週間情報通信ニュースインデックスno.1212 2020/2/15


1.KDDIが縦型折り畳みスマホ「Galaxy Z Flip」を独占販売、本格普及への施策凝らす(2.14 日経XTECH)
KDDIは2020年2月12日、韓国サムスン電子の縦型折り畳みスマートフォン「Galaxy Z Flip」を新商品として発表した。2020年2月下旬に発売する予定である。

 KDDIは2019年10月に「フォルダブル」と呼ばれる折り畳み式のスマホ「Galaxy Fold」を国内で発売したばかりだ。矢継ぎ早にフォルダブル端末を投入する狙いは、どこにあるのだろうか。

 第2弾のGalaxy Z Flipが第1弾のGalaxy Foldと大きく異なるのは本体サイズだ。Galaxy Foldはタブレットを折り畳むことでスマホサイズになったのに対し、Galaxy Z Flipは縦長のスマホを折り畳むことで名刺入れ程度のサイズになる。

 折り畳みのヒンジは任意の角度で止められるため、画面を適度に開いた状態で卓上に置くなどして使える。手のひらでのジェスチャーで操作できたり、音声で写真撮影やビデオチャットをできたりするなど、スタンドが無い環境でもハンズフリーで使えるのがメリットだ。

 ヒンジを最大まで開くと、継ぎ目の無いフラットな画面となる。画面の中央に触れるとわずかなへこみを確認できるものの、スマホとして通常使う際にはほとんど気にならなさそうだ。

 閉じた状態で使える機能は限られるものの、1.1型のカバーディスプレーで時刻や各種通知を確認したり、電源ボタンの2度押しでカメラを起動できたりする。カバーディスプレーの表示面積は小さいものの、メインカメラを使った自撮り画像も映し出せる。

 グローバル向けに発表した価格は1380ドルで、Galaxy Foldの1980ドルよりも安かった。またGalaxy Foldは端末の分割支払金残額の一部が無料になる「アップグレードプログラム」に対応していなかったが、Galaxy Z Flipの販売に当たってはさまざまな販売モデルやキャンペーンを検討しているという。

2.NECのAndroidタブレットに1万9800円からの新機種、「あの用途」なら買いだ(2.14 日経XTECH)
タブレットは米アップル(Apple)のiPadが定番となって久しい。その人気はご承知の通りだ。一方、Androidタブレットはじり貧の様相を呈している。

 そんな中、NECパーソナルコンピュータが手ごろな価格のAndroidタブレット「LAVIE Tab Eシリーズ」をモデルチェンジ。新モデルを投入した。今回は、うち3機種を紹介していく。3機種はTE710/KAW(10.1インチ)とTE508/KAS(8インチ)、TE507/KAS(7インチ)で、直販価格はそれぞれ3万9800円、2万3800円、1万9800円(いずれも税別)となっている。

 価格を抑えているのは明らかだが、どのようなコンセプトとターゲットユーザーを設定しているのだろうか。

 NECパーソナルコンピュータ商品企画本部の細見孝大グループマネージャーは、「安心感というコンセプトを重視している」と話す。LAVIE Tab Eシリーズは、子供を含む家族で使ってもらえるタブレットという位置付けになっている。ユーザーは初心者や女性が目立つとのことだ。

 主な販路は、家電量販店での店頭販売だという。コストパフォーマンスが高い製品にして、店頭で買いやすくしている。つまり安心して購入でき、安心して使えるタブレットだというわけだ。

 3モデルとも、性能は抑えめになっている。最高性能の10.1インチモデルでもチップはSnapdragon 450だ。最も安価な7インチモデルは、MediaTek MT8321(4コア1.3GHz駆動)という世代が古いチップで、ベンチマークアプリの「AnTuTu Benchmark」はインストールさえもできなかった。メモリーも、いちばん安い7インチモデルは2Gバイト、8インチモデルと10.1インチモデルは4Gバイトと少ない。

 全体的に動作は快適とは言えず、特に7インチモデルはかなりもっさりしている。最近は、誰もがそれなりに高速なスマホを使っている。2万円台のスマホでも、Snapdragon 600番台を搭載しているので、その差は大きい。

 古いスマホを使っているユーザーであれば「同じくらいの動作速度だ」と思うかもしれないが、購入して使ってみて「遅いなあ」と感じるユーザーも出てくるだろう。ビューアーとして使うなら高い性能は必要ないので実用的かもしれないが、ゲームや文書作成などにはあまり向いていないと感じる。

