週間情報通信ニュースインデックスno.1200 2019/11/02


1.NTTデータの2019年4〜9月期決算は増収増益、国内外ともにSI好調(11.1 日経XTECH)
 NTTデータは2019年11月1日、2019年4〜9月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高は前年同期比5.4%増の1兆778億円、営業利益は同6.1%増の637億円で、増収増益だった。期中の受注高が同18.3%増の1兆888億円と大きく伸びるなど、SI(システムインテグレーション)事業が国内外ともに好調だった。

 本間洋社長は「(決算の)あらゆる指標がプラスとなった。為替の影響を除くと、産業別でも全セグメントで受注高が前年同期からプラスとなった」と好調ぶりを振り返った。受注高では、中央省庁の案件獲得が好調だった「公共・社会基盤」セグメントが同880億円増の2601億円で、金額の伸びが最も大きかった。

 次に受注額が伸びたのが「北米」セグメントだ。同856億円増の2430億円となった。米NTTデータサービス(NTT DATA Services)が米国際開発庁から大型アウトソーシング契約を獲得した寄与が大きい。売上高で最も金額が伸びたのは、製造業などが好調だった「法人・ソリューション」セグメントで、売上高は同315億円増の2821億円だった。

 「金融」セグメントでは、地方銀行の勘定系システムを集約した共同センターの拡大や利用行の増加などで売上高が同148億円増の2809億円となった。またセグメントを問わず、業務改革などのためRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)がよく売れたという。

 通期予想は据え置いた。売上高が同3.5%増の2兆2400億円、営業利益が同0.2%増の1480億円を予想する。

 

2.「トランプ批判」が原因ではない、アマゾンが国防クラウドでMSに敗れた訳(11.1 日経XTECH)
米国防総省が大型のクラウド契約を米マイクロソフト(Microsoft)と締結し、最有力だった米アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services、AWS)が敗退したことが大きな話題を呼んでいる。クラウド間の技術格差がなくなったことの象徴だと見なせるためだ。クラウドの競争は今後、ますます激化しそうだ。

 国防総省は2019年10月25日(米国時間)に「エンタープライズ汎用クラウド(Enterprise General-Purpose Cloud)」の契約をマイクロソフトと締結したと発表した。通称「JEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructure)」として知られる大型クラウド調達だ。米国の報道によれば国防総省は省内システムの80%をJEDIに移行する考えだという。

 国防総省はこれまでサブシステムやプロジェクトごとに異なるクラウド契約を結んでいたため、調達コストやシステム運用コストの高止まりが課題になっていた。プレスリリースによれば同省が過去2年間に結んだクラウド契約は10種類にも及び、契約金額は合計110億ドル(約1兆2000億円)にも達していたという。国防総省は様々なクラウドで稼働しているシステムをJEDIに移行することで、クラウド運用の効率改善を図る。

 JEDIに関してマイクロソフトと結んだ基本契約は2年間で、同省がマイクロソフトに支払うと保証した金額は100万ドル(約1億円)に過ぎない。同省内のユーザーは個別の判断でJEDIを利用する。その金額について同省は「2年間で2億1000万ドル(約230億円)」と見積もる。これだけでは「大型契約」とは言いがたいが、米報道によれば契約期間は10年以上が見込まれているため、その調達規模は最大で100億ドル(1兆900億円)になると見込まれている。

 国防総省がJEDIの調達プロセスを開始したのは2017年10月のことで、下馬評はAWSが最有力だった。AWSは2013年にCIA(米中央情報局)から6億ドル(約600億円)のクラウド契約を受注しているためだ。

 しかもCIAとの契約は当初、CIAの中にAWSのソフトウエアを使ってプライベートクラウドを構築するというものだったが、AWSはその後、プライベートクラウドをAWSのパブリッククラウドに「巻き取る」のにも成功している。CIAは2017年にAWSが米国の情報機関向けに提供している専用リージョン「Secret Region」に移行すると明かしている。CIAによるパブリッククラウドへの移行は2023年までに完了する予定だ。

