週間情報通信ニュースインデックスno.1219 2020/4/11


1.さくらインターネットが緊急事態宣言地域で出社手当5000円、データセンター業務など(4.10 日経XTECH)
さくらインターネットは2019年4月9日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出た対象地域で出社する社員に対し、1日5000円の出社手当を支給する措置を始めた。データセンターでの作業など、出社が避けられない業務に当たる社員への支給を想定したという。

 同社の田中邦裕社長が同日午後にTwitterで明らかにした。さくらインターネットは緊急事態宣言が出された7都府県では、東京都に3カ所、大阪府に1カ所のデータセンターを持つ。エンジニアを含めた多くの社員は在宅勤務に移行しているが、データセンターなどに出社せざるを得ない社員もいるため、手当の支給で報いることにした。

 田中社長のTwitter投稿によると同社は在宅勤務の社員にも手当を支給した。全面的な在宅勤務移行に伴い、1万円の臨時手当と月額3000円の通信手当を支給したという。

2.見えてきた東京DXの全貌、大動脈「データハイウエー」開通へ崩すべき2つの壁(4.10 日経XTECH)
東京都が進めるデジタル変革プロジェクトの全貌が見えてきた。便利で安全、多様性に満ちた都市の実現へ、官民でデータを共有し活用するための通り道、「データハイウエー」の整備がカギを握る。次世代の高速道路開通のためには、立ちふさがる2つの壁を崩す必要がある。

 宮坂学副知事の指揮の下、わずか1週間で誕生した東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイト。ソースコードやデータをオープンにして従来の“お役所仕事”のイメージを覆した。迅速な開発を可能にしたのは、サイトの開発を受託したCode for Japanの宇野雄氏が振り返るように「きちんと成形したデータ」を東京都が渡したためだ。

 行政機関がホームページなどで統計資料を公開しても、紙の印刷を前提にPDFやワード文書の形式にしていることが多い。データフォーマットも同じ行政機関でも部局によってバラバラである場合も珍しくない。

 実は東京都は2年前からオープンデータの整備を進めてきた。保有するデータを民間企業などが2次利用しやすいようにするためだ。「2年前からデータフォーマットの統一や各部局との調整といったデータ整備のノウハウを蓄積してきたことが、新型コロナ対策サイト構築に生きた」と東京都戦略情報推進本部ICT推進部の天神正伸情報通信技術担当課長は話す。

 東京都は2017年12月に「東京都ICT戦略」を策定。「都が保有する膨大なデータも活用しながら官民が連携してICT活用を進め、東京の成長へとつなげる」という方針を掲げた。地域の行政課題解決のために行政はオープンデータ化を推し進め、民間はそのデータを用いて課題解決に有用なアプリを作る、といった施策をうたっている。民間企業にもオープンデータ化を促す。

 こうした基本的考え方を土台に、公共施設や都民サービスのデジタルシフトを図り、東京という巨大都市のデジタルトランスフォーメーション(DX)をなし遂げる。街のDXには3つの柱がある。「セーフ シティ」は災害時の気象や被災情報を把握し被害の軽減や早期復興を図る。「ダイバーシティ」は誰もがどこでも自身の状況に応じて必要なサービスを受けられる状態。タブレット端末やパソコンを活用した学校の授業や、島しょ地域での遠隔医療などが具体策だ。「スマート シティ」は自動運転やキャッシュレスの普及など、生活に密着したサービスをデジタル化する。

3.テレワークを実施中の企業は26%、東京商工会議所調べ(4.9 日経XTECH)
東京商工会議所は2020年4月8日、「新型コロナウイルス感染症への対応に関するアンケート」の調査結果を公表した。テレワークを実施中の企業は26.0%、実施検討中の企業は19.5%にとどまり、従業員規模が小さい企業ほど実施率が低かった。

 同調査によると、テレワークの実施率は従業員300人以上の企業が57.1%に対し、50人以上300人未満の企業は28.2%、50人未満の企業は14.4%だった。実施率を業種別に見ると母数の小さい貿易業が60.0%と最も高く、情報通信業が53.8%、金融業が31.3%、商業/小売業が30.1%となっている。

 テレワークを「実施検討中」「実施予定無し」の企業に課題を聞いたところ、最も多かった回答は「テレワーク可能な業務がない」。このほか「社内体制が整っていない(仕事の管理・労務管理・評価など)」「パソコンやスマホ等の機器やネットワーク環境の設備が十分ではない」「セキュリティ上の不安がある」などが目立った。

