週間情報通信ニュースインデックスno.1196 2019/09/28


1.じぶん銀行、NECの顔認証AIを使って口座開設時間を短縮(9.27 日経XTECH)
 KDDIと三菱UFJ銀行が共同出資するじぶん銀行は2019年9月27日、同行のスマホアプリに口座開設の新機能を搭載したと発表した。NECの顔認証AI(人工知能)エンジンを使い、本人確認にかかる時間を短縮した。

 運転免許証と申請者本人の顔をスマホのカメラで撮影して口座開設を申請する。AIが写真と同一人物かを判別することで本人確認の手間が減り、申し込みから最短3営業日で申請者にキャッシュカードを発送できるようにした。

 従来は口座開設の専用アプリを使って免許証の表裏を撮影したり必要項目を入力したりする必要があった。申し込みからキャッシュカードの発送まで最短で5営業日ほどかかっていたという。

 オンライン上で本人確認を完結する仕組みは「eKYC(Know Your Customer)」と呼ばれる。マネーロンダリング(資金洗浄)などの抑止を目的とした「犯罪収益移転防止法(犯収法)」が2018年11月に改正され、eKYCを実装しやすくなった。

 犯収法の改正以降、北陸銀行や三菱UFJなどの金融機関、メルペイやLINE Payといったスマホ決済事業者などでeKYCの導入が進んでいる。じぶん銀行は現在、転送不要郵便で申請者にキャッシュカードを届けることで最終的な本人確認としているが、「オンラインで完結させるために準備を進めている」(担当者)とする。

 

2.私はAIを学ぶべき?効率良く習う秘策は?重要な4大疑問に答える(9.27 日経XTECH)
  質問1:全ての企業がAIを学び、活用すべきでしょうか?
 必ずしも全ての企業がAIを活用しなければならないということはありません。しかしながら、活用する、しないに関わらず、AIを理解しておく必要はあります。

 AIをきちんと理解していない経営者が「とにかくAIをやれ」と現場に指示し、同じくAIの使いどころを分からない現場が右往左往してしまう、といったことも起こります。結果的に費用ばかりかかって成果が得られません。こうした事態を防ぐには、メンバー皆がAIに対する正しい知識を持っている必要があります。

AIで何ができるのか、何ができないのかを判断できることが大事です。それには少なくとも、AIに必要なデータの種類や規模、AIによる予測の視点、AIを導入したときの運用業務といった知識は不可欠です。

質問2:これからの若い世代はAIに関する知識が必要でしょうか?
 必要不可欠です。今や、コンピューターの知識なくして、できる仕事の数は限られてきました。求められるスキルの差はあるにしろ、少なくともパソコンで文書を作成したり、プレゼンテーションしたりするだけではなく、電子メールを使うことは必須と言えます。

 同じように、AIに関する最低限の知識なくしてできる仕事の数は減っていくでしょう。一方でAIの登場により、これまで想像もしなかった仕事が登場すると言われています。

 さらにこれからのビジネスパーソンには、AIとの協働を前提に仕事を組み立てる能力が求められます。作業のどこをAIで効率化できるのか、どこはAIに任せられないのか。それを考えて仕事を再構築する能力は、少子高齢化による人手不足解消のために欠かせないものだからです。

質問3:学校でAIが必須科目になりますか?
 はい、そうなると思います。既に、各国でAIを理解した人材(AI人材)を育成するための教育改革が始まっています。特に米国と中国が教育に熱心です。

質問4:AIを効率良く学ぶ方法は?
 まずはAIに興味を持つことです。

 AIを理解できるようになれば、生涯にわたって様々な面で大きな助けとなるでしょう。効率良く学習するためには、できる限り質の高い様々な情報に触れることが必要です。

 

3.ファーウェイ、北京新空港向け5Gスマートエアポートサービスを発表(9.25 日経XTECH)
 中国Huawei Technologies(ファーウェイ)は2019年9月21日、同月末に開業予定のBeijing Daxing International Airport(北京大興国際空港)にて「5G smart travel service system」を立ち上げると発表した。中国China Eastern Airlines(中国東方航空)および中国China Unicom(中国聯合通信)北京支社との共同発表である。

 同システムでは、5GとAI、ARを使って、顔認証によるチェックインやセキュリティー確認、搭乗手続きを行うほか、RFIDカードとスマートフォンを使ったペーパーレスの手荷物管理サービス、空港独自のスマートアプリを使った各種サービスを提供する。