 CIAによる2013年のAWS調達は、AWSの技術力が競合を引き離していると世に知らしめた点で画期的な「事件」だった。CIAの入札にはAWSに加えて米IBM、マイクロソフト、米AT&Tなど合計5社が参加し、まず2012年の時点でCIAはAWSを選択した。それを不服としたIBMが米政府監査院(GAO)に抗議した結果、CIAによるシステム調達の詳細が明らかになり、CIAがAWSを技術的に高く評価していたことが明るみに出たのだった。

 CIAによる2012年の選考では1次審査の時点でAWSとIBM以外の事業者が脱落した。CIAはクラウドの要件として、LinuxやMySQLといったオープンソースソフトウエア(OSS)が利用できることを挙げていた。マイクロソフトが提供していた当時の「Windows Azure」は、2012年6月にLinux仮想マシンが利用可能になったばかりで、審査時点での要件に合わなかった。

 そしてCIAによる最終審査でAWSがIBMを大きく上回った点が、システムの負荷に応じてサーバーの台数を増減する「オートスケーリング」の有無だった。AWSが既に同機能を提供していたのに対して、当時のIBMのクラウドサービスには無かった。IBMはCIAのためにオートスケーリング機能を新規開発するとしていたが、CIAはそれを評価しなかった。実際のサービスを使った技術検証をしていたためだ。2012年当時のクラウドにはそれだけ技術格差が存在したわけだ。

 それから7年を経た今回、国防総省がAWSではなくマイクロソフトを選んだ背景には、トランプ米大統領が米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)のジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)を敵視していることがあるなどと報道されている。ベゾスCEOはトランプ大統領を厳しく批判する米有力紙「Washington Post」のオーナーを務めている。

 しかしどれだけ政治的な問題があったとしても、2012年のようにAWSに圧倒的な技術面での優位性があったなら、AWSが負けることはなかっただろう。国防総省による入札にはIBMと米オラクル(Oracle)も参加を目指したが、入札要件を満たしたのはAWSとマイクロソフトの2社だった。オラクルはサフラ・カッツCEOがトランプ大統領と親しいことで知られているが、さすがに政治力では政府調達は動かなかった。

 2012年のCIAによるクラウド調達はAWSの技術力に「お墨付き」を与える結果になった。それに対して2019年の国防総省によるクラウド調達はクラウド事業者間の技術格差が無くなっていることを世に知らしめた。クラウドを巡る事業者間の競争がこれからさらに激化するのは間違いない。  

 

3.大手製造業が5G工場に本腰、デンソーはロボットで実証へ(10.31 日経XTECH)
 2019年4月に開催された欧州最大の産業展示会「HANNOVER MESSE 2019」(ハノーバーメッセ)。今年は第5世代移動通信システム(5G)関連の特設展示スペースが設けられ、多くの来場者の耳目を集めた。

 国内の多くの製造業向け展示会でも「5G」はキーワードになりつつあり、国内製造業各社の5G活用に向けた動きも活発になってきた。例えばオムロンは、自社工場で5G活用の実証試験に挑む。同社執行役員でインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー技術開発本部本部長の福井信二氏は「5Gでファクトリーオートメーション(FA)はもっと進化・拡張する」と5Gへの大きな期待と意気込みをのぞかせる。

 5Gは、簡単に言えば有線通信並みの性能を実現できる無線通信の規格である。しかも、工場など産業用途を強く意識した技術仕様となっており、IoT(Internet of Things)による生産ラインの詳細なデータ収集や、生産設備のリアルタイム制御などが実現できると期待されている。

 20Gbpsの高速・大容量、100万デバイス/km2の多数同時接続、1m秒の高信頼・低遅延を大きな特徴とする。従来の4G/LTEに比べて10倍以上速く安定性に優れるとともに、Wi-Fiと違って一定時間でのレスポンスを保証できる確実性がある。なおかつ無線ネットワークならではのレイアウトの柔軟性の高さを享受できる。

 従来、工場内のネットワークは有線が中心だった。確かに有線なら安定した高速通信が可能だが、多数の生産設備をつなぐための配線工事にはコストがかかる上、設備の追加や変更などがあると配線を敷設しなおさなくてはならず、柔軟なレイアウト変更に対応しにくい。

