週間情報通信ニュースインデックスno.1213 2020/2/22


1.楽天モバイルが5G構築ノウハウを外販、初顧客はシンガポール事業者(2.21 日経XTECH)
楽天モバイルは2020年2月21日、シンガポールの携帯電話事業者であるTPGテレコム(TPG Telecom)との間で第5世代移動通信システム(5G)技術の提供で協業した。楽天モバイルは今回の協業を皮切りに、2020年6月に開始予定の自営(MNO)回線による5Gサービスの構築で得たノウハウの外販に乗り出す。

 楽天モバイルはMNOの携帯電話サービスの基盤構築に当たり、ネットワーク機能の仮想化(NFV)を広範囲に採用している。コアネットワークだけでなく、基地局の制御などを担うRAN(Radio Access Network)にも全国規模で汎用サーバーと仮想化を導入している。

 具体的には、NTT東西の全国各地の電話局内に、L2に相当するDU(Distributed Unit:分散ノード)とL3に相当するCU(Central Unit:集約ノード)という2種類のエッジコンピューターを設置している。これによりネットワーク設備のマルチベンダー化や調達コスト削減を図る狙いだ。

 楽天モバイルはTPGテレコムに対し、こうした汎用サーバーと仮想化ソフトウエア、RANソフトウエアを使いRANを構築・運用するノウハウなどを供与する。

2.グーグルのチャットボットが先端AIで進化、人間相手にボケとツッコミを見せた(2.21 日経XTECH)
チャットボットがいよいよ、会話の流れや一般常識を踏まえて発言できるようになった。米グーグル(Google)が2020年1月末に論文発表した「Meena(ミーナ)」だ。文章の内容が理解できるとして話題になった自然言語処理AI(人工知能)BERTでも使う「Transformer」という技術が進化の原動力となった。

 チャットボットは2016年ごろから企業での導入も始まっているが、これまではあらかじめ開発者の側で設定したパターンに当てはまる会話しかできないことが課題だった。パターンに無い質問が来ると、それっぽい応答をしてごまかすだけで、人間のような会話のキャッチボールをするのが難しかった。

 それに対してグーグルが2020年1月28日に公開した論文「Towards a Human-like Open-Domain Chatbot」で明らかにしたチャットボットのMeenaは、ソーシャルメディアなどで交わされる実際の会話データ341ギガバイト(GB)を、パラメーターの数が26億個も存在する巨大なニューラルネットワークに学習させることで、様々な分野の話題について人間のような会話ができるようになったのだという。

 例えばグーグルは、Meenaが以下のような会話を人間と交わしたとする。
人間:調子はどう?(How are things?)
Meena:とてもいいよ。あなたは?(They're good. How about you?)
人間:何を見ようか決めようとしているんだ(I'm trying to decide what to watch)
Meena:どんな番組が好きなの?(What are some of your favorite shows?)
人間:Good Place(米国のコメディードラマ)が好きだな(I like the Good Place)
Meena:それは見てないね。私が好きな番組はSupernatural(米国のサスペンスドラマ)とStar Trek: TNG(米国のSF)だね(I haven't watched that. My favorite shows are Supernatural, and Star Trek: TNG.)
人間:TNGって何?(What is TNG?)
Meena:The Next Generation.
 ここでのポイントは、Meenaがテレビ番組に関する会話を人間と続けたことに加えて、会話で出てきた「TNG」という単語について、それが「The Next Generation」の略称だと答えられたことだ。それまでの会話の流れを把握する能力と、テレビ番組に関する常識の両方を備えているのが分かる。

 グーグルが同論文で示した他の会話では、人間から「オスカー(アカデミー賞)にノミネートされた映画でお薦めはない?」と聞かれたMeenaが「グランド・ブダペスト・ホテルはどう?」と返答し、さらに人間に「それはどんな映画」と聞かれたところ、「監督・脚本はムーンライズ・キングダムと同じウェス・アンダーソンで、ファニーでカラフルな映画を制作することで有名だよ」と答えたのだという。映画に関する豊富な知識を備えていることがうかがえる。

 チャットボットというとジョークがよく話題になる。従来のチャットボットのジョークは決められた小話を披露するだけだが、Meenaの場合は漫才のような応酬のあるジョーク(マルチターン・ジョーク)ができるのだという。

