週間情報通信ニュースインデックスno.1210 2020/2/1


1.NECにサイバー攻撃、2万7000件の防衛関連ファイルに不正アクセス(1.31 日経XTECH)
NECは2020年1月31日、防衛事業部門で使う社内サーバーの一部がサイバー攻撃を受けたと発表した。他の事業部門との情報共有用サーバーに保存していた防衛省への提案資料や社内資料など2万7445件のファイルが不正アクセスを受けた。NECや外部の専門機関の調査の結果、これまでのところ情報流出などの被害は確認されていないという。

 NECによると、2016年12月以降に受けたサイバー攻撃について、システムへの初期侵入や早期の内部感染の拡大を検知することができなかった。実際に社内パソコンの不正通信を確認できたのは2017年6月。マルウエアに感染したパソコンと外部サーバーとの暗号化通信を解読できたのは2018年7月だった。

 不正アクセスを受けたファイルに、秘密や個人情報などは含まれていないという。NECの分析によると、マルウエアの特徴などから、攻撃元は中国系の組織の可能性が高い。NECは外部への開示が遅れた理由について「特定のお客様の話なので外部への開示まではしなかった」(コーポレートコミュニケーション部)と説明した。

2.ドコモの2019年4〜12月期決算は減収減益、「環境変化あったが順調」(1.30 日経XTECH)
NTTドコモが2020年1月30日に発表した2019年4〜12月期連結決算(国際会計基準)は、営業収益(売上高に相当)が前年同期比3.8%減の3兆5160億円、営業利益が同12.7%減の7878億円、純利益が同10.7%減の5423億円と、減収減益だった。

 同日開いた決算会見で吉沢和弘社長は「(2019年10月の)改正電気通信事業法の施行で市場環境に大きな変化があったが、新料金への移行促進やマイグレーションに取り組んできた。減収減益ではあるが、年間の業績見通しの達成に向け順調に推移している」とした。

 新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の契約数は2019年12月末時点で1114万件となり、2020年1月18日に1200万件を突破した。Amazonプライム会員1年分の付与、ディズニー公式動画配信サービスの1年間割引特典、パケット通信量の月間60ギガバイトへの増量といった新料金プランへの移行促進キャンペーンを展開していることを挙げ、「2020年3月末の目標である1700万件達成に向けて引き続き取り組んでいく」(同)とした。金融・決済サービスの取扱高は前年同期比34%増の3兆8200億円となり、「各種キャンペーンや(2019年10月の消費増税に合わせて政府が始めた)キャッシュレス還元などで取扱高が伸びた」(同)としている。

 決算発表と併せてNTTドコモは、リクルートと業務提携を締結した。リクルートがWebサイトなどで展開する「じゃらん」「ホットペッパービューティー」「ホットペッパーグルメ」など12のサービスで「dポイント」を加算したり、ユーザーが保有するポイントを支払いに充当したりできるようにする。

3.mineoに通信帯域を「譲り合える」新サービスが登場(1.29 日経XTECH)
オプテージは2020年1月29日、都内でMVNO(仮想移動体通信事業者)事業「mineo」の新サービス発表会を開き、データ通信の帯域を譲り合う新サービス「ゆずるね。」を発表した。2020年3月23日から提供を始める。

 発表会には、オプテージの福留康和経営本部モバイル事業戦略部部長が登壇した。新サービスの企画やサポートにユーザーが参加できるアンバサダー制度を2019年に導入したことを振り返り、「体力勝負の消耗戦のなかで、徹底的な共創戦略によってファンとのつながりを深めてきた」と語った。

 併せてmineoの契約数が約117万回線に達したと明らかにした。福留部長は回線数の伸びについて、「改正電気通信事業法などを背景に、MVNO市場の伸びは鈍化している」と説明。今後の目標に「MVNO市場でシェア10パーセント以上を目指す」と掲げた。

 mineoのユーザー間でパケットをシェアできる「フリータンク」は、2019年の台風15号など災害支援でも活用したという。これまで災害支援としては合計18回、約3万人が利用した実績を挙げ、「速さや安さだけでなく、社会的な価値の向上にも取り組む」(福留部長)とした。

 新サービスとして、ユーザー間で通信帯域を譲り合う「ゆずるね。」を発表した。利用者はまず正午から午後1時までの混雑時間帯に、あらかじめ「譲る」と宣言する。同時間帯のパケット消費が数メガバイト以下に収まると「達成」と判定され、達成回数に応じて特典を獲得できる仕組みである。