 一方、無線通信であればレイアウト変更の柔軟性は確保できる。ただし、現行の移動通信規格であるLTE(Long Term Evolution)/第4世代移動通信システム(4G)は通信速度が限られ、画像や映像といった大容量データを扱いにくい。無線LAN(Wi-Fi)は、複数の接続デバイスが早い者勝ちで帯域を取り合うため、一定時間内での動作を保証できず、生産設備の制御などには向かない。

 そこで注目されるのが性能を高めた移動通信規格である5Gだ。具体的には、[1]最大20Gbps(ビット/秒)の「高速・大容量」、 [2]1km四方当たり100万台のデバイスと同時に通信可能な「多数同時接続」、[3]送信してから受信までにかかる時間差(遅延)が1m秒という高信頼・低遅延、といった性能を実現できるとされる。LTE/4Gに比べて圧倒的な通信速度と、同10倍の多数同時接続、4Gの1/10の低遅延という性能を誇るのだ。

 日本では、5Gの公衆サービス提供が2020年春に始まる予定だ。通信事業者でなくても限られたエリアで5Gネットワークを構築できる「ローカル5G」の活用も産業用途を後押しすると期待がかかる。目の前に迫った5G実用化の時代に向け、適用場所である工場を持つ製造業だけでなく通信事業者、設備メーカー、研究機関などを交えた5Gの実証試験が次々と立ち上がっている。

 

4.中古スマホ取引市場で首位交代、iPhone 7の3期連続トップならず(10.30 日経XTECH)
 ネット型リユース事業を手がけるマーケットエンタープライズ(東京・中央)は2019年10月29日、2019年第3四半期(7〜9月)における中古スマホ端末(iPhone、Androidスマホ)の取引数ランキングを発表した(ニュースリリース)。同ランキングは、中古スマホ端末取引の大手4市場(ヤフオク!、メルカリ、ムスビー、ラクマ)の動向を分析した結果である。

 中古iPhone市場ではトップの「iPhone 8(au)」をはじめランキングの8位までを「iPhone 7」とiPhone 8が占めた。同社によれば、全体の取引数は新作「iPhone 11」発売前の買い控えなどによって減少したものの、iPhone 7とiPhone 8は新作の発売と同時に値下がりが実施されたことにより、前期(2019年第2四半期)よりも取引数が増加したと分析する。

 

5.ゲーム以外に広がらないAR、用途拡大の鍵がスマートグラスにある理由(10.28 日経XTECH)
 位置情報ゲームの人気で大いに注目を浴びたAR(拡張現実)だが、本格展開にはハードウエアを中心に少なからず課題があった。だがここ最近の動きを見ていると、そうしたハード面での環境改善が進むことで、ゲーム以外へのAR活用に向けた道筋も広がりつつあるように見える。

 米ナイアンティック(Niantic)の「ポケモンGO(Pok?mon GO)」がヒットして以降、関心が高まっているAR。米アップル(Apple)が「ARKit」、米グーグル(Google)が「ARCore」を提供するなどして、ARを活用したスマートフォン向けアプリを開発しやすくする仕組みも整備されてきたことから、ARの活用に向けた動きが活発になっているようだ。

 実際、2019年10月15?18日に開催された「CEATEC JAPAN」では、ARを活用したサービスやソリューションに関する展示が注目の的だった。そのことを象徴していたのが、KDDIのブースで展示されていたアトラクション「XR Door」である。

 これはスマートフォンで専用のARマーカーを読み込み、設置されたドアをくぐると、お花畑やスタジアムなど様々な空間を体験できるというもの。複数の人と同じ空間に入り込んで共通の体験ができる他、同社が秋冬商戦に向け投入予定の韓国サムスン電子製折り畳みスマートフォン「Galaxy Fold」を用いた、未来感あふれる印象を与える演出で注目を集めていたようだ。

 とはいうものの、市場にARを活用したアプリがあふれて多くの人が利用するようになっているかというと、そうではないのが現状である。多くの人が使うARアプリは、まだ位置情報ゲームや「SNOW」などの写真加工アプリなどに限定されている。それ以外は実験的なアプリや、アーリーアダプターに向けたアプリが多い印象を受ける。