3.「AI格付け社会」がついに到来、人間力が見える化された世界はハッピーか(2.20 日経XTECH)
借金の返済能力を示す目安から、人間力を算出する新たな指標へ。信用スコアが進化を遂げようとしている。約束を守るほど得点が上がって様々な特典が受けられる仕組みだ。到来しつつある「AI格付け社会」は、私たちをハッピーにするのか。

 202X年2月20日の朝。10年勤めた大手コンピューターメーカーを退社してフリーランス技術者として独立していたあなたは、いつものようにスマートフォンを開いた。日課である「信用スコア」の値をチェックするためだ。

 「おっ、昨日は770点だったのが800点に上がってる。お客さんに納品したアプリが好評だって聞いていたけど、それが効いたのかな」

 電子メールが届いていた。住宅ローンを申請していた○×ネット銀行からだ。「本審査結果のお知らせ、承認となりましたことをお知らせします、とあるぞ。やった、審査が通った。フリーランスはローンやクレジットカードの申し込みが大変と聞いていたけど、○×ネット銀行は信用スコアを審査条件にしていたから申し込んでよかった」

 午後7時。その日の仕事を終えたあなたは予約していた人気レストランへ向かった。店の前の行列を横目に店内へ。「予約は3カ月待ちと聞いていたけど、スコア700点以上の人限定のコースがあって助かったな」

 以上は架空のシナリオである。消費者の膨大な個人データをAI(人工知能)で分析して点数を算出し、信用力の尺度としてサービスの内容を決める基準にする――。日本でもこんな取り組みが広がっている。鍵となるのが個人データを基にAIが自動的に算出するスコア、すなわち信用スコアだ。

4.NTT東西がフレッツ光に「10Gbps」プラン追加、5Gに対抗(2.18 日経XTECH)
NTT東日本とNTT西日本は2020年2月18日、家庭向けFTTHサービス「フレッツ光」について、下りと上りが最大毎秒約10ギガビット(Gbps)のプラン「フレッツ 光クロス」を追加し、2020年4月1日にサービスを開始すると発表した。これまでは下りと上りが最大約1Gbpsのプランが最速だった。

 月額料金はNTT東西共通で6300円(税抜き、以下同)で、「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」対応のレンタルルーターは同500円となる。当初の提供地域はNTT東日本が東京都足立区や杉並区、江戸川区、練馬区、世田谷区、葛飾区、大田区、板橋区の一部で、NTT西日本が大阪市と名古屋市である。申し込みは2020年3月16日から受け付ける。新規加入者向けの割引キャンペーンとして、NTT東日本は2020年11月30日までの開通を条件に、30カ月を上限に月額1200円割り引く。NTT西日本は2年間の継続利用を条件に月額1100円割り引く。

 個人向けの通信環境を巡っては、KDDI(au)やソフトバンクが2020年3月に第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスを始めると表明している。NTT東西はそのタイミングに合わせて光回線に高速プランを追加し、「速さ」をアピールする狙いとみられる。

 10GbpsクラスのFTTHサービスはKDDIの「auひかり」やソニーネットワークコミュニケーションズの「NURO」、関西電力系のオプテージの「eo光」などが先行している。NTT東西は新プラン提供で先行各社に追いついた格好だ。

5.5G NSA対応で“世界初”のコネクテッドカー実証実験、ノキアがソフトバンクと本田技研に装置提供(2.17 日経XTECH)
フィンランドNokia(ノキア)は2020年2月11日、ソフトバンクと本田技術研究所によるコネクテッドカー実証実験に、5G NSA(Non-Standalone)に関する支援を発表した(Nokiaのプレスリリース)。256QAMと4x4 MIMOに対応した無線装置をはじめ、3GPP Release 15準拠の5G NSAネットワーク環境をソフトバンクに提供。本田技術の北海道上川郡にある研究開発施設に設置し、世界初とする5G NSA NRでのコネクテッドカー商用化に向けたデモ試験に成功したとしている。

 今回の試験では、(1)見通しの悪い交差点での周辺車両の位置情報の送信、(2)道路上の落下物の識別と通知、(3)車載カメラで撮影した高解像度4K動画や画像の送信と2次利用などの事例を想定した。

 Nokiaは、道路ネットワーク上での自動車の安全かつ効率的な通信には、5Gの高速大容量通信が欠かせないとして、次世代のコネクテッドカーや自動運転車の実現には、広帯域幅、低遅延な5Gネットワークサービス展開が不可欠だと強調する。その上で、2025年までに2250億米ドル以上の価値を生み出すこのコネクテッドカー市場で、今後同社の5G技術を全面的に活用していくとしている。

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