1.第3次AIブームはいったいどこへ?IPA調査で判明した驚きの「AI導入率」(2.28 日経XTECH)
AI(人工知能)を導入している企業(AIベンダーは除く)は4.2%。PoC(概念実証)まで実施している企業でも4.8%にとどまる――。情報処理推進機構(IPA)が2020年2月26日に公表した「AI白書2020」で、日本企業のAI導入の低迷ぶりが浮き彫りとなった。
IPA はAIの動向を経営者や技術者、業務担当者などに伝えるためAI白書を手掛けている。これまで2017年に「AI白書2017」を、2018年に「同2019」を発行済みだ。AI白書2020年を作成するため、IPAは2019年7月24日〜9月9日に68業種の約7000社にアンケートを送付し、541社から回答を得た。
IPAは前回の「AI白書2019」でAIを導入済みと回答した企業の割合を3.1%としている。第3次AIブームとされるなか、この1年で導入企業の割合は1.1ポイントの増加にとどまった。
「(AI白書2020は同2019より中小企業の割合を増やすなど)母集団が異なるので一概には言えないが、AIの導入が進んでいない現状が明らかになったのではないか」。調査に当たったIPAの小沢理康社会基盤センター産業プラットフォーム部兼イノベーション推進部エキスパートはこう指摘する。
なぜAI導入が広まらないのか。白書のアンケート結果にヒントがありそうだ。AI導入を「検討中」あるいは「関心あり」とした企業に「AI導入を検討するに当たっての課題」を複数回答で尋ねたところ、トップは「自社内にAIについての理解が不足している」で55.0%だった。
2位は「導入効果が得られるか不明である」で40.8%、3位は「導入費用が高い」で36.0%と続いた。AIについての理解不足や導入効果の不明度、高コストが課題であると明らかになった格好だ。
2.増えてきた「使い放題」モバイルWi-Fiルーター、どの程度お得なのか徹底検証(2.28 日経XTECH)
定額で使い放題のモバイルWi-Fiルーターのサービス数が増えている。スマートフォンの料金プランは1カ月間に通信できる量が決められており、それを超えると通信速度が著しく低くなるものが大半だ。そのため、スマホの料金を節約するためにモバイルWi-Fiルーターを併用している人もいるようだ。
そこで今回は、スマホを使い放題のWi-Fiルーターと組み合わせると、通信料がどのくらい違ってくるのかを検証してみたい。
最近は、定額で30Gバイトや50Gバイトまで使えるスマートフォン向けの大容量プランも増えている。例えばKDDI(au)はデータ容量の上限がない「auデータMAXプラン Pro」プランを提供中だ。だがこのプランは、テザリングやデータシェア(複数のデバイスでデータ容量をシェアする)などは合計30Gバイトまでという制約があって「使い放題」とは言えない。
そもそも大手キャリア(MNO)の大容量プランは安くない。NTTドコモの「ギガホ」は月に30Gバイトまで使えて、月額5980円(2年定期契約の場合、最大半年間は同4980円)。KDDI(au)の「auデータMAXプラン Pro」は同7480円(2年定期契約の場合、契約翌月から6カ月間は同6480円)。ソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+(プラス)」は、50Gバイトまで使えて同7480円(2年定期契約の場合、12カ月間は同6480円)。家族で使ったり、指定の固定回線と併用したりする人に向けた割引施策はあるが、データ量を気にせずに使うとそれなりの出費になるはずだ。
そんな中、グッド・ラックという事業者が提供している「どんなときもWiFi」というモバイルWi-Fiルーターのサービスが注目を集めている。データ通信が使い放題で、料金(クレジットカード決済の場合)は24カ月目まで月額3480円、25カ月目以降は同3980円だ。ルーターはレンタルで、そのレンタル料も前述の料金に含まれる。
しかも「月に3Gバイトまで」といった制約はなく、「著しくネットワークを占有するレベルの大容量通信をされた場合、通信速度をおおむね384kビット/秒に制限する場合がある」と記されているだけだ。筆者の知り合いで数人が「どんなときもWiFi」を使っているのだが、みな「通信制限が課せられたことはなく、快適に利用できている」と話している。ほぼ使い放題と捉えていいだろう。