 特典はデータ容量や夜間の使い放題など。達成回数ごとに毎月最大4回まで得られる。達成条件となる「数メガバイト以下」の具体的な数値は非公開だが、1メガバイト以下であれば確実に達成と判定されるという。

 サービス導入の背景について、福留部長は「混雑時間帯を避けて使うことにインセンティブを与えるという、ユーザーからのアイデアを採用した。譲り合いや助け合いといったmineoのブランド価値を表したもの」とした。

 新しいオプションサービスとして、最大で毎秒500キロビットの使い放題オプションを発表した。追加料金は月額350円(税別)で、2020年3月3日から提供する。2019年6月に実施したトライアルには13万人が参加し、65パーセントが満足したという。

 毎秒500キロビットの速度では、テキストコンテンツの閲覧に加え、音楽のストリーミングや標準画質の動画視聴も可能とした。オプションのスイッチをオフにすれば通常の通信モードに切り替わり、契約したデータ容量を消費するまで通常速度で利用できる。

4.IoTセンサーで独居高齢者を見守り、NTT東日本とインフィックが実証実験(1.28 日経XTECH)
NTT東日本は2020年1月28日、同社とインフィックが神奈川県宅地建物取引業協会の協力の下で、小田原不動産が保有する物件においてIoT見守りセンサー「LASHIC(ラシク)」を用いた高齢者の見守りソリューションの実証実験を開始すると発表した。実証開始時期は2020年2月を予定する。

 一人暮らしの高齢者の各家庭に今回のセンサーを設置し、管理業者や管理人が適宜、室内の「温度」「湿度」「照度」「運動量」を確認できるようにする。室内で一定時間動きがなかった場合は、アラートがスマートフォンやパソコンに発報される。このため異常事態を早期に把握できるという。

 今回の検証では、家庭ごとに閾値を変更し、他種類のセンサーの必要性なども検証しつつ室内を見守る。これにより、異常事態を早期に把握できるかの検証を行う。

5.5Gの28GHz帯基地局向け分散アンテナ技術、NECが玉川事業場で実証実験(1.27 日経XTECH)
NECは、5Gの28GHz帯基地局の無線子局(RU:Radio Unit)向けに、分散したアンテナ素子間のデジタル協調技術を開発した(ニュースリリース)。この技術によって、28GHz帯を使った屋内モバイル通信における、伝搬路の遮蔽や回折などの課題を解決できるいう。

 今回の技術は、多数の独立したアンテナを組み合わせて制御するMassive MIMO技術を応用して開発した。この技術によって、28GHz帯を使った高速大容量通信を安定した品質で実現できるという。また、分散配置したアンテナと制御ユニットの接続に、複数の信号を1つにまとめる周波数多重機を用いた。これによって、アンテナと制御ユニット間をつなぐ高周波ケーブルや光ケーブルにおける減衰/同期/電源供給などの課題を解決し、かつアンテナの設置を容易にした。さらに、NECの超小型マイクロ波通信システムの「iPASOLINK」で培った回路設計・実装技術によって、アンテナを小型化できた。例えば、8素子搭載でアンテナの面積は5cm×2cm程度に抑えられるという。

 NECは、開発した技術の検証のために、同社の玉川事業場の実験室で実証実験を2019年に行った。この実験用に構築したシステムは、8か所に分散設置したアンテナ、アンテナを制御するユニット、それらを制御するベースバンド処理装置などで構成されている。実験では、NECが開発のデジタルビームフォーミング技術を28GHz帯のアンテナに適用して、電波の空間合成と多重化を行うことで、高速・大容量通信に加えて、伝搬路の安定化を実現できることを確認した。また、壁や設置物による遮蔽、反射波による干渉などの厳しい伝搬環境や、複数端末が近接した環境でも安定した通信を実現できることも分かったという。

 今後NECは、オフィスビルや商業施設や工場など様々な環境で実証実験を行い、2020年内の商用化を目指す。また、同社は、今回の実証実験について、2020年1月26日〜29日に米国・テキサス州サンアントニオで開催される「IEEE Radio Wireless Week 2020」で発表する。また今回の技術は、2020年2月24日〜27日にスペイン・バルセロナで開催される「MWC Barcelona 2020」で展示する予定。

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