4.緊急事態宣言で日本のネットは耐えられるか、国内外で通信4?7割増(4.8 日経XTECH)
通信ネットワークの停滞懸念が強まっている。安倍晋三首相が2020年4月7日に東京、神奈川、埼玉など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令し、テレワークの需要が一層高まっていることが背景にある。国内通信大手によると同年3月下旬の通信トラフィック(日中)は同年2月比で最大40%増えた。都市封鎖(ロックダウン)など日本よりも厳しい施策を投入する欧州では、トラフィックの総量が最大で70%も増えた例がある。社会の生命線となったネットワーク維持に向けて予断を許さない状況が続く。

 「緊急事態宣言発令後の4月8日の通信トラフィック(以下、トラフィック)は、それほど増えていない。しかし3月以降、トラフィック量は継続的に増えており、今後も注視していく必要がある」。国内で約720万の契約を持つプロバイダー大手のNTTコミュニケーションズ(本社・千代田、以下NTTコム)の吉田友哉エバンジェリストは最新のトラフィック状況をこう打ち明ける。

 NTTコムによると、政府が全国の小中高に一斉休校を要請した3月2日以降、平日日中(9?18時)の時間帯のトラフィックが急増した。2月最初の週と比べた場合、3月2日の週で30?35%増、3月9日以降の週で35?40%トラフィックが増えている。通常1年かけて増えるようなトラフィックがわずか数週間で発生している。

 増えているトラフィックはリモートアクセスに使われるSSL通信とビデオ会議、動画配信、SNSなどソーシャルメディアサービスの4種類だ。企業の在宅勤務や学校教材のオンライン配信などの影響が考えられるという。

 プロバイダーはピーク時のトラフィックを基準に、余裕を持たせてネットワーク容量を増やしている。現在は、これまでトラフィックが少なかった平日日中の通信量が底上げされている状況で、ピーク時のトラフィックが著しく増えているわけではない。

 吉田エバンジェリストは「現在の2倍のピークトラフィックに増えたとしても、NTTコムのバックボーンネットワーク(インターネットの主要回線、以下バックボーン)は耐えられる設計にしている。しかしバックボーン以外の部分でネットワークにはさまざまなボトルネックが考えられる。予断を許さない状況」と気を引き締める。

  今後は学校による遠隔授業の本格化などもあり、トラフィックがさらに増えることは間違いない。現実点でも、ネット上では「通信速度が遅くて使い物にならない」といった声が散見される。バックボーンのような大動脈には余裕があっても、各種ネットサービスの入り口部分やアクセス網の部分などで、容量が足りなくなっている可能性がある。プロバイダーの多くが定額制であるため、トラフィックが増えても売り上げが増えるわけではない。そのため、中小プロバイダーの場合は設備の増強が厳しく、こうした枝葉の部分がボトルネックになる恐れもある。

5.「5GにSnapdragonが選ばれる10の理由」、強みはミリ波、サブ6、アンテナ(4.7 日経XTECH)
米Qualcomm(クアルコム)は2020年3月24日、「Snapdragon 865が最先端5Gモバイルプラットフォームである10の理由」と題するコラムを公開した(Qualcommのブログ)。

 世界中の5G端末メーカーがSnapdragon 865を採用する理由として、以下の10項目を挙げて解説している。

(1)5Gミリ波帯に対応
5Gでは、6GHz以下の低・中周波数帯から、ミリ波と呼ばれる高周波数帯まで、幅広い周波数を利用する。このうちミリ波帯は、最大7.5Gビット/秒の超大容量高速通信を提供するために重要な役割を果たす。Snapdragon 865は、Snapdragon X55 5Gモデム/RFシステムと連携することで、低域から高域まで主な周波数帯すべてをサポートし、ミリ波対応5Gスマートフォンの開発を支援する。

(2)サブ6でのキャリアアグリゲーション
ミリ波のみならず、サブ6(6GHz未満の周波数帯)利用時で高速化と広域化も実現。従来の2倍を超える5Gビット/秒を実現可能な環境を提供する(ダウンロード時、200MHzのキャリアアグリゲーション)。最近の実験では、TDD方式のサブ6で3.6Gビット/秒を確認している(Snapdragon X55 5Gモデム/RFシステムを使用した200MHzのキャリアアグリゲーション時)。

(3)モデムからアンテナに至る包括的ソリューション
Snapdragon 865モバイルプラットフォームは、ベースバンド、RFトランシーバー、RFフロントエンド、アンテナモジュールを含む、モデムからアンテナまでの包括的なソリューションを提供する。相互運用試験による最適化により、通信速度、通信範囲に加え、電力効率も改善し、卓越した5Gユーザー体験を提供する。

(4)ギガピクセルに対応する画像処理プロセッサ

(5)第5世代AIエンジン

(6)長時間の使用に耐えるグラフィック性能

(7)ゲーム用チップの採用

(8)Wi-Fi6デュアルバンド同時接続

(9)超広帯域対応Bluetooth音声通信

(10)全世界で採用されるプラットフォーム

 ホームページへ