 逆にうれしかったのは、GPSを搭載していること。例えばテザリングができるスマホがあれば、カーナビとして使えるだろう。

結論:ビューアー専用機でよければ7インチモデルは買い

 新しい3モデルの中では、個人的にはコンパクトな7インチモデルが魅力的だ。持ちやすいので、ビューアーとして電車の中で動画などを楽しむのに向いている。ただし性能に関しては割り切りが必要なので、いろいろな作業ができるとは考えないほうがいい。家電量販店でパソコンやテレビを買ったときに還元されたポイントで、家族向けにちょっとプレゼントするような買い方をするのがお勧めだ。

3.政府システムのクラウド基盤、AWS採用を正式決定(2.12 日経XTECH)
政府が2020年秋に運用開始予定の「政府共通プラットフォーム」において、米アマゾン・ウェブ・サービスのクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」の採用を正式に決めたことが2020年2月12日に分かった。システム仕様を決める総務省行政情報システム企画課によると、2020年1月29日に公示した調達仕様書案「第二期政府共通プラットフォームにおけるクラウドサービスの提供等に関する業務」において、「企業に調達仕様書案の意見を求めている段階だが、AWSを前提に設計することを明記した」という。

 政府は2018年度から政府共通プラットフォームの整備に向けた入札を実施。このうち設計・開発などの請負業務の一般競争入札について、アクセンチュアが2019年5月までに4億7520万円で落札して受託契約を結んでいた。アクセンチュアはAWSの利用を前提に設計・開発を進めていると日経クロステックが報じていたが、それが正式決定になった格好だ。

 どの事業者が請け負うかは、「入札前なので決定していることはない」(総務省)とした。政府は政府共通プラットフォームの導入で、各省庁で共通する業務システムをまとめ、コスト削減やサービス向上を目的としている。現在は政府が民間クラウドサービスの利用を前提に、次期基盤となる「第二期整備計画」を進めている段階だ。

4.窮地に立つ米ウーバー、料理宅配で「消耗」を重ね主力サービスにも暗雲(2.12 日経XTECH)
米ウーバーテクノロジーズは1月20日、インドのフードデリバリー(料理宅配)事業を地場の同業企業に売却したことを明らかにした。売却先は、米セコイア・キャピタルや中国アリババ集団などが出資するゾマト・メディア。ウーバーイーツ(Uber Eats)のインドにおける提携レストランや配達スタッフ、顧客はすべてゾマトが引き継ぐ。これに伴いウーバーはゾマト株式の9.99%を取得した。

 ウーバーイーツ事業は依然として急成長中だが、近年は多額の出資を受けたスタートアップ企業が世界各地に登場し、同社のシェアを奪っている。米ニューヨーク・タイムズによると、インドのフードデリバリー市場はゾマトともう1社の競合「スウィギー」のシェアが合計で約80%を占める。スウィギーは南アフリカのナスパーズや中国の騰訊控股(テンセント)などが出資しているスタートアップ企業だ。

 フードデリバリー市場は過当競争に陥っており、上位数社しか利益を上げられない状況になってきたと指摘されている。米調査会社のセカンドメジャーによると、米国市場でシェア1位の企業は米ドアダッシュ。19年10月時点の同社のシェアは35%で、売上高は前年同月比114%増だった。これに次いだのが米グラブハブで、シェアは30%。この後にウーバーイーツ(同20%)と米ポストメイツ(同10%)が続いた。

 ウーバーの19年4〜6月期の純損益は52億3600万ドルの赤字で、業績を確認できる17年以降で最大の赤字幅だった。同7〜9月期の純損益は11億6200万ドルの赤字で、前年同期の赤字額9億8600万ドルから拡大。この時点で6四半期連続の赤字となった。

 同社では創業者のトラビス・カラニック氏が19年12月31日付で取締役を退任。米メディアによるとカラニック氏は自身が持つウーバー株をすべて売却したという。こうした中、ダラ・コスロシャヒCEOは財務状況の改善策を進めている。19年11月、同氏はフードデリバリー事業で、すべての都市で1位か2位を目指すとの目標を掲げ、2位以内に入れない市場からは撤退するか売却を検討する方針を示した。

