週間情報通信ニュースインデックスno.1211 2020/2/8


1.厳しさ増すMVNO市場、契約100万超の大手「mineo」でさえも安泰とは言えない理由(2.7 日経XTECH)
現在1000を超えるとされるMVNOの中で、100万契約を超える大手として市場での地位を確保しているサービスの1つがオプテージの「mineo」だ。現在、MVNOを取り巻く環境は厳しく、大手と言っても安泰とは言えない状況にある。

 MVNOの台頭に危機感を覚えた大手携帯電話事業者はサブブランドを強化したり、有力MVNOを傘下に収めたりして低価格サービスの強化を図ってきた。こうした大手携帯電話事業者の施策によって、多くのMVNOが苦戦を強いられることになった。そうした中、さらにMVNOを苦しめることになったのが、2019年10月に施行された改正電気通信事業法である。

 この法改正によって通信料金と端末代を分離する「分離プラン」の導入が義務化された。大手携帯電話事業者には通信料金の引き下げが求められた。そのため大手携帯電話事業者はサブブランドだけでなく、メインブランドにも通信料が安いプランの充実を図った。その結果、低料金を特徴として打ち出してきたMVNOの存在感が薄れてしまったのだ。

 mineoもその影響を大きく受けている。2018年までは順調に契約数を伸ばし、同年4月には100万契約を達成。だがその後、契約数は伸び悩み、2020年1月現在は117万契約にとどまる。実質的に2年間で20万契約も増えていないことから、いかに契約を伸ばすのが難しくなっているかが分かるだろう。

 そんな中、オプテージは2020年1月29日、mineoの強みを生かした2つの新サービスを発表した。その1つが「ゆずるね。」だ。

 このサービスは回線が最も混雑する平日の12時から13時の時間帯の通信帯域をユーザー間で譲り合うサービスである。前日の13時から当日の11時30分までに、mineoのアプリで「ゆずるね。」ボタンを押して適用を宣言。通信量が一定量を下回ると、その回数に応じて100Mバイトの通信量や、専用の回線を用いて通常より高速に通信できる「プレミアム1DAYパス」など、さまざまな特典がもらえるサービスだ。

 一方で福留氏は「シンプルで分かりやすく、手ごろな料金も大切な価値の1つ」と話す。mineoのベースとなる低料金サービスという価値も追求していきたいと述べる。そうした価値観から生まれたもう1つのサービスが「パケット放題」だ。

 福留氏によると、毎秒500kビットの通信速度があれば画像や音楽だけでなく、YouTubeの標準画質(360p)程度の動画の視聴が可能になるという。モバイルでも動画利用のニーズは高まる一方である。通信回線の増強に限界があるMVNOにとって、動画視聴のニーズに応えるために打ち出した策とも言える。

2.イオンモバイルが格安SIM「プライスリーダー」宣言、シニアや子ども向け新サービスも(2.6 日経XTECH)
イオンリテールは2020年2月6日、イオン葛西店でMVNO(仮想移動体通信事業者)サービス「イオンモバイル」の新サービス発表会を開き、シニア向けの低価格音声プランや学割、2020年春商戦に向けたキャンペーンを発表した。

 発表会にはイオンリテール 専門事業本部モバイル事業部長の井関定直氏が登壇。2016年のサービス開始から4周年を迎えるイオンモバイルについて、「改正電気通信事業法の施行など不透明な市場環境において、改めてイオン来店客をターゲットに、MVNO業界のプライスリーダーを目指していく」と語った。

 イオンモバイルの回線数はまもなく60万回線に達する見込み。最近の動向として、2019年9月に消費増税前の駆け込み需要があり、10月以降は大手キャリアの施策変更でイオンモバイルの解約率が下がったことを挙げた。

 解約が減った背景については「大手キャリアのキャッシュバックを目当てに乗り換える顧客が一定数いたが、10月以降は明確に減った」(井関氏)と囲み取材で補足した。

 顧客層は70歳以上の乗り換え客が増加しており、シニア向けのスマホ勉強会などをきっかけに契約が増えているという。「同じ顧客が何度も参加することがあり、スマホを使いこなしたい意欲を感じる。今後はキッズ向けの勉強会も推進したい」(井関氏)とした。

 60歳以上のシニア向けの新プランとしては、「やさしいプランmini.」を発表した。音声通話を中心にしたプランで、月額980円(税別、以下同じ)の低価格が特徴。高速通信のデータ容量は200Mバイトだが、超過時は低速通信を利用できる。

 新プラン導入の背景としては「3G停波」への対応を挙げた。「大手キャリアが配布する3G停波についてのダイレクトメールを持参して、イオンに来店される方が多い。スマホに乗り換えると料金が上がるとの声に応えて、1000円を切るプランを作った」(井関氏)とした。

 シニア層のスマホ用途は天気予報やLINE、地図や乗り換えアプリの利用が多いという。店頭では「アプリ3つまでのインストールで1000円」などのメニューで有償の設定サービスを提供しており、シニアから好評を得ているとした。

 18歳未満に向けた新サービスとして「イオンモバイルセキュリティPlus」を発表した。SNSなどアプリ内のWebブラウザーのフィルタリングにも対応したことが特徴になる。月額200円で提供する。

 

3.3分でわかる SIM(2.5 日経XTECH)
SIMとは携帯電話事業者のネットワークに接続するために必要な情報(プロファイル)を記録したICチップのこと。Subscriber Identity Moduleの略。ICカードの形で、携帯電話やスマートフォンに挿入して使うのが一般的である。

 SIMには3種類の識別番号が、暗号化キーなどと一緒に記録されている。具体的には、「IMSI(International Mobile Subscriber Identity)」「MSISDN(Mobile Subscriber Integrated Service Digital Network Number)」「ICCID(Integrated Circuit Card ID)」の3つである。