 空港ターミナル内での5Gカバレッジは、Huaweiの屋内向け基地局「5G LampSite」により確保。フィールド試験では、1.2Gビット/秒を超える速度をマークしており、空港利用客への次世代スマートエアポートサービス提供に十分な性能を実現できているとしている。

 Huaweiは同日、複数の周波数帯での5G高帯域通信を実現にする「AirFlash 5G Microwave enterprise solution」を発表した(Huaweiのニュースリリース2)。大容量、広域カバレッジでありながら、高い安全性と信頼性が求められる環境にて、有線通信に比べ短時間で、安価、かつ維持運用が容易なネットワーク環境を構築できるとしている。公共安全やエネルギー業界、運送業界、メディア、施設構内などでの活用を見込んでいる。

 AirFlash 5G Microwave enterprise solutionは、サブ6(6GHz未満の周波数帯)の免許不要帯や、6~42GHz帯、および80GHzのミリ波帯に対応。マイクロ波のデュアルバンド接続とEバンドのミリ波帯を利用することで、1基地局当たり最大20Gビット/秒、シングルホップ通信時の遅延時間も光通信を超える50?秒を実現するとしている。

 光バックボーンネットワークとの相互利用も可能とする。基地局の4つのRF部を1つにまとめ、アップグレード時に交換が不要なモジュール型のデュアルバンド対応アンテナを使用することで、基地局設置面積も従来の半分になるとしている。

 

4.「じり貧」必至の格安スマホ、楽天のつまずきで命拾い(9.25 日経XTECH)
 楽天モバイルの新規参入で料金競争の激化が予想される携帯電話業界。だが、楽天モバイルは商用サービスの本格展開が遅れ、値下げ競争は当面、持ち越しとなった。この状況に最も安堵したのは、格安スマホに代表されるMVNO(仮想移動体通信事業者)だろう。

 楽天モバイルが安価な料金を打ち出し、仮にNTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクの大手3社が追随する流れとなれば、安さを売りにしたMVNOの魅力は必然的に薄れる。多くのMVNOはいまだに黒字化もままならない状況にあり、さらなる値下げで対抗できるような余裕はない。このままではじり貧に陥るのが目に見えている。

 そこで期待されるのが、総務省によるMVNO支援の強化である。菅義偉官房長官が掲げる「携帯電話料金のいっそうの引き下げ」を目指すなら、楽天モバイルに頼るだけでなく、MVNOの活性化も同時に進めるべきだ。むしろ、携帯電話網の整備にしばらく時間がかかる楽天モバイルより、MVNO支援のほうが即効性が高い。

 総務省はこれまで、多くのMVNO支援策を打ち出してきた。携帯大手がうんざりするほど細部まで徹底的にメスを入れたが、宿題がまだ残っている。

 代表例は、MVNOが音声通話サービスの提供に当たって携帯大手に支払っている通話料である。データ通信料は「原価+適正利潤」の規則に基づいて毎年下がっているが、通話料はこれが適用されず、高止まりしたまま。透明性や適正性の観点で問題があるとの指摘が出ている。

 しかも携帯大手がMVNO向けに用意する音声通話のメニューは従量制だけとされる。最近は独自の工夫で音声定額を実現するMVNOが増えてきたが、携帯大手には従量制だけでなく定額制のメニューも提供してほしいとの声は根強い。音声通話関連はさらに踏み込む余地がある。

 折しも総務省は現在、5G(第5世代移動通信システム)時代の競争環境の整備に向けた課題などを有識者会議で議論している。2019年9月20日に開かれた会合では、MVNOの業界団体であるMVNO委員会が重要な提案を出した。

 5Gは当初、現行4Gと併用する「NSA(Non-Standalone)」構成でスタートするが、早ければ2021年にも5G単独で動作する「SA(Standalone)」構成の運用が始まる。SA構成では中核設備が仮想化され、共通のネットワーク基盤を利用しながら品質などの要件に応じてインフラを仮想的に分割する「ネットワークスライス」が実現する。

 MVNO委員会はこのネットワークスライスをMVNOが自由に活用できるような環境の整備を求めた。さらに5G時代を迎えると、無線設備とコアネットワークの独立性が高まるため、MVNOが保有するコアネットワークに5Gだけでなく様々なアクセス手段をつなぎ込み、適材適所でユーザーに提供する形態を目指すと意欲的な目標をぶち上げた。