どんなときもWiFiはドコモ、ソフトバンク、KDDIの3回線に対応している。3社のSIMを挿すわけではなく、組み込み型の「クラウドSIM」という技術を採用している。内蔵のSIMが複数の通信事業者との接続に対応し、場所・状況に応じて自動的に接続する回線を選ぶ仕組みだ。
大手キャリアもモバイルWi-Fiルーターを扱っている。中でも人気が高いのは “サブブランド” と言われるワイモバイルとUQコミュニケーションズのサービスで、使い放題に近い料金プランを提供している。
ソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルは、月額3696円で4Gの高速データ通信を7Gバイトまで使える「Pocket WiFiプラン2(ベーシック)」を提供している。このプランに月額684円(初月無料)の「アドバンスオプション」を追加すると、7Gバイトを超過しても無制限で利用可能になる。つまり、月額4380円で使い放題が実現する。
KDDIグループのUQコミュニケーションズの「UQ WiMAX」には、月額3880円でWiMAX 2+が使い放題の「ギガ放題」がある。このプランは月額1005円のLTEオプション料を加算すると、月に7GバイトまでのLTEも利用できる。その際に継続的な契約は必要なく、使った月だけ請求が来る。
だがワイモバイルとUQ WiMAXの両プランは、厳密な意味で使い放題とは言えない。どちらも3日間で約10Gバイトまで使った場合は、速度制限がかけられる可能性があるからだ。なお、速度制限時の通信速度は下り最大1Mビット/秒程度なので、全く使えなくなるわけではない。
料金だけを比べると、キャリアのルーターよりもクラウドSIMを用いた「どんなときもWiFi」が経済的に思える。では実際の使い勝手はどうだろうか?
まず通信速度を比べてみた。どんなときもWiFiのレンタル端末「D1」の通信速度は下り最大150Mビット/秒、上り最大50Mビット/秒。ワイモバイルは「Pocket WiFi 803ZT」を使う場合、下り最大988Mビット/秒、上り最大37.5Mビット/秒。UQ WiMAXは「Speed Wi-Fi NEXT WX06」を使う場合、下り最大440Mビット/秒、上り最大75Mビット/秒。速度では、キャリアのルーターに軍配が上がる。
移動体通信の速度は、環境や時間によって大きく変わる。筆者は、友人からどんなときもWiFiの「D1」を数日借りて、UQコミュニケーションズから借りた「Speed Wi-Fi NEXT WX06」と通信速度を比べてみた。
測定の結果、どんなときもWiFiは下り15M?20Mビット/秒、上り10M?30Mビット/秒程度。そして、まれに著しく速度が落ちることがあったが、再起動することで速度が回復した。
一方UQ WiMAXは、下り20M?40Mビット/秒、上り2M?10Mビット/秒程度が中心だった。下りの速度はどんなときもWiFiよりも早かったが、上りの速度は期待するほど出ないこともあった。
3.「5Gはミッションクリティカルなアプリでこそ生きる」、クアルコムが解説(2.26 日経XTECH)
米Qualcomm(クアルコム)は2020年2月13日、ミッションクリティカルなアプリケーションに5Gを導入する場合の利点を解説した(Qualcommのブログ)。以下はその概要となる。
eMBB(enhanced Mobile Broadband、モバイルブロードバンドの高速大容量化)の用途としては、動画ストリーミングやブラウジング高速化が挙げられる。動画のダウンロードやWebサイトの閲覧時に0.5秒の遅延が生じても、それほど問題にはならない。しかし、下記のようなミッションクリティカルなシステムでは、その0.5秒が非常に重要な意味を持つ。
スマートシティー関連インフラストラクチャー
無人搬送車
ロボットやドローン
自動車の安全管理や自動運転システム
遠隔医療
こうしたアプリケーションにおける遅延や障害を回避するには、5Gの超高信頼・低遅延通信(enhanced Ultra-Reliable, Low-Latency Communication、eURLLC)導入が必要となる。
ミッションクリティカルな制御に必要な機能やネットワークの信頼性は、3GPP Release 16で標準化予定のeURLLCによって提供可能となる。このeURLLCでは99.9999%の信頼性、つまりパケット損失を100万パケット当たり1パケットに抑える設計がなされている。遅延時間も1ミリ秒以下となり、信頼性確保のため予備接続(リダンダントリンク)可能なマルチコネクティビティーも考慮されている。