 このうち、IMSIはユーザーに割り当てられる15桁の識別番号で、携帯電話事業者のネットワークに接続するための認証に使う重要な情報だ。 MSISDNは090/080/070などで始まる携帯電話番号で、通常15桁以内である。ICCIDはSIM自身のシリアルナンバー。桁数は19桁か20桁。SIMのベンダーが何らかの情報を付与するために使う。

 最近は「eSIM」と呼ぶ新しいタイプのSIMが登場している。従来のSIMは携帯電話事業者の施設などで専用システムを使いICカードにプロファイルを記録する。それに対してeSIMでは、携帯電話事業者の通信ネットワーク経由で、ユーザーの手元にある機器のICチップにプロファイルを書き込む。

 eSIMのメリットは、通信を利用したい場所ですぐにSIMを有効にできることだ。例えば海外に出かけた際に現地の携帯電話事業者の情報を空港で書き込んで、すぐに通信できるようになる。

 eSIMが特に注目されているのは、IoT分野での活用だ。eSIMなら、抜き挿しするICカードではなく、IoT機器のICチップとしてあらかじめ組み込んでおける。

 実際の現場に配置した後に携帯電話網経由でプロファイルを書き込めば、SIMが有効になってすぐに通信できる。システムの柔軟な構築や運用が可能になるのに加え、ICカード用のスロットを必要とせずコストも削減できる。

4.5Gで新型コロナウイルスを遠隔診断・治療、ZTEなどシステム実用化(2.4 日経XTECH)
中国ZTEは2020年1月27日、China Telecom(中国電信)の四川支社と協力して、5Gを使った新型コロナウイルスによる肺炎の遠隔診断を中国で初めて実用開始したと発表した(ZTEのニュースリリース)。5Gの広帯域、低遅延通信で、効率的かつ利便性の高い診断、治療を実現。診断には、四川大学West China Hospital、同大の成都Public Health Clinic Center が参加している。

 ZTEは、屋外からの5G信号を受信する自社製構内設備(CPE)を設置、同年1月25日には屋内用の5G基地局も設置して、まずはWest China Hospitalの会議室にて、遠隔診断・治療システムとの接続を開始した。

 翌1月26日には、その他の遠隔診断、治療拠点への5Gネットワーク構築、最適化、速度試験も完了。West China Hospital と四川省衛生局(Sichuan Health and Health Commission)、成都Public Health Clinic Centerにて、遠隔画像による健康相談に応じているという。

 この5G遠隔診断・治療システムは、四川省衛生局の業務協定に従い、West China Hospitalを中心に、新型コロナウイルスの患者を受け入れる27の病院で利用されることになるという。ZTEでは、次のステップとして、四川省、都市部、郡部の3レベルに対応する中国初の5Gによるコロナウイルス遠隔診断システムを立ち上げ、中国武漢市を支援する最前線の病院で、同一ネットワークによる遠隔診療環境を提供していく。今後は、5Gネットワークを介して武漢の救急医療チームを5Gで支援し、West China Hospitalで、武漢の重篤な患者にも専門的な診断や治療を提供できるようにする。

5.話題の5G最新トレンドをまとめて動画で解説〜バーチャル記者黒須もあ(2.3 日経XTECH)
 こんにちは、日経 xTECH新人記者の黒須もあ(β)です。すでに生活に欠かせなくなったス携帯電話。2020年春に国内でも携帯電話の性能を大幅にパワーアップする新サービスが始まります。その名も「5G(ファイブジー)」。今回は5Gでどんなサービスなのか。現時点で分かってる話をまとめて動画で紹介しちゃいます!

 5Gは2020年春からスタートといろんなメディアで言われていますが、そもそも「春」っていつでしょう? 実は携帯キャリア大手各社はまだ、サービス開始日や料金を具体的に発表していないんです。現時点ではNTTドコモは「2020年春」、KDDIグループとソフトバンクは「3月」、そして今年から携帯電話サービスに参入する楽天は「2020年6月」に、5Gのサービス開始とアナウンスしています。

 端末に関しては先行してサービスが始まった韓国や米国のおかげもあり、様々なスマホメーカーが5G対応機を続々と発表しています。国内でのサービス開始直前の2月末には、スペインバルセロナで携帯電話関連の大きな展示会「MWC Barcelona 2020」が開催予定で、そこでも5G対応機が多数登場するはずです。おそらく春の5Gサービス開始時には十分な端末が揃うでしょう。

 一方で5G対応エリアの展開は思ったよりゆっくりになりそうです。ドコモが2019年9月に発表した計画では48都道府県で開通するのが2020年6月、基地局数が1万局に達するのはその1年後の2021年6月。最初に5Gを利用できるのは都市部とか教務用サービスの利用企業がいる場所に限られそうです。

 サービスについては5Gの高速・大容量を生かした思い切ったプランが用意されるでしょう。例えば通信容量が月100ギガバイトとか、無制限といった感じです。価格はおそらく今のそれほど変わらないと言われてます。5Gに向けた設備投資などを考えると、各社とも少しは料金を上げたいのが本音なんですけど、それで誰も使わなければ意味ないですからね。

 5Gではその高速大容量の特性を生かした様々な新サービスが登場しそうです。NTTドコモは2019年の東京ゲームショウでカプコンの人気格闘ゲーム「ストリートファイターV」に5Gを組み合わせたデモを披露しました。

 何も無いテーブルの上にスマホをかざすとその画面に対戦プレーの様子が立体的に浮かび上がるというもの。闘いを好みの角度で観戦できるんです。このほか5Gは工場や工事現場・医療・物流・セキュリティーなどさまざまな業務での利用が期待されているんですよ。

 ホームページへ