週間情報通信ニュースインデックスno.1199 2019/10/26


1.IBMがGoogleの“量子超越性実証”を全否定(10.25 日経XTECH)
 米IBMは2019年10月21日、「“量子超越性”について」というタイトルのブログを公開し、米Googleによる「53量子ビットの量子コンピューターで量子超越性を実証した」とする論文発表を真っ向から批判した。「(Googleの論文は)量子超越性に必要な条件をいまだ満たしていない」(同ブログ)という。

 Googleの発表は、同社が構築した53量子ビットの量子コンピューター「Sycamore」で量子乱数生成をシミュレーションし、古典的なスーパーコンピューターが1万年かかる計算を200秒で実行できた。そしてそれが量子超越性を示す証拠だという主張である(関連記事)。計算時間にして、約15億8000万倍の差となる。

 これに対して、IBMは「Googleがスーパーコンピューターでは1万年かかるという計算は、同コンピューターの能力をフルに使っていない」と批判した。その1つが、Googleがスーパーコンピューターを主記憶(RAM)のメモリーだけで駆動する「RAMアグリゲーション」で計算する想定をしている点だとする。 実際これは、現在のスーパーコンピューターではほとんどの計算で非現実的な想定といえる。一般的には、RAMとハードディスクの両方を組み合わせて、データを階層化して使うからだ。RAMだけの計算は一般には速いが、今回のような膨大なデータを用いる計算でデータを階層化しないのは、むしろ大幅な非効率を招く可能性がある。

 さらに、Googleは古典的コンピューターの既知のコード最適化手法もほとんど使っていないという。例えば、「テンソル縮約」「ゲート集約」「バッチ処理化」「キャッシュブロッキング」、その他のさまざまな手法である。

 逆に、IBMがハードディスクも含めたデータアクセスを最適化し、しかも上記のコード最適化手法を用いてGoogleと同じ計算をシミュレーションしたところ、古典的なスーパーコンピューターでも、長くても2日半しかかからないことが分かったという。「かなり慎重な、最悪ケースを想定した見積りで2日半」(IBM)。この場合、53量子ビットのSycamoreとの差は約1000倍と、15億8000万倍から大幅に縮まる。

2.5Gで端末はどう変わる?米クアルコムなどがMWCロスで「スマホの次」を熱弁(10.24 日経XTECH)
  4G(LTE)の進展とともにスマートフォンが広がったように、5G時代に突入するとデバイスはどう変わっていくのか。米マイクロソフト(Microsoft)や韓国サムスン電子(Samsung Electronics)の担当者らがMWC19 Los Angelesの講演で意見を述べる中、米クアルコム(Qualcomm)のサイーダ・バカディア製品担当ディレクターは2019年10月22日、「スマートフォンの次はXRグラスが本命」と力強く言い切った。

 XRはAR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった技術の総称を指す。これに5GとAI(人工知能)が加わることで、「産業のあり方が大きく変わる」とバカディア氏は主張する。例えばXRグラスをかけた人間が故障した機械を修理している。その傍らでアドバイスするのは、VRで人間のように映し出されたAIロボットというものだ。

 よくある企画会議も大きく変わるという。バカディア氏が見せた将来イメージは、会議室における自動車新製品の検討シーンだった。検討する自動車はVR上で好きな色や形に変えられる。メンバーは実際にその場にいなくても別々の場所から参加でき、その一部はやはりAIロボットだ。

 5Gの低遅延を妨げないためのエッジコンピューターに搭載する高性能チップ、AI技術の進展によって、これらのケースは「信じられないかもしれないが、XRはかなり近い将来に実現する」(バカディア氏)と力を込めた。

 バカディア氏だけでなく、共に講演していた米マイクロソフトのアンドリュー・トグネラ氏も同じ主張だった。同氏は2019年中にリリース予定の「HoloLens 2」を紹介しつつ、「5Gを介した作業だけでなくトレーニングやシミュレーションなど多くの用途が見込める」と説明した。

3.音声定額が格安スマホ支援策の本命に、携帯大手は通話でぼろもうけしていた?(10.23 日経XTECH)
 「格安スマホ」に代表されるMVNO(仮想移動体通信事業者)市場の活性化に向け、総務省が新たな支援策の検討に動き出した。日本経済新聞は2019年10月17日、「格安スマホで通話も安く 総務省、回線コスト半額視野」と報じた。

 MVNOがデータ通信サービスの提供に当たって携帯大手に支払っている接続料は「原価+適正利潤」の規則に基づいて毎年下がっているが、音声通話の卸料金は「エンドユーザー料金(30秒20円)の70%程度」(携帯大手幹部)の水準で高止まりしたまま。透明性や適正性の観点で問題があるとの不満がMVNOから出ており、総務省はここにメスを入れるわけだ。

 最近はメールやSNSによるやりとりが中心で音声通話を全く使わなくなったという人が多いだろう。音声通話料が仮に半額となったところでうれしくないかもしれないが、MVNOにとってはありがたい支援策となる。

 というのも、楽天モバイルの新規参入で料金競争に火がつけば、携帯大手のデータ通信料金がMVNOに近づいてくることが想定される。多くのMVNOはいまだに黒字化もままならない状況であり、対抗値下げの余裕などない。ただでさえ通信品質やサポート、付加サービスなどで携帯大手に見劣りする中、最大の強みであるデータ通信料金でも差を詰められることになれば死活問題となる。

