5Gの新たな周波数として制度化の準備が進む4.5GHz帯を利用する。

 実証実験ではSA方式による「電波伝搬試験」、超高速・大容量通信に不可欠な「基地局間で発生する干渉の制御」、超低遅延通信に重要となる「5Gコア設備や基地局機能の最適な配置」などを確認する。

 加えて、多数同時接続に活用できるなど複数の要求条件に応じて仮想的に分離したネットワークを構成するネットワークスライシングについて、「VPN(Virtual Private Network)回線と連携したEnd-to-Endでのネットワークスライシング」を構築し検証する。

 この実証実験で得られたSA方式での知見を生かし、APRESIAの製品とオプテージの各サービスの連携を図る。

4.テレワーク拡大で気になるトラフィック増、出勤者7割削減に向け高まる不安(4.15 日経XTECH)
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅勤務が本格化しつつある。2020年4月7日に東京や大阪など7都府県に緊急事態宣言が発令され、4月11日には安倍晋三首相が7都府県の全ての事業者に出勤者の最低7割削減を求めた。そこで心配されるのが、テレワークによるトラフィックの急増だ。

 外出禁止令が広がる米国でもトラフィックが急増している。米ベライゾン(Verizon)の4月9日の発表によると、新型コロナウイルスの拡大前に比べ、トラフィックはゲームが115%増、VPNが49%増、ビデオが36%増を記録した。米AT&Tもコアネットワークのトラフィックが4月8日時点で2月末に比べて26%増加したという。

 日本はどうか。NTTコミュニケーションズのインターネット接続サービス「OCN」では、平日日中(午前9時〜午後6時)のトラフィックが40%程度増加した。2月3〜7日を基準とすると、2月17〜21日の週まではほぼ変わらず、2月24〜28日の週に数%増加。安倍首相が小中高校に休校を要請した翌週(3月2〜6日)から30〜35%増となり、直近は35〜40%増の水準で推移している。

 平日日中のトラフィックが増えたとはいえ、ピーク時(午後10〜11時)に比べれば3分の2程度(約67%)の水準にすぎない。ピーク時のトラフィックも約10%増えているが、同社は「ピーク時の2倍に耐えられる設計でバックボーンを構築しており、直ちに問題となる状況ではない」としている。

 NTT東日本の「NGN」におけるトラフィックは平日日中(午前9時〜午後5時)で30%程度増加した。4月6〜10日のトラフィックは2月25〜28日の週に比べ、昼間で33%増、夜間のピーク時(午後9〜10時)で2%増だった。「ネットワーク全体の容量は十分に確保しており、問題ない」としている。

 このほか、KDDIの固定通信サービスでも「平日昼間の時間帯で最大40%ほどのトラフィック増加が見られる。夜間のピーク時への影響は限定的であり、あまり変わっていない」という。各社の回答を総合すると、現状は平日日中における30〜40%のトラフィック増加にとどまり、全く問題ないとのことだ。

 一方、携帯電話サービスのほうは影響が少ないようだ。NTTドコモは「データ通信に大きな変化はない」、KDDI(au)は「昼間の時間帯はトラフィックの増加傾向が見られるが、固定通信ほどではなく、大きな影響はない」、ソフトバンクは「緊急事態宣言の発令後、多少のトラフィック増加が見られており、今後の動向を注視している」という。「UQ WiMAX」や「UQ mobile」のサービスを手掛けるUQコミュニケーションズも「トラフィックは微増しているが、大きな問題は出ておらず、ほとんど影響ない」としている。

 格安スマホを展開するMVNO(仮想移動体通信事業者)を含めた通信各社は総務省の要請を受け、学生のオンライン授業などを支援する取り組みを相次ぎ発表した。データ通信の容量追加分を一部無償化するものが中心だ。薄利多売で必ずしも余裕があるわけではないMVNOまで支援を打ち出したことに頭が下がるばかりだが、この影響が本格的に出てくるのもこれからとみられる。

 固定通信を含め、トラフィック増加はまだこれからが本番かもしれない。というのも様々な調査を見ていると、テレワークの実施率がやけに低いのだ。

 例えば東京商工会議所が3月13〜31日に実施した「新型コロナウイルス感染症への対応に関するアンケート」によるとテレワークを実施中の企業は26.0%、パーソル総合研究所が3月9〜15日に実施した「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によれば正社員のテレワーク実施率は13.2%といった具合だ。厚生労働省とLINEが3月31日〜4月1日に実施した全国調査(1回目)に至っては「仕事はテレワークにしている」との回答がわずか5.6%だった。

 テレワークの導入が本格化するのはまさにこれからであり、安倍首相の要請通り出勤者が最低7割削減となれば、まだ数倍のトラフィック増加が控えている可能性がある。現状は余裕があるとはいえ決して油断できず、通信各社は警戒態勢を強めている。

5.テレワークの要「ビデオ会議」を快適に、どのくらいのネットワーク帯域が必要なのか(4.14 日経XTECH)
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、テレワークの導入を進める企業が増えている。テレワークを実施するツールには様々な種類があるが、最もネットワーク帯域を消費するのがビデオ会議(ビデオ通話)だ。

 今注目を浴びているビデオ会議サービス「Zoom」などを例に、比較的導入しやすいクラウド型ビデオ会議でどのくらいのネットワーク帯域が必要なのか簡単にまとめた。

 Zoomは米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(Zoom Video Communications)が提供しており、無料で利用できるプランが用意されている。脆弱性などの問題で一部の企業や政府機関が利用を禁止する動きもあるが、使い方が分かりやすいなどの理由で広く使われている。

 複数の人が同時に参加する「グループビデオ通話」の場合、ビデオの解像度によって推奨帯域が異なる。当然、解像度が高くなれば必要な帯域は広くなる。ここでの「高品質ビデオ」は、360pなどHDよりも解像度の低いビデオを指す。米ズームの日本法人であるZoom Japanによると、状況に応じて自動的に解像度を変更するという。

 その他のサービスも含め、グループビデオ会議ではSD(標準)画質で500k?1Mbps、HD画質で1M?3Mbpsの帯域があれば十分といえそうだ。

 テレワークに参加する人数が増えれば、その分の帯域増強が必要になる。ただ、急な導入で十分な帯域を用意する余裕がないケースもあり得る。そうした場合「画面の表示をフルサイズから小さいサイズに変更したり、ビデオをオフにして音声のみで参加したりする」(Zoom Japan)といった方法で限られた帯域を有効活用できる。

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