 これが実現すればMVNOはサービス提供の自由度が格段に高まる。複数のアクセス手段を組み合わせれば携帯大手より便利なサービスを生み出せるかもしれない。MVNOはこれまでの制約から解放され、楽天モバイルのようにわざわざ新規参入しなくても携帯大手と十分に伍(ご)していける可能性が高まる。それだけに携帯大手の反発は必至だが、総務省がどのような方向性を示すかが注目となる。

 

5.スキルを持ち寄りボランティア、つないだのはラズパイとチャットボット(9.24 日経XTECH)
「こんにちは。どうされましたか」「これからスカイツリーへ行きたいんですけど、行き方が分からなくて」――。

 2019年8月末、羽田空港第2ターミナルの到着ロビー。こんな会話が交わされていた脇には、3つの大きなボタンがついた見慣れぬキオスク端末が置かれていた。これは、全日本空輸(ANA)と一般社団法人PLAYERSが到着客向けの実証実験の一環として設置したヘルプボタンだ。

 正式名称は「優しい空港サポートボタン」。3つのボタンは助けてほしい内容に応じ「電車・バスの乗り換え」「荷物運び」「(その他の)お困り」と割り振られている。到着客がいずれかのボタンを押すと、あらかじめボランティア登録した空港勤務のスタッフに通知が届き、近隣に居合わせたスタッフがボランティアとして手伝う。出発ロビーと異なり到着ロビーは航空会社の空港スタッフがあまり多くなく、かといって近隣のレストランや物販店の人に声をかけるのも気が引ける。そんな状況で心細く思っている到着客にはありがたい存在だろう。

 実はこの実証実験、ITツールが縁の下の力持ちとして活躍している。キオスク端末の中にはボードコンピューターの「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」が入っており、ボタンやデジタルサイネージの表示を制御している。ボタンが押された旨は、無線LANとインターネットを介してチャットアプリ「LINE」のサーバーで稼働するチャットボットに届き、空港勤務のボランティアたちのLINEグループに同報。ボランティアの誰かがLINEのアプリ画面で対応する旨の返信ボタンを押すと、それがチャットボットからラズパイへと伝わり、キオスク端末の画面にボランティアが向かっていることが表示される。

 ラズパイやチャットボット、LINEグループを使ってボランティアたちを緩やかに組織する仕組みが整ったことで、「ボタンが押されたときたまたま近くにいる人が対応する」といった運用を可能にしたわけだ。今回は短期間の実証実験ということで、ボランティアはANAグループ内で募集した30人のみだが、「羽田エリア勤務のANAグループ社員は2万人いるし、こうした仕組みはANAグループだけでなくオール羽田で広げていきたい」(ANAの小島永士CS推進部担当部長)と展望を描く。かかった費用は「大きな出費はラズパイの購入費用と、福祉系の商品を扱う店舗で探してきたボタン3個くらい。キオスク端末のサイネージはANAの備品を借りることができた」(PLAYERSの池之上智子コアメンバー)。

 もう1つ記者が驚いたのが、ITスキルそのものも直接的に社会貢献に役立つ可能性がある点だ。PLAYERSは、様々な業種・職種の社会人が20数人集まった非営利の組織で、障害のある人たちもメンバーとして携わっている。手助けを必要とする人たちとボランティアをしたい人たちをつなぐ取り組みを、様々な企業と共同で展開しており、過去には音楽やスポーツのイベントにおけるボランティアの実証実験や、東京メトロ銀座線の車内で妊婦に席を譲ってくれる人をマッチングする実証実験などを実施している。今回のANAとの実証実験もその一環だ。

 メンバーは本業の仕事を持ちながら、それぞれの得意とするスキルを持ち寄るプロボノの形でPLAYERSとしての活動を続けているという。今回の実証実験に用いたシステムも、「本業がエンジニアのメンバーが本業の合間に2〜3週間かけて開発した」(池之上氏)という。活動資金は、近年多くの企業が展開しているオープンイノベーション関連のビジネスコンテストなどに応募し、入賞した際の賞金でまかなう。企業との実証実験がうまくいき支援の枠組みを大きく育てていく段階になったら、「PLAYERSの手を離れ協業した企業にお任せする」(同)ことで、「本業の合間に社会貢献」という負担が過度にならないようにしている。

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