5.クアルコムの「インテリジェントワイヤレスエッジ」構想、AIと5Gの先端技術を組み合わせる(2.10 日経XTECH)
米Qualcomm(クアルコム)は2020年2月4日、5GとAIそれぞれの最先端技術を組み合わせた「インテリジェントワイヤレスエッジ」構想を発表した(Qualcommのブログ)。大量のデータを、その情報源の近くにある端末内やエッジクラウド上でAI処理し、低遅延大容量の5Gで通信する。これにより、個人的な情報を高度に、安全に処理できるようになり、様々な利益を生み出せるとしている。

 5Gネットワークや端末にAIを適用することで、無線通信を効率化し、バッテリー寿命を延ばし、ユーザー体験を強化することができる。AIを利用して無線通信を改善するには、従来の方法では解決が困難で、かつ、機械学習での解決に適している課題を見つけることだ。Qualcommでは、無線とAIに関する長年の研究結果を生かし、ネットワーク管理の主要分野であるサービス品質強化や導入の簡素化、ネットワーク効率向上やネットワークセキュリティー改善などへのAI適用を検討している。例えば、AIで異常な周波数利用を検出することで、データの許容量を超える通信やなりすましといったネットワーク通信異常を検出できる。

 AIを使って無線認識を強化することで、5G通信の改善に貢献できる。人間より機械学習の方が、複雑な無線周波数信号の認識に長けているからだ。無線認識が向上すれば、端末の体験強化やシステム性能改善、無線通信時のセキュリティー向上など、様々な改善が可能になる。

 5Gの低遅延性大容量通信を使えば、AI処理を端末、エッジクラウド、中央制御クラウドに分散させ、柔軟な体験を実現することも可能になる。用途に応じて、そのアプリケーションが必要とする演算速度や許容可能な遅延時間などの要件を基に、費用とのトレードオフを考慮しながら、分散方法を決定することも可能だ。boundless XRによる個別小売販売や大幅に機能改善された音声UIによる直感的に操作できる仮想アシスタント、再構築可能(reconfigurable)な工場など、AIを使った様々なシナリオにおいて、その体験を5Gで向上することができる。

 例えば、boundless XRを使った未来のウインドーショッピングでは、個々の顧客情報を基に、パーソナライズされた商品、セール情報、特典などを表示することで、より魅力的で生産的、効率的な体験を提供できるようになる。

 世界のデジタル化を進めるためには、クラウド中心のAIの概念を変える必要がある。現在、端末上での電力効率の高いAI推論が実現し、部分的な分散学習が可能となってきている。端末上のAIの次のステップは、推論を超え、端末上で学習を行うことだ。将来的には、完全に分散化されたAIが端末上で生涯学習を進め、プライバシーなどを考慮した高いレベルのパーソナライズを実現することになる。

 5Gを使うことで、クラウドを超えた分散学習が実現可能となる。最初に、中央、もしくはエッジクラウドが最新のグローバルAIモデルを端末に送信。次に、それぞれの端末が個々に個人データを収集し、端末上でトレーニングを行う。大規模なデータの処理は計算量が膨大になるため、専らクラウドで実施されるが、そのほかの処理は、より小規模に行うことで管理もしやすくなる。なお、端末上のAI性能は、アルゴリズムやソフトウエアが改善されるにつれて、指数関数的に向上してきている。

 端末上で処理を行うことには、今後のAIの大規模な採用につながる次の3つの重要な利点がある:

(1)規模:数百万台のスマートフォンなど、大量の端末に処理を分散させることで、大量の計算力を確保できる。

(2)パーソナライゼーション:自身の端末のトレーニングに自分のデータを使用することで、AIモデルの学習内容を自分用にカスタマイズできる。

(3)プライバシー:生データが端末からクラウドに移行せず、端末内部に閉じて学習することで、データを活用しながらプライバシーの保護も実現できる。

では、生データをクラウドに送らず、プライバシーを維持しながらも、最先端グローバルAIモデルを改善し続けるにはどうしたらよいのか。

 これには、AIモデルのパラメーターにノイズを追加してデータを難読化・圧縮し、暗号化してからクラウドに送信することで実現する。クラウド側では、こうした端末側からのデータ入力に基づきAIモデルをアップデートし、改善されたAIモデルを端末に送り返す。この繰り返しによりAIモデルの改善も実現可能となる。

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