こうした超低遅延を実現するために、5G NRではサブキャリア間隔としてスロット持続時間125マイクロ秒までの拡張性を持たせている。これは4G LTEの1/8となり、データ送信待ち、データ準備、送信、データ受信処理、フィードバック送信における遅延時間を短縮することができる。
無人搬送車がいつ障害発生を通知するのか、温度センサーがいつ発火するのかは分からない。こうしたミッションクリティカルなアプリケーションのサポートに向けて、5G NRには、ネットワーク上で動作する全てのデータやサービスから優先度の高いメッセージを抽出して送信する仕組みが用意されている。
まず、PROFINETやEtherCATといったEthernetを使った既存の産業用ネットワークを5G無線にアップグレードする場合を考える。eURLLCは、TSN(Time-Sensitive Networking、Ethernetをベースに時間の同期性を保証し、リアルタイム性を確保するためのネットワーク規格でIEEE 802.1として定義されている)に対応。5Gでは、この機能を提供すると同時に、TSNシステムを機器類と接続するTSNアダプターも用意している。
4.超高臨場ライブ体験のTTC標準決定、「Kirari!」推進のNTTは積極活用の方針(2.26 日経XTECH)
情報通信技術委員会(TTC)は2020年2月25日、2月20日開催の第124回TTC標準化会議において、超高臨場ライブ体験(ILE)の基本的な機能アーキテクチャを含むアーキテクチャフレームワークを規定する標準「JT-H430.2」を決定したと発表した。
同標準の決定を受け、これまでILEを推進してきたNTT(日本電信電話)は2020年2月25日、今後活発になっていくことが想定されるスポーツイベントのパブリックビューイングや、セキュリティ分野での広視野角遠隔監視などにおいて、同標準で規定される通信方式を採用したシステムの活用を進めていくことや、国際標準化団体や日本国内標準化団体などと連携して同通信技術の普及を目指していくと発表した。
NTTは、超高臨場感を実現する通信技術「Kirari!」の研究開発を進めてきた。例えば離れた場所のスポーツイベントをあたかもその場所にいるかのように再現するために選手の位置や大きさなどの空間情報を映像や音声と一緒に伝送し、超高臨場感ライブビューイングを実現する技術である。
NTTは、ILEの名称でITU-T SG16で標準化に取り組むとともに、TTCでの日本国内標準化活動も進めてきた。NTTは、国内外のプロリーグ(Jリーグや米MLB(Major League Baseball))との連携も進めており、「こうした標準化によりパートナーとの連携が加速されることが期待される」と位置付ける。
5.ソニー初の5Gスマホ「Xperia 1 II」、ミッドレンジやプロ向けも(2.25 日経XTECH)
ソニーモバイルコミュニケーションズは2020年2月24日、初の5G対応スマートフォン「Xperia 1 II」などの新製品を発表した。2020年春以降、日本を含む国や地域で順次発売する。
当初は「MWC Barcelona 2020」で発表会を開く予定だったが新型コロナウイルスの影響でMWCが中止になったため、YouTubeチャンネルに録画した動画を公開する形で発表した。報道関係者向けにはグローバル向けの実機を公開した。
6.5型で縦横比21対9と、特徴的な縦長比率の4K有機ELディスプレーを搭載する。映画、音楽、モバイルゲームの愛好家や写真家の利用を想定。ソニーの技術を結集したモデルと位置付けている。
リアカメラは焦点距離35mm換算で16mmの超広角、24mmの広角、70mmの望遠の3眼に加え、深度測定用のiToFセンサーを搭載する。レンズには独カール・ツァイス(ZEISS)との協業により、「T*コーティング」を採用。ゴーストやフレアを低減し、クリアな描写が可能とした。
カメラの新機能として、ソニーのデジタル一眼カメラ「α」シリーズで培った最高毎秒20コマの高速連写と、毎秒60回のAF/AE演算をスマホで実現した。
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