 そこで、今回の支援策である。もっとも、音声通話料が多少下がったくらいでは大した助けとはならず、本命は音声定額の卸提供の実現とみている。携帯大手がMVNO向けに提供する音声通話の卸料金は現状、従量制のメニューだけ。独自の工夫で音声定額を提供するMVNOが増えてきたが、通話ごとに最大10分などの制限がある。MVNOの間では定額制のメニューも提供してほしいとの声が根強い。

 音声定額の卸提供が実現すれば、MVNOは新たな活路が見えてくる。中小をはじめとした法人市場の開拓による成長だ。音声通話は長らく減少傾向にあるとはいえ、企業を中心に底堅いニーズがある。

 興味深いデータがある。NTTドコモの契約者当たり月間平均通話時間(MOU)は2018年度実績で134分。2013年度前後は落ち込んだものの、2014年6月に音声定額を導入して以来、高い水準を維持している。これは「MVNOの数倍」(あるMVNO幹部)という。個人ユーザーが毎月2時間以上も音声通話を使っているとは考えにくく、大企業を中心とした法人ユーザーが平均を押し上げているとみられる。

 肝心の収益はどうか。携帯大手3社が公表している「移動電気通信役務収支表」によると、音声伝送役務(役務はサービスのこと)の売上高はそれぞれ7000億〜1兆円規模。全体の営業利益に占める音声伝送役務の比率は、NTTドコモが35.7%、KDDI(au)が30.9%、ソフトバンクが41.4%といった具合だ(いずれも2018年度実績)。「ぼろもうけ」は言い過ぎかもしれないが、実は「おいしい市場」と言える。

 MVNOにとってはこの一部を奪えるだけでも業績面でのインパクトが大きい。大企業に関しては携帯大手が相対契約でべらぼうに安い料金を提示してがっちり囲い込んでいるため、相対契約が少ない中小企業が狙い目となる。

4.AIがコールセンターにハマった横浜銀行、ニーズ予測と提案営業で取引増(10.23 日経XTECH)
 2019年9月に新コンタクトセンター(コールセンター)システムを本格稼働させた。AI(人工知能)によって顧客1人ひとりの商品ニーズを予測。オペレーターが予測に基づき提案営業をして取引を増やしている。

 横浜銀行は2019年9月末、新コンタクトセンターシステムを本格稼働させた。2018年5月に第1弾の稼働を始めた同システムに、AI(人工知能)によって顧客との電話の内容をテキスト化したうえで要約する「音声のテキスト化・要約機能」を追加した。当初予定していた全ての主要機能が利用可能になった。

5.似ているようで実はかなり違う、5機種出そろったiPadの失敗しない選び方(10.23 日経XTECH)
 2019年10月に「10.2インチiPad」が発売されて、iPadの5モデルが出そろった。OSも新バージョンの「iOS 13」になって使い勝手が大幅に向上した。そろそろ、iPadを新たに購入したり旧モデルからの買い替えを検討し始めた人もいるだろう。選択肢が多く、完成度が向上している今は絶好のタイミングだ。

 本体サイズは10.2インチiPadとiPad Air、11インチiPad Proがスタンダードと考えていいだろう。重量はどれも400グラム台後半で、最も軽いのが456グラムのiPad Airとなる。また11インチiPad Proは額縁が細いデザインになっていて、本体サイズの割に画面が大きいのが特徴だ。

 これらスタンダードサイズのモデルは、使い勝手の良さと持ち歩きやすさを両立している。ただし手に持って長時間使うのはやや重く感じるはずだ。例えば、電車の中などで長い時間手に持つ可能性が高いなら、iPad miniのほうが向いている。

 iPad miniは7.9インチと画面は小さくなるが、それでもiPhoneに比べるとかなり大きく、コンテンツの見やすさや迫力はずいぶん違う。手に持ってプレーするレーシングゲームなどで遊ぶ場合もiPad miniが最適だ。

 逆に映画や動画を見るには、スタンダードサイズのほうが迫力がある。このあたりは、重さや持ちやすさと画面サイズのバランスで選ぶといいだろう。

 10.2インチiPadがApple Pencilに対応したことで、全製品がペンによる手書きに対応した。この中でiPad Proだけ第2世代のApple Pencilに対応しており、ほかのモデルが対応しているのは第1世代のApple Pencilだ。

 Apple Pencilは別売かつ高価なので、手書きする機会が多そうなら、予算をしっかり確保しておこう。第2世代のApple Pencilは充電しやすく、アプリを切り替える機能もあり素晴らしいが、価格も3700円高くなる。

 ズバリ、僕が価格と性能、本体構成のバランスがベストだと考えるのはiPad Airだ。ディスプレーが美しく、本体も薄く手にしていてうれしくなる。性能も妥協していないので、バランスが良好だ。64Gバイトで5万4800円という価格も頃合いで、末永く快適に使いたいならお薦めだ。特にイラストを描きたい人は、iPad Airが最低限の選択と言えるだろう。

 iPad miniは少々特殊なモデルで、手持ち利用に特化していると考えるのがベストだろう。以前は「iPad miniが安いから買う」という選択もあったが、今は入門モデルではなくなった。膝や机の上で使うなら、10インチクラスの製品でいい。

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