 その理由としては、1つにはやはりゲームとカメラに続くキラーアプリやキラーサービスを生み出せていないことがある。もう1つの理由として挙げられるのは、ハードウエア面での課題だと筆者は感じている。

 課題の1つは、デバイスと物体との距離を正確に測り、空間を認識するセンサーを搭載したデバイスが不足していることだ。

 かつてグーグルが提供していたAR技術「Tango」では、対応するスマートフォンなどに深度センサーを搭載することで物体との正確な距離を測定し、リアリティーのあるAR表現を実現していた。だが深度センサーを搭載すると高額になることから、スマートフォンメーカーの支持が得られず対応機種が増えなかったため、グーグルはARCoreに軸足を移すに至っている。

 そうしたことからARCoreやARKitなどでは、ハードウエア面での負担を減らしながらもリアリティーのあるAR表現を実現する工夫を取り入れている。具体的には、スマートフォンのカメラや加速度センサーなどを使って映像から平面を検出し、それを基準として現実世界にCGのオブジェクトを置く仕組みとなっている。

 これら技術の登場によって、多くのスマートフォンでリアリティーのあるAR表現を実現できるようになった。しかしながらハード面で現実空間を正確に認識できる仕組みが備わっているわけではないので、限界があるのもまた事実だ。故にスマートフォンを活用したARをより進化させるためには、ハードウエア面での進化が求められていたわけだ。

 そうした進化を推し進めようという動きは、2019年に入ってハードウエアメーカーの側から目立つようになった。実際2019年に日本で発売された中国ファーウェイ・テクノロジーズ(Huawei Technologies、華為技術)の「HUAWEI P30 Pro」や、サムスン電子の「Galaxy Note 10+」などには、撮影に用いる3つのカメラに加え、4つ目のカメラとして深度測定用のToF(Time Of Flight)カメラが搭載されている。

 これらのスマートフォンは、ToFカメラを用いたリアルなAR表現を特徴の1つとして打ち出している。ハイエンドモデルで差異化を図りたいメーカー側が、ARを進化させようという動きを進めているのだ。

 そしてもう1つの動きは、ARを利用しやすい専用のハード、具体的にはコンシューマー向けのスマートグラスの登場である。スマートフォンによるARは確かに手軽に利用できるものの、よりリアリティーのあるARを体験するには専用のデバイスが必要であるからだ。

 VR(仮想現実)に関しては、スマートフォンを用いたVRよりも以前に、米フェイスブックテクノロジーズ(Facebook Technologies)の「Oculus」シリーズなどVR専用のヘッドマウントディスプレーが提供されており、本格的なVRコンテンツの利用が可能となっていた。だがARに関しては、かつてグーグルが「Google Glass」のコンシューマーへの展開を断念したように、ARを本格的に活用できるコンシューマー向けのスマートグラスがなかなか登場しなかったのである。

 そのスマートグラスに関しても、ここ最近コンシューマー向け展開を加速するかもしれない動きがいくつか起こっている。国内の事例を挙げると、例えばNTTドコモは米マジックリープ(Magic Leap)と提携し、ARの発展形ともいうべきMR(複合現実)を利用できるグラス型デバイスの販売を予定している。2019年9月より開始したNTTドコモの5G(第5世代移動通信システム)プレサービスにおいても、同社が提供しているデバイス「Magic Leap One」を活用したコンテンツを体験する展示が何度か披露されている。

 そしてもう1つの動きが、KDDIが2019年5月に中国エンリアル(nreal)と提携したことだ。エンリアルはARコンテンツなどを利用できるスマートグラス「nreal light」を提供しており、KDDIはnreal lightなどを活用した実証実験や、日本市場に向けた新しいスマートグラスの開発を共同で実施するとしている。

 スマートグラスの利用が広がれば、よりリアルなAR体験が得られるだけでなく、ARを利用するのにスマートフォンを操作する必要がなくなるため、利便性の向上、コンテンツやサービスの幅の拡大といったメリットも生まれる。それだけに、スマートグラスが一般消費者に向けて提供される土壌が出来つつあることは、ARの広がりを考える上で重要な動きになると言えそうだ。

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